続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

グループリーグ各国紹介…みたいなもの グループB

 今日はグループBです。しかし、グループAは書き上げるのに3時間弱かかった…。このペースでグループHまで持つかは分かりません。最後は3行とかになってるかも(苦笑)
アルゼンチン(10大会連続15度目)
 もう、アルゼンチン代表を評するのはこの一言で十分でしょう。


「分かりません」


 別に投げてるわけじゃありませんよ(苦笑) でも、マラドーナ監督の頭の中を読める人は、この世の中でマラドーナ監督自身だけ。いや、もしかしたらマラドーナ監督自身分かってないのかも、と思わせるくらい、発言も選出もコロコロ変わるこの数ヶ月だったので、周りが分かりようもないのは当然でしょう。よもやキャップ数3の31歳DFアリエル・エルナン・ガルセや、キャップ数ゼロのMFハビエル・パストーレを選出して、36歳ながら衰えを知らない鉄人DFハビエル・サネッティや、今季のインテルを守備で引っ張りまくったMFエステバン・カンビアッソを外すだなんて、サカつくウイイレでもやりませんよ、普通は。なので、普通にプレビューするのはそれでお金をもらってる人にお任せ。一ファンは、「さて、どれほどのものか見せてくれ!」と何も考えずみるのが正解でしょう。少なくとも私は、そうします(笑)
 ただ、注目選手はもちろん挙げておきます。それは、FWディエゴ・ミリート。もちろん世界的な注目はリオネル・メッシに集まると思いますが、そのメッシとコンビを組んで、メッシを活かしつつ自分も輝けるというタイプは、私はミリートしかいないと思うんです。セルヒオ・アグエロカルロス・テベスだとメッシとタイプが似すぎて互いの良さが消える可能性がありますし、マルティン・パレルモは恐らくスーパーサブ。で、2トップの場合のファーストチョイスであろうゴンサロ・イグアインは…ってところで、そもそも論2トップの1角ではメッシは絶対に活きません。あらかじめスペースのないところにポジションを取って、そこで受けてどうこうというプレーは得意じゃないというか、やりたがらない印象があるので。であるならば、バルセロナで慣れ親しんだ4−3−3の右ウイングか、今季グァルディオラ監督が見せた4−4−1−1のトップ下がベストポジションになるんでしょうけど、その際イグアインが1トップを張れるかといわれれば、私の答えは「Maybe not」。その仕事ができるのは、インテルで実際にそれが出来ているミリートしかいないと思うんです。04年に海を渡り、その後ジェノアレアル・サラゴサジェノアと中堅クラブばかりを歩んできたために一気に名が売れることはありませんでしたが、実は04年1月から08−09シーズンまでの5シーズン半であげた得点は、なんと110得点。1シーズン20得点を約束できるFWなんて世界レベルで見たって早々いるわけじゃなく、当然今シーズンはその実績が買われてのビッグクラブ(インテル)移籍となりましたが、そのインテルでも22得点をあげ、30歳にしてなお成長曲線が下を向かないという素晴らしい選手です。代表では22試合でわずか1ゴールと奮いません。しかし、今なら話は別。絶対に結果を出してくれます。何で使わないのか、私にはよく分かりませんよ。…あ、やっぱり結論は「分からない」だったな(笑)


ナイジェリア(2大会ぶり4度目)
 アフリカ予選は本当にギリギリのところでチュニジアを退け突破。その後アフリカネーションズカップではベスト4に食い込むものの、優勝を期待していたメディアや国民が一斉にアモドゥ前監督を痛烈に批判し始め、結局アモドゥ前監督はこれを受けて解任。その座には、長らくスウェーデン代表を指揮していたラーゲルベック監督が就任しました。これがどちらに転ぶかは分かりません。しかし、組織面での向上は大いに期待していいでしょうし、短時間でチームの連携を高められるようなら、「スーパーイーグルス」が久々に躍進を遂げてもなんら不思議ないでしょう。
 戦術面での注目は、MFジョン・オビ・ミケルをどのポジションで使うか。チェルシーではボランチなりアンカーなり、DFラインの1列まで使われていて、そこでのボールダッシュや運動量を武器として活躍していますが、パスセンスは今ひとつという印象もあって、個人的にはトップ下で司令塔として起用するのはちょっと気が引けるところ。しかし、いわゆるパサータイプの選手がいないのも事実で、起用の可能性としてはMFカルー・ウチェやFWヌワンコ・カヌという選択肢もありますが、一長一短というのが正直なところ。前線はFWピーター・オデムウィンギー、チネドゥ・オバシの両ウイングが非常にスピード豊かで、かつ巧みなボールコントロールも持っていますし、CFもパワーのヤクブ・アイイェグベニやジョン・ウタカ、スピードのオバフェミ・マルティンスとタイプの違う選手を揃えていて、破壊力は屈指。それだけに、3トップを操る選手を誰にするかは、即チームの浮沈につながるのかな?というところではありますね。
 注目選手はそんな前線の選手を差し置いて、ボランチのMFディクソン・エトゥフフルアムに所属し、リーグ戦は20試合の出場に留まりましたが、ヨーロッパリーグでは14試合中11試合に出場し、決勝進出に貢献しました。一番の持ち味は188cm、83kgという恵まれた体格を活かしてのボール奪取。まんまアフリカの選手らしい身体のねじ込み方であったり、「そこに届くかよ!」といった間合いであったり、しかし粗暴というか雑なプレーは少なく、フルアムでは「攻撃のマーフィー、守備のエトゥフ」と分業化して、その役割や持ち味をフルに活用していたのが印象に残っています。もちろんパスも並以上のものを持っていますよ。で、彼がボランチのポジションでにらみを利かせられるならば、例えばミケルも前線で攻撃の仕事に専念できるなんてこともあるでしょうから、私はエトゥフの活躍がナイジェリアの運命を多少なりとも左右すると思っています。


韓国(7大会連続8度目)
 ベスト4に名を連ねた02年自国開催の時をも上回る期待感が一部ではあると言われるほどメンバーが揃った韓国。それは、主に中盤から前線の顔ぶれがそう思わせるんでしょう。注目はなんと言っても「ファンタスティック4」と呼ばれるFWパク・チュヨン、MFパク・チソンイ・チョンヨンキ・ソンヨンの海外組。パク・チソンは言わずもがなですが、パク・チュヨンモナコでチーム2位の8得点を奪い、イ・チョンヨンはソリッドなサッカーをするボルトンにあって、その仕掛けの鋭さと独創性でチームに違いを生み、すでに欠かせぬ存在に。冬にセルティックへ加入したキ・ソンヨンはポジションを掴みきれずにシーズンを終えはしましたが、その潜在能力はアジアでもトップレベル。彼らの攻撃面でのストロングポイントがフルに発揮されれば、このグループでも見劣りはしません。
 しかし、その為には守備の安定が必要不可欠。その中心を担うであろう選手は後ほど注目で挙げるとして、守備全体での注目は伝統のリベロスタイルをやめ、フラットな布陣を敷く4バックが機能するのかどうかが生命線になるのかなと。長くイングランドで活躍してきたDFイ・ヨンピョや、日本に来て質の向上が窺えるとの評価を受けるDFイ・ジョンスはフラットな4バックに必要なラインコントロールやカバーリングに十分対応できると思いますが、ここに来てもイ・ジョンスのパートナーが定まらず(カク・テヒが怪我により代表漏れしたのはちと痛いか)、右SBもバランスのオ・ボムソクにするのか、突貫のチャ・ドゥリにするのかがはっきりせず(恐らくオ・ボムソクだとは思いますが)、GKもベテランのイ・ウンジェに衰えが見え始め、チョン・ソンリョンも世界レベルでは未知数のままで、メンバーを固め切れていないことが組織の熟成を遅らせているという評価も。フラットな4バックが整備されているかは、本大会を見る上で欠かせない要素になるでしょうね。
 で、注目選手はそんな4バックの1列前でバランサーとして期待されているMFキム・ジョンウ。かつて名古屋に所属したこともあるのでご存知の方も多いと思いますが、中盤の底で運動量と身体の強さを活かしての守備が売り(激しすぎてカードコレクターっぽいのが玉に瑕だが)。奪ってからの長短のパスも見どころがありますが、ファンタスティック4を下支えするという意味では、今大会は守備面でのタスクが増えそうかなと。で、4バックの前で彼がMFのラインをコントロールし、バイタルエリアでフィルターになれないようだと、前後分断が生じて一気にバランスが崩れる恐れがあります。もちろん彼が目立つことは必ずしもいいことではないですけど(攻められている証左にもなる)、それでも彼の奮闘なくして韓国の躍進はないと私は思っています。


ギリシャ(4大会ぶり2度目)
 まだ、2度目だったんですね!のギリシャ。01年に就任したレーハーゲル監督の下、04年には世界をあっと驚かせる欧州制覇も果たし、その後も独特の存在感を放ち続けています。そんな9年目のレーハーゲルギリシャのスタイルは、もはや世界屈指の完成度を誇るといっていい堅守速攻。しかし、かつてのような「マンツーマンで、とにかく守って縦ポン」というサッカーからは脱却。
 守備はMF−DFの2ラインの間に相手を引き込んだ上で、そこに人をかけてボールを奪うゾーンプレスに方針転換していますが、その方法がまた独特。まず相手が1トップなら2CBの4バック、2トップなら3CBの5バックにして常に自分達が数的優位になるようなシステムを用い、その上で数的優位で余る1枚をスイーパー気味にとどまらせつつ、他のバック陣は積極的にラインを飛び出してMF陣とサンドしてボールを奪い取るという、見方によっては非常に「前向きな守備」をするやり方に変わっています。恐らくですけど、レーハーゲル監督なりに「つまらない」という評価に対して(ユーロを優勝したのに自国民からもそこそこ批判された歴史もありますし)いろいろと思うところがあったんでしょうね。
 攻撃も、端的に言えば「縦へ、前へ」で変わりありませんが、守→攻の切り替えの早さが以前よりさらに増し、DFラインはボールを奪ったらとにかく開いている前の味方へボールをつけ、そこに対して人がワッと群がっていく形が基本となりますが、闇雲にCFへロングボール一辺倒ではなく、例えばCFのマークが厳しければ、あえて両ウイングを受け手として展開したりだとか、一旦中盤のギオルギオス・カラグニスやコスタス・カツラニスをクッションに挟んで3トップがマークを外したり、SBがオーバーラップする時間を作ったりするなどバリエーションが増えています。とにかく、「リアクション」で「ダイレクト」なサッカーはユーロの頃と変わってはいませんが、その中身は驚くほどモダンというか、ポジティブな変化を遂げていることを覚えておいてください。
 注目選手はFWゲオルギオス・サマラス。実は、ユーロ08の際にも注目に挙げたんですが、底で不発に終わったのでもう一丁(笑) かつてはCFで簡単なポストプレーと縦へのプレーしかできなかった印象がありますが、現在は代表でもクラブでもCFとウイングをこなし、プレー内容も硬軟織り交ぜた万能派へと変貌を遂げているとのこと。今大会こそ、彼が輝いてくれると信じていますよ。