続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

シーズン当初の連戦のツケ、で済ませていいのか?

Q:今、FC東京が勝ち星を重ねられない原因をどこに見ているでしょうか?次の4択から答えなさい。

 

1 攻撃回数(シーズン2位)やシュート数(シーズン7位)ほど結果が出ていないオフェンス

2 被シュート数(シーズンワースト3位)が多く、大事なところを抑えきれていないディフェンス

3 65分以降から急激に失速するフィジカル

4 一枚岩になりきれず、同じようなエラーを引き起こすメンタル

 「おい、『受け容れ難い城福の采配』『3足のわらじ(リーグ、ACL、J3)を履くシーズンだと分かっていながら手当てが不十分だったフロント』って項目がねぇだろ!」という類のクレームは右から左へ流しつつ、また、1~4が複合的に入り混じったからこうなったと言われれば元も子もないのを承知で、さてみなさんはどれを選ぶでしょうか?

 3、4月なら、私は「2」と答えました。しかし、5月に高橋のアンカー起用や前田、羽生らベテランの献身さで底は脱し、ファーストステージ後半は「1」。で、今も「1」は深刻な部分がありますが、ここ数試合を見ると「3」と答える人が多いのではないかと推測します。

 

 今季、FC東京は山崎コンディショニングダイレクターとの契約を更新せず、池田誠剛フィジカルコーチを招聘しました。

www.chunichi.co.jp

 この記事が出た時点(12月29日)ではまだACL出場は決まっていませんでしたが、間違いなくACLへの参戦、それに伴うスケジュールの厳しさを見越した招聘。詳しい経歴は知りませんでしたが、ロンドン五輪で韓国U-23代表のフィジカルコーチとして銅メダル獲得に貢献したことはさすがに知っていて、1月14日に正式発表されて以降、さてどんなコンディショニングを作ってくれるのか、それなりに興味を持って見てきたつもりです。

 が、今思えばケチのつけ始めだったのが、ACLグループリーグ第1節、全北現代戦。ハ・デソンが韓国に入ってからの練習でふくらはぎを痛め出場がかなわず、駒野も試合中にふくらはぎを痛め、肉離れと診断され長期離脱。ほぼ同じタイミングで、複数の選手が同じ箇所を傷めるのは偶然だったのか、必然だったのか?それは推測でしか書けませんが、現代サッカーにおいてこのようなケースが起きた場合、フィジカル部門が責められてもやむを得ないと思います。

 その後訪れた連戦。城福監督以下、J1、ACL、J3との並行を四苦八苦しながらやり続け、ターンオーバーも見せながら、3、4月を戦ってきました。が、いざ連戦が始まって気になったのが「急にor全く使われない選手」の出現。中には戦術的な理由でそうなったパターンもあったでしょうけど、それだけでは説明がつかない事象(選手)も確実にいました。

 シーズン当初からコンディションが上がってこなかったバーンズ、怪我が癒え、片鱗は見せるも長続きしなかったハ・デソン、4月途中に加入後、フィットするまでに相当の期間を要し、今もなお100%とは言い切れないムリキの外国人選手を筆頭に、阿部は第14節から、前田は第16節から急にスタメンを外れ、ともにベンチ、ベンチ外となる時間が増えました。

 今季の東京においてシーズンイン後、クラブから正式にリリースされた怪我人は、全北戦絡みの駒野、ハ・デソン、第4節鹿島戦で負傷した橋本、4月のトレーニング中に怪我を負った中島、5月のJ3で怪我を負った林、そして先日グローインペインと発表された柳の6名。いずれも全治は3週間以上で、それ以外の細かい怪我については、あったかなかったかは知る由もありませんが、クラブからの公式リリースはもちろんのこと、各種マスコミからも聞こえてきません。

 もちろん、どこからを「リリースすべき怪我」とするかはクラブの自由で、全ての怪我・コンディション不良をリリースする必要はありません。しかし、それをしないということは、それを言い訳にはできないことになり、それをしないということは、それを邪推するファンやマスコミがいて、現に今こうやってなにやら疑いの眼差しを向ける人も出てくるわけです。

 

 と、試合前に影響が及ぶレベル(=スタメン・ベンチの選択肢は減る)に留まっていれば、まだ良かったんです。しかし、今はついに、いよいよコンディショニングの不十分さ(と疑っている部分)が試合内容に影響を及ぼすレベルにまできたような気がします。

 今日の川崎戦、試合前の両チームスタッツ紹介で、東京の前後半別の失点が紹介されていました。その数字は、前半が5失点、後半が19失点。さらに、Jリーグ公式サイトのデータで15分刻みの数字を見てみると、以下のとおり。

 0~15分   3失点

16~30分   2失点

31~45分   0失点

46~60分   4失点

61~75分   5失点

76~90分  10失点(うち、アディショナルタイム4失点)

 当然、疲れてくる時間に失点がかさむチームは東京だけではありませんが、総失点数に対する61分以降の失点割合62.5%は、J1ワースト1位。ちなみにワースト2位は名古屋55.5%(36失点中20失点)、3位が鳥栖52.6%(19失点中10失点)で、50%超えはこの3チームのみ。名古屋と鳥栖がどのような理由でこうなっているかは分かりませんが、東京については今、理由を挙げるとすれば「フィジカルとメンタルの合わせ技で、主にフィジカル」という仮説は立てられると思います。

そう思う理由は大きく2つ。まず先日、トーチュウバイル内の記事で池田フィジカルコーチがこんなことを語ったという記事がありました。

第1ステージは連戦が続いたため、つなぎのようなトレーニングしかできなかった。(中略)今週(注:7/7以降)からハードにやると選手には言ってあります。これから巻き返しますよ。

記事を見た瞬間は脊髄反射的に「いやいや、連戦の時にフィジカルをどう維持するかが、あなたの大事なお仕事だったのでは?」と真顔で問い返したくなる内容で、正直ガッカリしました。

が、冷静に考えてみると、つなぎのトレーニングしかできず、シーズン前満タンでスタートしたガソリンがついにエンプティとなったファーストステージ後半、そして、もう一度フィジカルを上げるために負荷をかけ始めているであろうセカンドステージ後半ここまで、判で押したように65分以降走力・持久力が果てていくのは、誰あろうチーム全体の、そしてフィジカル部門の判断によるものだったというのは、言い過ぎではないはず。

と同時に数字は正直で、走行距離のここまでの平均は115.874kmでリーグ4位にもかかわらず、フィジカル面での危うさが、思い起こせばここからだった?と思っているアウェイ浦和戦以降、114.6kmを超えられずにいて、きょうの川崎戦はついに109.2kmにとどまりました。

もちろん、暑さが影響する時期ですし、今日の試合に関しては走る距離を問われる内容ではなかったと思います。けれど、ここまで明確に数字が落ちていることを、ただ「暑いからしゃーない」というところに落とし込んでしまうのは違うと思いますし、走行距離が伸びていかない≒前半から大して走っていないなかで、それでも65分からガクッと来てしまう現象は、フィジカルトレーニングの不十分さを疑うには十分なモノだと感じています。

 

もし救いがあるとするならば、再度負荷をかけ始めた成果が数週間後に現れる可能性がある点だと思います。しかし、今日の結果を踏まえると、降格圏16位湘南との勝ち点差は、わずかに7。当に覚悟していた方が多数だと思いますが、いよいよ全員が残留争いに両足を突っ込んだと認識しなければいけない状況となりました。そんな中、果たしてそこまで、今の東京に猶予は与えられるのでしょうか?

そうは言っても、フィジカルはすぐには上がってこない部分でもあり、一ファンがもがいてもどうしようもないのですが…現状は、もはや待ったなしだと思います。