続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

勝て、勝て、勝て、勝て、今季こそ!

 昨年の今頃、当ブログにおける2017年FC東京関連オープニングエントリを書きました。

 

re-donald.hatenablog.com

 

 2016年。久々の復帰となった城福監督が変化をもたらせず、バトンを受けた篠田監督も徐々に尻すぼみとなっていたなか、2017年は「FC東京と言えばこれ!」というものを内外に示してほしい。その思いを「まずは隗より始めよう」という言葉に集約させて、手短に書きました。

 しかし、2017年を振り返ってみると、「隗」より始めるどころか、始まったのは「壊」の一字。ランコ・ポポヴィッチ監督がもたらした攻撃(パスワーク)の意識も、マッシモ・フィッカデンティ監督が植え付けた守備のイロハも、FC東京が長い年月をかけて培ってきたFC東京らしさも、年の瀬には全てが幻と消え、半ば焼け野原の状態まで土台は消え失せました。

 そんな手負いのFC東京。再建を託されたのは、長谷川健太監督。積み重ねた勝利数はJリーグ歴代4位。G大阪では3冠全てを手にし、一時代を築き上げました。昨年はFC東京同様「らしさ」を失って取り戻せなかった1年となりましたが、私の中ではその1年で評価が落ちた、なんてことはなく。素直に、手腕に期待するところは大きいです。

 

 1月13日に行われた新体制発表会。長谷川監督は「勝利への○求」というフレーズを挙げました。欲求、探求、追求。その単語の意味を追えば、いずれも今のFC東京には欠けているものだと言えるでしょう。しかし、私が今季FC東京に求めたいもの、それはズバリ「勝利」です。

しばしば、「勝っているから強い」のか、「強いから勝っている」のか?という視点で書かれる記事・コラムを目にします。鶏が先か、卵が先か…ではありませんが、原因(内容)と結果が止まることなく循環する中、その事象の本質はどこにあるのか掴みきれない時に、あえて禅問答のように表現してその本質を探る表現方法だと認識しています。この表現をもじるならば、今季東京が発信点とするのは、いや、してほしいのは、私の中では100%前者。もっと言えば、「強くなくてもいいから勝ってくれ」となります。

 

 成長を遂げるため、時に失敗や敗北が必要となることはあるでしょう。最近読んだものの中で、そのことを強く再認識させられたのが、以下の記事。

sportiva.shueisha.co.jp

 記事内で、オリンピックを4度制した女子レスリング・伊調馨選手が「負けないとわからないことがある。この負けはチャンス。成長のキッカケにします。ドーンと落ちて、また上がっていくほうが突き抜けられる」という言葉を敗戦の度に口にしたことが紹介されています。

 もちろん、この言葉は真意をついています。けれど、その前提には「勝っていくなかで」がなければいけません。負け続けている選手が、いつまでたっても上昇しないチームがこの言葉を吐いたところで、そこに説得力は生まれないでしょう。

 いみじくもこの冬、サッカー界で似たような2つの優勝がありました。それが、高円宮杯U-18チャンピオンシップで初優勝を果たしたFC東京U-18と、全国高校サッカー選手権大会で悲願の初優勝をつかんだ前橋育英高校。

前者は、16年冬に「勝てばチャンピオンシップ進出」というゲームで青森山田高校に敗れ、悔し涙を流しました。しかし17年冬、同じく最終戦で対峙した青森山田高校を下し、歩を進めたチャンピオンシップでヴィッセル神戸U-18を延長戦の末に破って、タイトルを手にしました。後者は、長く指揮を執ってきた山田耕介監督のもとでなかなかタイトルに手が届かず、17年の決勝では青森山田高校に0-5という衝撃的な敗戦を喫しましたが、その悔しさをバネに18年冬、ついに頂点までたどり着きました。

 両チームとも、近年はある程度の勝ちを積み重ね、サッカーファンの中で価値のあるチームとして認識されながら、16-17年の冬に痛恨の敗北を味わいました。それでも、その敗北を無駄にすることなく再び勝利を積み重ね、敗北によって得た経験値をもとに一回り成長した結果、優勝の二文字を手にしました。これもまた「勝ちの中にある負け」だったからこそ、その負けが次のステップになったと理解しています。

 

 翻って、今の東京。多くの選手・クラブスタッフ・関係者から「この2年間の敗戦・悔しさをバネに今季は…」という言葉が聞かれます。当然、ここ2年の何がダメだったのか?その結論をもとに、じゃあ何をするのか?を全員が考え、全員で取り組む必要があるでしょう。また、このブログでも時々「言葉にすること」は題材として用いてきました。私自身、その大事さ、尊さ、難しさはある程度分かっているつもりです。

けれど、それらを踏まえてもぶっちゃけて言ってしまえば、もう「御託は聞き飽きた」んです。ここ2年間、もっともらしい言葉はたびたび聞こえてきましたけど、何も残せていないじゃないですか。大久保嘉人という特異な存在を――彼自身の良し悪しはちょっと横に置いておいて――誰も受け止めきれなかったじゃないですか。いろんなところで「よほどのこと」が起こってしまったじゃないですか。結果、ここ2年間、特に昨季、そんな選手たちから、そんなチームから放たれる言葉を額面通り受け止めて明日への希望にしようという気持ちが徐々に、確実に失われていったのは、私だけではなかったと思っています。

 

 年明け、FC東京を長く取材されている後藤勝さんのウェブマガジン「トーキョーワッショイプレミアム」に、今季選手会長に再任された吉本のインタビュー記事が掲載されました。無料記事だったので、リンクを貼ります。

www.targma.jp

 現状をしっかりと捉えつつ、卑屈になりすぎず、大言壮語にもなりすぎず。頷けるところも多々あった内容でした。今までであれば「よし、今年は頼むよ!」と素直に感じていたと思います。しかし今、私の正直な気持ちは「よし分かった。けど、今季はその思いを練習で、試合で見せてくれよ!」となるでしょうか。あるいは、「勝つことがいちばんだ、って言ったよな。じゃあ、勝ってみせてくれ!」となるでしょうか。

 その他の選手も同じ。耳障りのいい決意表明はもういい。もっともらしい反省はもういい。どこか他人事のような自己分析はもういい。プロだったら、サッカーで飯を食っているんだったら、そろそろ四の五の言わず結果で示してほしい。そう感じています。

 

 新体制発表会で大金社長は、今季「チームの再構築」「FC東京らしいサッカー」「タイトルの獲得」を3本柱に挙げました。細かい文言は異なりますが、「昨季13位のチームがタイトル獲得を目指すことはおこがましいかもしれないが、目指さなければ届かない」とも発言しました。

 FC東京らしいサッカーの再定義、それに基づくチームの再構築、そこを踏まえた内容の積み上げ。これらをチームは、日々の練習において目指していくことになるのでしょう。一方で、もし本気でタイトルを目指していくのならば、目標は20勝以上、5敗以下。改めて書くまでもなく、勝っていかなければ話になりません。

 今のFC東京を見れば、「強いから勝っている」状態にまで上げていくには、長い時間を要することは明らか。ならば、まずは「勝っていくうちに…」を目指すことが間違いだとは思いません。こう書くと決まって「内容のない勝ちを積み上げていっても意味がない」とか、「内容もない(薄い)のに勝ちが続いちゃうと、課題がぼやけていつかズッコケるよ」と反論してくる人がいます。その意見に1%も与しないとは言いませんが、「今季『内容』と『結果』、どちらか一方を追い求めるならば?」と問い直せば、私は「結果」だと答えます。

また、これは多少規模的観測も含みますが、ゼロ以下からのリスタートとなる今季の東京にとって、勝利の積み重ねが自信になることはあっても、過信に繋がることはないと思います。もし今季、少しの連勝で天狗になる選手がいたとしたら、申し訳ないですけどその選手には「Are you Foolish?」とつぶやくしか。

 

 

 と、なかなか本人が読み返しても酷い言い回しが多くなったエントリですが、それぐらい今季は、勝利にこだわってほしいのです。タイトルのフレーズは、長谷川監督が昨季まで率いていたガンバ大阪のホームゲームで掲示されている有名な横断幕から一部を拝借したものですが、それぐらい今季は、勝ちを積み重ねてほしいのです。まあ、こんなひねくれたファンが一人くらいいたっていいでしょう、ということで。

 ・・・勝ちたいんや!