続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

有馬記念(G1)

◎ 02.キタサンブラック

○ 14.スワーヴリチャード

▲ 13.ミッキークイーン

△ 06.サトノクロニクル

△ 07.シャケトラ

△ 11.ルージュバック

△ 01.ヤマカツエース

 

 さあ、有馬記念。当ブログも、恐らくこれが年内ラストの更新となります。

 本命はキタサンブラック。なんと言いますか、単純に「勝って終わってほしい」という願いを込めたところも多分にありますが、もし前走のジャパンカップで勝っていたら、本命にしたかどうかわかりません。なにせ、3連勝は過去新馬→500万下→スプリングSしかなく、連勝後の3戦目は鬼門だったので。

 しかし、ジャパンカップは敗れました。しかも、この馬の競馬をしての敗戦だっただけに、陣営は相当期するところがあるはず。オーナー含めて久々に表れたスターホースのラストラン、素直に乗ってみたいと思います。

 が、ここも敗れるとすれば、相手は「フレッシュ」な馬でしょう。ジャパンカップで先着を許した2頭(シュヴァルグランレイデオロ)は、ジャパンカップがこの秋2戦目だった馬。かつ、レイデオロは3歳馬。

 ○スワーヴリチャードはこの秋2戦目の3歳馬。前走アルゼンチン共和国杯の内容は文句なしで、血統的にも今の中山に向いているハーツクライ産駒。▲ミッキークイーンは先行勢のレースとなった前走エリザベス女王杯ミッキークイーン以外の掲示板4頭が、全て3コーナー6番手以内)で、ただ1頭ものすごい末脚を披露。昨年も同じローテからで7人気5着でしたが、昨年よりフレッシュさが活きそうなメンバー構成。差し一発ならこの馬かと。

 あとはフレッシュ枠でサトノクロニクルとシャケトラ、ベテラン枠ならオールカマーの再現を密かに期待している(レースぶり含めて)ルージュバックと、昨年4着で絶好枠を引いたヤマカツエース

 馬券は3連単と逆転を密かに警戒した単勝2点で。

だから

 前半は「必然の」0-2でした。お互いフラットな4-4-2を採用し、立ち上がりは互いに最終ラインまでプレスをかけに行く。それをけん制する意味も込めて、互いに長いボールを蹴り合う。そのターゲットも、東京U-18は14原、神戸U-18は13佐々木とお互い明確。しかし徐々に、確実にゲームは神戸U-18のものとなります。その要因は、タクティクスとフィジカルにありました。

 東京U-18はプレミアリーグEAST優勝を決めた青森山田戦で、10小林と18品田の両CHが極力最終ラインには下りず、3篠原、4長谷川の両CBとで四角形を作り続けるようなイメージでプレーをし、相手のプレスを無効化することに成功しました。

 そんな東京のビルドアップに対し、神戸はしっかりと対案を用意してきます。立ち上がりこそプレスに行きましたが、その後10原、13佐々木の2トップは東京U-18のCBへアタックはかけず、CBからCHへのパスコースを切りながらボールを外に追い出します。

 そうして、東京U-18の両CBがやむなくボールを外側に持ち出す、あるいは6荒川、9吹野の両SBにボールを入れると、そこへは2トップや8船越、11泉の両SHがしっかりとアタックする。そして、その圧力はなかなかのもの。結果、東京はやむなく長いボールを蹴らざるを得なくなります。

 また、長いボールも最終ラインの裏・横をめがけることが多く、どうしても「ピンポイント」狙いになってしまい、神戸U-18の牙城を崩すに至りません。さらに、東京U-18の2トップ14原、13吉田どちらかは裏狙いになり、7杉山、11横山も中へ絞るのか外に張るのか曖昧だったことも相まって、セカンドボール回収争いも、8:2で神戸U-18のものとなります。

 それならばと、東京も2手打ちます。まずは両CHの動き。神戸U-18の2トップが中のパスコースを切りに来て、四角形でのパス交換が上手くいかないのを見て、15分を過ぎるころから、両CH(主に10小林)が最終ラインに下りてパスを受け、3-2の数的優位を作りにかかります。恐らく佐藤監督からの指示ではなく、選手たちが主体的に考えた動きで、かつ個人的には悪くない判断だと思って見ていました。

 しかし、神戸U-18は慌てず騒がず。(神戸から見て)2-3の数的不利も意に介さず2トップは外に追い出す守備を冷静に続けて、外に出たところでしっかりとプレスをかけて、長いボールを蹴らせる。そうなれば、先ほど書いたことの繰り返し。結果、打開策にはなりませんでした。

 同時に、サイド攻撃に活路を見出したい意図も感じましたが、この日はサイドでの1対1、特に右サイドの東京U-18 9吹野、11横山vs神戸U-18 8船越、5本山のバトルで、神戸U-18が圧勝。9吹野、11横山ともに、前半を通して見ても相手を制したのは1度あったぐらい。とにかくスピード負け、当たり負けするシーンばかりで、これはただもう「神戸、ごつすぎるわ!」の一言でした。

 それでも何度か裏に抜けられそうな場面も作りますが、待ってましたといわんばかりに4小林、20右田の両CBがその動きをシャットアウト。特に20右田のカバーリングは秀逸で、試合途中に2人とも2年生だと聞かされて腰抜けそうになりましたが、とにかくGK1坪井を脅かすシーンすら作らせてもらえず。こうして1つずつ攻撃の芽を潰され、東京U-18の攻撃はただただ単調なものにさせられてしまいました。

 片や、神戸U-18の攻撃。野田監督は試合後に、

いつもはサイドの選手が張っているのですが、今日は少しダイヤモンドの形で、中盤の主導権を握りにいき、前半はうまくいったと思います。

 と語りましたが、例えば最終ラインから長いボールが出るシーン、13佐々木が少し下りてきて東京U-18の2ライン間で受ける動きを見せ、そこへ両SHがしっかりと絞って寄ることでパスコースとなる。6谷川、7佐藤の両CHもしっかりと関われるポジションを取る。なので、ボールがこぼれても敵陣で拾えるし、攻撃から守備の切り替えもしやすい。実に理に適った動きを選手たちは見せていました。

 というか、そもそも13佐々木の収まりがものすごくて。特別背が高いわけではありませんが、腰周りがパツンパツン。なので、相手を背負ったプレーでほとんどボールをロストすることがなく、シンプルに落として次のプレーにもいけるし、自分でターンして強引に運ぶこともできるし、とにかく厄介なプレーを見せ続けました。

 13佐々木以外にも5本山、10原あたりはドリブルで複数人をちぎることができていましたし、自陣で東京U-18がなんとかクリアしてスローインになれば、2前川、5本山の両SBから繰り出されるはロングスロー。プレミアリーグWESTをずっとこんな感じで勝ちあがってきたのかは知る由もありませんが、そりゃ最多得点タイ・最小失点も実現できるな、と納得せざるを得ない速さ、巧さ、強さを立ち上がりから見せ付けられました。

 

 東京U-18の失点シーン。1点目は2前川のロングスローを20右田がフリックし、奥から入ってきた11泉がヘディングで流し込む。恐らく東京U-18も警戒はしていたと思いますが、シンプルにその上をいかれたシーンとなってしまいました。

 そして2点目。2つの図を作ってみました。

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 番号と名前は省略してしまいましたが、右CB(3篠原)がボールを持つも前に出しどころがなく、両手を広げながら--おそらく「何で誰も受けに来ないor動き出さないんだよ!」という意味--仕方なくGK(16高瀬)へバックパスした時の選手位置です。

 この時、両CBはもう一度ボールを受けようとして16高瀬とほぼ平行の位置までポジションを下げました。しかし16高瀬はここで、最前線の14原めがけてロングボールを入れます。

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 で、その長いボールはあっさりと跳ね返され、前にいたCHが拾って横にいた味方にパスを入れたところが次の図。東京U-18は前4人の切り替えがやや遅れてあっさりボールより後ろに置いていかれ、2列目もボールに詰めきれず、最終ラインは両CBの2人が残るのみで、後方に広大なスペースを与えてしまいます。

 そこを神戸U-18は見逃さず、すかさず最終ライン裏にボールを入れると、13佐々木が4長谷川の前にしっかりと入り、エリアの中で倒されてPK。これを13佐々木が決めて追加点、でした。

 1つ目の図のシーンで、16高瀬がどのプレーを選んだら正解だったのかは分かりません。もしかしたら、前線の動きが良く見えたのかもしれません。ただ、16高瀬はエリアを飛び出していて、両CBとともに擬似3バックになっていて、両CHを含めれば数的優位になっていた。かつ、両SBはすでにハーフウェーラインを超えていたことを考えれば、私は長いボールを「蹴らされてしまった」と感じています。

 いずれにせよ、神戸U-18のタクティクスを上回れず選択肢を徐々に奪われ、フィジカルに屈して圧力を感じ、その結果余裕のある判断ができなかったことに端を発した失点だと見れば、私はまさに、前半を象徴するような流れだったと見ています。

 

 が、後半。東京U-18は前半の大劣勢をものの8分間で取り返して見せました。

 1点目はPK。ロングスローを受けに入った18品田が20右田に倒されたことにより与えられたものですが、映像で見ると、確かに主審がバッチリ見えるところで、両手で押してしまったのでやむなしでしょう。これを18品田が冷静に決めて1-2。

 そして2点目。このゴールに繋がるプレーを1つずつ切り取ってみます。

1:敵陣でのボール回収

2:狭い間隔でのショートパス

3:相手をボールに引き寄せた上でのサイドチェンジ

4:SB(24草住)のアタッキングサード侵入

5:オフ・ザ・ボールでの引きつけ(10小林が24草住の斜め前に走り抜け、相手を1人引きつけた)

6:1対1での突破

7:エリア内でのニア・ファー同時侵入(14原がニア、13吉田がファー)

 前半はこのどれも、どの1つもできていませんでした、ほぼ。それが、1点差に追いつかれて神戸U-18の選手たちがやや気落ちというか動揺をにじませていたとはいえ、わずか1シーンに全部凝縮させることができた。2枚替えしたとはいえ、その効果が如実にピッチ内に表れるのは(結果論ですが)むしろここからで、少なくとも現場で見ていたときの私には、全く説明不可能な光景が目の前に広がっていたとしか言いようがありませんでした。

 

 遡ってハーフタイム。試合終了後、佐藤監督は選手たちに喝を入れた。と同時に、昨年のJユースカップ決勝(前半0-2から追いつき、延長戦で勝利した)を持ち出して、選手たちの気持ちを前向きにさせた趣旨のコメントを残しました。

 終わってみれば、いろいろな歴史を丁寧に辿れば、それにより「正気を取り戻すこと」ができたことに納得する部分はあります。けれど、そうは言ってもこの15分間で、そこまで切り替えられるものなのか?と考えると…私には無理です(苦笑)。いくら選手たちのコメントをなぞって「追体験」しようとしても、前半のあの内容をいい意味で忘れて、もう一回ネジ巻きなおして残り45分ですべて出し切ろう!というメンタルに自分を向かわせることはできません。

 でも、この日の選手たちはそれができた。だから、後半即座に追いつけたわけです。その証拠というべきでしょうか、後半開始前、2枚替えで投入された24草住(←11横山)、5岡庭(←9吹野)をピッチ内で待っていた残りの選手たちには笑顔がありました。どなたかが記事にもされていましたが、もう切り替えはできていたからこその笑顔であって。私のような根がネガティブ系からすれば、味方なのに「なんなの、バカなの?」と思わずいいそうになるくらい、この時点で気持ちは前を向いていたのでしょう・・・か?やっぱり分からない(苦笑)

 

 試合に戻って。スコアをイーブンに戻した東京U-18は、そのままゲームの主導権も握り返しました。要因は「無為なロングボールを減らしたこと」と「交替策ズバリ」の2つにあったかと。

 先ほど、神戸U-18は2トップがCBにアタックするのではなく、縦のパスコースを切りながら外へ追い出す守り方をした、と書きました。当然これがどハマりしたわけで、後半もその形は変えませんでした。

 それを見透かしたのか、後半増えたプレーがCBの持ち出しでした。もちろんリスクはあります。しかし、ある程度持ち出しても、あるところまでは持たせてくれる。そう判断した3篠原、4長谷川は少しドリブルを入れながらのパス回し、あるいは4長谷川は相手陣までドリブルで持ち運ぶシーンも見せるなどして、神戸U-18の狙いをある程度外すことに成功します。

 その上での、交替によるポジションチェンジ効果。CBの持ち出しにしっかりと呼応した24草住、5岡庭の両SBはパスのクッション役になりながら、敵陣でプレーする回数も増えました。そのクッションを経てパスを受けられるようになった10小林、18品田は徐々にパスの精度も上げながら、神戸U-18守備陣の網の目をついて展開を動かし続けます。

 また、SBから位置を上げた6荒川、右にポジションを移した7杉山もしっかりと攻撃に絡み、特に相手の最終ラインを横に広げる狙いも見せると、14原、13吉田の2トップはより近いところでプレーすることができるようになり、コンビネーションも見えるようになります。そんなショートな展開があっての時々まぶされるロングボールは、前半と違って効果的なものになり、前半以上に惜しいシーンへと繋がっていきました。

 守備に目を移しても、良い攻撃ができていることで全体のポジションバランスが良くなり、攻撃から守備への切り替えも前半とは雲泥の差。特に7杉山は前半目立っていた5本山を粘り強い球際の守備で食い止め、敵陣で奪い返したシーンも1度や2度ではありませんでした。また、24草住、5岡庭の1対1も目を見張り、前が限定され、後ろに安心感を得た10小林は、セカンドボールの回収や読みの利いたインターセプトで守備をより締めてくれました。

 それでも、神戸U-18の圧力を完全に消すには至らず、前半同様力強いプレーで最終ラインを破られたシーンもありました。そこに立ちふさがったのは16高瀬。60分に訪れた1対1のシーンでは現代GKがなすべきプレーを冷静に行い失点を防ぎ、そこから続いたセットプレーも全て跳ね返して、良い流れを手放さなかったことに貢献。最終盤にも1つビッグセーブ。熱く、冷静に、最高峰からチームを支えてくれました。

 そうして迎えたタイムアップの笛。試合は2-2のまま延長戦に決着をゆだねることとなりました。その延長戦。私は16高瀬が試合後に残したコメントに尽きると思います。

Q:3年前と同じ神戸との決勝でしたね。


A:「相手が3年前と同じ神戸さんだから勝てる」という自信はもちろんなかったですけど、神戸さんが3年間積み上げてきたもの以上に、自分たちが積み上げてきたものは大きかったですし、質が凄く高いというのはどのチームに対しても思っているので、必ず勝てると思ってこの舞台に立ちました。

 

引用:J SPORTSプロデューサー 土屋雅史さんの以下のブログより

www.jsports.co.jp

 前半で折れかけた。けれど、ハーフタイムで再度胸を張り、後半で取り戻した。そして、延長戦で結実させた。繰り返しになりますけど、ただただそのメンタリティに敬服するだけです。

 

 終わってみれば、今季私はU-18の試合観戦が5試合か6試合に留まりました。ただ、タイトル3つには全て立ち会うことができた、言わば「いいとこ取り」な1年となりました。さらに青森山田戦、神戸U-18戦は、流れで見ることによってすごく印象に残るものとなりました。

 先週、青森山田に対して自分たちから戦術的に仕掛け、それがものの見事に奏功した。その結果、今週はスカウティングをされて対策を施され、自分たちが土俵際まで追い込まれることになった。「正解がない」のではなく「正解がいくつもある」中、その試合の、その瞬間の正解を見つけ続けなければいけない。だから、サッカーは難しい。

 青森山田戦、神戸U-18戦、ともに最終スコアは3-2。でも、内容は全く違っている。けれど、ともに様々なアプローチを経て、ともに勝利をもぎ取った。だから、サッカーは奥深い。

 今日、私なりに掘ってみた神戸U-18戦。こうやって冷静に振り返ってみても摩訶不思議なところは残りますし、神戸U-18側から見れば、「2点差が一番危ない。ここで締めていこう」とどれだけ肝に銘じて後半に臨んだとしても、まさか8分間で追いつかれるとは思っていなかったはずで。だから、サッカーは恐ろしい。

 そんな、いろいろな「だから」が頭を駆け巡るところですが、難しさも奥深さも恐ろしさも、必然も偶然も、歓喜も悲劇も、何もかも全てひっくるめて、今季を締める言葉を残すとすれば、多分こうなるんでしょう。

 

 

 だから、サッカーは面白い。

ターコイズS(G3)

◎ 02.ワンブレスアウェイ

○ 11.エテルナミノル

▲ 10.バンゴール

△ 12.ラビットラン

△ 03.オートクレール

△ 07.フロンテアクイーン

△ 14.デンコウアンジュ

 

 本命はワンブレスアウェイ。ステイゴールド産駒は「特別戦のマイル」に滅法強い種牡馬で、距離短縮でマイルに変わるのは絶好のローテ。前走府中牝馬SはいきなりのG2挑戦でやや消極的なレースになってしまいましたが、摩擦が減りそうなメンバー構成、逃げ馬不在で内枠から3、4番手につけられればあっさり勝利、ではないかと。

 ○エテルナミノルは昨年7着。しかし、今年よりメンバーが揃っていて、かつ差し決着となった中で3歳、4番手追走からであれば上々の内容。こちらも前走エリザベス女王杯からの摩擦減が見込まれますし、スイスイ先行できるようであれば普通に走ってくれそう。

 ▲バンゴールは距離延長で5走して3着が1度しかないのに対し、距離短縮は4走して3勝2着1回とほぼパーフェクト。もっと言えば、これまで重賞で3走していずれも掲示板外ですが、いずれも距離延長で臨んだ一戦。今回距離短縮で臨むなか、これを書いている時点でなんと10番人気。ここは絶好のねらい目かと。

 △ではオートクレール。東京が[1.2.2.6]に対し、中山は[1.2.2.1]。安定感では中山の方が断然で、今回は東京から中山替わり。ワンブレスアウェイ同様、内枠先行が恵まれそうな印象もありますし、3着ならあっても。

 馬券は以外にオッズつくのでワイドボックスと3連単で。

ワイドボックス ◎○▲

3連単 ◎→○▲→○▲△ 

 

ウイニング・スクエア

 勝利を告げるホイッスルが鳴った数分後。清水ユースが柏U-18に敗れたとの一報が届き、小平グランドは歓喜に包まれました。

 FC東京U-18、プレミアリーグEAST初制覇。その瞬間、選手でもないのに実感が湧かないというか、「イェェェェェェェイ!!!!」とはならず、静かに優勝をかみ締めていました。

 その後、複数のメディアから賞賛の声を含ませた記事が出てきました。そのいずれもグッと来る、読む価値のある内容だったと思いますが、その一方で不満も感じていました。それは、あまりにも試合内容・戦術面に触れた記事がなかったから。

 育成部門は勝ち負けが全てではない部分もあり、机上の空論にもなりがちな戦術面にフォーカスが当たりすぎることが望ましいとは思いません。ただ、迎えた青森山田戦は勝たなければいけない試合。かつ、夏のクラブユース選手権のような短期決戦とは違い、次の相手が決まっていて、1週間しっかりと用意する時間がありました。ならば、その用意を深掘りする記事があってもいいのでは?と私は感じました。

 なので、別に戦術面に明るいわけではありませんが、誰も取り上げてくれないんだったら独断と私見で自分でやるよ!というエントリになります。興味のない方は、ここで戻るボタンかホームボタンを押してくださいませ。

 

 

 皆さんがどう感じていたか分かりませんが、私は立ち上がりから「今日の東京U-18、ロングボール多いな」と感じていました。今季ほとんど試合を見ていないので比較はしづらいですが、開幕節・清水ユース戦を思い出してみると、それは明らかだったかと。

 それを確認すべく、昨日試合の録画を見直し、開始から15分間の「自陣でのビルドアップから攻撃のスイッチを入れるプレーはなんだったか?」をカウントすると、ショートパス4、ドリブル1、ロングパス5とロングボールが最も多くなりました。

 手集計な上に主観が混じったものなので正確なものとは言えませんが、5分に10小林から14原にフィードが渡り、落としたボールを13吉田がシュートを放ったシーン然り、冒頭に書いた14原が抜け出したシーン然り、東京側のロングボールは明確な「意図」と青森山田への確実な「脅威」として、試合を支配しにかかります。

 ただ、ロングボール一辺倒になってしまっては、攻撃が単調になってしまいかねません。また、青森山田も徐々に対応してきたはず。しかし、佐藤監督はしっかりとした手を、チームに施していました。

 

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 青森山田が守備時には4-1-4-1となることは、恐らくここ数試合のスカウティングで想定していた。そして、11中村から始まるプレッシングにはまってしまい、無為なボールを蹴らされてしまうことは絶対に避けたかったのではないか?ここが戦術の発進点。では、11中村のプレスをどう回避するか?その答えが、10小林、18品田の両CHが最終ラインに下りる選択を極力選ばず、3篠原、4長谷川も含めて四角形を保つことでした。

 例えば、11小林が3篠原にプレスをかける。けれど、CB+CHの4人でしっかり四角形を作れてさえいれば、3篠原とすれば前(10小林) 後(16高瀬) 左(4長谷川) 右(9吹野)と4つのパスコースがあり、よほどコントロールを誤らなければここでボールを奪われることはなくなります。

 また、青森山田の10郷家、9佐々木の両IHが11中村に追随してプレスをかけようとしても、上図大きな方の四角形内で東京側が4人対3人の数的優位を確保できていて、9吹野、6荒川をクッション役にしながら、奪われれずにビルドアップできる局面を確保することもできていました。それでもショート、ショートにこだわりすぎてしまうと、いつかはプレスの餌食になってしまうケースも出てくる。そこで必要となったのが、話戻りますがロングボールでした。

 11中村のファーストプレスは東京の狙い通り空転させられるケースが多く、10郷家、9佐々木も11中村に追随して行けばショートパスで繋がれ、自身の後ろのスペースを10小林や18品田、あるいは下りてきた14原や13吉田に使われる。

 ならばと、プレスには行かずにブロック気味に守ろうとしたシーンもありました。が、プレッシャーがなくボールを持てた東京の選手たちは余裕を持って前の状況を確認でき、青森山田の最終ラインの高さが中途半端だった(プレスに行かないのであればやや高い(裏のスペースを与えている))状況も味方して、ロングボールをどんどん入れられ、裏も取られる。

 黒田監督は試合後、「ミーティングで言ったこともトレーニングしたことも(会場の雰囲気に飲み込まれて)真っ白になってしまったら何の意味もない」とコメントしました。冒頭に書いたシーンを含め、黒田監督は盛んに選手たちへ指示を送っていましたが、前半はついぞ修正が効かず。青森山田の選手たちは、私が想像している以上に「どうしたらよいの!?」とパニックに陥っていたと推測します。

 

 やや冗長になってしまいましたが、何を強調したいかというと、この状況を生み出したのは佐藤監督の采配だったということ。

 1つ前のエントリで、「この試合で選ばれる11人は、佐藤監督が示してくれる今季の『総決算』となる」と書きました。3篠原、4長谷川のコンビは鉄板として、センターハーフにU-15深川、むさしでそれぞれ10番を背負った18品田、10小林を並べ、みんながショートパスもロングボールも繰り出せる四角形を作ってゲームを序盤から自分のものにしてみせたのは、見事の一言でした。

 また、そんなロングボールアタックを単なる選択肢ではなく武器とすることができたのは、14原のおかげ。189cmの長身と、身長がグッと伸びる前に培ってきた裏への抜け出しは、ロングボールへの反応に限らず、青森山田の最終ラインを苦しめていました。また、パートナーの13吉田も14原と適切な距離感を保ちながら、積極的なプレーで相手に脅威を与えていました。

 その両脇を固める11横山、7杉山は異なる役割でチームに貢献。11横山はそのスピードを生かしてサイドでの1対1を仕掛けつつも、外から中へ斜めに走り抜けてロングボールのターゲットとなる場面もありました。これが監督・コーチからの指示だったのか、11横山自らの判断だったかは分かりませんが、対峙した青森山田左SBの3佐藤はかなり厳しい対応を余儀なくされました。

 対する7杉山は攻撃では複数人と関わる中でのサイド突破やセカンドボールを拾う点にフォーカス。37分のシュートは決めて欲しかったが、周りといい関わり方ができていたからこそのシーンでしたし、攻→守の切り替えでも貢献度は高かった印象。

 6荒川、9吹野の両SB。立ち上がりはロングボール多用の戦術も相まってオーバーラップを自重し、守備から入ろうという意識が見て取れました。ともに本来はSHの選手で、特長は攻撃にありますが、この日は自陣での「デュエル」でも奮闘。青森山田の7壇崎、9佐々木はほとんど攻撃に絡めずじまいでした。また、徐々に攻撃でも持ち味を出し、特に9吹野は勢いのあるオーバーラップからチャンスを何度か演出。怪我で失った2坂口、5岡庭の不在を嘆かせない、見事なパフォーマンスでした。

 そうはいっても、青森山田のカウンターやセットプレーは脅威になっていてましたが、最後の砦として16高瀬が君臨。ゴールキックが当たり損ないになることしばしば、はご愛嬌で、2失点は喫しましたが、それ以上の好セーブでゴールに鍵を掛けていました。

 

 さて、得点シーンのことを書いていませんでした(苦笑)。

 東京先制。これはもう、18品田のキック精度の高さに尽きます。東京追加点。後半早い時間に青森山田が9佐々木→25瀬尾の交代を行い、8堀をより高い位置に出した5分後のシーンで、中盤でボールを拾った18品田が8堀を振り切ってからのスルーパス。受けた11横山は開始から圧倒していた3佐藤をこの場面も振り切り、見慣れない左足でネットを揺らしました。

 青森山田反撃。これは逆に、それでも高い位置に顔を出していた8堀が見事なドリブルからのシュートを決めました。3篠原に当たってコースが変わって、でしたが、あそこでしっかりと振り切ったことが良かったかなと。

 東京突き離し。決めたのは途中出場の15久保。試合中のピッチレポートで、15久保自らが佐藤監督に練習参加を直訴し、その姿を見た佐藤監督がベンチ入りに足ると判断してこの日はサブに入っていたようですが、まあ見事なシュートでした。皆さん頑張っては以来とシーンなど探して、見てみてください。

 折れない青森山田。60分に怪我でもないのに12飯田→1坪とGK同士の交代を行い、それを合図にはっきりとロングボールメインで攻めるようになっていましたが、この場面もロングボールを10郷家がヘディングでフリックし、裏へ抜けた7壇崎が冷静に決めたもの。青森山田とすれば、この得点(85分)がもう少し早ければ…と悔やまれるところはあったかもしれません。その後もお互いチャンスを作るもネットは揺れず、試合終了。東京が3-2で勝利を収めました。

 

 繰り返しになりますが、高校生年代のゲームにかかる戦術的側面・切り口からの記事は、少なくとも私はほぼ目にすることがありません。

 本来はいつの時代も、ことさら近現代は、サッカー選手にとって「スキル(テクニック)」「フィジカル」「メンタル」「タクティクス(インテリジェンス)」の4要素は欠かせないものだと感じています。日本語に置き換えても、スポーツ選手を賞賛する言葉として「心技体(が揃っている)」がありますが、現代はそこに「頭(頭脳)」を加えなければ、正確な評価はできないとも考えています。

 この4要素(俗っぽく書くとひし形の四角形)は、果たしてプロだけに求めるものでしょうか?私はそう思いません。高校生年代から、特にプロを目指してやっていきたいのであれば、この四角形のどれもおろそかにしてはいけないと思います。

 その目線で言えば、相手のプレスをしっかりと外しながら、長いボールの精度も落とさなかったスキルで、攻守両面での1対1や90分を通したフィジカルで、何が何でも強化って、俺たちが優勝するんだ!たくさんの応援に応えるんだ!J3との並行も何のその、全員でやってきたんだ!というメンタルで、そして、佐藤監督がチームに与えたタクティクスで。昨季とほぼ同じ道のりを経てたどり着いた最終節、この日の東京は納得感のあるゲームで持って、エンディングを昨季とは異なるものに塗り替えて見せました。

 この勝利により得た、もう1試合。皆さんはどう思われているか分かりませんが、私はただただエンジョイしてほしいなと。その先にタイトルがまっていれば、これ以上言うことはありません。

 

塗り替えよう、エンディングを

 

 

 今年の男子サッカー界は、クラブワールドカップ天皇杯を残すのみ。Jリーグは、最終節&プレーオフに多くの悲喜交々を伴って、全日程を終了しました。

 しかし、高校生年代はこれからがクライマックス。かたや、冬の高校サッカー選手権。組み合わせも決まり、「さて、どこを見に行こうか?応援しようか?」と思いを巡らせている方も多いはず。

 かたや、JFAプレミアリーグ。WESTはヴィッセル神戸U-18とサンフレッチェ広島ユースが同じ勝ち点で並んで最終節を迎え、EASTは清水エスパルスユース、FC東京U-18、青森山田高校の3チームに優勝の可能性が残されています。

 そんなFC東京U-18。まあ、今年はほとんど試合を見ることができませんでした。上半期は「見に行かなかった」、下半期は「見に行けなかった」と個人的事情は異なっていますが、ユースカテゴリーを追いかけるようになってから、おそらく一番試合を見ていない年だった気がします。

 そんな私だから、旺盛なことは書けません。けれど、明日迎える最終節に向けて、思うところはあります。そんな思いをダラダラ書き連ねてもいいんですけど、あえてテーマを一つに絞るならば…「選ばれし、11人は?」となります。

 

 2017年当初。今季のプレミアリーグEASTの日程が発表された時、U-18を追いかけている方ならすぐに「ラスト3、昨季と全く同じやん!」となったでしょう。それもそのはず、全18節のうち、第16節がホームで横浜・Fマリノスユース戦、第17節がアウェイで鹿島アントラーズユース戦、そして、第18節がホームで青森山田高校戦。この3節は昨季も今季も、ホーム・アウェイまで含めて全く同じ日程になりましたから。

 よくよく調べると、プレミアリーグは少なくともここ3年、前期の試合の並びを後期もそのままあてる(ホームとアウェイだけひっくり返す)マッチメイクをしているので、試合順が前年と変わらないこと自体は、それほど驚くべきことではないのかもしれません(それより前は面倒なので調べていない)。

 しかし、昨季も今季も第16節の横浜・Fマリノスユース戦は3得点を奪っての勝利。第17節の鹿島アントラーズユース戦は厳しいドロー。そして、第18節の青森山田戦を前にしての順位は2位で、優勝の可能性を残している――足取りまで2年連続でほぼ一緒になろうとは、想像だにしていませんでした。

 

 これは、もっと大きな目線-シーズン全体の流れ-で見ても、同じことが言えることに気がつきました。

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 開幕の清水ユース戦(場所も同じ、味の素スタジアム西競技場)でガツンとかまされ出鼻をくじかれるも、そこから巻き返して勝ち点を積み重ねていく。しかし、青森山田、横浜・Fマリノスユース(ともにアウェイ)に往復ビンタを張られ、前期のうちに3つの黒星を喫する。

 それでも、ネジを巻きなおして迎えた夏のクラブユース選手権で見事優勝を果たし、後期は最終節まで負けなしで突っ走る。秋のJユースカップこそ、昨年は優勝、今年はベスト8と明暗が分かれたが、ちょっとにわかには信じがたい、それこそ冒頭で書いた通り「デジャヴかよ!」と言いたくなるほど、似通った道のりをこの2年間歩んできました。

 

 ここでふと、「2年連続で前期に勝ち点を伸ばしきれず、後期になってエンジンがかかる原因とは、何ぞや?」と考えてみました。が、結構な時間考えたけれど、結局明確な自答を得るには至らず。恐らく「今季、試合を見てないから」に尽きるわけですが、1つ推測できることがあるとすれば、「セカンドチームとの兼ね合い」が挙げられるでしょうか。

 来季どうなるかは分かりません。けれど、今季は昨季以上にU-18組にJ3での出場機会が与え「られてしまった」感は否めず。その是非はちょっと横において、現実として「毎試合メンバーが変わること」を強いられました。

 何を持ってベストメンバーとするかは判断が分かれますが、J3開催がなく、是が非でも勝利が欲しい第1節のメンバーを基準にして、「前節から何人スタメンが変わったか?」を調べてみると、以下のような結果に。

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 前期は、明らかな乱高下状態。こっちからスタートしてあっちに行って、また次の試合はこっちに戻ってきたのにその次はまたあっち。いくらこうなることを想定してやっていると言っても、やはり厳しい部分は生じてしまうと容易に想像できます。

 後期もスタメンが動いていないわけではありません。しかし、例えば9~11節はほぼ同じスタメンだったし、ここ3試合もJ3との兼ね合いがありながら、ほぼ同じメンバーが中核を担うにまで「固定」が進みました。それだけで勝ち点が伸びるほど簡単な世界ではありませんが、やはり前の試合で学んだこと、経験したこと、手ごたえ、反省点、それらをすぐ次の試合に活かせるのとそうでないとでは、選手たちにとっては小さくない差があるとは思います。

 

 そんな中で迎える最終節。昨季のラスト3は、16節・17節と全く同じスタメンで臨んだのち、18節で少しメンバーをいじってきました。結果こそ出ませんでしたが、私は戦術的な理由だったと思っていて、そこに納得感はありました。

 今季。先ほども書いたとおり、ここ3試合(15~17節)はほぼ同じスタメンで臨んでいます。2勝1分と結果も残しています。その一方で、何人かスタメンの変更を示唆するような記事も目にしました。

 ここまで全員で、本当に全員でシーズンを戦ってきました。期待通りにプレーできた選手もいれば、怪我などもあって満足にプレーできなかった選手もいて、周りの期待以上に伸びてきた選手もいるなか、J3も終了し、この1試合に集中できる環境が整った明日の試合。佐藤監督がどんな11人をピッチに送り出すのか、私には予想がつきません。

 逆に言えば、昨季の悔しさをU-18に携わる全ての人が脳裏に、胸に、感情に残した中でスタートし、1年間遮二無二戦ってきた末に選ばれる11人は、佐藤監督が示してくれる今季の「総決算」となるわけで。まずは試合前、スタメンを知るところに1つ注目を置いておきたいと思っています。

 

 そんな11人が、ベンチメンバーを含めた18人が、そして、FC東京U-18が超えるべき、いや、超えなければいけない相手が青森山田。今季が昨季に酷似していることはこれまで書いてきたとおりで、昨季は青森山田の意地にほんのわずか屈し、ハッピーエンドを迎えることはできませんでした。

 けれど今季、エンディングまで同じである必要性は、どこにもありません。昨季とは違い、勝てば優勝…ではありませんが、やっぱり、勝って終わりたい。開幕節の清水ユース戦後、「ついに始まった、真の『掛け持ち』との戦い」というタイトルでエントリをあげました。「終わりよければ全てよし」という言葉は正直好きじゃないし、大人の事情を高校生に繋げることは絶対に良くないこととは知りながらも、掛け持ちを一手に担ってきたFC東京U-18の今季が敗戦で終わってしまうのは、引き分けで終わってしまうのは、やっぱり見たくない。

 舞台は小平グランド。13時キックオフ。勝って、笑って、喜んで。今季こそはハッピーエンドであってほしいと強く願っています。