続々々・メガネのつぶやき

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18年Jリーグ観た記 其の7 長崎-浦和

 開幕から2試合、ともに1分1敗と勝ち星なし。長崎はそれでも好意的に、浦和はどうした?という印象もあるが、いずれにせよ早く勝ち点3が欲しい両チームの一戦。

 

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短評

 ボール保持は立ち上がりから浦和が…という下馬評だったが、長崎もなかなかどうして。ビルドアップではDF登録のうちチェと高杉が最終ラインに残り、徳永は少し中に絞ってどちらかというとCH然とした振る舞い。場面によっては2-1-4-3にも見える形でしっかりと前線に人をかけて仕掛ける攻撃も。

 失った後はボールホルダーにアタック。敵陣で奪えればそのままショートカウンターだし、第一波を破られればすぐに切り替え5-4-1。自陣で奪ったあとはファンマをめがけることが多かったが、それも昨季よりは減って、前述の繋ぎを試みる場面が増えた。

 対する浦和。攻撃は中盤の3人がかなり流動的で、青木が最終ライン前に残りつつSBがそう高くならない4-1-2-3、青木が下りてSBをやや高めに上げる3-4-3のいずれかでしっかりと組み立て。また、開幕戦(vsFC東京)ではマルティノス、武藤の両ウイングがかなり外へ張りっぱなしだったが、この試合は適宜絞り、よりセンターゾーンで攻撃に絡もうとする意図が見える。

 そうして試合は一進一退を繰り返すが、目立ったのは鈴木、翁長の左サイドコンビ。高木監督が試合後「ちょっとシステム的にもサイドでミスマッチが起きてしまっている(中略)例えば相手のSBとうちのワイドとの勝負が、特に左サイドでありましたけど、そういうシーンができたんだと思う」と語った。

 なるほど、浦和は中盤が逆三角形の3枚で守る中、右WGマルティノスの帰陣や守備のヘルプが遅れると、途端に自陣のサイドは宇賀神一人で見なければいけない場面となる。そこへ長崎の翁長のみならず、シャドーの位置から鈴木が流れてきて…となれば、浦和はどうしても後手の対応を強いられる。もちろん逆サイドも同じ理屈。スカウティングに長けた高木監督の目と、選手の遂行力が噛み合っていた攻撃は、見ていてストレスフリーだった。

 浦和も両ウイングが張れば大きなサイドチェンジで、両ウイングが絞ればSBも押し上げた中での細かい崩しで局面の打開を図りにいくも、おっと思わせるアイデアは生まれず。

 なかでも、マルティノスが機能していないのが気になった。この日は右ウイングでの起用だったが、個人的にマルティノスはインバーテッドウインガーだと思っておらず、どうしても窮屈なプレーをしているように見える。また、横浜FM時代は単騎突破でのびのびやれていたが、浦和ではコンビネーション重視。それもまた、マルティノスの良さを活かしきれているとは感じられなかった。

 このまま0-0でも長崎は御の字だったが44分、翁長が左サイドでマウリシオを振り切りエリア内へ侵入すると、遠藤が思わず足を出して倒してしまい、西村主審はPKを宣告。これを鈴木がしっかりと決め、長崎がスコアを動かして前半を終えた。

 後半。浦和はいきなり自陣でのイージーなパスミス2つからピンチを招くが、一方で明らかに前半とは違って、中盤の選手が興梠を意識し、興梠へビシッとした縦パスを入れる意識が増した。効果はあって、長崎は5-4-1ながらやや中へ目線を狭められ、外が少し浮くシーンも見られるように。

 ただ、長崎も前半以上にカウンターへ注力。ひとたび前線で収まれば2人、3人と出て行き、浦和守備陣にプレッシャーをかける。75分には鈴木が見事な裏抜けから西川との1対1を作るが、DFの懸命な戻りに屈し、クリーンなシュートを放てず。

 するとその直後、(TVでは)スロー映像の間に興梠がなにやらひっくり返してゴール前まで迫っていて、CKを獲得。柏木が蹴ったボールの先には選手が集中していたが、途中投入されていたズラタンが頭一つ競り勝ちヘディングを放つと、これがネットを揺らし、浦和が同点に追いつく。

 浦和は一気呵成に、長崎はそれでも下を向かず。ともに勝ち点3を狙って残り15分が進んでいくが、待望の2点目は生まれず。両チームとも、待望の勝ち点3を掴むことはできなかった。

 

MVP:翁長 聖(長崎)

 長崎はなんと、チーム総走行距離が123.57km。12km超えが4人もいるという高いスタミナを見せたが、その中で精度を落とさず、最後までアップダウンを繰り返したのが翁長。

 昨季もルーキーイヤーながら高木監督の薫陶を受け、大学時代とは異なるWBで一定の存在感を見せていたが、J1チーム相手にもその勢いは衰えず。受けて、仕掛けて、戻って、守って、また出て行って仕掛けて…を、逆サイドの飯尾ともども90分完遂。その中で、先制点に繋がる突破も見せた。

 まだ、全国的には知名度が高くないと思うが、この水準でプレーを続けられれば、今季が終わる頃には大勢のサッカーファンに名が知られてもおかしくないと感じる。