続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

CLベスト16 プレビューその2

 昨日の続きです。なお、左側のチームが1stレグでホームゲームを戦うチームで、スコアや勝敗予想はしませんので悪しからず。


チェルシーユベントス
 スタートこそ華々しく飾ったものの、徐々にジリ貧状態に陥っていったチェルシー。ついに、先週末から監督がヒディンクへと代わり、この状況を打破しようと必死です。
 不調の原因はいくつもあるんでしょうけど、大きなところを挙げれば「怪我人の多さ」と「4−3−3への固執・限界」という点でしょうか。怪我人については、DFリカルド・カルバーリョ、MFエッシェンジョー・コール、FWドログバ(シーズン序盤)と主力に怪我が相次ぎ、代わりがいないわけではない(DFはアレックスやイバノビッチ、MFはミケルやベレッチ)ですが、やはり彼らに比べればややレベルが落ちるのは正直なところで、そこに加えてスコラーリの選手交代の嵌らなさも相まって、どこか硬直化してしまった感じになってしまっています。4−3−3の限界については、これまたスコラーリの戦術のバリエーション不足によるところが大きいでしょう。私はスコラーリは「シンプルな4−4−2の使い手」というイメージでして、そもそもがモウリーニョ時代の4−3−3をそのまま踏襲すること自体、今思えば疑問符がつくところですが、それを抜きにしても、ドログバが戻ってきてからも2トップを用いることを拒み、4−3−3に固執したことで、行き詰ってしまったのかなぁと。
 そういう意味では、「ここで見限るの早すぎる」という批判が多く出ていますが、私はいいタイミングの監督交代だったと思っています。しかも、ヒディンク。采配緒戦となったアストン・ヴィラ戦では、時間もなかった影響で4−3−3で望みましたし、そうそうすぐには独自色を出せるとも思っていませんが、同じ4−3−3を続けるにしてもスコラーリよりは戦術に明るいでしょうし(4−3−3−好きのオランダ人ですし)、もはや底を打っている分、思い切ったことをしやすい状況にあるのも好材料。さらに言えば、相手をとことんスカウティングして、その弱い部分をついてくることに長けたヒディンクと、実はリアクションサッカーショートカウンター)が得意な面々が揃っているチェルシーとの相性も悪くないかと。何をしてくるか読めない分、余計なことは考えずに楽しみに待ちましょう。


 ユベントス。開幕直後は怪我人の多さに苦しみ、ここ最近はややコンディションが落ちているようにも見えます。しかし、ユーベが1月でコンディションを落とすのは結構見られることで、徐々に怪我人(ブッフォンキエッリーニポウルセン、ティアゴ、トレゼゲなど)が戻ってきたことで徐々にメンバーの質・量が増してきたここからが真価の発揮のしどころでしょう。実際、先週末のパレルモ戦ではデル・ピエロ、アマウリを温存しての勝利でしたからね(アマウリは途中出場)。
 で、ユベントスほどになると、相手がどこでも「ガッチリ守って、手数をかけずに攻撃する」というスタイル、具体的に言うと、しっかりとDF−MFの2ラインを揃え、その上でDFラインはなるべく高い位置を保って中盤をコンパクトにして、数的優位な状態で相手にプレスをかけてボールを奪し、奪ったら即座にデル・ピエロ、アマウリ(トレゼゲイアクインタ)を見ながら、少ない手数で前線へとボールを運び、個の力で相手DFラインを破っていく、という形で動かないでしょう。チェルシーがホームでどこまで前への推進力を高めてくるかは分かりませんが、相手はどうあれやることは一つ、「0−0、あるいは1−0で試合を終える」ことだけです。内容は二の次、結果を残せるかどうかに注目ですね。


ビジャレアルパナシナイコス
 一見するとUEFAカップ?と思わなくもない1戦(笑)。ただ、戦力均衡で面白そうな1戦でもあります。
 ビジャレアルは12、1月にガタッと調子を落として心配されましたが、2月に入って2勝1分1敗とやや持ち直してきたところ。ただ、12月以降の公式戦12試合で19失点(完封が1試合のみ)と守備面に大きな不安を残したまま、再びCLの舞台へと挑む形になってしまったのは大いに不安ですし、主力中の主力であるカプデビラが1stレグ出場停止(+サンティ・カソルラも確か出場停止)。これは、ただでさえ不安なDFラインにとって更なる悪夢です。
でも、攻撃に目を転じれば、セナ、ピレス、イバガサ、ロッシ、ギジェ・フランコジョレンテとタレントはなかなか豊富。ややボール回しに固執しすぎる嫌いはありますが、乗ると平気で3、4点取れるチーム。こうなったら、守備は捨てて攻撃に専心するのも一つの手でしょうね。


 パナシナイコスインテルが躓いたおかげでまさかの首位通過。しかも、去年の11月以降、公式戦では14勝6分1敗という素晴らしい成績を収めています(10月以前は6勝4分4敗)。その大きな要因は、守備の安定。11月以降、21試合でわずか7失点(10月以前は14試合17失点)という堅守を誇り、CLグループリーグも後半3試合はすべて無失点ゲーム。4−3−3のシステムを用い、4バック+3ボランチが低い位置でしっかりとブロックを作る守り方が主ですが、ネームヴァリューこそない選手が多いものの、一人ひとりがしっかりと自信に与えられたタスクをこなす姿には、なかなか好感が持てるところ。攻撃が持ち味のビジャレアルに対し、テン・カーテがどういうタスクを選手たちに与えるのか。非常に「噛みあわせのいい」試合になりそうな気もしてます。その中で勝つのは攻撃か、守備か。



スポルティング・リスボンバイエルン・ミュンヘン
 はっきり言って、特徴をつかみきれないのがスポルティング・リスボン。攻撃も守備もそこそこという印象で、グループリーグでもシャフタール・ドネツクには連勝しましたが、バルセロナ相手には(ほぼ)なすすべなく連敗するなど、「UEFAカップ以上、CL未満」と言うべきところに位置しているチームかと。その中で迎える相手は、ドイツ王バイエルン。ウインターブレイク明けは今ひとつとはいえ、まともにぶつかってしまっては跳ね返される可能性が大な相手で、どこまで守備が耐えられ、J・モウティーニョリエジソンを中心に少ない(と思われる)チャンスを生かせるかが鍵になるでしょうね。


 バイエルン。ウインターブレイク明けはなんと1勝3敗。首位ハンブルク、3位ヘルタ・ベルリン相手の敗戦は、今の両チームの勢いの差から考えれば分からなくもないですが、ケルンにまで敗れたのは正直想定外でしょう。原因は守備。GKレンジングはまだ若いとはいえ、さすがにカーンの後釜としてはまだ不安材料が多すぎますし、ルシオヴァン・ブイテンデミチェリスのCBはスピード勝負に弱く、裏を突かれてしまうシーンが多いような印象。そもそも、ボランチファン・ボメルゼ・ロベルトがフィルターとしての役割を果たせておらず、リベリ、シュヴァインシュタイガーの両サイドハーフも、攻撃では申し分ないものの、守備においてはあまり下がらない、激しく追わないというマイナス要素になる面もあって、チーム全体として守備組織がいまだもって構築されていないという風にすら思うほど。それでも、スポルティング・リスボンが相手なら…という気はしますが、果たして。




レアル・マドリーリバプール
 ベスト16の壁をそろそろ越えたい、けれど一向に調子が上がってこないレアル・マドリーにとって、「カップマイスター」のリバプールが相手というのは、正直避けたかったはず…と思っていた抽選会の頃。しかし、監督がファンデ・ラモスに代わってからは、ど頭のクラシコを落としたのみで現在9連勝中。一方ではやれ「守備的過ぎる」だの、やれ「エレガントじゃない」だの言われてますが、私はファンデ・ラモスがいの一番に崩壊していた守備組織に手を入れ、この9連勝中の失点をわずか2に抑えていることを大いに評価したい派。懸案だった左サイドバックエインセが戻ってきて持ち直しましたし、L・ディアッラの獲得で、ガゴの負担が大きく減りましたしね。それでいて、しっかりと22得点も奪っているんですから、どこに文句の言いようがありましょうか?まあ、偉大な歴史があるがゆえに「ただ勝つだけでは物足りない」という風潮があるんでしょうけど、そういう人は、「ただ勝つ」より「美しく負ける」方がいいとでも思ってるんでしょうか?
 …ゴホン、口が過ぎました。と言うわけで、すっかり安定を取り戻した感のあるレアル守備陣を見るものにとって、リバプールは「今が本物なのか、まやかしなのか」をはかるのにうってつけの相手。個人的には、ホームだろうとアウェイだろうと、しっかりと引いて守備ブロックを作り、攻撃は好調のロッベン、ラウール、イグアイン(この3人で、9連勝中の全22得点中15得点!)に託すぐらい割り切って試合をした方がいい気がします。なまじ自信があるところに、1stレグがホームであることが加味されて「俺たちはいける!」と思ったところに冷や水をかけられる結果になると、かなり2ndレグが苦しいことになりかねないのでね。


 リバプール。いつもはこの時点ですでにリーグ戦制覇の夢が遠いものになっていて、「ならばCLで!」というモチベーションの下「カップマイスター」となってきたわけですが、今季は1月になっても首位をキープするなど、リーグ戦も好調を維持して…いたんですが、ここに来てドッと引き分けが増えはじめる悪い癖が再見し、気がつけばすでに10引き分け。首位マンチェスター・Uとの勝ち点差も7まで広がり、「じゃ、今季もCLで」という雰囲気にはなってきました。
 それでも、今季のリバプールの「安心度」は例年よりかなり高いレベル。ターンオーバー制の機会減少による主力の疲労度は気になるところですが、逆に言えば揃った時のレベルの高さはかなりのものがあり、今までの「リアクションサッカー」から一つ脱したとさえ思うゲームも増えてきました。レアル・マドリー相手にも主導権を握ることができるのか。かなり楽しみですね。