続々々・メガネのつぶやき

主にFC東京、サッカー、当たらない競馬予想の3本立て。思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

EURO08 準決勝 ドイツ−トルコ

 ついにEUROも準決勝。頂点までは、あと2勝。先に決勝の地にたどり着くのは、準々決勝でようやく目覚めの予感を感じさせたドイツか、はたまた手負いの状況ながらものの見事に勝ちあがってきたトルコか。
ドイツ 3−2 トルコ
スコア:22分 ウール・ボラル(トルコ)
     26分 B・シュヴァインシュタイガー(ドイツ)
     79分 M・クローゼ(ドイツ)
     86分 セミー(トルコ)
     90分 P・ラーム(ドイツ)


 トルコに4度目の歓喜は訪れませんでしたが、出場停止が4人、怪我人が5人、計9人を欠く中でこれだけの試合が出来て敗れるなら、ある意味本望なんじゃないかとさえ思いますね。テリム監督の「トルコはドイツよりも上回っていたと思う」という発言も、ある面ではその通りかと。トルコにしたたかさが足りなかったとは思わないし、決して守備面が大きく破綻したわけではないと思います。けれど、勝ったのはドイツなんですよね。私たちはそれを簡単に「ゲルマン魂、ここにあり」とか「これが伝統国の意地と誇り」と言いますけど、ある意味そういう抽象的な印象に持っていかなければ納得し得ない面が多分に伺える試合だったのかなぁというのが、正直なところです。


 準々決勝で敗れたポルトガルクロアチア、オランダが、いずれも主力は1週間程度の十分な休養を挟んで試合に臨むも、立ち上がりから動きが鈍く、先手を奪われて敗れてしまったことは、私も当ブログでチラッと触れましたし、著名なマスコミ各誌でもそう論じるジャーナリストがいたほど顕著に目立つ出来事でしたが、この日のドイツ(準々決勝から中5日。これまでの中で一番インターバルが空いた)はまさにそのパターン。立ち上がりから積極的に攻めに打って出たトルコに対し、ドイツの選手は身体は重く、心は消極的。全くボールを追えないし、攻め込まれてはズルズル下がるだけ。それでいて、人は足りているのにカバーリングという言葉は放棄され、あげく1対1で全く勝てずに振り切られてフリーにしてしまうシーンばかり。はっきり言って、22分の先制点が2点目、3点目であっても不思議じゃない展開だったと思います。
 けれど、ここでドイツの強さ、「したたかさ」が発動されました。同点ゴールは、先制点を奪いさらに前のめりになったトルコ守備陣の裏のスペースにポドルスキがうまく走りこんで、タメながらドリブルしている間に対角のシュヴァインシュタイガーがスルスルっとエリアに入り込んできて、抜ききらないまま上げたポドルスキのクロスに、シュヴァインシュタイガーがちょこっと合わせるという、言ってしまえば「崩しきっていない」形のものでした。でも、相手からすれば、崩されていないのに点を取られることほど嫌な事はないはず。解説の岡田監督*1は「でも、崩していないんだよね」という発言をしていましたが、それは取られた側が明らかな格上の時に言える話。実力拮抗で1点を争う中で、しかも先制点を奪った直後にこういう取られ方をしてしまうのは、私がトルコ側の人間だったらショックの色を隠せないでいたと思います。実際はトルコの選手にはそのようなそぶりは見られませんでしたが、事実としてすぐに追いつかれてしまったというのは、トルコにとっては痛手も痛手だったんじゃないかなぁと思います。
 そして、この後も一進一退の攻防が…と書きたいところなんですが、実は前半35分ぐらいから後半30分ぐらいまでの記憶がありません。その理由は…寝落ちです(馬鹿)。だって、今週はいつに無く激務だったもので…と言い訳を書くのはやめましょう。なので、国際配信が一時途絶えたことも知りませんでした。なんか音声は変だなぁ、とは思ってましたけど。で、目覚めたのがクローゼのゴール時の久保田アナの絶叫を聞いたとき。何が起こったんだ!と思ったら…リュシュテュがまさかの飛び出しミス。瞬時の判断ミスが即失点につながってしまうGKという職業は、やっぱり難儀だなぁとしか言いようがありません。それを抜け目なくものにしたクローゼの「したたかさ」も誉められるべきでしょうけど、アップになったリュシュテュの後悔の念を浮かべたえも言われぬ顔は、目覚めた直後ではありましたが、相当脳裏に焼きついています。
 で、ここまでトルコが演出してきたドラマ、そして力量を慮った上でなお、私はここで終わったと思いました。その理由は、トルコが「交代による変化・活性化が困難である」状況だったため。冒頭でも書きましたが、9人が出場できない状態で、ギョクデニズ、メブリュトという攻撃的な選手こそいましたが、正直彼らではいわゆる「同ポジションの入れ替えによる運動量の増加」ぐらいしか変化をつけられないんじゃないかという考えだったので、そういう思いにたどり着いたわけですが…そう思ってしまった自分が恥ずかしいぐらい、トルコは誰一人、1%たりとも諦めて無かったですね。同点ゴールはラームの対応の拙さをついてのものですが、それでもあの追い込まれた状況でSBのサブリがあそこまで深くえぐることが出来た、そして、冷静に中の動きを見てクロスを入れることが出来た、さらに、セミーがほぼ角度の無い中でシュートを決めることが出来た、そんな熱すぎるハートとは裏腹な冷静なプレーで綴られた一連の流れは、同点に追いついた以上の結果をもたらすプロローグなのかな?とさえ思わせるものだったかと思いました。岡田監督の「トルコタイム」は、妙に淫靡な響きでしたけど(笑)
 ゴホン。しかし、トルコを終焉に導いたのは、いみじくもここまでチームを苦しめた「怪我」でした。決勝ゴールは、恐らく夕方の民放ニュースショーのハイライトだと「何でラームがあそこまでフリーで進入してきてるの!?」と思われる方がほとんどだと思いますし、簡単なテキストライブでもそういう書かれ方をするかもしれません。けれど、その裏にあったのが怪我。この場面でラームについていたのはカズムでしたが、ラームの切り返しに対応しようとストップをかけた瞬間、(膝か足首かは分かりませんが)明らかに痛めてピッチに倒れこんでしまい、そのフォローに誰も回れなかったためフリーになったもの。仮にカズムがしっかりとマークできていれば…というタラレバをつい言いたくなってしまうほどのシーンで、素直にラームのゴールの興奮することが出来なかったのですが、それでも与えられたシチュエーションを活かしてゴールをもぎ取ったドイツの冷静さ、したたかさ(3回目)は見事としか言いようがありません。そして、最後の最後に得たゴール前のFKをテュメルが大きく外したところでタイムアップ。ドイツが決勝進出を果たしました。


 トルコは、せめて本職のCB(エムレ・アシク、セルヴェト)が使えていればなぁ…とか、ニハトトゥンジャイ、アルダの誰か1人でも使えていればなぁ…という思いはどうしても拭い去れませんが、今残っている手駒の中で見せられる最高の試合を見せてくれたんじゃないかと思います。決して臆病になることなく、決して気持ちで負けることなく、自分達のサッカーをやりきることに集中し、それをほぼコンプリート出来た。けれど、ほんの僅かのツキのなさが、メジャートーナメント初の決勝進出、そしてその先の夢を打ち砕く結果になりました。けれど、何も恥じる必要はないし、下を向く必要はないと思います。今はただ、お疲れ様でした、そして、ありがとうございましたと心の底から言いたいです。
 ドイツ。ここまでを読んだ方は「本当にドイツ勝ったんかいな?」と思っているかと思いますが(苦笑)、それぐらい出来は良くなかった、負けていたって何も驚かない内容だったということです。せっかくポルトガル戦でアグレッシブな、ポジティブなドイツが見られたと思ったらこの内容、「何しとんねん!!!」と活を入れたいぐらいです。それでも、同じような内容の試合をして敗れたグループリーグクロアチア戦と何が違うかと言われれば、「勝負強さ」であり、「したたかさ(4回目)」なのかなぁと。…やっぱり抽象的になっちゃうな〜。まあ、その辺はお詳しい方の分析を待つとして決勝に向けてですが、鍵を握るのは(当たり前すぎますけど)バラックでしょう。正直、今から守備面の改善を図るのは不可能。もちろん、プレスやカバーリングは個々の頑張り、気の持ちよう次第なところがあるのでいきなり良くなっている可能性はありますが、それでも基礎の部分の強さが足りない今大会の守備陣が、スペインにせよロシアにせよ、アタッキングマインドの強いチームの攻撃をゼロで耐えられるとは思えません。であるならば、やはり勝つために必要なのは得点。ボランチに入っているヒツルスペルガーは、徐々に持ち味である長短のパスを振り分けられるようになってきました。両翼のポドルスキシュヴァインシュタイガーは依然好調をキープしていますし、1トップとして使われてからのクローゼは、攻撃の過程に参加するだけではなく、しっかりと結果を残すまでに戻ってきました。となれば、あとはバラックがどれだけ攻撃を仕切れるかにかかってくると思うんですよね。今大会のバラックは、場面場面では際立った存在感を放つことはあっても、全体的な印象は薄いと言わざるを得ません。まあ、「バラックは『生かす』選手ではなく、『生かされる』選手である」という論評もあり、わたしもそれを否定はしませんが、それでもやはりバラックが大仕事をしないことには、ドイツに栄光がもたらされるとは思えません。バラックに足りないのは「ビッグタイトル」。それを自らの手で掴み取れるのか、大いに注目したいと思います。

*1:nanayaさんの「岡ちゃんの言うことが妙に的を得ていて腹立つわー」に大爆笑。やっぱりこの御方、解説者としてのクオリティーはかなり高いですね。