続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

ワクワクをボクに、キミに

 J1第36節、徳島戦。前半に生まれた徳島の先制点は、どこか既視感がありました。

 

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 答えはほどなくして見つかります。そう、J1優勝を目指して戦った19年の最終節、横浜FM戦の1失点目でした。

 

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 どちらも、相手のシュートに食らいついたのは東慶悟。そして、どちらも東の思いとは裏腹に、その足をかすめたシュートは無情なほど綺麗な弧を描き、東京側のゴールネットを揺らすこととなります。

 この2試合とも現地で見ていましたが、ゴールネットが揺れたのを確認した後、東は数秒立ち上がれずにいました。横浜FM戦は、4点差以上で勝たなければ優勝できない特異なシチュエーションにあったなか、その1失点目が何を意味するかは誰の目にも明らか。このシーズン大きな成長を遂げ、大いなる称賛を受けた東が、終戦を告げる失点に直接絡むこととなったこのシーンを見て、「なんか、つれないなぁ」と思った一方、「今季の東でそうなってしまったんなら、諦めがつくわ」とも思った記憶が残っています。

 あれから2年。20年は中足骨骨折によりリーグ戦は出場わずか7試合に終わり、今季も出場試合数は積み重ねているものの、19年と比べれば、プレー精度、強度ともに見劣ると言わざるを得ないなど、東が置かれた現状は、19年のそれと比べて雲泥の差があります。そして、長谷川監督が辞任という形でチームを去り、もはや「チームがチームたらしめるために必要な『繋ぎ止めるモノ』がこれっぽっちもない」ことがあらわとなった試合で、再び東があの時と同じ形で失点に絡んだ姿を見て、私は「本当に一つの時代が終わったんだな…」と改めてスタジアムで唇を嚙み締めたところです。

 

 

 と、象徴的な存在として東の名を挙げましたが、徳島戦はほぼ全員がひどかった。戦術面が中途半端だったとか、この試合でやりたいサッカーに合うスタメンだったのか?とか、いろいろ考えるところはありますが、それ以前にほぼ誰からも「期待感」「ワクワク感」を感じることができなかったのがツラくて。

 人がサッカースタジアムに行く理由。それは、勝ち負けにこだわる人、雰囲気を楽しみたい人、チームを応援したい人、推しの個人を見たい人、一人でしっかりと見たい人、大勢でわいわい見たい人、まさに十人十色でしょう。

 じゃあ、あんたは?と問われれば、私は「常にワクワクして、グッドゲームだった!と言える試合を一つでも多く見たい人」。もちろん、東京に勝ってほしいのは前提にありますが、例え勝っても負けても引き分けても、それこそ敵も味方も関係なくワクワクするプレーを一つでも多く見られて、「いやー、今日はスタジアムに来てよかったわ~」と思って帰れる、それを期待してスタジアムに足を運ぶ人です。

 その点で言えば、徳島のプレーにはワクワク感が多数ありました。東京の守備が場当たり的だった点を差し引いても、一人ひとりが自分のポジショニングを常に意識して、トライアングルをピッチに作り続け、テンポよくボールを回す。そうして役割がハッキリしているからこそ個はハツラツとしていて、敵ながら思わず「おぉ!」と声が出るシーンもありました。

 で、繰り返しになりますが、東京はドモナラズ。先ほどは東の名を挙げましたが、渡辺剛も19年と比較すれば、成長が止まってしまったと言われても仕方ないパフォーマンスにとどまり、オマリと長友は後半終始、お互いのポジショニングなどで言い合う始末。いや、言い合うことはいいことですけど、言い合い続けていたのは、さすがにどうなんだと(苦笑)。ディエゴ、レアンドロは後半早々に交替。この日のチーム戦術のなさの犠牲者だったと思う一方、前半早々からプレーに波があり、イライラも感じられ、らしさを感じられたのはほんの数回。その他、ほぼ全員が及第点を付け難いプレーで、スタジアムには東京ファンのため息が、それこそ声を出してはいけないからこそ、より強く聞こえたのは、私だけではないはずです。ん?ブーイング?なんか、どっかから聞こえましたねぇ。

 それでも、何も希望がなかったとは思いません。

 安部は、チーム全体が無為となるなかでも、自分ができることを折れずに、切れずにやり続けていました。渡邊凌磨は今季初のスタメンフル出場。総走行距離は両チーム最多の12.4kmを数えながら最後まで足がヘタることはなく、「テクニックも脚力もあるサイドプレーヤー」として、今後に大きな期待を抱かせるプレーを見せてくれました。波多野は前節の結果も相まってスタメンを児玉に譲りましたが、ベンチから常に選手を鼓舞し続け、0-2になってチームが崩れてしまった後も、前向きな姿勢を見ることができました。

 安易にベテラン選手を切れ、だなんて言いません。しかし、現時点で働き盛りと言える26~30歳の区分に当たる選手が3人(レアンドロ、渡邊凌、鈴木準)しかいない選手構成のなか、ミクシィが本格的に経営権を取得し、来季の監督も報道を信じればほぼ固った、そんな来季を、それでもベテランの経験値に賭けるのか、若手~中堅選手の飛躍に賭けるのか。あえて極端なこの二択で考えるならば、私は絶対に後者を選びます。

 

 

 誠に残念ながら、この日の味の素スタジアムでは来季が1から…ではなく、ゼロからのスタートとなりそうな雰囲気を感じました。何年ぶり何回目だよ!と強くツッコみたくなる気持ちもあります。それでも、一部の若手・中堅から感じられた「このまま終わってたまるかよ」って気持ちも、しっかりと受けとめておきたい試合でした。こうした選手が一人でも多く増え--こうした気持ちを東京では持てない選手とはお別れして--、ワクワクした試合を一つでも多く見られるように…と願って、本日はおしまい。