続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

立ち返るべき場所

 今日は二本立て。昨日は三菱養和調布グランドへU-14新人戦、U-15深川対三菱養和巣鴨の試合を見にいってきました。ちょうど1年前、U-13新人戦でも深川は優勝(決勝はむさしとのダービー)しており、この世代2年連続の決勝進出をかけての試合でした。深川のスタメンは以下のとおりです。

――――大熊――渡邉――――
柳―――――――――――福田
―――城ケ瀧――渡辺――――
矢崎――野村――岡崎――及川
――――――松嶋――――――

 まず目に付いたのは、深川もビルドアップをしっかりとやっていこうという姿勢。GK松嶋はゴールキックやバックパスの処理においてロングキックを蹴ったシーンが3度あったか?というほどショートパスとスローイングにこだわり、両CBはペナルティエリア幅一杯に広がってボールを受け、SBはそれに呼応してポジションを上げ、ボランチの1枚がCBに加担してビルドアップを始める。前線では主に大熊が引いてボールを受ける役割を担い、ボランチのもう1枚や両SHが上手く絡む、片や渡邉はDFラインに張り付いてポストアップしながら、時折リズムを変えるべく裏へ飛び出す機転を見せる。大雑把に攻撃の意図を書けば、このような感じでしょうか。記憶が確かなら、深川は昨シーズンから、むさしはその一昨シーズンかその前からすでにビルドアップをしっかりとしたポゼッション主体のサッカーにチャレンジしようという意識があったはずですが、トップチームにポポヴィッチ監督が就任し、U-18が上でも書いたとおりトップに倣い、そしてU-15もそれと意を共にする試合を見せられると、こちらもそういう意識付けと覚悟をしなければいけないなと、改めて思ったところです。
 それで、オフィシャルのテキストにはありませんが、立ち上がり20分ぐらいまでは大熊の動きが非常に効果的で、大熊を起点にいくつかおっと思わせるシーンがありました。中盤では城ケ瀧、渡辺の両ボランチがいいリズムでボールコントロールできていましたし、矢崎と柳の左サイドは躍動感があったなぁと。しかし、25分を過ぎると徐々に養和巣鴨が深川のリズムに慣れ始めると、一歩深く守備に入れるようになります。すると深川の攻撃はその一歩に引っかかったり、その一歩を警戒する、あるいはかわしきってやろうとする意識が強すぎるあまりにワンタッチ多くなったり、最後の部分での精度を欠く流れにつながってしまい、ややトーンダウンして前半は終了しました。
 後半。入りは前半終わりの流れを汲んだように見えましたが、深川が先手を打って菱山を投入し、彼のスピードをシンプルに活かす攻撃を展開すると、流れは再び深川へ。しかし、その好リズムは長続きしませんでした。要因は深川、養和巣鴨の両チームにあったのかなと。深川は福田→菱山の交代後、大熊をSHに落とし、2トップを菱山、渡邉のコンビにしましたが、2トップがいずれも裏へ抜けるタイプになり、それに引きずられてチーム全体としてビルドアップ<ロングボールという攻撃が増え始め、やや単調なリズムになってしまいました。その上で、養和調布は前線からしっかりとチェイシングしてロングボールを蹴らせてDFラインがしっかりとはね返す。逆に東京が繋いできた際には大熊の受ける動きと両ボランチのコントロールに対してかなり強くしつこく守備にいってリズムを崩させる守備を遂行。するとこれがどハマリしてしまい、菱山が入って数分間以降の攻撃はほとんど効果的なものを出せなかったのかなと。一方の東京の守備、養和の攻撃はどうだったかというと、こちらも東京の守備が完勝。59分に1度ラインを破られてGKと1対1のシーンを作られますが、松嶋がしっかりとシャットアウトすると、その後は完全にこう着状態に。オーラスに渡邉が自ら得たFKで見事なシュートを見せますが、クロスバーに阻まれノースコア。試合は延長戦に突入しました。
 延長戦。5分ずつで何ができんねん(苦笑)と思いながら、引き続きロングボールに活路を見出すのかなぁ?と思いきや、思い出したかのようにまた細かくパスを繋ぎ始めた深川。前半の5分は養和巣鴨がほとんどボールを保持出来ないほど深川が場を支配して終了し、後半もキックオフボールを下げずに繋いで前に攻め倒す姿勢を見せ付けると、その気持ちが77分、そして80分にゴールという形で実りました。このまま試合はタイムアップ。見事に深川が2年連続の決勝進出を決めました。


 延長戦の前にどういう指示があったかは知る由もありません。ただ、あまり多くのことは出来ない5分ハーフという状況の中で、後半の流れのまま安易に蹴るのではなく繋ぎにこだわったことには素直に敬服です。深川にとってそこが立ち返るべき場所、拠り所であるのならば、すごく頼もしい限りですよ。また、個々で見ても、松嶋のデカさ、矢崎の速さ、城ケ瀧の冷静さとテクニック、大熊のポジショニング、渡邉の勝負強さ、菱山の裏への抜け出し方など、見るべきものがたくさんある学年であることを見ることが出来てなにより。決勝は見に行くことが出来ない予定…でしたが、その予定が幸か不幸かお流れになり、西が丘へ行けることに。ぜひとも連覇する姿をこの目で拝んで、今年1年の弾みにして欲しいと願うばかりです。