続々々・メガネのつぶやき

主にFC東京、サッカー、当たらない競馬予想の3本立て。思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

(ワ)ア(ルド)カ(ップ)デミー賞

 ロシアの地で行われた4年の1度の祝祭は、フランスの優勝で幕を閉じました。当たり前ですけど喜怒哀楽が様々に散りばめられ、世界中のサッカーファンが、この特別な1ヶ月を堪能したと思います。

 さて、世界中で今日が正式な休みである国がどのぐらいあるか分かりませんが、我が日本は海の日で休み。せっかくなんで、今回のワールドカップで印象に残った人、試合、事柄をアカデミー賞風にピックアップして書いてみます。それでは…The Oscar Goes to!

 

 

メイクアップ&ヘアスタイリング賞  長友 佑都(日本)

 ワールドカップ前に金髪へ大胆イメチェン。日本のSNS上では賛否両論で、私もどちらかといえば「いや長友、なにしてんねん(苦笑)」側の人間でしたが、日本代表の「見てろよ、絶対やってやるからな!」という思いを誰よりも率先して、誰よりも分かりやすく表現する結果となりました。

 しかし、今回分かりやすく髪型で遊んでいた選手は少なかったですね。というか、日本代表で言うところの槙野とか山口みたいな、ワンサイドからズバッと流すやる、多すぎやろ!

 

 

衣装デザイン賞  クロアチア代表 ホームユニフォーム

 昨今、ワールドカップと各大陸の大会とが概ね2年に1回ずつ行われ、ユニフォームもその都度変わることが珍しくない状況。

 今大会に向けても、各メーカーが知恵を絞ってデザインと機能性の良さを打ち出してきましたが、私が一番いいなぁと感じたのがクロアチア・ホーム。クロアチアらしい赤白のチェック柄ながらその一つひとつが大きく、よりシンプルさが感じられながらも、力強さも見て取れるなぁと。前面の番号が中央ではなくやや右胸よりなのもちょっとお洒落でした。ナイキ勢、今回総じてよかったですね。

 次点はアイスランド代表・ホーム(アリーナ製)、ウルグアイ代表・ホーム(プーマ製)、フランス代表・ホーム(ナイキ製)でしょうか。いずれもナショナルカラーを基調とし、余計な装飾といいますか、謎の一癖を施していなくて、スッキリとしたシルエットが特徴的だったかなと。

 一方、アディダス勢は総じて微妙。日本代表の縦線、スペイン、ドイツ、ベルギー、コロンビア代表などの謎の一癖(キザキザとか胸にひし形とか)とか、それいります?的なデザインだったかなぁと。日本代表も、ナイキかプーマにしよう、そうしよう。

 

 

視覚効果賞・撮影賞  戦術カメラ

 今大会、NHKはFIFAから配信された「マルチアングルカメラ」の映像を公式サイト・アプリ内で提供。今まで見たことのあるアングルから、初めて見るアングルまであり、しかもそれがハイライトシーンの数十秒ではなく、1試合丸々好きな視点で試合を見ることができる贅沢さは、今までにないインパクトがありました。

 特に「戦術カメラ」は、さながらゲームをしている、ゲーム画面を見ているかのような印象があり、戦術を「語る」ことが多くなってきた中、戦術野郎にとっては格好の教材となったはず。また、著作権は守る必要がありますけど、いろんな指導者がこの映像を活用できたらいいのかなぁとも。

 個人的には、自分たちが攻撃している時の、自陣最終ラインの選手がどのような予防的カバーリング、マーキングをしているかを見るのが楽しかったです。

 

 

歌曲賞  Seven Nation Army(The White Strips)

 前回のブラジルワールドカップでは、確かゴールセレブレーション時に流れていたと思いましたが、今大会では選手入場時のテーマソングとして全試合で流され、印象的なギターリフに観客が声を合わせて出すシーンは、すっかりお馴染みになりました。

 世界中で選手チャントとしても使われていて、日本では東慶悟FC東京)のチャントもこれですが、今大会のインパクトを受けて、いろんなチームで語呂が合う選手に使われそう。というか、EURO16で全世界に広まったアイスランド代表の「ヴァイキングクラップ」をいち早くパクッた採り入れた某関西のJクラブが、しれっと入場時に使っていたらウケるんですが、果たして。

 

 

脚本賞  「ティキタカ」終焉の始まり?

 今大会において、その「敗北」が世界に大きな衝撃を与えたのは、ドイツ代表のグループリーグ敗退、そしてスペイン代表のラウンド16敗退、この2つになるでしょう。

 ドイツ代表はメキシコ代表にそのボール運びを研究し尽くされ、60%のボール保持、26本のシュートも虚しく、カウンターに沈みました。スウェーデン代表には2-1と勝利したものの、72%のボール保持は、少なくとも前半は全く意味を持たない数字になり、69%のボール保持、90%以上のパス成功率をマークした韓国戦でも、ついぞゴールネットを揺らすまでに至りませんでした。

 そして、スペイン代表。ドイツ以上にボールを保持し、短いパスを繋ぎ、いわゆる「ティキタカ」で相手を凌駕しにかかりましたが、待っていたのはドラスティックな守備ブロック。特にイラン代表は6バックとも言える守備をスタートから見せ、あわや勝ち点1をもぎ取るか?という試合を見せました。

 それでもグループリーグ3試合で挙げたゴールは6つ。5つの失点は一旦さておき、ドイツの2つに比べれば悪くない結果で、しっかり決勝トーナメントに歩を進めます。が、待っていたのはロシアからのジャイアントキリング。さらに、プレーぶり、その実効性の低さから、複数のメディア、解説者から「ティキタカの終焉」が叫ばれました。

 同じパス主体のサッカーでも、いまや世界は「ポジショナルプレー」からのパスワーク、あるいは「クォーターバック型3バック」からのショート、ショート、ロングというパスプレーなど、バリエーションは豊かになってきています。

 その中で、いわば原理主義的な「ティキタカ」の考え方は、時代の潮流にこのまま埋もれていってしまうのだろうか?その答えが見えるまでにはしばらく時間が必要となりますが、描かれるのが継続にせよ終焉にせよ、その脚本のプロローグになる大会だったと言えるのかもしれません。

 

 

作品賞  ロシア2(3 PK 4)2クロアチア

 試合単体で見てもやはり世界最高峰、記憶に残る「作品」がいくつも生まれました。その中で、私が一番エモーショナルだったと感じたのがベスト8、ロシア-クロアチアでした。

 「史上最弱の開催国」とまで揶揄されながら、グループリーグを2勝1敗で堂々と勝ち抜け、スペイン相手にアップセットをぶちかましたロシア。方や、グループリーグから結果も内容も充実したところを見せて勝ち上がってきたクロアチア。これまた下馬評で言えばクロアチア優勢だったかと思いますが、そんなことはどうでもいいくらい、両チームが走り、戦い、鍔迫り合った、素晴らしいゲームでした。

 延長前半でヴィダが勝ち越しゴールを挙げた時点で、この作品はエンディングを迎えてもなんらおかしくありませんでした。けれど、それで終わらなかった。結果的にロシア代表にとって、この歓喜は失意へのカウントダウンスタートだったのは、終わった今でも少し胸が痛むところがあります。

 また、私はこの瞬間、EURO2008のある試合を少し思い出しました。舞台は同じベスト8。クロアチア代表はトルコ代表と対峙し、延長戦に突入。両チームとも死力を尽くし、ゴールレスのままPK戦突入か…と思われた119分にイヴァン・クラスニッチのゴールでクロアチア代表が先制。誰もがこのままクロアチア代表の勝利を信じて疑わなかったと思いますが、トルコ代表が120+2分にセミフ・シェンテルクのゴールで同点に追いつき、その後のPK戦でも1-3でトルコ代表が勝利しました。

 このときのPK戦、ルカ・モドリッチは、イヴァン・ラキティッチはネットを揺らすことができませんでした。今大会でも主力として活躍していた2人が、どこまでこのトルコ戦がオーバーラップしていたかは知る由もありませんが、この試合では2人ともしっかりとネットを揺らし、クロアチアを20年ぶりのベスト4へと導きました。

 まあ、そんなこんないろいろな記憶も甦るほど、そして、両チームに惜しみない賛辞を送りたい、繰り返しになりますが本当に素晴らしいゲームでした。

 次点は…GLセルビア1-2スイス、GLドイツ0-2韓国、ラウンド16ベルギー3-2日本の3試合。セルビア1-2スイスはその試合展開に、ドイツ0-2韓国はその結果に、ベルギー3-2日本は近くもあり、遠くもあった世界との差に、それぞれ心を揺さぶられました。

 

 

監督賞  ディディエ・デシャン(フランス)

 優勝したチームからそのまま選ぶのはあまり好きじゃないんですけど、7試合戦って6勝1分。しかも、試合を経るごとに戦い方が固まっていき、内容も充実していき、相手の戦術を試合中に汲み取ってすぐに選手へ落とし込む柔軟性を見せながら、決勝は大勢が(判官びいきも含めて)クロアチアを応援するぐらいアンチ感も出す、完璧な優勝。いや、強かったです。

 次点はズラトコ・ダリッチ(クロアチア)、ガレス・サウスゲイトイングランド)、スタニスラス・チェルチェソフ(ロシア)でしょうか。西野朗(日本)は…特別賞で。

 

 

助演男優賞  ポール・ポグバ(フランス)

 同じフランス代表ならエンゴロ・カンテでは?と思われる方が多いと思いますが、私はむしろ、ポグバがここまでチームプレイヤーとして機能し、チームを勝たせることができるプレイヤーであったとは!と強く感じてしまいまして。

 その象徴が、準決勝ベルギー代表戦。それまでの試合も、カンテ、ブレーズ・マテュイディらと協働し、強固な守備を中盤で支えてきていましたが、この試合でデシャン監督は、マルーアンフェライニに対してポグバをマンマーク気味に付け、フェライニがクロスに合わせようとエリア内に入っていけば、ポグバも逃がすまじとエリア内に戻りフィジカルバトルを繰り広げます。結果は、ポグバの完勝。フェライニは徐々に存在感を消され、80分に途中交替で退きました。

 また、持ち味であるボックス・トゥ・ボックスの動きも幾度となく見られ、決勝では試合を決める4点目をゲット。前線が攻撃で力を発揮できるようにサポートしながら、中盤では自らのプレーを存分に出し、場面に応じて最終ラインの選手を適切にヘルプする。その仕事を、集中を切らさずにやりきったところは、今大会に限れば助演役として100点だったと思います。

 次点はカンテ(フランス)、マルセロ・ブロゾビッチ、イヴァン・ラキティッチクロアチア)、トーマス・ムニエ(ベルギー)、キーラン・トリッピアー(イングランド)、ディエゴ・ラクサール(ウルグアイ)の7人で。

 カンテ、ブロゾビッチ、ラキティッチは中盤のバランサー兼フィルター役として非常に目立っていましたし、ムニエ、トリッピアー、ラクサールはサイドバックまたウイングバックとして攻守両面でチームの隠れたキーマンになれていたプレーぶりが目に付きました。

 

 

主演男優賞  ルカ・モドリッチクロアチア

 ともすれば、トッテナムでもレアル・マドリーでも、本人は「主役」を演じることを手控えてきたのかもしれません。特にレアル・マドリーには、あの人やこの人がいましたし。

 ただ、今大会のクロアチア代表は、誰がどう見てもモドリッチのチームでした。それはただ単に腕章を巻いているからではなく、すべてのプレーから、すべての立ち居振る舞いから自分がチームをまとめていくんだ!という思いを感じられたから。また、数字で見ても今大会誰よりも長くピッチに立ち、1試合10キロ以上の走行距離をマークしながら、85%近いパス成功率と30回以上のボールリカバリで攻守とも貢献。

 本人にとって、「黄金世代」と呼ばれる仲間たちと組んでワールドカップの頂点を目指す、恐らく最後のチャレンジだったはず。そこで訪れた千載一遇のチャンスを逃がし、その悔しさは計り知れません。また、ゴールデンボール(MVP)が、どれだけの慰めになったのか。それも分かりません。

 けれど、堂々と主演を張り、チームを引っ張り、クロアチア国民どころか世界中のサッカーファンにその勇姿を印象付けたプレーぶりは、手放しで賞賛されてしかるべきでしょう。本当に、お疲れ様でした。

 次点はアントワン・グリーズマン、キリヤン・ムバッペ、ラファエル・ヴァラン(フランス)、エデン・アザール、ティボー・クルトワ(ベルギー)、ハリー・ケイン(イングランド)、デニス・チェリシェフ(ロシア)の7人。

 フランス代表の3人の中では、特にヴァラン。いや、いい選手であることは大会前から分かっていましたが、今大会で現在の世界ナンバーワンCBであることを内外に示したと思います。パーフェクトでした。アザールクルトワは3位に貢献。デ・ブライネは…シティでの活躍ほどではなかったかな?

 ケインはキャプテンとしての役割もこなしながら、6得点で得点王。フランス代表もヤングでしたが、イングランド代表もまたヤング。次のEURO以降も非常に楽しみ。チェリシェフはチーム最多の4ゴールでベスト8に貢献。クロアチア代表戦でのミドルシュートはゴラッソでした。

 

 

最優秀ゴール賞  大迫 勇也(コロンビア戦の2点目)

 おまけに1つ。日本代表の戦いぶりが少なくない日本国民の心に届き、初のベスト8進出に最も近づいた今大会。その鼻緒となった大迫のヘディングシュートが、私の中では最優秀ゴールです。

 このゴールがなく、コロンビア戦をドローで終えていたらどうなったかは分かりませんが、このゴールによりコロンビア戦で勝利したことが、今大会の日本代表の道しるべになったことは疑いようのない事実。「hanpanai」の言葉とともに、4試合楽しませてくれた大迫のゴール、活躍に、ありがとう!