続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

56.3%

  いきなりですが見出しの数字、何のパーセンテージかお分かりになりますでしょうか?

 

正解は…「今季のリーグ戦における、先制点を奪った試合の勝率」でした(9勝1分6敗)。この勝率を下回るのは、低い順に福岡(37.5%)、甲府、磐田(ともに40.0%)、湘南(45.5%)、名古屋(50.0%)といずれも残留を争っているチームばかり。当然、下位にいるチームですからそうなるわけですが、6敗はリーグワーストでした。また、前半終了リード時の勝率(4勝3敗、勝率57.1%)もワースト3位で、3敗はこれまたリーグワースト。とにかく、「逃げ切れない」結果が明確に数字として残っています。

 では、横(他チームと)の比較ではなく縦(過去の自チームと)の比較はどうか?と思い、Jリーグのデータサイトで調べてみたところ、以下のような結果が出ていました。

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 データサイトで遡れる2000年以降で見ると、今季はワースト2番目の低勝率で、6敗は横の比較と同様ワースト(タイ)。特に近4年は高勝率を誇り、先制した試合での1試合当たり勝ち点も高い数字をマークしていただけに、今季の悪さは余計に目立ってしまっている印象を受けます。

 近4年となると、指揮していたのはランコ・ポポヴィッチマッシモ・フィッカデンティの両外国人監督。ポポヴィッチは攻撃で、マッシモは守備でチームを一枚岩にまとめ、先制点を奪った試合でさらに一押しかけて、あるいは虎の子の1点を大事に守る形でしっかりと勝ち点を奪い続けていました。かたや今季の体たらく。いったい何がそうさせているのか思いを巡らせると…おそらくすべてなんでしょう。

 

 

 例えばフィジカル。先日、こんなエントリを書きました。

re-donald.hatenablog.com

 今季の東京は、とにかく後半の後半に失点が多く、その要因を池田誠剛前フィジカルコーチの指導に求めることは言い過ぎではないのでは?という主旨。篠田監督に代わり、明らかに練習の量・強度は上がったと聞きました。もちろん、ACLがなくなり週1ペースでコントロールしやすくなった部分はありますが、それでも「90分持たない感」を払拭するまでには至っていないと感じています。

 

 例えばメンタル。昨年まで、あれほど「先制したら強かった」チームにいた選手たちが、いきなり今季、先制して追いつかれたとたんにバタバタしてしまう、それどころか、追いついた相手の勢いを食い止められずに逆転されてしまうゲームしかできなくなっています。しかできなく…ってのは言い過ぎかもしれませんが、今季に関して言えば、逃げ切れないことがトラウマ化している、あるいは逆に「逃げ切る成功体験の少なさ」が試合中盤~後半のメンタルにマイナスの影響を及ぼしていると考えるしかありません。

恐らく、事の発端はACLの決勝トーナメント1回戦、対上海上港戦。ホームで2-1と勝利を収め、乗り込んだアウェイでも押しに押されながら90分耐えきるも、アディショナルタイムで失点を喫し敗退を余儀なくされたこの試合で選手や城福前監督が受けたショックは、今思えば私の想像を大きく越えていたんでしょう。その後決して、リードした試合中盤、後半に萎縮してしまって何もできない…というほどではないにせよ、選手一人ひとりの心のなかに、ほんの数パーセントでもトラウマ、あるいは成功体験の少なさから不安が除いてしまっているのならば、その不安が結果にダイレクトに反映してしまっているとするならば…

 

 例えばタクティクス。例に出しやすいので浦和戦を取り上げますが、城福監督時代のアウェイゲーム(622日、●2-3)も、篠田監督に代わったホームゲーム(917日、●1-3)も、「前半から前プレ→カウンター等で先制→でもスタミナ持たない→手を打つも耐え切れず逆転負け」という結果でした。

リードしてある時間に至った後の両監督の采配はそれぞれに色がありましたが、失点しても全く慌てない、ぶれない浦和の攻めに対して、その打った手はハマりませんでした。これ以上やりようがなかったか――残念ながら、ナンセンスな考えも含めていろいろ思いが巡るも結論は出ず、なんとも「残尿感」の残る今日この頃です。そのあたり、先日のホーム浦和戦後にとある方が読み応えのあるエントリを書いていたので、以下に紹介させていただきます。

chono.hatenablog.com

 スカウティング技術の発達が目覚ましい現代サッカー界において、「試合中のアドリブ力」が監督の資質におけるプライオリティの中で上位に来ていることは、認識しておいた方が良いのかもしれません。

 

 例えばスキル。昨日のルヴァンカップ浦和戦。結果はまたしても逆転負けでしたが、私は阿部勇樹那須大亮の両ベテランのスキルに屈した印象しかありません。西川、柏木が代表選出により不在となった浦和は、今季見せてきた攻撃時のバージョンアップ型(極端に言うと、ビルドアップ時に自陣に3人しか残らず、残りはみんな敵陣に入る)を採用せず、いわゆるペトロヴィッチ式4-1-5で挑んできました。

 しかし、西川、柏木不在の影響は大きく、決してビルドアップがスムーズだったとは言えませんでした。また、敵陣に人数をかけなかったことで、東京にボールが渡った直後にカウンタープレスをかけることも少なく、高橋、吉本、田邉、橋本の4枚である程度ボールをコントロール「させてもらえて」いたように思います。その流れを何とか生かして、後半立ち上がりに東がゴールを奪いましたが、そこでスイッチが入ったのか、失点直後から浦和のラインが全体的に高くなり、失った後のカウンタープレスを敢行してきました。

ここで光ったのが阿部と那須。阿部は全体のバランスをコントロールしながら前半以上に的確なボールさばきを見せ、足が止まり始めてきた東京守備陣の網の目をズバズバかいくぐるパスを連発し、常に東京の最終ラインに、後方からですがプレッシャーをかけ続けていました。

そんな勢いで浦和が十重二十重と攻めかかり、しかし何とか東京が耐えて自陣深くでボールを奪っても、襲い掛かってくるカウンタープレス。そして、回避すべく東京の最終ラインから放たれたロングボールに対して、那須がほぼ完勝。前田が相手でも平山が相手でも関係なく、また単純に競り勝つのみならず、ボールの落下点での身体の入れ合いだったり、あえて一度収めさせてから足を出すタイミングであったり、とにかく前を向かせないスキルを存分に発揮し、東京の攻め手を潰せていました。

この時間帯、誰か一人、どこかでボールを収められる選手がいれば…と思いながら見ていましたが、この日の顔ぶれで任せられる選手は残念ながら見当たらず。全員がカウンタープレスにバタバタさせられ、かろうじて前線へボールが入っても概ねつぶされ、セカンドボールへのアタックも不発。今年の浦和戦はすべてそうですが、個々のスキルの差が残酷なまでに結果とリンクしていることは否定できないでしょう。

 

 これらの中で、1つでも改善が見られれば、上向きになれば、負けが引き分けぐらいにはなるかもしれません。2つ3つなら、そのまま逃げ切れていた試合があったかもしれません。もちろん、希望的観測に過ぎない思い出はありますが、今季の東京はこのいずれも突き抜けたものを持てなかった、総じて「力不足」だったシーズンなのだと受け容れるしかない、というのが、今の私の心境です。受け容れ難いけど。

 

 

 でも、それでも、週末に迎える今季4度目の浦和戦で、たとえ結果(=決勝進出)に繋がらないとしても、窮鼠猫を噛む姿を見せてほしい。天皇杯で勝ち上がって、どうか年末まで楽しませてほしい。何より、残りのリーグ戦3試合を消化試合にはしてほしくない。そんな希望をチームに託して、ツイッターで済んだかもしれないぐらいの冴えないエントリを締めたいと思います。御清聴…じゃないや、御拝読、ありがとうございました。