JRA(日本中央競馬会)が、宝塚記念終了時の売得金を発表し、前年比104.9%とアップしていたそうです。
JRAが公表している資料を見ますと、売得金は1954(昭和29)年から記録を取り始めているようで。
で、1954年の売得金は112億2931万円。そこから毎年ずーーーーーっと右肩上がりで推移し、ピークは1997(平成9)年の4兆6億6166万3000円。しかし、世はすでにバブルがはじけ飛び、絶賛不景気のターム。売得金も言わずもがな右肩下がりとなってしまい、逆ピークが2011(平成23)年の2兆2935億7805万3600円。
しかし、ついにここで下げ止まり、翌年からは再び上昇モード。前年比プラスが今の今まで続き、2024(令和6)年は3兆3134億9707万600円。13年で1兆円以上のアップとなっています。
世の中の景気が必ずしも上昇に転じているとは言えないなか、売得金が増えている要因は、間違いなくインターネット投票でしょう。
いわゆる在宅投票(PAT方式)は1991年に試行開始。1998年には会員が100万人を突破し、2002年は今の形態に近い「IPAT」が、2005年は「即PAT」がそれぞれ運用スタートしたそうです。
そして、2011年にスタートしたのが「JRAダイレクト」。「IPAT」や「即PAT」は、馬券を購入する時点で専用口座に現金がないと馬券を購入できませんが、「JRAダイレクト」はクレジットカードさえあれば、馬券が購入できてしまう仕組み。平たく言えば「ツケ」みたいなもの。
もちろん、1カ月の利用限度は定められていて青天井に賭けられるわけではないので、JRAダイレクト開始が売得金アップの起点になった、とは言い切れませんが、ネット投票の比率アップに一役買ったのは間違いないでしょう。
また、近年はAIやプログラミング技術が馬券の世界に入り込んでいて、機械的な投票行動に多額の資金を「投機」している人もいる印象。先日も、その手のニュース(まあ、結果脱税ですが)がありましたし。
日本の競馬産業は、馬券購入による売得金があるからこそ成立しています。競馬というスポーツ、競馬という産業が魅力的に映り、その結果、馬券を購入してくれるファンが一人でも増えてほしいと、私も一ファンとして思います。
一方で、何でもかんでもあり!でいいわけはなく。買う側も現行法の下で抜け穴を突くような買い方は控えてほしいですし、売る側(≒国)もいわゆる馬券の二重課税問題をいい意味で改善してほしいですし、引き続き「娯楽」と「産業」を両立できるよう、関わる人でいろいろと考えていけたらいいのかな、と思う次第です。