続々々・メガネのつぶやき

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Jリーグディビジョン2 第33節 東京1−1ヴェルディ

 先日9/22付でこんなエントリを書きまして、その締めとしてこんな一文を載せました。

結局上手くまとめられず、長々と書きましたが、「第2の底」は思いのほかあっさりと脱して見せました。ヨーロッパのサッカーシーンではよく、「1年に2度、不調の波がやってくる」と言われます。それに当てはめるのならば、東京が残す13試合は悪くても平行線、普通ならまたピークに登っていくその過程と言えるのではないでしょうか?いよいよ最終コーナーを回って最後の直線に入らんとしていますが、ラストスパートの用意は整った。私はそう見ています。

 実際その後、9/25横浜FC戦から10/19横浜FC戦まで5連勝を飾り、その時点では2位鳥栖と勝ち点7差、昇格圏外直後の4位徳島と勝ち点11差をつけ、順調に昇格、その先の優勝へと歩を進めていたように思います。しかし、ここに来ての3戦勝ちなし。よもや「第3の底」がやってくるとは思っても見ませんでしたが、その要因がどこにあるのか、そして、それは残り5試合に向けてどういう影響を及ぼすのか。ヴェルディ戦の試合を振り返りつつ、ない頭を絞って考えてみたいと思います。


 話を戻しまして、この3試合の勝てなかった要因をそれぞれ端的に表せば、

鳥栖戦(△0−0)…堅守を攻めあぐね、フィニッシュの形を作らせてもらえず
大分戦(●1−2)…度を超えたカウンターバトルに持ち込まれ、緩急をつけたサッカーができず
ヴェルディ戦(△1−1)…強烈なプレッシングにリズムを壊され、急ぐごとで精度を欠き続ける

 という感じでしょうか。鳥栖戦は相手の素晴らしい守備を誉めるしかなく、あれを崩しきれよ!と言うのは若干酷な印象もあったので割と「しゃーないね」とすぐに切り替えられましたが、大分戦、ヴェルディ戦はともに同じようなゲーム展開になってしまい、それが今の東京が目指すところとは対極にあるサッカーだったので、いろいろと皆さんもやもやしているのかなと。私もそうです。
 大分戦の振り返りエントリの中で、「意図的なスローダウン」という言葉を使いました。あの時は権田の所作・判断を取り上げて「もっと大分のペースを壊すべきだ」と書きました。翻ってヴェルディ戦。立ち上がりからヴェルディが積極的なプレッシングを仕掛けてきましたが、それに対してはロングフィードややや長めの縦パスを使ってヴェルディの布陣を縦に引き伸ばしつつ、次第に横パスも使って横にも引き伸ばしてスペースを作る。そこから前線の4人が空いたスペースを上手く使い、余裕を持って高い位置でボールをコントロールしてゴールへ迫るという展開が理想的。実際前半は、立ち上がりこそプレスの圧力に負けるシーンがありましたが、25分過ぎくらいから上手くパスが回るようになり、34分の田邉のシュート以降は立て続けに東京がチャンスを伺う展開となりました。ヴェルディボランチ2人が攻守の切り替えについていけずポジションがあやふやになって、DF−MFのライン間を上手く使えるようになりましたしね。で、その流れの中でしっかりとゴールを奪いきったわけですから、前半は上々の内容と言って差し支えないでしょう。とすれば、後半は引き続き仕掛けてくるヴェルディのプレッシングを上手く回避しながら、大分戦での教訓から意図的にゲームテンポを落とし、しつこいまでのパス回しで相手の足を使わせた上で、カウンターでの追加点と逃げ切りを同時にはかるような形になれば最高だなぁとハーフタイムは考えていました。
 しかし、後半はまたしても「行ったり来たりが多い」(谷澤)展開になってしまいます。大分戦ほど極端なものではありませんでしたが、東京は「こちらの陣地で奪った後、何本か繋いで相手コートに行くということ」(高橋)ができない中で「前が薄くなっている時に行けちゃうということもあるので、真ん中から一番ゴールに近い距離に行って」(梶山)しまったことで、攻撃が縦一本槍というか忙しない感じになってしまい、急ぐがゆえの単純なコントロールミスや奪われた後のカウンターを浴びる結果になったかなと。対するヴェルディも、「ボールを奪ってもすぐに取られてしまって、逆に相手に攻められてしまった」(河野)ことや「守備に追われる時間が長くなってしまった。攻撃も単調になってしまってドリブル中心になってしまった」(中谷)ことで、カウンターに怖さはありながらも攻撃にリズムがあったかと問われれば、答えはノーだったかなと。つまりは、お互いのチームが「こういう展開の試合は、後半は間延びするものなので、そうなったら自分がボールを持ってスペース使いながら攻めていこう」(菊岡)という意図を体現することができず、行ったり来たりの展開になってしまったと説明することがスムーズなのかと思います。


 では、それを回避するためにはどうしたらよかったのか。ヴェルディは中盤でゲームメイクできる小林が出場停止で不在の中、菊岡まで怪我で交代せざるを得なかった。かつベンチにいる選手の特徴を鑑みれば、おそらくペースダウンしてのサッカーをすることは不可能だったかなと。佐伯が何とかそれを試みようとする意思は見て取れましたがさすがに(その点においては)力不足でしたし、高橋祥平は元来CBなので、その役割を求めるのはそもそも…ですし。なので、マラニョンも早めに入れて前への圧力をさらに高めるという川勝監督の采配は、この試合に関しては妥当性があったと思います。
 対する東京はどうだったか。実はここがこの3試合の停滞を生んだ大きな要因の1つだと思うんですが、東京もベンチメンバーを見渡すと、ナオ、セザー、坂田、永里、北斗と「香車タイプ」ばかり。その上で、ここ最近のパターンとなっている「田邉→ナオ、羽生→永里or坂田orセザー」という交代をすれば、そりゃあ緩急で言ったら「急」の方ばかりが強調されてしまうのは当たり前の話なんですよね。じゃあ、この日ベンチから漏れた選手で緩急の「緩」を強調させられる選手がいるの?と考えてみると…それは言わずもがな。ここ最近「選手交代がワンパターンだ!」「もっと試合の流れを考えろ!」といった類の不満を大熊監督に対してぶつける論調がちらほら見られますが、現状怪我などなく使える選手の特徴を鑑みれば、私はその不満はお門違い、ないものねだりとしか言いようがありません。とはいえ、残り5試合を戦うにあたってこの状況のままでいいはずもなく。そこで私が思いつく、この状況を解消するための手は、「スタメンをいじる」か「はっきりと『前半勝負』のゲームプランを立てる」の2つです。
 今の不動のメンバーと言われるヴェルディ戦のスタメン11人は、結果的に「パスを繋ぐサッカーができる順」の11人でもあるとも言えるでしょう。であるが故に、どうしても選手交代ごとにパスを繋ぐ要素が薄まり、縦に早くなってしまうことが強調されてしまうことは避けられません。もちろん選手交代の工夫(ex:田邉と羽生のどちらかは最後までピッチに残す、梶山を1列上げてボランチを他の選手で補う)で解消できる部分はありますが、それよりは思い切って田邉をベンチに取っておき、そこにスピードタイプの選手(個人的にはセザー)を入れ、イメージとしては城福監督時代の「石川&カボレ」のように片翼(当時石川、現在谷澤)には中でも外でも、高い位置でも低い位置でも仕事ができて、守備面でも期待できるタイプを置いて横幅を確保しつつ、もう片翼(当時カボレ、現在セザー)にはどんどん縦や裏のスペースを狙ってもらい、相手のラインを押し下げることで縦幅を確保できるような形にしてしまい、その潤滑油として羽生に頑張ってもらうという並びがいいのかなと。まあ、セザーだとだいぶ守備が心配なわけですが、そこは高橋を左ボランチに置き、椋原とのセットでしっかり埋めることでリスクヘッジすればOK。
 続いてゲームプラン。シーズン当初に苦しんでいた際、「後半勝負型で徹底すべき」というエントリを書きました。当時は「守備は十分耐えられる」「スタミナ面も問題なし」「スイッチ役は足りている」という3点から、前半はしっかりと耐え、後半相手に疲労が見えて畳み掛けられるところで勝負をかける戦い方がいいのかなと思い、そう書きました。しかし、現在は当然状況が変わっていて、その時間が立ち上がりからなのか途中からなのかはそれぞれ違いますが、ポゼッション主体のサッカーによって前半からペースを握れるようになり、戦い方の転換を図った5/22湘南戦以降の試合展開を見ると、

前半リード  12勝3分1敗
前半同点  5勝3分1敗
前半ビハインド  2敗

 と、圧倒的に前半で主導権を取りきって追加点や逃げ切りに繋げています(前半リードして引き分けた3試合はいずれも先制、前半同点で引き分けた3試合はスコアレス)。繋ぎ倒せる11人でそれができるんですから、先ほど書いたとおり1人縦に早い選手をあえてスタートから置いて、相手に繋ぐ以外の脅威を与えてさらに前半で勝負を決めてしまうぐらいの極端さがあってもいいのかなと感じています。で、後半は田邉、上里、下田などを入れて中盤にさらなる厚みとポイントを置いてマイペースを保つ、その中でさらにナオ、坂田、永里投入で縦への推進力を限定的に増すことでカウンター、追加点の脅威も残す、そういった「自分たち主導」の選手交代で試合を動かせればさらに良いわけですしね。


 そんな御託を並べるまでもなく、次節は高橋、梶山が出場停止、今野はフル代表選出で湘南戦、水戸戦、天皇杯神戸戦まで不在とスタメンをいじらざるを得ない状況となりました。個人的にはその穴を単に埋めるだけではなく、前述したとおり前線にも変化があってもいいのかなと思いますが、どういうスタメンになるか分からないという意味では、今季最も試合前のスタメン発表が楽しみであり不安である、という形になるでしょう。個人的には下田や吉本あたりにチャンスが巡ってくれば…と思うところですが、その時が来ればメンバーシートに書かれた11人+7人を精一杯信じるのみですし、試合が始まってしまえば、全ての判断は選手に委ねられるわけで、選手たちがこの1年で経験してきた喜怒哀楽全てをプレーでしっかりと表現してくれて、その結果昇格、優勝を手に入れてくれると信じて応援しましょう!