続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

ふと気になったので、ちょこっと調べて見た スキー・スノーボード編

 先週はスケート編をお届けしたバンクーバーネタですが、今日はスキー・スノーボード編です。スケート編ほど細かくはやらないので、そこはあらかじめご承知おきくださいませ。

アルペンスキー
佐々木明皆川賢太郎

 男子。日本の2選手が出場する技術系の「スラローム(回転)」と「ジャイアントスラローム(大回転、以下GS)」から行きましょう。現在のスラロームW杯ポイント上位3人は、1位からReinfried Herbstオーストリア)、Julian Lizeroux(フランス)、Ivica Kostelicクロアチア)の3人。200ポイント以上獲得しているのがこの3人のみで、本番も彼らの中から金メダルが出る可能性が高いと素直に見て良さそうです。その他ではお馴染みBenjamin Raichオーストリア)や、今季はやや結果が出ていないもののJean-Baptiste Grange(フランス)といったあたりにも注目したいところかな?日本勢は佐々木が27位、皆川が38位と今一つの成績にとどまっていて、(たまーに見る)試合の映像を見ても、佐々木はいい頃の大胆さがちょっと足りない気がしますし、皆川も度重なる膝の怪我の影響で、ターンのキレがトリノの頃ほどではないように見えますが、2人とも1発かます破壊力、爆発力を持っている選手なので、それでもなお期待したいところですね。GSの上位3人は、Benjamin RaichMassimiliano Blardone(イタリア)、Ted Ligety(アメリカ)。ここにCalro JankaDidier Cucheのスイス勢や、メインはここではないけど安定感のあるAksel-Lund Svindarノルウェー)あたりが絡んでくると見ていいかなぁと。日本の2人は、GSでは今季ポイントゼロ。
 続いては滑降系の「スーパーG(スーパー大回転)」と「ダウンヒル(滑降)」。スーパーGSの上位3人は、Michael Walchhoferオーストリア)、Benjamin RaichAksel-Lund Svindar。ここにGSでも上位をうかがうCalro JankaTed LigetyPatrick Staudacher(イタリア)、ランキング4位で地元カナダのManuel Osborne-Paradisあたりが有力候補でしょうか。ダウンヒルの上位3人はDidier CucheCalro JankaManuel Osborne-Paradis。ここにスーパーGSランキングトップのMichael Walchhoferを加えた4人がやや抜けている印象です。あと、特攻野郎Bode Miller(アメリカ)は注目しないとダメでしょうね。まあ、彼はどちらかと言えばコンバインド(複合)でメダルの可能性が高そうですけど。
 女子。日本人選手はいないようで、寂しい限りです。で、勉強不足でスイマセンが、女子はほとんど知っている選手がいないので、それぞれの種目のW杯ランキング上位3選手をそのまま注目選手とさせていただきます。以下、羅列。

スラローム
 1位 Maria Riesch(ドイツ)  2位 Kathrin Zettel(オーストリア)  3位 Sandrine Aubert(フランス)


ジャイアントスラローム
 1位 Kathrin Zettel  2位 Kathrin Hoelzl(ドイツ)  3位 Tina Maze(スロベニア


スーパーG
 1位 Lindsey Vonn(アメリカ)  2位 Nadia Styger(スイス)  3位 Elisabeth Goergl(オーストリア


ダウンヒル
 1位 Lindsey Vonn  2位 Maria Riesch  3位 Anja Paerson(スウェーデン

 なお。ポイント差などを見る限り、スラロームはランキング4位以下も含めて混戦、GSはKathrin ZettelとKathrin Hoelzlの一騎打ち、スーパーGとダウンヒルはLindsey Vonnの独壇場、といった感じです。

スキージャンプ
岡部孝信葛西紀明伊東大貴栃本翔平竹内択

 続いてジャンプ。日本からは上記の5人が選ばれました。現在のW杯ランキング上位から並べると、伊東(10位)、葛西(14位)、栃本(25位)、竹内(39位)、岡部(75位)ですが、実は竹内と岡部の間に湯本史寿(41位)、坂野幸夫(58位)、作山憲斗(66位)、吉岡和也(68位)渡瀬雄太(70位)と5人もいます。
 本来は、昨年7月に「今季のジャンプ週間(最終戦は1月6日)までのW杯ランキング及び国内大会の成績を参考にジャンプ部長とコーチが会議で決定する」との選考基準を全日本スキー連盟が公表し、10月には斉藤智治ジャンプ部長が「1月6日までのW杯ランキングでベストの5人」を選ぶ方針を明言したのですが、昨年W杯で優勝を収めながら、今季は持病の腰痛が悪化してW杯を欠場し続けていた岡部を救済するために(若手の伸び悩みを受けてのベテランへの期待もある)結局は1月の国内3連戦の結果を見てからという方針に変わり、その結果、その連戦中に130m級のジャンプを見せるなど実力を改めて証明した岡部が代表に入った、という流れのようです。まあ、国際スキー連盟のワールドランキング(全ての大会をひっくるめたランク)では、岡部は葛西、伊藤に続いて日本人3番目ですから、若干のモヤモヤ感は残しつつも、納得は出来る選考だったかなぁと私は思います。ただ、実際に個人で上位争いできそうなのは、葛西と伊東の2人だけでしょう。岡部がこの後急激にコンディションを上げる、ということがあれば話は別ですが、まだ2本揃えられるだけのコンディションにはない印象なので。もちろん、コンディションを上げてくれることに期待はしてますけどね。
 さて、目線を海外の上位陣に移しましょう。中心はもちろんオーストリア勢。今季のW杯ポイントで2〜6位を、Bグループとも言えるコンチネンタルカップランキングでも1、3〜6位を占めている、まさに「王国」。その中でもトップに位置するのが、Gregor Schlierenzauer。昨シーズン、19歳の若さでW杯シリーズチャンピオンに輝き、その他ジャンプ週間*1で2位、フライング選手権*2、ノルディックトーナメント*3で優勝と一気に才能が開花。今季もジャンプ週間で2勝を挙げ、W杯でも2位と好調をキープしていて、本番でも金メダル最有力候補と言っていいでしょう。その彼を抑えて今年のジャンプ週間を制したAndreas Koflerも注目。昨季はW杯ランク36位、ジャンプ週間28位と全く奮わなかったものの、今季は躍進中で、W杯、ジャンプ週間ともに1勝にとどまっているものの、常にトップ10圏内をうかがう安定したジャンプを見せていて、本番でも上位進出は堅いと見ていいんじゃないでしょうか。その他、この間のW杯札幌大会1日目で優勝したThomas Morgenstern、2日目で3位に入ったMartin Koch、昨季のジャンプ週間王者で、今季も4戦全て6位以内と安定感のあるベテランWolfgang Loitzlと多士済々。個人表彰台独占、団体制覇がノルマと言ってもいいくらい、ハイレベルな選手が揃っています。
 そこに待ったをかけそうなのが、一度は名前を聞いたことがあるかも多いであろうSimon Ammann(スイス)。ソルトレイク五輪で彗星のごとく現れてノーマルヒルラージヒルの2冠を達成したものの、その後数シーズンは体調不良やルール改正(172cmしかないため、日本人選手と同じように苦しんだ)の影響で苦しんだものの2007年に復調を見せ、昨季にはW杯、ジャンプ週間、フライング選手権、ノルディックトーナメントの4大ステージですべて3位以内に入るなど完全復活。今季はすでに4勝を挙げ、W杯ポイントで2位のGregor Schlierenzauerに140ポイント以上も差をつけてトップを走っており、王国・オーストリア勢に待ったをかけられるかどうか、8年の歳月を経て再び五輪の表彰台に立てるのか、大注目ですね。その他では、1年間のブランクを経て復活を果たし、ここまでW杯7位、ジャンプ週間2位としっかり結果を残しているJanne Ahonenフィンランド)、一時期の勢いは失ったものの、まだまだトップレベルにあるAdam Malyszポーランド)、フライング選手権を制したRobert Kranjecスロバキア)あたりが上位に絡んできそうな気がします。

ノルディック複合
小林範仁湊祐介加藤大平渡部暁斗高橋大斗

 続いてはノルディック複合。もう、お馴染みですよね。前半のジャンプのポイントを元にタイム差をつけ、後半のクロスカントリーで順位を争うアレです。日本は、度重なるルール改正やもともとクロスカントリーが得意だった欧州選手がジャンプも強化してきた事で、しばらく表舞台から遠ざかる形となっていましたが、昨年行われた世界選手権で久々の団体金メダル(メンバーは小林、湊、加藤、渡部)を獲得するなど、いよいよ復調の気配がうかがえるところまで戻ってきました。個人でみれば、W杯ランキング最上位が小林の23位と一見「ホントに勝ったの?」と思ってしまうところもありますが、個人ランクの数字と結果がイコールにならないのが団体の面白いところ。また、トータルでは20位以下ですが、小林が先週末のフランス大会で1日目7位、2日目8位と連日の入賞を果たしたり、渡部、加藤も今季すでに一桁順位でのフィニッシュをマークしていたりと、決して個で見劣りまくるわけではないのも事実。オーストリア、ドイツ、ノルウェーが強敵で、アメリカ、フランス、フィンランドあたりとは鍔迫り合いみたいな形になると思いますが、是非とも好結果が出ることを期待したいです。
 ちなみに個人で見ますと、フランスのJason Lamy Chappuisがここまで4勝、3位以内8回(4勝を含む)、5位以下だったのが2回という抜群の成績で、2位のFelix Gottwaldオーストリア)に300ポイントもの差をつけている様子。ここまでの差になると、本番でも最有力といって間違いはないでしょうかね。

クロスカントリー
男子…恩田祐一、成瀬野生
女子…夏見円、福田修子、石田正子、柏原理子

 一口にクロスカントリーと言っても、細かく「クラシカル」「フリー」と2つありまして、クラシカルは「左右のスキーを並行に保ちながら交互に前後させて進む」走法のみが許される種目で、フリーは「逆ハの字に開いて片足で踏み蹴ってもう片方に乗り込み推進させる」走法も許される種目。それぞれで距離が違い、また、スプリントやリレーでは、大会によってどちらの走法か決められている事もあるみたいです。で、バンクーバー五輪のスプリントやリレーがどちらを採用するのかはよく分かりません(苦笑)
 日本勢のランキングですが、男子は恩田がトータル120位、スプリント63位、成瀬がトータル138位、ディスタンス(長距離)94位、スプリント91位、女子は石田がトータル48位、ディスタンス26位、夏見がトータル72位、スプリント42位という状況です(福田、柏原はポイントなし)。それで、男子の2人は上位とはかなりの差があるように感じますが、女子は石田がクラシカルの中長距離で昨季から結果を出していますし(昨季最終戦で3位もあった)、夏見も今季は結果を残せていませんが、上位に食い込める実力があることは昨季に証明済みで(世界選手権の1kmスプリントで3位を経験)、バンクーバーでもその再現を期待したいところですね。
 トップ争いに目を移すと、男子は中長距離ではPetter Northug Jrノルウェー)がやや抜けていて、Lukas Bauerチェコ)、Marcus Hellnerスウェーデン)、Dario Cologna(スイス)、Matti Heikkinenフィンランド)が追いかけるというランキングになってますね。その他ではAxel TeichmnnRene Sommerfeldtのドイツ勢、Jean Mrec GaillardVincent Vittozのフランス勢が上位争いしそうな印象です。一方のスプリントはPetter Northug Jrを抑えて、Ola Vigen Hattestadノルウェー)、Emil Joenssonスウェーデン)がポイント1、2位で、彼らをAndrew Newell(アメリカ)、John Kristian Dahlノルウェー)、Nikita Kruikov(ロシア)が追いかける形のようです。
 女子は距離問わずJustyna Kowalczykポーランド)、Petra Majdicスロバキア)、Aino-kaisa Saarinenフィンランド)の3強状態。その後をオールラウンダーではMarit Bjoergenノルウェー)、Arianna Follis(イタリア)、中長距離ではKristine Stoermer Steilaノルウェー)、Ritta-Lissa Roponenフィンランド)、スプリンターではHanna Falkスウェーデン)、Natalia Korosteleva(ロシア)あたりが追いかける形になりそうです。

フリースタイル
モーグル男子…尾崎快、西伸幸附田雄剛遠藤尚
モーグル女子…上村愛子伊藤みき里谷多英村田愛里咲
スキークロス男子…瀧澤宏臣
スキークロス女子…福島のり子

 モーグルから。日本勢は男女とも4人が出場しますが、ランキングから書くと、男子は尾崎が14位、西が15位、附田が18位、遠藤が31位、女子は上村が5位、伊藤が16位、里谷が25位、村田が27位となっています。率直な印象は「男子は健闘、女子はもう一歩」という感じですが、それでもメダルの可能性という目線で見れば、断然可能性を感じるのは女子。上村はもちろんの事、里谷もコンディションさえ整えば、今でもメダルを争えると私は思っています。一方の男子も、尾崎、西、附田が今季1度ずつではありますが1桁順位でフィニッシュしており、上位進出の可能性を感じさせます。
 トップ争いですが、ランキング上位3位を挙げると、男子は1位Dale Begg-Smith(オーストラリア)、2位Jesper Bjoernlundスウェーデン)、3位Guilbert Colas(フランス)、女子は1位Jennifer Heil(カナダ)、2位Heather Mcphie(アメリカ)、3位Kristi Richards(カナダ)という感じ。男女とも1位の選手が一歩抜けている印象で、ともに4年前のトリノ五輪から活躍を続けている選手ですね。その他では、男子は地元カナダのAlexandre Bilodeau、女子は上村Hannah Kearneyshannon Bahrkeといったアメリカ勢が注目になりますかね。
 続いてスキークロススキークロスとは、複数名の選手が一斉にスタートし、バンク、ウェーブ、ジャンプなどの障害コースを滑り降り、最初にゴールしたものが勝利という分かりやすい競技。途中で接触しそうになるほどの激しさや(実際に接触して転倒する事もあり)、どういうコース取りをして、どこで仕掛けるかといった駆け引きが醍醐味で、「百聞は一見にしかず」という言葉がピッタリの競技。スノーボードクロス(この後紹介)が前回のトリノ五輪から正式採用となっていますが、そのスキー版ですね。
 日本勢は男女とも1名ずつの出場。男子の瀧澤は、スキークロスがFISワールドカップにおける正式競技になった02−03シーズンにシーズンチャンピオンになっている実力者。その後良かったり悪かったりを繰り返し、今季は個々までW杯ランク40位と奮いませんが、年齢的に恐らく最初で最後の五輪となるここで、一花咲かせてくれる可能性は大いにあるかと。女子の福島も、07−08シーズンに3位になったこともある、これまた実力者。今季は8位があったり42位があったりとやや安定感に欠ける印象ですが、いい方に振れてくれれば。トップ争いは…あえて書きません。もちろん選手間で実力差はありますが、何が起こるかわからない競技ですからね。1レースずつ、単純に楽しんでみてください。
 あと、日本人選手の出場はありませんが、エアリアルがあります。詳しくはWikiの説明ページをご覧ください。で、もしご覧になるとしたら、事前に技の種類を覚える必要はないと思いますが、「1回転する間に1回捻る=フル」という事を覚えておくといいかもしれません。恐らく、技を紹介する時に、字幕もコメンタリーも「フル・ダブルフル・フル」見たいな書き方、言い方をしますから。それと、着地がピタッとはまるかどうかにも注目ですね。

スノーボード
ハーフパイプ男子…国母和宏、工藤洸平、村上大輔、青野令
ハーフパイプ女子…岡田良菜、中島志保、山岡聡子
パラレル大回転男子…野藤優貴
パラレル大回転女子…竹内智香家根谷依里
スノーボードクロス女子…藤森由香、土井奈津子

 ハーフパイプ。男子はW杯ランク上位3人が国母、工藤、村上と日本勢が独占中。といっても、この状況はほぼ前回のトリノ五輪と同じで、あの時はほぼ全てのマスコミが「メダル確実!」なんつって騒いだものの、2本目に進んだ選手が1人しかいないという大惨敗を喫しましたねぇ(遠い目) その理由は、W杯自体が試合数が少なく、かつ、トップ選手はW杯より収入も注目度も高いワールドスノーボードツアーやX GAMEに参加する事が多く、W杯ランキングを鵜呑みに出来ないという点。なので、有力選手の紹介等も控えておきますが、今回は前回の屈辱を経験している分、日本人選手にある程度期待してもいいのかな?とは思います。
 パラレル大回転は、雪上コース上に設置された複数の旗門を通過しながら急斜面を滑降し、ゴールまでの所要時間の短さを競う個人種目で、 試合は2名の選手が同時に並行コースを滑降し、フィニッシュラインへより早く到達したものが勝ちあがるトーナメント形式で行われる種目(予選においてのみ1名ずつタイム測定を行う)。男子の野藤は厳しいですが、女子の竹内は昨季シーズン3位に入り、今季は序盤は躓いたものの、ここ3戦16位→14位→6位と調子を上げており、本番でも期待したいところです。
 スノーボードクロスは、スキークロス同様、複数名の選手が一斉にスタートし、バンク、ウェーブ、ジャンプなどの障害コースを滑り降り、最初にゴールしたものが勝利という分かりやすい競技(繰り返し)。藤森がトリノ五輪で実力と運が噛み合って7位入賞を果たしたこと、そして、決勝レースでリンゼイ・ジャコベリスが、独走したのをいいことに最後のジャンプポイントでグラブをかましたら、着地に失敗して転倒して銀メダルに終わった(笑)のを覚えている方もいるかと思いますが、そんな競技なんですよ。スキーよりバランスを取るのが難しい(と思われる)スノーボードだからこその不確定要素がスパイス以上になる競技で、是非とも一度見てほしいなぁと思います。

*1:=年末年始にドイツ・オーストラリアを舞台に行われる4連戦。ワールドカップより歴史が古く、権威ある大会として人気。

*2:K点が180mを超えるジャンプ台での大会。

*3:ジャンプ週間に準えて行われている4連戦。