続々々・メガネのつぶやき

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17年Jリーグ観た記 其の24 J1 大宮-浦和

 さいたまダービー。恐らく、両チームのファン・サポーターにとっては飾る言葉など必要のない、この響きだけで燃え滾るものがあるであろう一戦。プライドを見せたのは、どちらだ。

 

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短評

 浦和のビルドアップに対して、大宮はブロックを低めに構え、本来センターハーフである金澤を最終ラインに落とすことも厭わない守備で対抗。また、前節G大阪戦では「ブロックを作って終わり」だった個々人の球際への意識も高く、しかしファウル過多になることなく、粘り強い守備を見せる。

 対して、浦和の守備はACL後だったこともあってか、ボールを失った直後はエネルギーをかけるものの、全体的にはプレッシングの強度が低く、大宮がポジティブトランジションの一手目で前を向けた際には、手数も人もかける攻撃を展開。スコアは動かなかったが、大宮が準備してきたことをしっかりとやれている印象を受けた前半だった。

 後半。浦和がビルドアップ時に後ろを3枚(遠藤+両センターハーフ)にし、槙野、森脇をより高い位置に上げる形に変え、サイドで数的優位を、サイドに基点を作りにかかる。これが奏功し、クロスを上げる場面は増えたが大宮の真ん中は割れず、クリーンなシュートを打つことができない。

 緊迫した展開の中、ゴールの女神は粘り強く戦っていた大宮に微笑む。63分、前線でルーズボールを拾った江坂が、右サイドを追い抜いていった茨田にパス。これを受けた茨田は迷わずにシュートまで持ち込むと、鋭い弾道を描いたボールがニアサイドをぶち抜き、大宮が先制。

 その後、浦和はより攻勢をかけるが、この日の大宮は脚色鈍らず。終盤は5-4-1にしてより中を分厚くし、身体を張り、浦和のシュートは焦りも相まってか精度を欠き続ける。アディショナルタイムの5分もしのぎきり、試合終了。待望の勝ち点3を、NACK5スタジアムに詰め掛けた全ての大宮ファンがそれぞれのリアクションで受け止め、熱い戦いに終止符が打たれた。

 

MVP:金澤 慎(大宮)

 ゴールが止まらない浦和攻撃陣の中でも際立った存在感を見せている興梠をどう止めるのか。渋谷監督が見出した答えは「金澤のマンマーク」だった。そして、金澤はその仕事を90分完遂。

 直接金澤がボールを奪う、あるいはインターセプトする場面は多くなかったが、その他の選手たちが自分の持ち場で、あるいはヘルプした先で浦和の攻撃を食い止められていたのは、「金澤が興梠を見てくれているから大丈夫」という気持ちがあったからに他ならないと私は感じている。

 

MWP:ラファエル シルバ(浦和)

 金澤に上手く消された興梠も去ることながら、この日のシルバは全く存在感なし。動きにキレがなく、90分フル出場で走行距離8.644kmはさすがに物足りない。

 「守備をある程度免除されて、本来ならプレスに行く脚を別の場面で使ってほしい」という考え方だったかもしれないが、それであればアタッキングサードでもっと躍動してもらわなければ仕事をしたことにはならず。今季初の無得点試合に、悪い意味で寄与してしまった。