続々々・メガネのつぶやき

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18年Jリーグ観た記 其の8 湘南-名古屋

 己の武器を磨き上げ、J1へ再挑戦している両チーム。ともに昨季までの積み上げにとどまらず、更なる成長の端緒を見せているが、その足取りをより確かなものにすべく、勝ち点を積み増すことができたのは。

 

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短評

 岡本が怪我により外れ、高山を左WBに起用した湘南。ここまでの2試合と同様、攻撃では3-4-2-1、ネガティブトランジションではゲーゲンプレッシングを仕掛け、すぐに奪い返せればショートカウンター。自陣に引けば5-3-2でスペースを消す。

 対する名古屋。アーリアが体調不良により外れ、八反田を起用。攻撃時はもはやシステムがどうこうではなく、「トライアングルを作ろう」ではなく「結果的に繋がった時にトライアングルだった」と言ったほうが適切なほど、全選手がよどみなく動きながらパスを繋ぐ。ネガティブトランジションはリトリートがより多く見られ、かつ中をまずは閉じようとする意図が見えた。

 両チームとも、立ち上がりから非常にコンパクト。さて、そこをどう崩すか?湘南はイ ジョンヒョプを裏や脇のスペースに走らせたのに対し、名古屋はジョーをポスト役として意識させ、ショートパスで崩そうとする姿勢をダシに使い、ドリブルによる単騎突破が実は狙いだった?と思わせるほど、各選手が序盤はドリブルを多用していた。

 どちらの狙いもある程度奏功していたが、お互いの最終ラインが攻撃に負けず。湘南は大事なところで勝負のパスを繋げず、名古屋はシャビエルがほとんどボールに絡めず、左サイド(青木、秋山)中心に攻撃に偏り気味。前半を終えてシュート数は湘南3-6名古屋。ワクワクするアグレッシヴな展開だったことを考えれば、いささかフィニッシュには不満が残る、そんな前半だった。

 後半も大勢は変わらず。湘南は57分に数的同数のロングカウンターを仕掛けるも一手間かけすぎてシュートにまでいけず。名古屋はようやく60分過ぎからボール保持を高め、シャビエルもいつも通りにボールに絡み始めるが、解説の戸田和幸さんが再三「もっとジョーをシンプルに使っても…」と語ったとおり、サイドを崩そうとする試みが原理主義になりすぎた印象。ジョーは、いささかイライラしているようにも見えた。

 75分を過ぎると、さすがにスペースができ始める。そして、この日最大の決定機は78分。シャビエルからのパスを、ジョーはいったんプルアウェイの動きをしていたにもかかわらずもう一度中に入ってきて受け、再度ボールをシャビエルへ。受けたシャビエルはワンタッチで青木に絶妙なボールを送り、青木も間髪をいれずシュートを放つが、ボールは右ポストをかすめて枠の外へ。

 その後はお互いチャンスを掴めず。しかし、0-0とは思えないほど、見ていて爽快感のある90分だったと思う。

 

MVP:青木 亮太(名古屋)

 昨季から何度かプレーを見ているが、個人的にはこの試合が一番「いやー、青木上手いわ」と思った。

 前半に単騎カウンターで50m前後進んでいったプレーを筆頭に、足元の上手さも去ることながら、その上手さをどこでどう使えば一番いいか?というインテリジェンスさが多分に見られたし、シュートに関してもこの日は一番可能性があった。