続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

2023 J1第4節「蟻の一穴?」

 ルヴァンカップを含めたアウェイ3連戦で勝利を収めることができず。怪我や代表招集によりスカッドにいささかの不安もあり、小さくないプレッシャーがのしかかる一戦となりましたが、ホームで躍動する姿を見せられたのか。

 

 

 この日は(開幕戦所用で行けなかったので)今季初めて味の素スタジアムに足を運びました。結果は3-1。危ない時間帯もありましたが、トータルで見ればホクホク顔でスタジアムを後にし、家に帰って「さて、アルベルや選手はどんなコメントを残すのかな~」と待っていたら、そのアルベル監督のコメントは全く予想していないものでした。

Q 試合を振り返ってください。


A 今日の前半について、これまでこれほどまでにひどいプレーをしたことはありませんでした。点を決めてリードした状態で、追加点もとれるような前半でしたが、我々が期待するようなプレーができていたかというと、そうではありませんでした。ボールを持つことに怯えているプレーも多かったですし、全体的にポジションニングも適切ではありませんでした。クオリティの高いミッドフィルダーが3名ほど不在という状況がありますが、それを言い訳にはできません。今日の前半のプレーというのは、改善しなければいけない部分です。ボールを持つことだけがめざしているプレーかというと、そうではありません。私のスタイルの中での重要な要素が、ハイプレスからの素早い攻守の切り替えです。今日は、その部分については良いプレーができていたと思います。すべてにおいて好守の素早い切り替えをめざしているかというと、そうではありません。時には落ち着いて、低い位置からビルドアップして良い形で前進していくことも求めています。ただ、後者については、今日はできませんでした。特に今日の前半は、落ち着いてプレーすることができませんでした。


(F.C.TOKYO FANZONE内「3/12 横浜FC戦 MATCH REVIEW &
INTERVIEW(https://www.fctokyo.co.jp/fanzone/fctokyofanzone/detail/375)」から引用)

 確かに、スタジアムで見ていて前半、アルベルは終始テクニカルエリアに出て、いくつかのプレー(選択)に対して「いや、そうじゃないんだよ!」という気持ちをにじませたジェスチャーをしていました。そして、恐らく満足していないのは左サイドのビルドアップだったのかな?と想像します。
 この日、右サイドはCB木本-SB中村-IH小泉-WG仲川と、キャンプから主力組としてある程度ユニットとしての動き・連携が構築できているであろう人選。かたや左サイドは、CBエンリケ-SBカシーフ-IH寺山-WG俵積田と、右に比べれば即席感否めずの人選でした。
 その差は当然、プレーにも表れます。右サイドは、仲川が相手にとって厄介な位置を取り(取ろうと)し続け、その仲川の動きに呼応して小泉、中村が次の正しい位置を取り(取ろうと)し続けました。かたや左サイドは、エンリケの身体の向きが(私の目には)良くない(と映った)ことで初手のパスコースを読まれてしまう、カシーフと俵積田の関係性において少しズレが見られた、寺山の矢印が相当前向きで――このこと自体は、賞賛されるべきものだったと思いますが――味方からのパスを引き出すような動きは少なかったなど、個もユニットも右サイドほど流麗ではありませんでした。


 ただ、そもそもなぜスタートから森重、塚川を起用しなかったのか?については、いくつかのメディアを見ても明らかにされていません。コンディション面なのか、エンリケ&寺山へのテストだったのか、別の理由があるのか、アルベル監督は口にしませんでした。けれど、コンディション面重視ならむしろ森重、塚川をスタートで起用⇒エンリケ、寺山でフォローの方が理に適っているように思いますし、テストだとしても45分で不合格とするほど悪いようには見えず。ひょっとして、私はここまで左サイドの方にばかり目を向けて書き進めていますが、ともすれば右サイドも含めた全体のボールムーブに怒っているのかもしれません。いずれにせよ、なぜアルベル監督が、自身のチョイスを棚に上げている!と取られかねないような苦言の呈し方をしたのかは、正直よく分らないままです。
 まあ別に、このくらい大勢に影響ないだろう、と思っている方が大半でしょうし、私も、外に見聞きされないところで、アルベル監督がしっかりチームないし個人に自らの意図を伝えていれば問題ないと考えます。ただ、こういった「意図を与しづらい采配」がいくつか積み重なることで結構なダメージになるシーズンを、FC東京でも他のチームでもしばしば見てきたつもりで、この試合がその鼻緒にならないことを秘かに願うばかりです。

 

 さて、次節。相手は名古屋。「2年目に絶対結果残すマン」こと長谷川監督が、やはり名古屋でも2年目にしっかり結果を残しそうなスタートダッシュを決めました。ユンカーを浦和から獲得し、センターフォワードが決まったことで、永井・マテウスをシャドーで起用できる状況が整ったこと、和泉・米本がカムバックし、昨季手薄だったポジションに厚みが増したこと、最終ラインに怪我人がいないことなどいくつかの条件が揃い、スタメンのチョイスはその試合ごとながら、3-4-2-1のシステムは不動で、非常に組織的かつソリッドなチームに仕上がっている印象です。
 名古屋の開幕戦となった対横浜FC戦を見ていないので、4バックのチームに対してどういうプレスをかける、ないしはブロックを敷くかは読み切れないところですが、個人的にまず見たいのが、ユンカーが東京のCBに対してコースを切りながらアタックした後。大半はセンターバックサイドバックのショートパスになると思いますが、ここに名古屋の誰が――シャドーなのか、ウイングバックなのか――間合いを詰めてくるかによって、東京としては次の動き・判断が決まってくる状況になります。この状況判断を間違うと、まんまと名古屋のプレスに引っ掛かり、得意のファストブレイクを食らうことになるでしょうから、ピッチ内の選手たちが素早く、適切に判断してくれることを期待しています。
 東京の攻撃VS名古屋の守備で言えば、やはりサイドの攻防になるでしょう。基本的に、名古屋は自陣では5バックを形成するはずで、東京のウイングと名古屋のウイングバックが1対1でやりあう機会が多くなります。スタメンが仲川なのか、アダイウトンなのか、俵積田なのか、いずれにせよ誰にせよ、まずはこの1対1でより多くの勝利を望みます。そのうえで、サイドバックがどれだけフォローできるか、という流れになるでしょう。
 昨季の豊田スタジアムでの試合は、「ボール保持側が負ける」典型例のような展開になってしまいました。今回は、アルベル監督が自ら主張した「ハイプレスからの切り替えだけじゃないし、ボールを保持するだけじゃない」チームの姿を、是非とも見せてもらいたいものです。

 

 

 最後に、横浜FC戦の簡易採点&一言を。採点は点数ではなく「◎>○>△>×」で表しています。

GK ヤクブ スウォヴィク ◎
 大決定機を三度ファインセーブ。特に3つ目の、片膝ついてしまったところからのセカンドエフォートはとんでもなかった。改めて、チームを勝たせることができるGKだなと。


DF 中村 帆高 ○
 アシストを決めたシーンは100点満点。それだけに、怪我による早々の交代が惜しまれる。長引かないことを願うばかり。


DF 木本 恭生 ○
 今季ここまででは、ベストパフォーマンス。ようやくエンジンがかかってきたか。


DF エンリケ トレヴィザン △
 守備は安定も攻撃は今二つ。球足の速いパスは魅力だが、コースを限定されやすいボールの置き方、身体の向きは、要改善に映る。


DF バングーナガンデ 佳史扶 △
 厳しいボールが多く、俵積田をプッシュアップするため…という動きもあったが、相対的には敵陣で存在感示せず。


MF 東 慶悟 ○
 持ち味が出やすい試合展開、チームのテンションではあったが、アグレッシブさは好感。でも、これならインサイドハーフなんだよなぁ、今のチームにおいては。


MF 小泉 慶 ◎
 初めてスタジアムで見たが、かゆいところに手が届きまくるし、痛まないよう予防する動きも抜群。普通に、A代表に呼ばれても全く驚かない。


MF 寺山 翼 △
 松木に求められている役割のうち、敵陣でのプレーの方をやろうとする意図はバチバチに感じられた。精度に難はあったため評価は△としたが、その心意気や良し!とは言いたい。

 

FW 仲川 輝人 ○
 スキを見逃さなかったゴールはもちろん嬉しかったが、神出鬼没で捕まりづらい仲川の良さをようやく見て取れたのが、さらに嬉しかった。イケイケ、ドンドン。


FW ディエゴ オリヴェイラ ◎
 芯の強いポストプレー、献身的な守備、熱い魂、2ゴール。Que beleza!Diego!


FW 俵積田 晃太 ○
 ストライドの大きい、スケール感のあるドリブルに、早速世の中の注目が。アダイウトンといい競争をこの後も続けてほしい。


DF 長友 佑都 ◎
 アクシデントによる途中出場で、さらに試合中に右⇒左の移動もあったが、難なく対応。安定した守備のみならず、素晴らしいクロスでゴールも演出。私は、FC東京に戻ってきてからベストだったと断言したい。


DF 森重 真人 ○
 なんだかんだ言って、チームに安定と安心はもたらせる存在。長期離脱のないよう、コンディションには細心の注意を払っていただきましょう。


MF 塚川 孝輝 ○
 今季ここまででは、ベストパフォーマンス。アピールしがいのある状況に置かれているが、プラスをどんどんもたらしてほしい。


FW アダイウトン △
 時間が短いこともあったと思うが、やや淡泊なまま入り、淡泊なまま終了した。


FW 荒井 悠汰 △
 ある意味望外な出場機会。気持ちがこもっていたのは伝わったが、やや空回りに終わったか。


監督 アルベル △
 試合中のやりくりはお見事。一方で、本文でも書いたとおり試合前の判断はいささか肯定しづらい。