続々々・メガネのつぶやき

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08−09 その60 ユベントス−チェルシー

 最近なかなか週末の欧州サッカーを見れなくて…という愚痴はさておいて、CLベスト16の2ndレグです。リバプールレアル・マドリーは今日の19時から再放送があるので、ライヴ観戦はユベントスチェルシーにしました。
ユベントス 2(2−3)2 チェルシー
スコア:19分 V・イアクインタユベントス
     46分 M・エッシェンチェルシー
     73分 A・デル・ピエロユベントス
     82分 D・ドログバチェルシー


 まずはお断りから。海外サッカーについては、基本的にフラットな目線(どちらかの肩入れ・応援をしない)で見ることを心がけているんですが、この試合に関して言えば、わずか12分で怪我により退くことになったネドベドにとって、こんな不本意な形でCLから去って欲しくない*1という理由から、ユベントスを応援しながら見てしまいました。よって、チェルシーファンには大変申し訳ないんですが、すごくユベントス寄りのレビューになります。


 てなわけで、ユベントスから。直前のリーグ戦、トリノダービーでシソコが怪我(中足骨骨折で今季絶望とも)を負い、もしかしたら間に合うかもと言われていたレグロッターリエマルキオンニも間に合わず、CBにメルベリで右SBにグリゲラ、中盤4枚はいつもはフラットに並べるところを、ティアゴをアンカー、デル・ピエロトップ下、左右にネドベドマルキジオを置くダイヤモンド型にし、2トップにトレゼゲイアクインタを配した形で試合に臨みました。
 1−0で勝ってPK戦に持ち込むか、2点差以上で勝つしかない条件とあってか、非常に立ち上がりから積極的。特にグリゲラモリナーロの両SBはかなり高い位置をキープして*2相手を押し込むことでサイドの主導権を握ることができていたかと。この2人が開始6分で2本もCKを奪ってましたし、モリナーロはいつもよりクロスの精度もありましたし。12分にはネドベドが怪我で退くアクシデントがありましたが、そこで流れが途切れることはなく迎えた19分、中盤からの楔のパスをイアクインタがダイレクトヒールパスでトレゼゲに流し、すぐに前線へゴー。そのパスを胸で受けたトレゼゲは、ゴールを背にしたままゴーしていたイアクインタへパスし、DFを振り切ったイアクインタが冷静に決めてユーベが先制!アマウリを控えに置いてまで起用した2トップ*3が期待に応える形で、しかも100%2人の意図がかみ合った見事なゴールを奪い、この時間帯はスタジアムのボルテージが上がる一方でした。
 その後もDFラインを高い位置で保って中盤をコンパクトにし、前線からしっかりとプレスをかけることができたことで、ランパードバラックに自由にプレーをさせず、ユーベペースのまま試合が進んでいました。しかし、30分を過ぎたあたりからややプレスのかかりが弱くなり、それと呼応するかのようにラインも下がり始め、徐々にチェルシーのパス回しを許す形に。それでも最後の部分は割らせず、ドログバのFKもブッフォンがナイスセーブ(入ってた?)したりと「前半1−0はユーベにベストでしょ!」と思っていた46分、まさかの落とし穴が待っていました。失点の原因は、中盤の選手が下がりすぎて最終ラインに吸収されてしまい、ランパードに全くマークがつかなかったことにつきますが、シュートがディフレクションしてコースが変わった(それがまたすごく嫌な弾道になった)不運とエッシェンの勘・反応の良さには「参ったなぁ」と言うほかないです。
 後半立ち上がりは、そんな最悪の時間帯の失点の影響を拭いきれずに一気に落ちてしまいました。攻めても2トップへほとんど有効的なボールが入らず、両SBも前半ほど上がれなくなってしまい、守ってもボールへの寄せが甘く、すっかり落ち着きを取り戻したチェルシーの老獪なパスワークに翻弄される一方。スタジアムもすっかりシュンとしてしまい、私も「勝つにはあと2点でしょ…厳しいなぁ」と思い始めていました。しかし、その流れに待ったをかけたのが交代で入ったジョビンコイアクインタとの交代については納得してない部分もありますが(ラニエリ監督の采配については後述します)、ジョビンコのプレーそのものは素晴らしいの一言。攻撃に入ると常にボールサイドに顔を出し、この時間(というかこの試合)ユーベに欠けていた「ドリブル」という武器で効果的な存在になったことで、ユーベが徐々に流れを取り戻しはじめました。しかし、その流れにケチをつけたのがキエッリーニの退場。カウンターになりかけそうなプレーで、ドログバに対し後ろからタックルをかまして2枚目のイエローを頂戴したわけですが、もし前半に1枚イエローをもらっていない上でのあのプレーを見せたなら、褒められるものではないですが、「プロフェッショナルファウル」という評価ができた面もあるんですよ。でも、1枚もらっているのにあのタックルは…ねぇ。
 正直、この瞬間負けを覚悟しました。「今年はCL復帰1年目だから、ベスト16までしっかり来たことを評価しよう」とすっかり終戦モード。あと1点でいいのならまだ諦めませんけど、チェルシー相手に1人少なくなって、あと20分で2点取るのはさすがに無理でしょうと。しかし、試合を面白くしてくれたのがベレッチ。この退場の直後、(確か)ジョビンコが受けたファウルで得たFKで、デル・ピエロが蹴ったボールに対し、壁に入ったベレッチはなんと手を上げて飛んでしまう大チョンボを犯し、案の定手にボールが当たってハンドとなり、ユーベがPKゲット。このPKをデル・ピエロコロコロPKで決めて2−1。時間もまだ(ロスタイム含めると)20分以上残っていたことで、一転して盛り上がるスタジアム&私。最終ラインを3バックにして前線の人数は削らず、ここで最終兵器・アマウリも投入して(でも、トレゼゲとの交代は…後述します)さぁ、最後の勝負。次の1点を取った方が事実上ベスト8の座を掴む流れになり、手に汗握る展開となりましたが、その1点を挙げたのは…チェルシーでした。まあ、ここはユーベはリスクをかけて攻めていたのでしょうがない部分はありますし、攻め時を見逃さなかったチェルシーが素晴らしかったと思いますね。ラストパスを送ったのがベレッチだったのが、諦めがつくんだかつかないんだか(苦笑)。そして、このまま2−2でタイムアップ。トータル3−2でチェルシーが勝利し、ベスト8進出を決めました。
 前半30分までは完璧だったと思います。試合の運び方も、スコアの動き方も、スタジアムのテンションも。それだけに、前半最後の失点とラニエリ監督の采配については、悔やまれる気持ちが残ってます。前半最後の失点については前述どおり。で、ラニエリ監督の采配。すべては結果論なのでどうこう言うのはフェアじゃないとは思いますが、後半の2つの交代には一言言わせてください。
まず、イアクインタジョビンコの交代ですが、この時間帯で2トップの1角を削って入れるのなら、まだまだ幅広く動けていてゴールも挙げたイアクインタよりは、ピンポイントを狙いすぎて消えかけていたトレゼゲでしょう。もっと言えば、あと2点取るために「リスクを冒してでも攻める!」という姿勢を、マルキジオとの交代という形で見せてほしかったなぁと思いますよ。システム的にはグリゲラボランチに上げてティアゴとダブルボランチを作り、代わりにサリハミジッチを右SBに下げ、ジョビンコを右、デル・ピエロを左SHにして2トップを維持、という風にできたはずですし。もっと納得いかないのがトレゼゲ→アマウリの交代。(これは狙い通りだったかもしれませんが)ジョビンコが入って中盤が活性化されて以降、有効な縦パスやクロスがトレゼゲに合い始めた事で、一気に「得点の匂い」が増していましたからね。それに、トレゼゲとではない誰かと交代でアマウリを入れたならば、ターゲットを再び2枚になることでパワープレーも仕掛けられたはずですし。この辺は、この日解説だった原ヒロミ技術強化委員長の言葉を借りれば「バランスを最優先させるラニエリ監督」らしい交代策でしたが、追いかけるチームの采配としては、やや物足りなかったなぁと言うのが正直なところです。


 チェルシー。依然、ヒディンク監督就任後は負け無しですね。特別変わったことをしているわけではなさそうですが、一つ大きいのは「ポゼッション」と「ショートカウンター」と「ロングボール」の割合が程よい感じになり、前半に多く見られたロングボール、後半開始〜20分ぐらいの間に見せたようなポゼッション、2点目を奪ったショートカウンターと、1試合の展開・流れの中でしっかりと戦い方を使い分けられるようになっている印象を受けました。スコラーリ前監督のときは、どうしてもポゼッションに偏ってしまって手詰まり感が否めませんでしたからね。あとは、スコラーリ前監督の下では完全に腐っていたドログバが、ヒディンク監督に代わってモチベーションもパフォーマンスも上がっている点ですかね。アネルカは割を食っている感が否めませんが、チームにとっては願ってもないカムバックかと。


 イタリア対イングランドのファーストバトルはイングランドの勝利。明日はローマ対アーセナルマンチェスター・U対インテルがありますが、イングランドが食い切るのか、イタリアが一矢報いるか。

*1:すでに今季で現役引退することを表明してます。

*2:蛇足ですが、FC東京にとってはすごくお手本になりそうな形だったかと。2トップの関係といい、2、3列目からの飛び出しといい、両SBのポジション&動き方といい、SBが高く上がった時の守り方といい。

*3:アマウリはトリノダービーでだいぶ頑張っていたようで、疲労を考慮してのベンチか?