続々々・メガネのつぶやき

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07−08 その17 CLグループリーグ レンジャーズ−バルセロナ

 期待通り連勝したバルセロナと、期待を(いい意味で)裏切って連勝したレンジャーズの1戦。「Mes que un club」と「More Than a club」*1の戦いとなりました。
 試合は終始バルサがボールを支配し、細かいパスワークとドリブルでゴールに迫るも、クザン1人を残して9人が守備に回ったレンジャーズを崩しきれず、ロナウジーニョのFKやプジョールのヘッドが際どいところを突くもマグレガーの攻守に阻まれ、スコアレスで前半終了。後半も立ち上がりは同じ構図で試合が続きましたが、バルサが攻め疲れの気配を見せたところでレンジャーズが反撃を試み、短い時間で3度決定機を掴むもここで決めきれず。バルサも最後までアタックを試みましたが、ついぞレンジャーズの青い壁は崩せず、0−0で試合は終了しました。
 望外な連勝スタートを飾り、バルサが相手ながらホームで迎えるこの試合に、スミス監督がどういう戦い方を選ぶのかが注目されましたが、結論は「4−5−1で1トップのクザン以外は専守防衛」でした。見方によっては消極的に映るかもしれませんが、ここで勝ち点1を得ることは過去の連勝と同じぐらいの価値があると思いますし、客観的に実力差を考えれば真っ当な選択だったのではないかと思います。選手はその意図をしっかりと汲み取って、完璧な試合を見せてくれました。しかも、時間を追うごとに「多少攻めてもいける」という気持ちが湧いたのか、鋭いカウンターやクザン、ハットンの頑張りなどから3度の決定機も掴みました。それが決まっていれば、もう何も言うことのない試合だったと思いますが、そこまでを求めるのは酷ですし贅沢でしょう。いつもの攻撃的なスタイルを(ほぼ)封印して守備に奔走し、70分にビーズリーと交代したときのナチョ・ノボの「やりきった笑顔」が、この試合の全てを物語っていると言っていい気がします。大方の予想ではグループ最下位という見方でしたが(私もそうです)、ここまで来たら、独仏王者を蹴散らして決勝Tへ進出して欲しい、そう思わせる戦いぶりでした。
 そして、ファンも攻撃という名の「娯楽」を(ほぼ)捨てて、守備という名の「現実」に徹したこの日の戦い方を十分に理解し、許容し、迷いなく後押ししていました。素敵でした。解説の金子達仁さんも言っていましたが、とにかく「試合のツボ」を分かっているファンばかりで、ここが耐えどき凌ぎどきというところでことごとくその声で、手拍子で選手を鼓舞していました。まさに「スタジアムが一つになっていた」という印象が強く残っています。悔しいけれど、今現在のJのどのチームもあそこまでの雰囲気は作れないと思いました*2
 一方のバルサですが、デコが直前のリーグ戦で負傷し、主力が6人も欠ける*3緊急事態となり、右サイドバックプジョル、シャビ、イニエスタのダブルボランチ+トップ下にグジョンセンという苦しい布陣だったことを考えれば、悪くない引き分けだったと思います。相手にベタ引きされることが多く、幾度となくそれをこじ開けてきたバルサですが、今日ほど強固に引いて守られては、さすがに点を奪うのは厳しかったですね。次節もレンジャーズが相手ですが、カンプ・ノウに戻ればまた雰囲気もガラッと変わって、今日以上に得点のチャンスは増えると思うので、そこまで悲観的になる必要はないと思います。
 まあしかし、久々に「極上のスコアレスドロー」を堪能させていただきました。民放のスポーツニュース内でのハイライトしか見ることが出来ない方は、きっと「バルサが攻めに攻めるも攻めあぐねて引き分けた(=勝ち点2を落とした)」という印象を受けるかと思います。実際、めざましテレビの編集の仕方はそんな感じで、大塚さんも「バルサどうしたんでしょうね?」的なコメントをしてましたから。でも、もう一度言います。この試合はレンジャーズが死力を尽くした「極上のスコアレスドロー」でしたし、飽きるところは一つもなかった試合でした。

*1:金子達仁さんに言わせるまでもなくパクリですけど。

*2:柏とか浦和なんかは近い雰囲気を醸し出しているときがあるし、JにはJの良さがあるんですけどね。

*3:ザンブロッタマルケスエジミウソントゥーレ・ヤヤ、デコ、エトーの6人。特にアンカーができるマルケスエジミウソントゥーレ・ヤヤが根こそぎ離脱。