続々々・メガネのつぶやき

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刑事事件は時効撤廃しては如何 - (旧姓)タケルンバ卿日記

 激しく同意。特に、

もちろん「捜査費用がかかるんで」みたいな話もあるでしょうよ。でもそりゃ時効とは別だと思うわけね。ある程度の期間で捜査を打ち切る。これはやむをえない。他に事件もあるわけだし、限られた人員で捜査をしている以上、優先順位というのはありうる。でもそれと罪をチャラにするのは別問題。特に捜査はしないけど、たまたま見つけたら捕まえることができる状態にしておけばいい。捜査打ち切りと時効を分けて考えるべきじゃないかね。

のセンテンスはまさにそうだと思います。また、

でも刑事事件に時効の意義はねえような。犯人側としたら「ウン年逃げ切ったらセーフ」みたいな制度なわけで、犯人の利益になる制度じゃござんせんか。今回のひき逃げにしても5年で時効。5年逃げ切ったらセーフとなりゃ、犯人は必死で逃げる。罪がチャラになるわけですからねえ。一方、被害者側は時効になっても何も解決しない。事件で起きたことが元に戻るわけじゃねえし。つまり加害者のみにメリットがある制度なわけ。被害者にメリットはない。加害者・犯人を守ってどうすんのさ。

 の部分もそう。(私がここで言うまでも無く)日本の刑事・司法制度、そしてマスコミがもつ心情・人権への配慮に対する「加害者>被害者」という構図には虫唾が走ります。今回タケルンバさんが提起した「時効制度」もそうですし、以前このブログでも書いた「刑法第39条(心神耗弱及び喪失)」もそう、もはや体をなしていない「執行猶予制度」 *1や、福岡県で起こった幼児3人が亡くなった交通事故裁判でもクローズアップされた「危険運転致死傷罪適用の壁」の問題もそう、とにかく加害者に甘い制度がのさばっているという印象が拭えず、この手のニュースを聞くたびに心が苛まれてしまいます。「逃げるが勝ち」と言うことわざはありますけど、人を殺しといて、人を傷つけておいて逃げ切ろうってのは論外*2。それこそタケルンバさんが仰っているように、犯罪者には「逃げても無駄」って心理的恐怖を与え続けるようなことは、絶対必要だと思いますね。で、ここからは話がちょっとそれるので畳みます。
 さらに酷いのが、マスコミの被害者に対する過剰なまでの身辺調査及びそれを元にした報道。自分たちがお奉行様にでもなったつもりで、鬼の首を取ったつもりになって加害者を叩きまくることについては「どうぞご勝手に」という考えですが、被害者の深いプライベートの部分を調べた挙げ句にあることないこと並べて勝手にストーリーを作って全国放送して、それを見た私達に何を思えというんでしょうか?もちろん全マスコミが世にはびこる事件・事故を追わないことになってしまったら、それはそれで大混乱でしょう。ますます「やったもん勝ち」という意識が加害者に芽生えかねません。それでも、時々ある行き過ぎた報道を見るにつけ、被害者のプライベートばかり晒され、加害者は顔が隠され「26歳の男」としか報道されない場面を見るにつけ、それであんたらは本当に人権云々語れるんかね?と首を傾げたくなります。加害者の人権を考えるのであれば、それと等しく被害者の人権も考えてあげるのが筋ではないでしょうか?
 で、ここからはさらに話がそれますが、もし私の身近な人が事件に巻き込まれてしまい、マスコミがその人のことについて私のところに様子や人となりを聞きに来たとしても、私だったら絶対に答えません。卒業文集とか卒業アルバムの提供を求められたって、絶対に出しません。だって、私がマスコミの前で語る人となりが、その人を知らない世間一般の人にとっては「全人格」となりうるわけでしょ?ことさらマスコミは「あの人は○○な面(誉める)もあれば、△△な面(貶す)もある人でした」なんて言った場合、意図的に「あの人は△△な人でした(=貶すだけ)」というような編集をしそうだし(全てがそうというわけではないでしょうが)。
 過日、秋田県で起こった児童殺害事件の加害者である畠山鈴香被告の高校時代の卒業文集(畠山被告に対し罵詈雑言が書き連なったものだったようです)を凝りもせずマスコミが入手して取り上げ、それに対してコメンテーターがあーでもないこーでもないとのたまったようですが、実際に畠山被告がそれを見たときにどのように思ったかなんて察することは不可能なわけですよ。その文集が畠山被告の人格形成にどう影響したかなんて分かるわけないんですよ。それに対して、「私はこう思う」という程度の「意見」にとどめるならまだしも、「これはこうです!」と自分の基準だけで「断定」して勝手に騒いでるコメンテーターを見ると腹がたって仕方ありません、誰とは言いませんが。だから、少なくとも私は、コメンテーターにその人となりを判断させる規準を与えることは拒否します、仮に「一言一句あなたの言ったことは全てフラットにオンエアする」と言われても嫌です、ってなわけです。例えその知人が、清廉潔白で非の打ちどころのない人だとしてもね。


 なんだかいろいろ論点が飛んでしまいすみません(苦笑)ただ、全ての話題の要旨としては「今の日本が抱える『加害者の立場>被害者の立場』という歪んだ制度は何とかしてほしい」という点に集約されますので、その点はお取り違えの無いようお願いします。

*1:執行猶予については、法務省が一部改正を検討しているようですが、果たしてどこまでの効果があるのはか不明。まあ、やらないよりはマシでしょうけど。

*2:まあ、そもそも「逃げるが勝ち」の逃げるは「一歩身を引く」というニュアンスに近いわけですが、ここでは言葉のインパクトを重視。