続々々・メガネのつぶやき

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08−09 その58 チェルシー−ユベントス

 ヒディンクの監督就任で巻き返しを図るチェルシーが相対するのは、チェルシー上昇の礎を作ったともいっていいラニエリ率いるユベントスの1戦でした。昨日見たんですが、今日の日付で。
チェルシー 1−0 ユベントス
スコア:12分 D・ドログバチェルシー


 お互いの持ち味が存分に出た、非常に面白い90分間でした。とりあえず、ベスト16でここまでに見た4試合の中では、一番面白かったです。
 ホームのチェルシーから。ヒディンクに与えられた時間はまだあまりにも短いということか、システムとしてはこれまでの4−3−3を踏襲する形できました。しかし、3トップの左右に入ったカルー、アネルカがかなりタッチラインに近いところでポジションを取っていて、その上両サイドバックも非常に高い位置にポジションを取って、積極的に攻撃に絡んでいました。この点はスコラーリ前監督との差別化を早々にはかりたい(と思われる)ヒディンクの色が出ていたように思います。また、戦術的にも「奪ってから素早く前線へ展開する」という、今季はまず見られなかった展開に。この辺は、スコラーリがあまりにもポゼッションにこだわりすぎたことで生じた、「どうしても展開が遅くなって引かれてしまう→スペースが無くて人もボールも危険エリアに入っていけない」という手詰まり感を一刻も早く払拭したいという意図があってのものかと。ただ、そもそもモウリーニョ時代初期はそういったサッカーで栄華を極めたわけですし、その当時のメンバーがかなり残っていることを考えれば、この戦術移行はスムーズに行きそうで、(本人曰く)「今シーズン限りの暫定監督」という立場に置いては、最高のやり方なように思います。
 ちょっと対ユベントスという視点からは脱線しましたね。守備面で怖かったのはデル・ピエロの個人技、アマウリの高さ、それを生かすサイドからのクロスの3点でしたが、評価は微妙。詳しくはユベントスに触れる際に書きますが、一言で言えば、「チェルシーがうまく守った」というよりは、「ユベントスがうまく攻められなかった」という印象を受けているため。まあ、アウェイゴールを許さなかったわけですし、いい時のチェルシーは「1−0で勝てる」チームだったことを考えれば及第点以上の結果だったのかもしれませんが、私はまだベスト8へ進む確率は、この日のボール支配率(=50%−50%)と同じだと思っています。


 ユベントス。システムはいつもの4−4−2。ただ、右サイドバックに攻撃寄りのグリゲラではなく、守備寄りのメルベリを使ってきたあたりは、いかにもラニエリらしかったなぁと。戦術面も、いつもの通り最終ラインは高いポジションをキープして中盤をコンパクトにする。一人がボールにチャレンジしたら誰かが必ずその穴を埋め、危険人物に対してはさらにもう一人がヘルプに入る。奪ったら素早く前へボールを飛ばして、手数をかけずに攻める。90分トータルで見れば概ねできていたと思いますし、押し気味に進める時間も短くはなかったので、この0−1はもったいなかったなぁと言うのが正直なところです。
 その中で、一番はやっぱり「単純なパスミスが多すぎた」という点。デル・ピエロの個人技も、アマウリの高さも、彼らにボールが入らないことには全く活かせないわけですが、この日はDFラインからのフィードや簡単なショートパスをミスすることがかなり多く、自分たちの攻撃のリズムが出ないことに加え、「奪って素早く」という形をとってきたチェルシーのお膳立てをする形にもなってしまいました。いくら堅守が売りといっても、奪われ方が悪くて隊形が整わないうちに攻められては、どうしようもないですからね。なので、パスの精度さえ上がれば、間違いなくもっとゴールへ迫れると思うんですよ。そういう意味で、勝ち抜けの可能性はまだ五分だと思っています。そんな2ndレグの焦点は「先制点」になるでしょうね。チェルシーが先に点を取ればユベントスは3点取らなければ勝ち抜けられないことになるわけで、2ndレグも0−1になった瞬間そこでほぼ決まりかなぁと。逆に、早々に1−0にできれば、かなり面白くなりますね。
 しかし、カモラネージが間に合わないってのは痛いなぁ。退く時はハムストリングを押さえていましたけど、肋骨骨折もですか。まあ、腰の辺りから激しく落ちたシーンはありましたけどね。