続々々・メガネのつぶやき

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【サムライ通信】コンディション不良でも内田篤人が休まない理由−Livedoor スポーツ

 端的に言えば、CHONOさんがブコメで書いたことが全てです。全面丸乗っかりです。ただ、それだけだとあまりにも他人のふんどしが過ぎるので、ちょっと自分の意見も。


 CHONOさんが「日本特有の美化」と書いた部分を文中から拾うと、恐らくこの部分でしょう(違ったらバシッと指摘してください)。

コンディションについて問われると「万全ではない」とはっきりと口にするものの「疲れた」ということはない。たとえ、過密日程を強いられていても、招集された合宿には参加し、起用されれば、ピッチに立つ。


「ピッチに立ったら、体調不良が言い訳にはできない。代表を辞退したいという気持ちもない。呼んでもらったのに行かないなんて、贅沢でしょう」

 競技は違いますけど、柔道で古くは山下泰裕が、記憶に新しいところでは吉田秀彦が足に大怪我を負いながらも金メダルを獲得しました。そんな「美談」はご多分に漏れません。そして、(これは誤ったイメージかもしれませんが)これらに感化された(主に団塊の世代近辺の)指導者は、「これぐらいでへばるな!」とか、「休みたいなんて甘っちょろいこと言うな!」といった「精神論」を、今でもメインタスクとして口にし続けているという印象があります。もちろん、練習は嘘をつきません。また、練習でできなかったことが本番でできるわけがありません。そして、メンタルの部分が極限のレベルの試合においては勝敗を左右する大きなファクターであることも否定はしません。そう考えれば、自分を追い込むことも必要ですし、1分1秒が惜しいと思う気持ちも分からないではありません。
 ただ、だからと言って、休むことはそんなに「悪」なんでしょうか?100%の(甘めに見ても85%の)自分を出せないのにやり続けることが本当に正しいことなんでしょうか?美しいことなんでしょうか?それこそ、休みなく続けることで若いうちに潰れてしまったら元も子もないですし、キッツイなぁと思いつつも無理してさらに調子が落ちる、あるいはひどい怪我を負うなんてことになったら本末転倒なわけですよね?もっと言えば、「ここでこの身が壊れても…」なんていうのはアマチュアリズムの極限であって、自分の身体が資本・商品で、かつそれで飯を食っていることも踏まえれば、「このままやり続けると怪我の心配があるので、今日の練習は休みで(あるいは軽めで)お願いします」とか「今日の調子ではチームの戦力にはなれないので、試合を休ませてください」って言える方がよっぽどプロフェッショナルなんじゃないかと私なんかは思うんです。自分を自分が一番理解している、という意味で。
 内田個人の話で言っても、「ピッチに立ったら、体調不良が言い訳にはできない」というのは正しいと思いますけど、それを繰り返しているうちに今の長く続く不調期に入ったわけですよね?「自分はやれる、やらなきゃいけない」という気持ちと、「もうダメだよ、少し休ませてくれよ」という身体が喧嘩した(そして気持ちを無理やり勝たせた)ことで、「試合中の嘔吐ももはや特別な出来事ではなく」なるぐらいおかしい状態になったわけですよね?そう考えれば、私は今の内田の姿が、今年歩んできた内田の道のりが正しいことだなんて、絶対に思いません。もしかしたら、この苦しい経験を経て、誰が見ても一回りも二回りも成長したと確信できる内田を数年後に目撃するかもしれません。そうなってほしい気持ちも、ゼロではありません。でも、こんな作為的(といったら言い過ぎかもしれませんが)な状況を「試練」とか「乗り越えなければいけない壁」とか言って正当化してしまうことに私はどうしても違和感を覚えるし、こういう話をこうやって「美談」として語るマスコミはどうなんだろう?と思ってしまうわけです。
 結論。これもCHONOさんのブコメと全く同じになってしまうんですけど(このブコメ、そのまま貰いたい(笑))、本人が自らブレーキとアクセルを上手くコントロールできればベストなわけですが、ここはコーチや監督が本人の意に反してでも休ませなきゃダメですよ。里内さん(現・川崎フィジカルコーチ)がいれば、どうだったのかなぁ…。