続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

17年Jリーグ観た記 其の9 J1 浦和-甲府

 J開幕戦で横浜Fマリノスに苦杯を舐めさせられた以外は順調に歩を進めている浦和。対して、1分け1敗のスタートながら、複数のメディアからポジティブな評価を得ている、吉田達磨監督率いる甲府。ACLの関係で行われたフライデーナイトマッチで凱歌を上げたのは。

 

f:id:re-donald:20170310212851j:plain

 

短評

 試合は戦前の予想通り、浦和がボールを保持する展開。ただ、浦和のビルドアップは見慣れた4-1-5(センターハーフの1枚が最終ラインに下り、3バックの両脇がサイドバックのように振る舞う)ではなく、3バックの中央にいた遠藤+阿部・青木の両センターハーフが最終ラインに位置し、3バックの両脇(槙野、森脇)、特に右の森脇がさながらウイングバックのように振る舞う、ちょっと見慣れない形だった。

 が、これが効果的だったかと言われれば、答えはNO。より前に人をかけ、今季ペトロヴィッチ監督が目指していると言われる「ハーフコートゲーム」の大勢は作れていたが、人をかけて守る甲府守備陣とスペースが重なり続け、縦パスのコースが見出せない状況となり、攻撃はノッキング気味。2つほどクロスからいい場面を作れたが、甲府GK岡の好セーブもあり、攻撃は徐々に停滞に進んでいった。

 これを見逃さず、甲府は一刺しを開始。「ここ!」という場面での精度の無さは隠せなかったが、前半のシュート3本全てが枠内。39分には松橋がクロスバーを叩くシュートも見せ、終わってみれば浦和より甲府がポジティブな面を見出せる前半となった。

 後半。浦和はビルドアップの形を良く見た4-1-5、あるいは3バック、両センターハーフがそのままのポジションでボールを保持する3-2-5のような形に変更。これにより、甲府は前半より中へ意識を向けなければならなくなり、外に前半よりはスペースが生まれるようになると、水を得た魚のごとく躍動したのが関根。57分には森脇のスルーパスに反応して深くえぐり、60分にはラファエル シルバからのパスを受け、アーリー気味にクロスを上げ、得点をアシスト。人をかける守備をしてきた甲府の「人のかけどころ」を微妙に変えさせた、と言う点では、浦和(ペトロヴィッチ監督)の懐の深さを見せつけた15分間だった。

 その後、甲府スローインからの一瞬の隙を突きドゥドゥのゴールで試合の行方を繋いだが、その流れを断ち切ったのはまたしても関根。エリアの中で巧みなステップからシュートを放つと、岡がはじいたこぼれ球を李が押し込み3-1。アディショナルタイムにはラファエル シルバが前節の焼き直しかと思わせるループシュートを決め、ダメを押してタイムアップ。終わってみれば、自力の差を感じたゲームだった。

 

MVP:関根 貴大(浦和)

 前半から非常に高い位置を取っていた森脇とのコンビでいいところを見せていたが、スペースをもらい、前を向いて仕掛け続けた後半に真価を発揮。1点目を演出したワンツーからのフリーランも見事だったが、おっ!と思ったのが2点目を演出したアーリークロス

 右サイドで受け、相手のプレッシャーも薄かった中、あえてなのかトラップが思ったほどいいところに置けなかったのかは分からないが、クロスを上げたのは左足。結果として、甲府守備陣を出し抜くこととなったが、こういうプレーが出来るのであれば、相手からすれば押さえるのが厄介になるはず。駒井とのポジション争いは激しいが、浦和ファンからすれば、見ていて楽しい争いになるのではないか。

 

MWP:新里 亮(甲府

 テレビ埼玉で試合を見ていて、常にロートーンでぶつくさ喋る都築さんが…と言いたいところだが、話戻して新里で。

 守備面では破綻していなかったと思うが、やはり奪ったあとにどうするか?が吉田監督を招聘した意図。なのだとすれば、この日は全員が浦和の切り替えの早さに苦しんで精度を出せなかったが(兵働はさすがのシーンも作ったが)、特に最終ライン、中でも新里はちょっと「蹴るだけ」になってしまった。

 今後、浦和ほど押し込まれる(ことが想定される)試合は数えるほどしかないと思うが、であるならばより最終ラインから作る場面も増えるわけで。そこが吉田イズムの生命線の一つになるのであれば、この日の出来では苦しいと感じた。