続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

「偏る」ということ

 今日の「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」は、全米トップ(8000万人とも言われる)の視聴者数を誇る「FOXニュースチャンネル」がいかに保守&右派に強度に偏り、その姿勢で24時間365日放送をし続けることで、多くの国民をコントロールしているか、という視点で描かれたドキュメンタリー映画「Out Foxed」の前編でした。
 FOXグループ(に限らず、世界のメディア)を支配するルパード・マードックという人間が如何に業深いか*1という点もさることながら、メインキャスターの一人であるビル・オライリーの偏った思想や強引かつ高圧的な司会っぷりであるとか*2、「Some People say…」*3や、とにかくダラダラと、延々と、何日も、何ヶ月もかけて自分たちの主張を同じトーンでしゃべり続けるといった報道手法などなど、日本にいては絶対知りえないFOXニュースの姿が流されていました。FOXというと、日本人的には「20世紀FOX」「20世紀FOXテレビジョン」などで製作される映画・ドラマが好評で、「FOX=いいねぇ」みたいに思っている人が多いと思いますが(実際にこの部門はいいと思いますけど)、ニュース部門がこんなんだったとは、正直意外でした。
 まあ、FOXニュースが全部ダメと言うわけではないでしょうし、なかには真実をついたものもあるんでしょうけど、ここまで偏りがあるなかで「Fair and Balanced(公平と公正)」というスローガンを前面に押し出せるその神経は、ちょっと信じられませんね。大きく見れば、CNNやCBSといった左派寄りと言われるメディアとFOXとを見比べて、あなたはどっちの意見を取ります?という話にもなるんでしょうけど、仮に「FOXニュースしか見ない(見ることができない)」環境にある人が、これだけをもって正当な判断ができるかと言われれば、ノーとしか言いようがないですし、それでも「事実をありのままに伝えること」がメディアの仕事だと言うのなら、ここまで極端に偏りがあるFOXニュースが(少なくとも)4大メディアの1つとして存在してはいけないんじゃないの?という気もします。最終的な答えは、来週の放送を見てからですけどね。


 しかし、こういうのを見てから、「マードックがかつてテレビ朝日の株を購入し、テレビ朝日を自身のメディアグループの傘下に収めようとした」という事実を思い出すと、笑いすらこぼれましたよ。「偏り」は「偏り」を好むんだなぁ、ってさ。

*1:その時々のシチュエーションで右派・左派を行ったりきたりして自分に有利な形勢を作るだとか、FOXを立ち上げるためにあっさりとアメリカに帰化したりだとか。

*2:とにかく相手の意見を最後まで聞かずに、自分が負けそうになると「Shut up!(黙れ!)」や「Cut the Microphone!(マイクを切れ!)」などという言葉で討論を強制終了させるなどなど。

*3:FOX側が好まない意見が出た瞬間、「一方ではこういう見方も…」という意味合いのこのフレーズから始まる、FOX側の「意見の押し売り」