続々々・メガネのつぶやき

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17年Jリーグ観た記 其の47 J1 鳥栖-甲府

 2試合で7失点を許し連敗中の鳥栖。迎え撃つは、残留争い真っ只中の甲府。どちらも勝ち点3が欲しい一戦、勝利を手にしたのは。

 

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短評

 立ち上がり、アグレッシブさを見せたのは甲府。ドゥドゥ、リンスの2トップがサイドに流れ、手数をかけずに2トップにボールを送り、そこへもう1、2人絡んでのサイドアタックが効果を見せる。

 するとわずか8分、カウンターから抜け出したリンスがドゥドゥへパス。これは外へ流れるも、スペースに走りこんできた橋爪が拾ってクロスを送ると、リンスがDFの外側から上手く脚を出して押し込み、甲府が先制する。

 その後も前述したパターンの攻撃が鳥栖守備陣を苦しめる。ただ、フィッカデンティ監督は25分あたりから中盤フラットは4-4-2にしてサイドの守備をテコ入れし、セカンドボールを拾えるようになってやや持ち直すと、35分過ぎからイバルボと吉田の連携から2つ良い場面を作り、45分にはイバルボが幻のゴール(シュート前にファウルがありノーゴール判定)を決めるなど、鳥栖が持ち直して前半は終了。

 後半もいきなりイバルボが号砲を鳴らしてスタート。58分に河野→安の交代で攻守ともに4-4-2にし、さらにギアを上げにかかる。一方の甲府は前半よりやや低い位置でのプレーを強いられるようになったが、2トップのカウンターはより際立つ展開になり、鳥栖守備陣を脅かす。

 ただ、拮抗した試合展開を変えたのはレッドカード。63分、吉田の突破を手で止めた橋爪がこの日2枚目のイエローカードを受け退場となる。この判定は妥当だと思うが、1枚目のイエローカードスローイン時の遅延行為)はかなり厳しいものだったことを考えれば、甲府側は納得がいかない判定だったかもしれない(試合後、テレビインタビューで吉田監督は相当お怒りだった)。

 その直後65分、鳥栖がCKの流れで鄭 昇炫が同点ゴールを決めると、鳥栖は一気呵成に攻め立てる。対する甲府、私は5-3-1、あるいは4-4-1にするかと思っていたが、吉田監督は強気の5-2-2を選択。当然最終ライン前にはスペースが生まれ、連続攻撃を許す場面はあったが、70分にはドゥドゥがクロスバー直撃のシュートを放つなど、一度前を向ければ2トップが一刺しを狙い続ける。

 こうしてお互いが攻めを放棄せず、最後まで勝ち点3を狙いに行くことで試合は白熱したものに。第三者としては、結果的に(特に甲府に)勝ち点が与えられてもいいだろうと見ていたが、勝負の女神は無慈悲にも明暗をつける。

 90+5分、後方からパスを受けたイバルボが上手く前を向いてエリア内に侵入しクロス。これが、CKの流れのまま前線に残っていたキム ミンヒョクに通り、キムが右足を振りぬくと、ボールはDFに当たってネットを揺らし、鳥栖が土壇場で逆転。そして、試合終了。鳥栖が激闘を制して連敗を止めた。

 

MVP:ビクトル イバルボ(鳥栖

 最後まで奮闘したドゥドゥ、好セーブを何度も見せた河田、敗れた甲府の2選手も相当捨てがたいが、存在感抜群だったイバルボを選定。

 90分通して荒木主審と噛み合わず、さすがにそれは可哀想だろう(苦笑)というジャッジにイライラする場面も見られたが、この日はそこで集中が切れず。広範囲に顔を出してボールを引き出し、キープから他の選手を使う場面も、自身で前を向いて仕掛ける場面もあって、相手からすれば守りづらかったはず。

 決勝点のアシストも、そうした複数のパターンを90分間見せてきたことから生まれたもので、非常に素晴らしいプレーだった。ゴールが無くとも、無くてはならない存在である。

 

MWP:小林 祐三(鳥栖

 左サイドの吉田が攻守ともにアグレッシブさを見せ続けたのに対し、右サイドの小林は不完全燃焼。攻撃ではほとんど効果的なプレーを見せられず、守備でも後半にはドゥドゥに対し非常に危険なプレーがあり、判断を誤るシーンもチラホラ観られた。