続々々・メガネのつぶやき

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17年Jリーグ観た記 其の15 J2 横浜FC-徳島

 横浜FCは3勝1分、徳島は3勝1敗とともに上位発進となった両チーム。しかし、其のアプローチは対極とも言えるもの。注目の上位対決、相手を上回るアプローチを見せられてのは、果たしてどちらか。

 

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短評

 お互い攻守の切り替えが素早く、テンションの高い立ち上がり。しかし、攻撃のアプローチはやはり対極だった。

 横浜FCはイバをめがけたロングボールを中心としたシンプルな攻撃を繰り出すが、セカンドボール争いで徳島が完全に上回り、イバに入った次に攻撃が繋がっていかない。

 対する徳島は、ショートパスを中心としながらも、プレスを無効化する意味も含めた長いボールが予想以上に多く、横浜FC守備陣は次第に取りどころ、もっと言えば、プレスのスイッチの入れどころすら失っていく。そして、なんとなくフラフラっとボールにアタックする横浜FCの選手が作ってしまったスペースに入り込み次のパスを受ける、という動きを全員が意識することで、「徳島の方が人数が多くて、次から次へと人が出てくる」という印象すらピッチから感じられるように。

 このいい流れで、このいい流れをしっかりとゴールに繋げられるのが今季の徳島の良さ。22分に渡、25分に島屋と立て続けにゴールネットを揺らして2-0とし、主導権を掴んで離さない。その後も一方的な徳島ペースで試合は進み、終わってみればポゼッション率39%-61%、シュート数1-8と、スタッツでも圧倒的な差がついた前半となった。

 後半に入ると、横浜FCがシステムをいじり、3-4-3のような形に。さらに、リスクを負って前線からのプレスに比重をかけ、徳島の攻撃にやや窮屈さを与えると、一気に反撃開始。後半開始7分で3ど決定機を掴むが、クロスバーにも嫌われるなどネットを揺らせない。ただ、徳島もすぐに圧力に慣れ、プレスで前につめてきた佐藤が空けたスペースを攻略。一転して短時間で2度ほどチャンスを得る。

 その後も後半は、お互いの攻撃のアイデアが守備陣を上回るアタック合戦になり、ニッパツに詰め掛けたファンは何度も声を上げるシーンがあったが、高丘、梶川両GKの頑張りもあってスコアは動かず。最終盤も互いに攻撃的なカードを切りあって攻撃を重ねたが、結局試合はこのまま終了。徳島が上位対決を制した。

 

MVP:岩尾 憲(徳島)

 徳島は全員が6.0以上の働きぶりで、渡、島屋、杉本、内田とMVP候補は多数いたが、岩尾で。

 攻撃では3バックから上手くパスを引き出しながら、プレスをいなして前へ展開。特に秀逸だったのがパスコースの見極めで、サイドに叩いて相手を広げるのか、縦にズバッと入れてスイッチオンとするのか、とにかく判断と精度に間違いが見られなかった。

 そして守備でも、カウンターの芽を摘む防波堤として機能。さらに、これは推測だが、テレビ画面に映っていないところでの指示も的確だと思われ、イケイケになる中でも最低限のバランスを保つオーガナイザーとしても存在感を見せていた。

 とにかく、今チームに無くてはならない選手であることに、疑いの余地は無い。

 

MWP:佐藤 謙介(横浜FC

 徳島のオーガナイザーが岩尾なら、横浜FCのオーガナイザーは佐藤。

 私は、リカルド・ロドリゲス監督のこの日の狙いを「横浜FCの両センターハーフを、攻守両面で無効化させたい」ものだったと感じているが、まさにその狙いにはまった印象。端的に言えば、攻撃ではフォアチェックに苦しめられ、守備では外にフラフラとつり出されてバイタルを閉められず、といったところ。

 コンビを組んだ中里も厳しい出来だったと言わざるを得ないが、求められている役割や期待値を考えれば、佐藤の方か。