続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

2023年 YBCルヴァンカップGL第2節「コンテクスト」

 「戦術的な試合」を経て、今週はYBCルヴァンカップ。グループリーグ突破に向けて勝利が欲しい、けれど、若手選手も試してみたい。アルベル監督がその匙加減をどこに置くのか。そして、起用された選手は何を目指すのか。チームの意思統一が求められる一戦でした。

 

 

 終わってみれば、5-0の圧勝。先週のリーグ戦からスタメン全員を替えた京都に対し、東京は半数程度。その意図を、両指揮官はこう語りました。

アルベル監督

 われわれも日に日に低い位置からのビルドアップに自信を持ってプレーできています。先制ゴールはとても美しかったと思います。先制点が入ったことにより、追加点を取りやすくなり、複数のゴールが生まれたと思います。

(中略)

 リーグ戦でなかなかプレー機会に恵まれていない選手たちが活躍してくれうれしく思います。ペロッチの2ゴール、日本での初ゴールを称えたいと思いますし、熊田(直紀)のプロ選手としての初ゴールも、デビューした西堂(久俊)のことも称えたいです。この間、子どもが生まれた徳元(悠平)がJ1で初アシストをしたことも称えたいと思います。

 

 

チョウ・キジェ監督

 今週はIMD(インターナショナルマッチデー)ということでA代表や五輪代表に選ばれた選手は各チームにいない中、最近、リーグ戦は良い形で終えられていましたが、今日は違う大会ということで自分の中で意味をもってこのメンバーを選んで挑んだ。

(中略)

 今日のメンバーは最後に自分が全部責任を持って決めたことで勝たせてあげられなかった責任はすごく感じていますけど、意味というのは今日勝てる、プラス次につながる形とか、自分たちの裾野や幅を広げることにトライしたかったという意味は、そういうものだと受け取ってくれていいと思います。

 

(いずれも、Jリーグ公式サイト(https://www.jleague.jp/match/leaguecup/2023/032608/live/#coach)から引用)

 置かれたチーム状況は、試合前は異なりました。特定のポジションに離脱者が相次ぎ、リーグ戦ではやや苦しんでいる東京に対し、京都は直近のリーグ戦3連勝。その中で迎えた、ミッドウィーク「ではない」ルヴァンカップ。各世代の代表に数名ずつ輩出する中、直前のリーグ戦からも、直後のリーグ戦へも1週間空くこのカップ戦をどう使うか、どう捉えるかは、リーグ戦でのスタメンチョイス以上に監督の意図が出るだろうな、と私は思っていましたが、チームとしてのレベルアップに個人というスパイスをまぶしたかったアルベル監督に対し、チームへの刺激を与えるための個を見定めたかったチョウ・キジェ監督だったのかなと感じています。

 私なんかは短絡的に「その試合への思考・判断」で見てしまいがちですが、一方でプロスポーツの監督に求められる1つのセンスは「シーズン通して見た時の説得力」だと思っていて。その目線で見れば、この試合への両監督のアプローチは、いずれも十分に納得し得るものでした。

 ただ、話はもちろんここで終わりではなく。アルベル監督が、勝利をにらみつつも臆せず起用し、この試合で活躍した選手をどう展開させていくのか?チョウ・キジェ監督が、今回の結果を受けてどうボトムアップさせていくのか?両チームのファンにとって、各々の目線を保ちつつ、次のコンテクストを楽しみにできるいいゲームだったと思います。

 

 最後に、簡易採点&一言を。採点は点数ではなく「◎>○>△>×」で表しています。

GK 野澤 大志ブランドン △

 後半1つファインセーブがあったが、全体的には守備範囲が狭く、判断が若干甘いところも見られた。

 

DF 長友 佑都 ○

 足元の巧拙はさて置いて、ポジショニングはすっかりアルベル監督が求めるレベルに達した。素晴らしい吸収力。

 

DF 森重 真人 △

 ただキビキビと動いていれば良いってもんじゃないけど、ハツラツとした感じをプレーから感じられず。左CBの方が、やはりやりやすいのか?

 

DF エンリケ トレヴィザン △

 初ゴール&アシストのアシストはお見事。ただ、この日の守備に全幅の信頼は置けず。

 

DF 徳元 悠平 ◎

 ボールを受ける位置、受けた際の冷静さ、オーバーラップのタイミング、いずれも他のSB陣にはないレベルの高さを披露した。無策でこのままカシーフの控えとしてベンチに置いておくのは、あまりにもったいない。

 

MF 小泉 慶 ◎

 IHとしても、2CHとしても安定感しかないプレーぶり。敵陣に顔をのぞかせるタイミング・判断も適切。いつも同じ締めになるが、怪我だけはご勘弁を。

 

MF 東 慶悟 △

 リーグ戦の時ほど相手のプレッシャーは強くなかったが、それでもワンタッチプレーの精度、止める・ターンするの判断は物足りず。

 

MF 松木 玖生 ◎

 代表帰りの疲れも見せず、縦横無尽にプレー。それでいて、足下のテクニックもキッチリ成長していることを示した。ゴール後や試合後の振る舞い含めて、誰がどう見てもリーダーだった。

 

FW 俵積田 晃太 △

 長友とレーンが重なるシーン目立ち、ボールもあまり回ってこず。1度良いドリブルがあったが、この日は鳴りを潜めた。

 

FW ペロッチ ◎

 ストライカーとしての集中力を研ぎ澄ませ、チャンスをものにした2ゴール。ポストプレーもしっかりこなし、監督の期待に応えた。

 

FW アダイウトン ◎

 久々に「カウンターストライカー」としてのスキルを大解放。ただ、松木と冷静にワンツーを決めたシーンなど、猪突猛進だけではなかったところが素晴らしい。

 

MF 塚川 孝輝 ○

 小泉とうまく役割分担し、互いに受けて叩いてを繰り返して京都守備陣を苦しめた。そろそろスタメンでも。

 

MF 西堂 久俊 ○

 ボールを触る機会はそれほど多くなかったが、的確なクロスでゴールを演出。次はミッドウィークだし、もう少し時間をもらえるのでは。

 

FW 熊田 直紀 ○

 リーグ戦で出番を得るためには、もう少し献身性を見せないといけないと思う一方、「俺の仕事?ゴールっす」と周りに思わせる、納得させる立ち居振る舞いは清々しいの一言。今は、後者でいいか。

 

MF 寺山 翼 ○

 ウイングなのかインサイドなのかよく分からない立ち位置を取ったが、結果的に奏功。球際の強さはこれからも。

 

DF 鈴木 準弥 △

 時間が短かったことは考慮するが、何かインパクトを残せたかと言われれば答えは否。中村の怪我を考えると、次のルヴァンカップは恐らく先発だと思うが、そこがラストチャンスか。

 

監督 アルベル ○

 次へのコンテクストは繋いだ。さて、どう発展させられるか?