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続々々・メガネのつぶやき

主にFC東京、サッカー、当たらない競馬予想の3本立て。思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

09−10 その31 ユベントス−バイエルン・ミュンヘン

 CLもいよいよ最終節。グループ突破が決まったクラブ、渦中にあるクラブ、敗退が決まったクラブと様々な立ち位置で迎える節ですが、一番盛り上がるのは「勝った方が(今回は正確に言うと、「ユーベは引き分けでもOK」だが)グループリーグ突破決定」というマッチアップ。このカードは、まさにそれ。欧州王者を経験している両チームの、生き残りをかけた1戦でした。
ユベントス 1−4 バイエルン・ミュンヘン
スコア:19分 D・トレゼゲユベントス
      30分 H・ブット(PK)(バイエルン
      52分 I・オリッチ(バイエルン
      83分 M・ゴメス(バイエルン
      92分 A・ティモシュクバイエルン


 戦前は、「引き分けでもいい」ユベントスと「先制点は欲しいが、先制点はもっと与えたくない」バイエルンとで、静かな立ち上がりになるのかな?と予想していたんですが、蓋を開けてみたら両チームともテンションマックスの入りを見せました。
 その中でまず主導権を握ったのはユベントス。ようやくメンバーの固定が叶いつつあるバイエルンの4−4−2の中で、SBが本職はCBのバートシュトゥーバー、SHが持ち味は攻撃で守備はやや弱いプラニッチという左サイドはやや弱点としてあげてもいい部分なんだそうですが(解説の鈴木良平さん曰く)、ユベントスは立ち上がりからそのサイドでの攻めを非常に強調していて、右SBのカセレスは頻繁にオーバーラップを仕掛けてきますし、カモラネージジエゴデル・ピエロも右に流れることが多く、バイエルンの守備をある程度混乱させることができていました。また、前線からの守備、特にジエゴのチェックが非常に効いていて、カウンター気味の早い攻めには苦しんではいたものの、DFラインからのビルドアップに対してはかなり上手く守れていました。
そうして迎えた19分、DFラインからビルドアップしようとしていたデミチェリスからジエゴがボールを奪い、こぼれ球を拾ったマルキジオは一瞬のルックアップからDFラインの裏へ正確なフィードを送り、これに反応したトレゼゲがパーフェクトなダイレクトボレーを放ち、ユベントスが先制しました。ジエゴの守備からスタートしたのはここまでの試合展開を見れば納得のもので、さらにマルキジオが連動して押し上げていたこと、トレゼゲデミチェリスがボールを奪われた瞬間DFラインに生じたギャップを見逃さず裏へ飛び出していったこと、この3つが高い次元で融合して、いかにもユベントスらしい素晴らしいゴールが生まれたように思います。
 しかし、勝つしかないバイエルンはこれで吹っ切れたのか、いや、この得点の数分前から予兆はありましたが、しぼむことなく攻勢に出ます。まず狙ったのが、ユベントス両SBがオーバーラップして行った際に出来たスペース。ユベントスが攻勢に出ていた時間は、(主に)カセレスがたびたび上がって行ってチャンスに絡んでいましたが、カバーがいつもより甘かったのか、テレビで見ていても分かるぐらい広大なスペースが生まれていました。押し気味に進められていた時間帯では問題なかったのですが、徐々に中盤でボールを失うようになってしまい、嫌なところで奪われてはそのスペースをオリッチ、プラニッチミュラーあたりにいいように使われてしまい、サイドからのクロスを浴びまくる展開になっていきます。ショートカウンター気味の攻撃になった際の、バイエルンの前線への人の飛び出し方も迫力がありましたしね。その攻撃が実ったが30分。中盤でボールを奪って右サイドへ展開し、上手く裏へ抜け出したオリッチに対し、カセレスがエリア内で倒してしまいPKの判定(正直厳しいかなぁ…と思いましたが)。これを蹴るのは…GKのブット!いやぁ、ブットのPKをこの目で見るのは、レバークーゼン時代以来でしょうか?PK戦の8人目とかでもないのに「GK対GK」の画が見れるのは、ホント貴重です。で、ブットは冷静にブッフォンの動きを見切ってPKを成功させ、1−1の同点に。ブッフォン悔しそうだったなぁ。
 ここで完全にペースはバイエルンへ。前述したとおりのサイドからの崩しや、奪ってから早く、しかも人数をわっとかける組織的な面もそうですし、オリッチの献身さ、ゴメスの強さ、ファン・ボメルのパスの散らし(やっぱりダブルボランチでこそ)、シュヴァインシュタイガーミドルシュートといった個々の強さも相俟って、ユベントスはいつ失点を喫してもおかしくない展開。完全に受けに回って、ユベントスがセカンドボールを拾えなくなっていったのも、バイエルンペースに拍車がかかる要因となりましたかね。しかし、カンナバーロの獅子奮迅の守備が光り、ブッフォンもさすがのプレーを随所に見せて耐えしのぎ、前半は1−1で終了しました。


 後半。ユベントスが何かしら手を打ってくることは考えられ、実際に後半頭から交代で選手が入ったんですが、入ってきたのはポウルセンで、御役御免はなんとデル・ピエロ。これは実に不可解でした。狙いはおそらく「中盤での守備力アップ」か「(システムを変えて)攻守のバランス改善」を狙ってのものだと思いますが…という采配面の文句は後述。
 ともかく、この交代に「効果がなかった」のは一目瞭然で、後半もバイエルンがいい守備からの素早い攻めやサイドからの分厚い攻撃で攻め倒す展開のまま。そして52分、「CK→一度は弾くもセカンドをバイエルンが拾う→落ち着いてサイドへ展開→いいクロスが入ってヘディング」という、前半から何度も見られたこの日を象徴するようなバイエルンの攻めで、ユベントスの守備が瓦解。最初のヴァン・ブイテンのヘディング(マーキングが完全にずれて、ヴァン・ブイテンはどフリーだった)こそブッフォンがファインセーブを見せるも、そのセカンドボールにさえユベントス守備陣は誰も反応できず、オリッチにやすやすと決められて1−2。何度見返しても、腹が立つくらい酷い失点でした。
 で、勝ち抜けのためには1点が必要になったユベントス。当然アマウリやジョビンコの投入が予想され、実際に65分にアマウリが投入されましたが、交代はなんとジエゴと。どんだけ消極的やねん!…って文句も後述するとして、「2トップにロングボールを入れて、そのこぼれだまを何とか…かな?」と思って見ていても一向にそうする気配はなく、じゃあ足元でつないでいけるかというと、そもそも押し込まれていることでボールを奪える位置がどうしても低くなり、2トップ+カモラネージのところまでボールが届かない、あるいは、プレッシャーを受けての意図的ではないルーズなボールばかりが前に飛んでいくことで、全く攻撃にリズムが生まれません。81分にジョビンコを入れて打開をはかりますが、ジョビンコも守備に追われ、攻撃では所在なげに動くだけ。一方のバイエルンは、時間制限のあるロッベンを73分(まで温存できた)に、さすがに疲れたオリッチとの交代でティモシュクが81分に投入し、万全の逃げ切り(あわよくば追加点の)体制。そして83分、またしてもCKでヴァン・ブイテンがフリーでヘディングシュートを放ち、これまたブッフォンが素晴らしいセービングを見せるも、こぼれだまをゴメスが押し込むと言う、どっかで見たことある話だ〜(by 奥田民生)なゴールで1−3。さらにロスタイムにはティモシュクが綺麗なミドルシュートを決めて1−4。拮抗したスコアが予想された大一番は、まさかの大差でバイエルンが勝利し、決勝Tの切符を手にしました。


 バイエルン。開幕から11/22レバークーゼン戦までの20試合全てで「前の試合と違うスタメン」を組んできたとのことでしたが、11/25マッカビ・ハイファ戦からこの試合までは4試合連続同じスタメンで望み、結果は4連勝。紆余曲折を経て、ファン・ハール監督がようやく適切なバランスを見出したと言っていいんでしょうかね?まだ、半信半疑だ(苦笑)
 しかし、この日の試合内容は上々。前から順に言うと、ゴメスとオリッチの2トップには機動力があり、加えてゴメスには強さが、オリッチには献身さがあって、味方にとってはありがたく、相手にとっては嫌な動きが出来ている印象。ミュラープラニッチの両SHは、この試合ではそこまで目立ちませんでしたが、バイエルンがこのままサイド攻撃を主としてやっていくのなら、仕事のしがいがあるかと。ファン・ボメルシュバインシュタイガーのダブルボランチは予想以上のバランスの良さが見て取れ、(極端に言えば)ファン・ボメルが持ち場にとどまり、シュバインシュタイガーがどんどん飛び出していくという役割分担がはっきりしていて、ファン・ボメルはパスの捌きにブレが少なく、シュバインシュタイガーも持ち味であるミドルシュートやドリブルが冴えていました。どちらかが不在でもティモシュクがいますしね。4バックはまずは守備ありき(=オーバーラップをかなり自重)が徹底されていて、バイエルンの1つの懸案であった「裏のスペース」をそもそも生まないようなやり方に変わっていました。かといって引きすぎて中盤とのスペースを開けてしまうことはなく、この辺はデミチェリスさすがやな、と言うべきところでしょうか。GKはブットで決着ですね。
で、もちろん個々のレベルもいいんですが、この11人のバランスはかなりいい感じ。誰もが無理なく動けていて、ピッチの中に穴が開かないですし、あらゆる場面で数的優位を作れていましたからね。ロッベンとリベリがともに使える目処が立った際にどうしよう、4−3−3に戻してオリッチを外すのはもったいないし、4−4−2のままでミュラーを外すのはもったいないし…という点は(嬉しい)悩みですが、いずれにせよファン・ハールが4−4−2で適切なバランスを見出せたのは、少なくない驚きがあります。まあ、4−4−2用に人を集めてはいたので、見出してもらわないと困るんですけどね(笑)


 ユベントス。完敗でした。「立ち上がり主導権を握ったのはユベントス」とは書きましたが、それはあくまで右サイドの攻撃「だけ」が嵌っていたおかげであって、1−0になるまでも攻められてはいたところ。その中で1−0にした点はさすが〜と唸るばかりですが、今日はそこだけでしたね。
 で、問題のフェラーラ監督の采配について。確かに、デル・ピエロのこの日のパフォーマンスはよくなかったと思います。タメを作って欲しい場面でボールロストが目立ったり、そもそもボールが来なくて存在感は希薄だったと言わざるを得ません。しかし、「いるだけでプレッシャーになる」のもデル・ピエロの凄いところで、デル・ピエロの動きにつられてジエゴカモラネージトレゼゲがスペースをもらえるというシーンが(この試合に限らずとも)あるわけですよ。あの交代を見た瞬間、「ジエゴが潰されなきゃいいけど…」と思ったんですが、案の定バイエルン守備陣はジエゴに対してのプレッシャーを強めて徐々に試合からジエゴを消していき、65分にピッチを退かせることに成功しました。言い換えれば、65分のジエゴ→アマウリの交代は、私はフェラーラ監督がバイエルンに屈した瞬間だったと思っています。3枚目のフェリペ・メロジョビンコも全く意味が分からないし。「元プレーヤーで、今年初めて指揮を取る」という意味では、ミランのレオナルド監督と比較されることが多いようですが、かたや(偶発的な部分はあったにせよ)4−2−1−3、パト&ロナウジーニョのウイング起用という1つの打開策を見出せたレオナルドに対し、依然として幹の部分が定まらないフェラーラ。期待している部分は大いにありますが、首の辺りがスースーしてきたのもまた事実なのかなと思わせる試合となってしまいました。