続々々・メガネのつぶやき

主にFC東京、サッカー、当たらない競馬予想の3本立て。思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

ミリート2発! インテルが45年ぶり欧州制覇−Goal.Com

 ありきたりな表現ですが、試合後すぐに思い浮かんだ言葉は「カテナッチョ」でした。
 カテナッチョと言うとすぐに「ドン引きの守備オンリー」という戦い方と結びつける方がいます。確かにそれも一理ありますけど、マスコミはそういったサッカーを「カテナッチョ」という便利な言葉、しかも一言に集約することで、さもわかりやすく批判(も賞賛も)しているような錯覚を覚えさせます。しかし、60年代に時代を謳歌した「カテナッチョ」という戦術−それを用いていたのが、「グランデ」と呼ばれたインテルであり、その当時の会長がアンジェロ・モラッティ(現会長であるマッシモ・モラッティの父親)である点に歴史の重みを感じる−には、ただ引いて守るだけではなく、あえて相手にポゼッションや主導権を渡して前がかりにさせ、しかしガッチリと引いて作ったブロック内でしっかりボールを奪い、前がかりになって自然と生まれるスペース目がけてカウンターを仕掛ける、いわば「戦術的退避」であり、さらに繰り出されるカウンターには寸分の隙もない組織美とカタルシスがあるとのことで、俗にカウンターとイコールにされそうな「弱者のサッカー」とは全く似て非なる「強者のサッカー」であるという印象を持っています。
 私は同じように引いて守ったバルセロナ戦の雑感においても同じような趣旨のことを書きました。まあ、今思えばバルサ戦での「攻撃の意思がほとんどない」ベタ引きサッカーを強者のサッカーというにはさすがに憚られる部分があるな〜と思うわけですけど(苦笑)、この決勝について言えば、自信を持ってそう言えます。見ましたよね?4バック+2ボランチの適切すぎる距離感やコンパクトさ、だけじゃなくてエトーパンデフの両ウイングまでもがプレスに奔走することを厭わなかったあの守備を。そして、奪ってからの手数をかけずに2、3人で攻め切れてしまうコレクティブな攻撃を。もちろん、このサッカーが欧州を制覇したことに納得いかないというか、いい気はしないという方はたくさんいると思います。ある雑誌において、「スペクタクルに満ちた良質なフットボールを演出していたポルト時代のモウリーニョは、もはやいない」という書き方でその戦い方を否定していた海外ジャーナリストもいましたしね。もちろん、モウリーニョ監督の根底に「攻撃」がないとは絶対に思いません。しかし、思い出してみてください。ポルト時代とは比較できないぐらい、アブラモビッチオーナーから「勝つこと」を求められたチェルシー時代のモウリーニョ監督の戦術ベースが「ハードワーク」と「カウンターサッカー」であったことを。そして、インテルに来てから攻撃的に振る舞おうとするも、諸所の理由で行き詰った場合、もっと言えばとにかく勝利を求めようとした場合、そこに原点回帰したことを。だから、モウリーニョ監督が決勝においてもこの戦術を選択したこと自体、私は何の驚きもありませんし、むしろ私は「やったった!」と思った側の人間です。
 話はカテナッチョに戻りますが、この戦術をイタリア国内のものから世界的なものにしたのは、1960年代に「グランデ」インテルを指揮したアニエレ・エレラだと言われています。それ以降「イタリア=カテナッチョ」と長く言われるようになり、代表もW杯やユーロで栄冠を勝ち取っていきました。しかし、同時にそのサッカーは「サッカーは死んだ」とマスコミに酷評され、また、エレラのサッカーを多くのチームが真似するも、オリジナルを超えることができずに(選手層などを考えれば当たり前なんだろうけど)結局は「弱者のカウンター」と化していったという風に聞いています。そして、昨今のサッカー界はバルセロナ(引いてはスペイン)を中心に再び攻撃にベクトルが向きはじめ、守備的であることそのものを否定したり毛嫌いする人が増えてきたように思います。そのタイミングで、そのエレラが指揮していた時代から数えて45年ぶりにインテルが欧州を制覇したその試合において、イタリア人が1人もいないインテルを率いた異国人(エレラはアルゼンチン人)が用いた戦術が、「Questa è una Catenaccio」といっていいものだったところに、「監督」モウリーニョの凄さと、「人間」モウリーニョのしたたかさを感じて止みません。結果的に、このサッカーを置き土産にできたわけですしね(来季はレアル・マドリー監督就任が濃厚)。私は素直に「おめでとう!」と言いますよ。


 バイエルンについても短く。ポゼッションを貫いたことは、当然でありながらも賞賛に値すると思います。そして、「やっぱりファン・ハールじゃねぇ…」と(私も含めて)言われてしまうような最悪なシーズンスタートを切りながら、自身のポリシーである4−3−3を早々に見切り「ロベリー」を中心とした4−4−2でリズムを取り戻し、グループリーグ最終戦でユーベに4−1と快勝すると、冬には調子の上がらない主力をベンチへ置く、あるいは放出してまでブット、オリッチ、ミュラー、バートシュトゥーバー、コンテント、アラバら当初はバックアッパーであったりユースチームにいた選手を登用して勢いを増していき、終わってみれば準3冠。インテルモウリーニョ以降に微かな(しかし明確な)不安が垣間見えるのに対し、バイエルンは今年がスタート。(何が起こるかはわかりませんけど)リベリも契約延長し、若手はこの経験が必ずや活きるはずで、CLで勝ち抜いたことで得た賞金(約70億円とも言われる)でワールドクラスのCB+ストライカーを獲得できれば、さらに戦えるチームになるでしょう。来季は堂々と「優勝候補」として戦ってほしいと思います。