続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

18年Jリーグ観た記 其の9 徳島-千葉

 前節大宮相手に今季初勝利を手にした徳島。対して、今季まだ未勝利の千葉。徳島が連勝を決めたのか、千葉が今季初勝利を手繰り寄せたのか。

 

f:id:re-donald:20180318084835j:plain

 

短評

 徳島は攻守の切り替えを素早く行う、ポジティブトランジションでは千葉のハイライン裏を狙うシンプルなパスを主体的に狙い、ネガティブトランジションではそのまま敵陣でボールを奪い返す意思を見せる。自陣で守備をする際には4-5-1でブロックを作ったが、ポジティブトランジションの狙いは前に、縦にで一貫していた。

 千葉はそうした徳島の切り替えの早さに序盤から手を焼くが、攻撃時はSBをそこまで高くしない4-1-2-3で自陣から作ろうとする意思は見せ、守備も機を見てハイプレスを敢行。エスナイデル監督が言うところの「自分たちのサッカー」をこの日も試みる。

 しかし、試合は思わぬ展開に。13分、シシーニョの右からのクロスをGKロドリゲスが弾ききれずファーサイドにこぼれる。ここに詰めていた呉屋がシュートを放つと、溝渕はやむを得ず手でブロックしたが、西山主審は得点決定機阻止とみなして一発退場。また、このプレーで得たPKを、蹴り直しの末に呉屋が決める。

 千葉は残り75分を10人で。攻撃時は後ろ3枚で前の形は立ち上がりと変えず、守備時はインサイドハーフの小島が下りてカバーする4-4-1で応急処置。さすがに直後はバタバタしたが、ここで徳島が攻めきれず。すると25分過ぎからは徳島がプレスの手をいったん緩めたこともあって、千葉がボールを保持する時間が増える。

 そして30分、プレーの流れで上がっていた増嶋が右からクロスを上げると、ゴチャっとした中で指宿が巧みなボディーバランスを見せながら左足で押し込み、千葉が同点に追いつく。

 その後も徳島はアタッキングサードでモタモタする場面が多く、ロドリゲス監督はタッチライン沿いで苛立ちも見せる。そうして1-1で折り返しか…と思われた45分、岩尾からのスルーパスを受けた杉本がペナルティエリア左角でエベルトをスピードで振りきり右足一閃。強烈なシュートがネットを揺らし、徳島が勝ち越して前半を終えた。

 後半。千葉は茶島→杉山の交代により、守備時の立ち位置を整理。対する徳島は、島屋と呉屋を2枚並べ、杉本をトップ下に置く4-3-1-2にシフト。両指揮官とも手を施してきたが、奏功したのは徳島。

 前半はサイドのスペース攻略にこだわりすぎた間もあったが、1人少ない千葉が中を閉めきれないところを睨んで杉本を中に、島屋を前に置いたと見たが、杉本がバイタルエリアで躍動し、得意のドリブルではなくパスで攻撃を牽引。千葉はなんとか失点を免れていたが、対応に苦慮する。

 それでもスコア動かず。1点差なら千葉が一発あっても…という雰囲気も少し出始めたが、それを払拭したのが74分。山﨑のスルーパスを受けた杉本がシュート。これはロドリゲスがセーブし、増嶋がクリア…ミス。思わぬボールがシシーニョの足下にこぼれてきたが、これをシシーニョがしっかりとゴールに叩き込んで徳島が突き放す。

 さらに89分、これまた山﨑からのスルーパス。受けた島屋はエベルトを外し、ロドリゲスの位置を冷静に見極めて簡単ではないシュートを決めて4-1。徳島が数的有利も活かしながら、快勝で連勝を果たした。

 

MVP:杉本 太郎(徳島)

 島屋やシシーニョのプレーも印象に残ったが、それ以上だったのが杉本。

 ドリブラーと言うイメージが強く、この日もドリブルで相手をきりきり舞いにするシーンもあったが、一方で冷静にパスで相手の急所を突こうとするシーンも多数。特に後半は出し手としても受け手としても、まさにトップ下然としたプレーで千葉の守備陣にプレッシャーをかけ続けた。

 この水準を維持したままシーズンを過ごせれば、プレーオフ圏内、さらにその先も見えてくるのではないか。