いわゆる「LGBTQ+」をちょこっと横に置いておけば、ヒトは生物学的にオス(男性)かメス(女性)に分けられると思いますが、ヒトという生き物は、いろいろな男女の差を抱えております。今日はこんな記事を目にしました。
記事の一部を引用しますと、
イブプロフェン、ステロイド、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)など、痛みを和らげる市販薬や処方薬は、女性には男性ほど効果がないことも、いくつかの研究で示されている。
男性よりも女性の方が多く分泌するエストロゲンは、胃の内容物の排出を遅らせ、体脂肪率を上げ、血液にあって薬物と結合する特定のタンパク質の量を減らす働きをする。2021年4月に医学誌「Journal of Clinical Medicine」に発表されたレビュー論文によると、それらは全て、体内で薬がどう行きわたり、分解されるかに影響する。
とのことで、いわゆる「性ホルモン」の影響が男女差であり、それが一部の薬の効果に差を与えている可能性があるようです。また、
以前は人口の半分を占める女性が臨床試験から除外されていたため、現在出回っている薬の多くは、女性にとって未知の副作用や安全上のリスクを含んでいる可能性がある。
2020年6月5日付で医学誌「Biology of Sex Differences」に発表された論文は、モルヒネやプレドニゾンなど86品目の薬を、体がどう分解するかが男女間で大きく異なることを示している。女性は、そのうちほぼすべての薬の代謝速度が男性よりも遅く、その結果、血中の薬の濃度が高くなり、吐き気、頭痛、発作、幻覚などの有害な副作用も多かった。
という事実もあるそうで。こちらの記事にも薬の男女性差について書かれていますが、やはり記事から引用すると、
慢性疼痛(とうつう)患者の約7割が女性だが、痛みに関する研究外部リンクの8割は男性または雄のマウスでのみ行われている外部リンク。女性の方が罹患率の高い病気でも、多くの臨床試験が男性被験者を中心に行われている。
(中略)
だが研究結果は男女別で分けられず、公的な報告書に記載されることもほぼない。そうであっても性別やジェンダーによる効果や安全性の違いは医薬品の承認過程で考慮されず、薬の説明書にも記載されない。
との記載がありました。この2つの記事を読む限り、医学・薬学界において「女性特有の疾病」に関しては研究が進み、創薬も進んでいるけれど、「男女とも罹患するけれど、その割合が異なる疾病」においては、主に男性(オス)による治験結果によって創薬が行われている、とまとめられるでしょうか。
女性(メス)が治験に多く加わらない理由として「女性はホルモンレベルが月経周期で変動する(≒治験結果が安定しない、または、結果の変動を踏まえた分析をするコストがかかる)」や「妊娠する可能性があることが、長期的な治験に向かない」ことが例としてあげられれていました。ただ、すでに「女性の痛みを数量化し、新たな治療法の開発を速めうるバイオマーカー(生物学的指標)を特定しようとしている」試みは進んでいるとのことなので、これが深まっていくことに期待したいところです。
まあしかし、最初にリンクした記事内にある
さらに追い打ちをかけるのが、「やるほかない仕事を、女性の方がより多く負っているという現実です」と、バクスター氏は指摘する。例えば、米世論調査会社ギャラップが2019年に行った調査では、男女のカップルの場合、女性の方が料理、掃除、洗濯、皿洗い、食料品の買い出し、育児を日常的に引き受けている傾向がわかった。
「社会的に、男性は体に痛みを感じても休むのがずっと楽です。しかし、女性として生きていると、『やめる』という選択肢がなくて……それが痛みの感じ方に影響している可能性があります」と氏は言う。
という部分。うん、そうですね。世の男性よ、女性が大変そうだから「やってあげる」んじゃなくて、女性と「一緒にやっていこう」だったり、「さて、私はなにができるかな?」と自ら動いていったり。家事・育児の男女の差もどんどん減らしていきましょう!(オマエモナー)