続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

Choice of Tokyo

 FC東京の沖縄キャンプが終了しました。そして、気が付けばJ1開幕戦まであと10日。時が経つのは早いものです。

 

 さて、一つ前のエントリ(https://re-donald.hatenablog.com/entry/2022/01/28/182655)の結びに、こんな一文を書きました。

今日はいわゆる4-2-3-1を前提としていろいろ書いてきました。ただ、文を進めていくうちにどんどん「待てよ、これ4-3-3の方がハマるんじゃないか?」とか、「内田はサイドハーフ!って前に書いたけど、このタスクならサイドバックでもイケるんじゃないか?」とか、「長友、ウイングで勝負させてみたいな」とか、別の妄想も湧いているところ。特に「長友ウイング説」はそうとうアリだと思っていたりしますが、それはまた別の機会に。チームにはその姿で、クラブにはその声で、どんどん素人ファンの妄想を掻き立ててもらいたい!と結んで、本日はおしまい。

 その後のyoutubeでのトレーニング動画、「F.C. TOKYO FANZONE」にアップされた監督・選手のコメント、記者・ライターさんの記事を見聞きすると、あくまで静的立ち位置にはなりますが、どうやら開幕時は中盤逆三角形の4-3-3を採り入れる可能性が高そう。私も前回の結びでちょっと触れたとおり、4-3-3の方がハマるのでは?と思い始めていたので、今日は4-3-3をベースに開幕戦へのイメージを妄想してみたいと思います。



 まず注目は、サイドバック。これまでのイメージをベタに書くなら、「右:中村、鈴木、岡庭」「左:小川、長友、バングーナガンデ」となります。しかし、渡邊が

Q、本来、中盤のポジションでのプレーが多かった中で最近はサイドバックをやってみて、ほかの選手にはない強み、長所はありますか。

A、おそらくですが、サイドバックのみをやってきた選手よりボールを失う回数が少なかったり、視野は広いと思います。相手との駆け引きの面も含めて、そこは長所かなと思います。



Q、現在サイドバックでの出場が多い中、より前のポジションで勝負したい希望はありますか。

A、元々、前線で出たいという欲はありません。良くも悪くも、自分がどのポジションが適正なのかというのもよくわかっていないので、自分の中でどこのポジションが好きとか嫌いとかはありません。自分はアルベル監督から与えられたポジションを全力でやるだけです。



(F.C. TOKYO FANZONE 2/5 練習試合後インタビュー(https://www.fctokyo.co.jp/fanzone/fctokyofanzone/detail/94)から引用)

 とコメントしたり、2月5日のトレーニングマッチ動画では鈴木が左サイドでプレーしていたりと、これまでのイメージにはない選手配置がなされる可能性が出てきました。こうした、アルベル監督がある種大胆な振り分けをしようとする意図を想像すると、1つ思い浮かぶ点があります。

 

 それが、「『ダイヤモンド』を意識する立ち位置」の植え付け。キャンプ中、複数の選手から「ビルドアップ時、中盤の選手がセンターバックの間にあえて下りずにプレーすることを今は要求されている」という類のコメントが聞かれました。また、ライターさんの記事においても、いくつかそうした記述が見られました。

 かつて、グァルディオラ監督がバルセロナで名を上げた際、セルヒオ・ブスケッツを両センターバックの間に下ろし、両サイドバックを高い位置に押し上げて…というビルドアップの形が注目を集めました。「サリーダ・ラボルピアーナ」とも表現されるこの形は今も多くのチームが取り入れていますし、今後戦術の浸透が進めば、東京でも用いられるでしょう。一方で3バック(化)は、サイドバックインサイドハーフの立ち位置次第ではやや自陣に重心がかかって後ろが重たくなるケースがあり、3バック(化)に対する守備の仕方も年々進化していることも踏まえると、安易な3バック(化)はむしろ自陣でのリスクを増やす、という見方もあります。

 このメリット・デメリットを天秤にかけるなかで、例えば3トップ以外の選手が「トライアングルではなくダイヤモンドを常に作るような立ち位置を取る」ことを主原則、「両サイドバックは内側に絞り、アンカーと横並びになるか、むしろちょっとアンカーより前にポジションを取る」を準原則としながら、常に数的優位を確保したうえで相手のファーストプレスを回避して前進していくことを、アルベル監督はまずチームに落とし込みたい、と見るのは無理筋ではないと思います。

 こうなると、サイドバックに求められるタスクはもはや利き足云々の次元を超えたところと言いますか、右で使われようと左で使われようと、自分が立つべき位置に応じて自身の利き足と相手の立ち位置を意識した身体の向きでボールを受けて、置いて、捌く、あるいはターンする、というアクションができるか?が勝負になります。もちろん、敵陣でのプレー、特にクロスにおいては利き足のサイドにいた方がやりやすいでしょう。しかし、クロス自体もアーリークロスやセンタリングといった浮き球よりも、今風に言うところのポケットに侵入してのプルバックなどグラウンダーのボールが主体となるならば、利き足側のサイドにいないデメリットは、多少軽減されるはず。

 ここまでを踏まえれば、右利きだから右、左利きだから左…と概念を固定するのではなく、個々の選手特性およびその組み合わせによる好影響がどうすれば最大化されるか?という視点は、至極当たり前のものに感じます。そして、選ばれた選手が与えられたタスク――もちろん守備面も含めて――を十分こなせるのではれば、右渡邊・左小川でも、右長友・左中村でも、右内田・左鈴木でも正解になりうるのではないでしょうか。アルベル監督が、どういう意図で、誰を選ぶか。楽しみで仕方ありません。



 さて、この「トライアングルを超えてダイヤモンドを作る」説が合っているとするならば、中盤の選択は逆三角形とするのが自然な流れになるでしょう。正三角形(2センターハーフ+トップ下)の形から攻撃時に逆三角形に可変することもできますが、サイドバックが割と大胆に可変する必要があるなかで中盤にまで可変を求めると、ちょっと統率が取れない印象を受けるので。というわけで、次の注目は中盤。

 アンカースタイルは、ルヴァンカップ制覇という成果を残した一方、ファーストチョイスとして定着するほどの浸透には至らずに終わりましたが、長谷川健太体制下でも一定期間取り入れられました。よって、選手たちも多少の素地があるなかで、今よりその理解を深める作業に取り組んでいると思われます。

 では、単刀直入に誰がアンカーとして信頼されるか。トレーニングでは青木、三田、森重、平川あたりが選択肢となっている模様ですが、攻撃面は各々特長を持っています。青木なら細やかなポジション移動による受け手としての軽快さ、三田なら細かいタッチからのターン、森重なら一発のサイドチェンジを含めた視野の広さ、平川なら精度の高いショートパス、といった具合。となると、起用はセンターバックとの兼ね合いや、全体の守り方に影響されてくる部分が大きくなりそう。で、センターバックエンリケ トレヴィザン、木本、岡崎、怪我が癒えれば蓮川と、森重を抜きに考えても及第点の質量。よって、ここでは全体の守り方から考えてみます。

 シーズンインからの守備面に関するコメントなどを見る限り、ネガティブトランジション時が「カウンタープレス」、スタティックな守備局面時が「高い位置での連動したプレッシング」を主原則とするはず。また、選手からは「外を切って中にボールを出させる」というキーワードも聞かれました。よって、私はユルゲン・クロップ監督率いる現在のリバプールのやり方がオーバーラップします。

 リバプールの守備戦術はググればいろんな方が、いろんな目線で分析されています。各々、細かい部分の分析には幅がありますが、大きく見れば「3トップが連動して中へボールを誘い込む⇒3トップのプレスバック+中盤3枚の押し上げによりスペースを圧縮してボールを取り切る」という見方で一致。アルベル監督もおおむねこの理解に基づくと仮定すれば、アンカーに求められる動きは、センターハーフのそれと比べてより前方向の矢印で、運動量も去ることながら瞬発力――5m前後の距離を一気に詰める、ストップアンドゴーを繰り返す能力――が必要で、狙いどころで奪いきる、悪くてもボールをフィフティにする球際の強さが大事、そんなイメージが湧きます。この点を踏まえると、「森重>青木≧三田>平川」が私の中での序列になりますが、いずれにせよ森重は年間通してセンターバック、アンカーどちらかに固定はされず、センターバック陣のコンディションや相手のやり方に応じて、適宜使い分けがありそう。35歳にして新境地開拓なるか、注目されます。

 

 他方、インサイドハーフは「安部+誰か」のコンビとなりそう。その「誰か」について、実際にトレーニングを見た記者・ライターの意見は東or松木。東は、マッシモ・フィッカデンティ体制下、長谷川体制下ともにインサイドハーフで試されてあまりフィットしなかったイメージが強いので、正直まだピンと来ないところ。方や松木は、高校レベルながらインサイドハーフの経験は豊富で、気力・体力はマンマン。冬の高校選手権でもボールホルダーに対するチェックの角度にセンスを感じたところもあり、私は松木の抜擢に期待したい派です。

 ただ、東が年間通して研鑽を積み、ボール保持やターン技術に成長が見られればバンザイですし、髙萩も攻撃面はもちろん、守備面で他の選手にはない感性をここ1、2年見せていて、前向きにプレーし続けられるならば若手に全く見劣りません。また、内田、品田、梶浦、安田も特長をアピールできればプレー機会は確実にあるはず。昨季は中盤にややネガティブさを感じていましたが、今季はポジティブさを見せ続けてほしいところです。

 

 残るポジション。GKはおそらくヤクブ スウォヴィク>波多野>児玉の順でしょう。3トップは左からアダイウトン、ディエゴ、レアンドロのブラジル人トリオがファーストセット、永井、山下、紺野の日本人トリオがセカンドセットになりそう。攻撃面においては、いずれの選手もスキル・アイデアともに上位レベルにあると思うので、いかにネガティブトランジション時に素早い切り替えができるか、あるいは、スタティックな守備時に後ろの選手の負担を減らせるかに注目したいところです。


 いやー、早く来い来い、2月18日!