続々々・メガネのつぶやき

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08−09 その61 マンチェスター・U−インテル

 1stレグをスコアレスドローで終えたチャンピオン同士の対決。昂ぶる興奮を抑えきれずに試合開始のホイッスルを聞いたのですが…。
マンチェスター・U 2(2−0)0 インテル
スコア: 4分 N・ビディッチ(マン・U)
     49分 C・ロナウド(マン・U)


 「事実上の決勝戦」などとも形容されたビッグマッチでしたが、終わってみればマン・Uの強さばかりが目立つ180分間でしたね。この2ndレグに関しても、インテルはほぼ何もさせてもらえなかった印象でした。で、私が一番目に付いたのが「プレスの質が違いすぎる」点でしょうか。端的に言えば、「マン・UはFWがプレスをサボらず、それに後ろもしっかり連動している。さらに、ダミーチェックが少なく、意味のあるコンタクトが多い。かたやインテルは、一部の選手の頑張りばかり目立つ=チームとしてのプレッシングが少ない。」という感じ。
 細かく見てみますと、マン・Uのプレスは、ベルバトフルーニーが相手DFラインに対してしっかりとアプローチし、ボランチが持った時にもしっかり下がってチェックに行っていました。しかし、インテルイブラヒモビッチ(途中から入ったアドリアーノ)が、いったんボールが自分より後ろ(自陣)に抜けた途端、もうプレスをかけるのを止めちゃうんですよね。こうなると、マン・Uはスコールズキャリックの両ボランチがほぼノーマークの状態でボールを捌くことができることで、非常にスムーズな攻撃を展開できますし、一歩遅れてインテルの中盤の選手がマークに入ってきても、そのチェックに行った選手が空けたスペースにギグスベルバトフルーニーのいずれかがスッと飛び込んで、これまたフリーでボールをもらえるわけです。で、すでにギグスらがボールを受けたポジションはアタッキングサードで、インテルのプレスがどうしても後追いになることで守備隊形のバランスが崩れ、ポイントごとに同数、あるいは数的優位な攻撃ができていたことも相まって、自ずとチャンスの数が増えるという流れが(1stレグからそうでしたが)早々に出来上がりました。こうなると、セットプレーでの失点はさて置き、目下セリエAで最小失点のインテルをもってしても、失点は避けられないですよ。
 さらにインテル複数選手に見られたダミーチェックが状況を悪化させた印象。個人名を挙げれば(この試合に関して言えば)主にビエラバロテッリあたりがこの部分での戦犯になるかと思いますが、とりあえずボールホルダーに向かってはいくんですが、コースを消すでもなく、コンタクトプレーに行くでもなく、フラフラっとただ寄っていっていくだけ。それで簡単にボールを叩かれ、自分が空けたスペースを他のマン・Uの選手に使われてピンチになるというシーンが数多く見られました。特に前半3トップの左に入ったバロテッリロナウドのファーストマーカーとしての役割もあったかと思いますが、ほとんど効果的な守備がなかったかと。カンビアッソサネッティが最後までサボらず走り続け、しっかりと体をぶつける守備もできていただけに、余計にダメな部分が目立ってしまった格好です。一方、マン・Uの選手たちは「ぶつかって止める」チェックができていました。たとえそれがファウルだったとしても、攻撃側はぶつかって止められると、次同じシチュエーションになったときに「あ、またぶつかってこられるかも」と思ってボールを離すタイミングが早くなる、あるいは雑になることが往々にしてありますからね。そこを狙ってボールを奪えれば、カウンターにも繋がりますし。この「ぶつかって止める」事は、現代サッカーにおいて相当大事なことだと、私は勝手に思っています。
 その他、(インテルから見て)得点を取られた時間帯が悪すぎるとか、イブラヒモビッチが抑えられたら何にもならない攻撃の脆弱性とか、2試合連続で「抜擢」した選手(1stレグではリバス、2ndレグではビエラ)が全く機能しなかったモウリーニョ采配とかスコア以上の差になった要因はいくつもありますが、終わってみれば「そもそも互角の戦力・チーム力同士の対決、という見方そのものが間違ってたのか?」というほど、明暗くっきりな、一方的な2試合だったというのが正直なところですね。インテルは、イブラヒモビッチのパートナーにルーニーのような選手がいないと、ダメな気がします。