続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

Pañuelo blanco

 磐田戦終了後、ふと今季の戦いぶりを自分なりに思い返していました。

 

ここまで公式戦10勝3分9敗。現地で見た試合、テレビで見た試合、全く見ていない試合、様々ありましたが、「いやー、今日は満足!来て(見て)良かった!」と思えた試合、皆さんはどれぐらいありますか?私は…J1第1節鹿島戦(○1-0)、第4節川崎戦(○3-0)、第12節神戸戦(△1-1)、この3試合にとどまっています。

 これが多いか少ないかと問われれば…やはり少ない。3/22≒14%、およそ7試合に1試合…やっぱり少ない。私の見方が特段厳しいとは思っていませんが…さすがに少ないです。

 では、なぜそうなってしまったのか?これまた今季を思い返してみた時に思うのは、これまで当ブログでも書いてきた「戦術の引き出しの少なさ」、そして「劣勢(ビハインド)時の戦い方」、この2点になります。

 

 前者はもう、繰り返し書きません。本来は誰に何と言われようと「ガンガン前プレ」をやりたいのだと思いますが、さまざまな理由があってそれを徹底できず。しかし、前プレに代わる「これが篠田トーキョープランBです!」を打ち出せるだけのアイデアもないのは明らかで(監督・コーチのせいだけではありませんけど)、ここから劇的に良くなる兆しも感じられません。

 もはやこれだけで「致命傷」に値する事由だとは思いますが、百歩譲って目をつむって、それでも別のなにか、希望を見出せる点はないか?と考えてみました。しばらく考えて出した答えは「先制するしかない」、それだけでした。

 

 薄々どころか皆さん明確にお気づきだと思いますが、今季10勝中、逆転勝利は1勝だけ(ルヴァン大宮戦)。残りの9勝はすべて先制し、かつ、クリーンシート。追いつかれた、敗れた試合が5試合(2分3敗)もあるのがかなりもったいないところではありますが、それでも先制した試合では概ね自分たちの及第点以上を見せられています。一方、先制された試合は1分6敗。うち6試合は前半のうちに先制され、唯一J1第5節鳥栖戦こそ引き分けたものの、残る5試合は結局なす術なく敗れています。

もちろんゴールが少なく、1点ずつしか加算されないサッカーは、ビハインドに立たされるとかなり苦しくなるスポーツです。しかし、非先制時の6敗で奪ったゴールはわずか2つ。また、その2ゴールも奪った時間帯がルヴァン磐田戦は86分(吉本)、J1柏戦は90+3分と遅きに失したもの。とにかく、客観では「先制されると、ホントどうしようもない」としか言いようがない結果が出ています。

 

また、主観も似たようなもので。先の磐田戦、11分にあっさり先制を許し、1枚目の交代は大久保の怪我によるもの(INは永井)。まあ、ここまでは受け入れるとしましょう。ただ、2枚目の交代が東→米本で、高萩を右SHに上げ、橋本・米本をCHとした、3枚目が中島→河野で河野を右SHにし、高萩を左SHにした。この交代の意図を、皆さんはどう捉えたでしょうか?

私も試合が終わってからもしばらく考えました。結果論も含めれば、2枚目の交代は

 高い位置でボールを動かしたかった。かつ、両SBをより高い位置に上げ、クロスを入れたかった。また、0-2になってからの磐田の攻撃はカウンターが主で、リスク管理として後ろは2CB+2CHの4枚で見たい。そのために、守備ができる米本を入れ、高萩を1つ前にした。

と考えることはできますが、これまた結果論で言えば、ただ前線に人が込み入っただけで、それまで永井が見せていた裏抜けを消した、あるいはSBにボールが入っているのにそこに人が寄っていってしまい、結局クロスまで行かない(行けない)、例えクロスを入れても中が1枚ないし2枚だけという逆効果を生んでしまっていたので、奏功したとは言えません。

そして、3枚目に至っては正直理解不能。守備のバランスを多少失ってでも前田を入れて中の厚みを増やし、クロスに活路を見出す手はなかったか?あるいは、天皇杯では敗退の要因ともなってしまったけれど、単騎突破が可能な阿部でかき回す手はなかったか?いずれにしても、点がどうしても欲しい場面にあって中島と同タイプ、だけど怪我明けでコンディションが不十分な河野を投入した理由を前向きに説明できる方がいたら、ぜひとも教えていただきたいくらい、私には理解し得ない交代策でした。

そんな磐田戦に限らず、J1札幌戦の3枚目(66分に東→徳永。3バックにシステムを変えるも奏功せず)や浦和戦の3枚目(84分に徳永→太田。太田はクロス1本入れられたかどうかに終わり、局面変わらず敗戦)など、ビハインド時に打つ手がどうにも冴えない試合が目立ちます。

すべての試合で打つ手が良くないだなんて言いません。しかし、選手交代で、そこで手を加えてみせた変化で勝利をもぎ取った試合があったか?と問われれば、それもまた答えはほぼNO。結局は、昨季も含めて基本的には

試合開始前のスカウティングがハマり、先制してプラン通りに試合を進める。もしくは、先制できなくても個の力を信頼し、ゲーム当初のプランをやりきって何とか追いつく

ことでしか勝ち点を奪うことができていません。それは、トップカテゴリーの監督としてはやはり「物足りない」との一言に集約されてしまうのではないでしょうか。

 

 

途中から永井が出てくる、米本が出てくる、河野が出てくる。試合によっては、ウタカが出てくる、前田が出てくる、阿部が出てくる。また、ケースによっては丸山が控える、徳永が控える、田邉が控える。まあ、相手監督からすれば羨ましいほどの陣容です、改めて。

けれど、用法・用量を守って正しく使わなければどんな良薬も効かず、場合によっては劇薬に成り代わってしまいます。金・銀・飛車・角、どれだけ豪華に手駒を抱えていても、使い方がままならないようでは敵将を詰みにかかることはできません。

戦術面の引き出しの少なさから意思統一さが失われ、手駒の捌ききれなさから疑心暗鬼が生まれ、文字通り勝ったり負けたりを繰り返す不安定さによりやる気と勢いが削がれる。こんなこと書きたくもないですけど、現状の東京からはそんな雰囲気を感じ取ってしまいます。そして、この雰囲気を打破する手は、もはや限られてしまっていると言わざるを得ません。

 

 これまでもこれからも、東京が勝てば嬉しいし、負ければ悔しい、その思いが揺らぐことはありません。しかし、その一喜一憂の起伏の無さと言いますか、「勝った?そりゃ何より。負けた?あ、そう。」と、思いのリアクションがどこか他人事のようになっている今の自分の心中は、東京を応援するようになってから初めてのこと。それを人のせいにするのは筋違いかもしれませんが、それでも現体制のままこのモヤモヤが晴れるとは思えなくなってきた今日この頃。私の心も、梅雨空に突入です。

 

 

【6/27追記】

  別にこんな追記しなくてもいいのですが、おそらく、よほどのことがない限り(それこそ体制の変更とかがない限り)、トップチームについて新たなエントリをあげることはないです。その思いが、このエントリのタイトルに表してあるとご理解いただければ。