続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

北海道への道

 この間の土日は、珍しく遠出してU-15深川、むさしの応援に行ってきました。合結果はこちらからどうぞ。目指す舞台は、日本クラブユースサッカー選手権(クラ選)。この年代のタイトルマッチの1つで(今年は震災の影響により、8月13日から北海道帯広市を中心に開催)、その関東予選を見に行ってきたわけです。3回戦を勝ち上がればストレートイン(全8チーム)、そこで敗れれば、同じく3回戦で敗れた合計4チームによる9位決定戦で勝ち残った1チームが全国の切符を手にすることができます。土曜日は2回戦。場所は群馬県。当初は電車に揺られて…と思っていましたが、前日になりこちらの方から「レンタカーで行くんですけど、どうですか?」というありがたいお言葉をいただき、ムトウさん(仮)も含めて男3人でレッツゴー。…って言う道中記はどうでもいいですね。はいそうですね。


 まずは11時からU-15深川−AZ86東京青梅。1回戦で強敵三井千葉SCを破った時と同じスタメン11人でスタート。試合は立ち上がりから「攻める深川、耐える青梅」という構図がスンナリと出来上がり、サイドを基点に深川が攻撃を仕掛…ていきたいところでしたが、「ここから先(中)では絶対にやらせない!」という意志統一がしっかりとなされ、かつ、1対1での粘り強さが予想以上だった青梅守備陣を崩せません。というよりは、どうしても最後の最後で崩しきろうとしてパスが1つ多かったり、仕掛けのスピードが上がりきらなかったりと、自分自身で首を絞めていたところもあったかなと。おのずと、攻めきれずに奪われてカウンターというシーンも目立ちましたね。損なこんなで、前半はややノッキング気味のまま終了しました。
 後半。山口監督は頭から7平山、9蓮川の両エースを起用します。話を聞けば、2人とも怪我によるベンチスタートだったようですが、やはり単純に目に付くのはこの2人だ、というのは事前に聞いていたので、彼らの投入で試合の流れがどう変わるのか、興味を持って見始めました。で、ものの数分でその噂には間違いがなかった!と確信。9蓮川は高さがあり、しかし足下の技術もあるため、上でも下でもボールを収められるポストプレーで相手を収縮させることができていましたし、裏への飛び出しもなかなかで、ゴールへ向かう迫力を感じるストライカーでした。7平山は良くも悪くも「規格外」。サイドからボールを晒しながら、しかし一瞬の加速で相手DFを千切ってしまう、引きずれるドリブルはあまりにも野生的で、いわゆる「持ってる」感が尋常じゃない印象しか残っていません。しかし、それ故にと言いますか、変なところでトラップミスしたり、ボールをまともに追わなかったりで、山口監督や親御さんからちょいちょい怒気含みの「コースケ!」が飛んでおりました(笑)
 それはともかく、この2人の投入で攻めに勢いが出た深川が、後半はサイドからフリーでクロスを上げられるシーンが増えます。で、この時間目立っていたのは3山岸。意図的なのかは分かりませんが、後半はとにかく右サイドに人数をかけて崩す攻撃(左は7平山に放任w)が多く、24大熊やボランチの1枚が絡んでボールを回し、機を見たオーバーラップを3山岸が見せて、彼がクロスを上げるというシーンがとにかく多かったですね。前半は雨粒もこぼれる不安定な天気だったのが一転、後半は前橋の酷暑が選手(と見ている私たち)の体力をジワジワ奪っていきましたが、3山岸は最後まで衰えない運動量で常に相手の脅威になっていたと思います。しかし、肝心の決めるところで7平山や9蓮川、11堀川のシュートがことごとく枠に飛ばず、ようやく72分に7平山のシュートが枠に飛びましたがこれは真正面。最終盤は青梅がカウンターの気はいくらか残しつつも、引き分け、PKでもいいという戦い方に切り替え、その厚い壁をどうしても割ることができないままタイムアップ。勝負の行方は、(深川にとっては)2戦連続でPK戦に委ねられることとなりました。
 そのPK戦。ここで1伊東がすばらしい働きを見せてくれました。1回戦もPKだった点は、今考えれば有利だったのかもしれませんが、1人目から読みは全て合っていて、その長身とともに相手に絶えずプレッシャーを与えていたのは間違いないでしょう。深川の5人目を終えて3−3、青梅の5人目が決めれば敗退というシチュエーションに追い込まれましたが、ここでも全く隙を見せることなくゴールマウスに立ちはだかり、青梅5人目のキックを見事ストップ!深川6人目がしっかり決めて迎えた青梅の6人目。ここで、山口監督から1伊東に向かって「お前でPK負けたことないんだよ!」という、メッセージがこもりすぎた一言が飛びました。このタイミングでそれ言うか!?という空気にスタンドは包まれましたが、青梅6人目のキックがクロスバーに直撃し、その言葉は現実となりました。1伊東を囲んで歓喜する深川イレブン&ベンチ。それとは対照的に、涙に暮れる青梅イレブン。PK戦とはこういうものだ、というのは、私もサッカーを見始めてすぐの人間ではないので十分分かっていたつもりですが、改めて目の前で見せられるとなかなかタフだな、と心の中で思いつつ、しかし勝ちは勝ち。1伊東に「いとっち!」コールを送り(親御さん方はそう呼んでいるらしいw)、一緒にシャーをして、前橋総合運動公園を後にしました。
 慌しく移動して、次は敷島公園でU-15むさし−図南SC群馬。と言っても、深川がPKまで延びてしまったため、会場に着いたのは前半アディショナルタイムになるかならないかぐらいでした。で、スコアボードを見たら1−0とリード。後日オフィシャルのレポートを見ると、先制点は34分。その時は「おっ、リードしてる。よしよし。」と思っていましたが、まあ我ながら持ってないなと(笑)
 で、後半。前半の戦いは、後からオフィシャルレポを見ると一進一退だったようですが、後半は立ち上がりからむさしのペース。10佐々木、7高橋のダブルボランチを中心に上手くボールが回り、こちらも右サイドの8下平、19篠原が完全にサイドのイニシアチブを取りきり、46分には8下平のクロスから始まった一連の流れでゴールネットが揺れますが、これは惜しくもオフサイド。しかし、その後も攻めの手を緩めず、押された図南はややイージーなミスが増え始め(度々CBの子から「簡単なことはしっかりやろうぜ!」という喝が飛んでいた)、それがまたむさしのペースを加速させ…という流れに。60分過ぎには図南の選手が2枚目のイエローで退場し、数的有利になったむさしが猛然とゴールに迫り、試合を決める2点を奪いに掛かりますが、まあこちらもシュートだけが決まりませんで。そうこうしているうちに何のタイミングかスイッチか、残り10分を切ったあたりで図南が突如として息を吹き返し、16石原が仕事をしなければいけない展開になってしまいます。これ自体は大いに反省すべき点でしたが、しかし守備陣が集中を切らすことなくしっかりと守りきり、タイムアップ。むさしも3回戦進出を果たしました。どちらも終盤は薄氷を踏むような試合となり、3回戦へ向けて確固たる自身を持って…とまでは言い切れない部分を残しはしましたが、しかし絶対にやってくれるよ!という思いには確信をこめて、再び車で味スタに向かいました。ルーカス、長友、3対0。いやー、気分のいいハシゴになりました(笑)


 日曜。本当は1日引きこもりする予定だったんですが、前日むさしの試合を半分しか見ることができなかったことがどうしても心残りになっていて、悩んだ結果埼玉スタジアム第3グランドへ、U-15むさし−甲府U-15を見に行ってきました。大方の予想は、3回戦で浦和U-15とぶつかるんではないか、というものでしたが、この日の相手はその浦和を6−3で下してきた甲府U-15。どんなチームなのかは知る由もないですが、そのスコアをだけ見れば攻撃してナンボ、というタイプ。その攻撃をある程度受け止めてカウンターなのか、それともこちらも攻撃力をフルに生かして打ち合うのか、その選択も含めて色々考えながら、11時からの試合だった横浜FC−大宮がレベル高!ってなもんで。ちなみに、試合はPK戦までもつれ込んだ結果、大宮が全国の切符を手にしました。
 さて、試合。甲府が前線の7番、10番を中心にテクニックで押し込み、むさしはそれを受け止めた上で浅いラインの裏に長短織り交ぜたボールを入れる手数をかけない攻撃で応酬する形で進んでいきます。それが先にゴールという形になって現れたのはむさし。17分、12山口のパスを受けてラインの裏へ抜け出した19篠原のクロスを32佐藤がシュート。これはGKに弾かれますが再び32佐藤の足下へこぼれると、冷静に状況を判断して左にいた5田宮にパス。5田宮が思いっきり叩いたボールは、DFに当たったんだかポストに当たったんだか、何がどうなったのかよく分からなかったけど(笑)、とにかくゴールに吸い込まれてむさしが先制します。その後もボールの主導権は甲府が握り、テクニックあるなー、上手い回し方するなー、というところを見せながら、しかしやや不安定な最終ラインの裏やギャップをむさしの前線が上手くついて、決定機はむしろむさしの方が多かったという印象のまま、前半終了。
 後半。いの一番のチャンスはむさしが掴み、12山口が決定機を得るも決めきれず、返す刀の42分に、ゴール前で上手くパスを回され、意図的に作られたシュートコースをものの見事に打ち抜かれ、同点に追いつかれます。このシーンは、甲府が1枚も2枚も上手でした。ここからはまさに一進一退。甲府が左サイドに流れる7番を起点にそこからいくつもチャンスを作って16石原を忙しくさせたかと思えば、むさしは10佐々木の突破や、12山口の高さを生かすプレーで相手ゴールに迫り、お互い全く譲らないまま迎えた64分。中盤やや高めのでボールを受けた10佐々木が、スピードの強弱で相手4人を手玉にとって、エリア内で倒されてPK獲得!(倒れ方が上手かった、というのは内緒だよ!w) 期待が高まる中、蹴るのは10佐々木。しかし、真ん中に放ったシュートはGKの足に引っかかりPK失敗…。千載一遇のチャンスを逃します。これで流れが変わってしまうことは、サッカーの試合では往々にしてあること。この試合もそうなって全くおかしくありませんでしたが、むさしの面々は全く下を向くことなく、切り替えて勝利に向けて戦い続けます。それが実ったのが72分。相手陣左コーナー付近で作った2対2の状況、このままでは崩すことが難しい感じでしたが、7高橋が中盤から素晴らしいタイミングのフリーランを見せ、そこにこれまた素晴らしいパスが通り、7高橋はえぐりきって中へクロス。これを受けた12山口が相手GKの横を冷静に抜くアウトサイドショット(オフィシャルレポではループになっていましたが、頭の上を越えたわけではなく、体の横を上手く抜いたシュートでした)でゴールゲット!なかなか言葉だけでは伝わりづらいと思いますが、あまりにも美しい崩しからの得点に、かなり興奮してたと思います。その後甲府が最後の反撃を試み、何度かヒヤッとさせられるシーンはありましたが、そのまま逃げ切ってタイムアップ。見事、全国大会の切符を掴み取りました。
 甲府は、浦和から6点奪ってここに勝ち上がってきた片鱗というか、説得力を持つプレーがいくつもありました。しかし、3点奪われてしまったことも分かるな…というプレーも、残念ながらありました。その点で言えば、「チーム」としての力が上だったのがむさしだったのかなと。16石原、4高田を中心に守備をしっかりできますし、10佐々木、7高橋のところでゲームを落ち着かせることができますし、サイドプレーヤーにはスピードがあり、2トップは高さの12山口と、速さ・動きの32佐藤と補完関係にあって、バランスのいいスタメンだなぁ、と。もちろん、さらにレベルが上がれば、それだけ求められるものは高くなります。この先4回戦以降、そして全国大会でどういう戦い方をするかは分かりません。でも、個々に通用するポイントは確実にあって、そこを前面に出した愚直な戦い方をしてもいいのかなと。まあ、これから1ヶ月ちょっとでいろいろと整理して、悔いを残さないよう全国に挑んでほしいと思います。
 かたや深川は、横河武蔵野相手に1−2と敗戦。9位決定戦に回ることになりました。土曜日に試合を見て感じたことは、ただ一言「荒削り」。山口監督が意図するサッカーをまだ汲み取りきれず、ちょっとしたところで判断が遅れたり、パスがずれたり、ポジショニングが甘かったり、いろいろなところが惜しいなぁ、というのが正直なところ。でも、個々のスキルであったり、(伝わりづらいかもしれませんが)原石感は、個人的には「深川>むさし」でした。1伊東、3山岸、4大西、8渡辺、24大熊、11堀川、7平山、9蓮川と、一目見ただけでバチンと印象に残り、見ていてワクワクさせるプレーをした選手が多かったのは、深川でした。だからこそ、突き抜けるきっかけさえ掴めばものすごいチームになるんじゃないか、そういう期待を抱かせるのかなと。あ、もちろんどちらが良い悪いではありませんよ。個が目立っても正解なのがサッカーであり、組織がしっかりとしていることが正解なのもサッカーなので。どちらからアプローチするのか、それは選手の個性の見極めにより変わってきますしね。
 蛇足が過ぎました。とにかく、彼らならこの苦しい戦いを勝ち抜いて、全国の切符をもぎ取ることはできます。現地へ足を運んで応援することはできませんが、とにかく、ひたすら、真っ直ぐに彼らの勝利を今は祈るばかりです。