続々々・メガネのつぶやき

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17年Jリーグ観た記 其の8 J2 名古屋-岐阜

 名古屋のJ2降格により、リーグ戦では初の顔合わせとなった名岐ダービー。開幕戦は勝ち点3と1に分かれたものの、ともに好意的な評価を得ていたが、果たして続けられたのか。

 

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短評

 どちらもパスを繋いでリズムを作るチーム同士だが、入りに成功したのは岐阜。全体が非常にコンパクトで、選手同士の距離感もよかったことで3人目の動きがそのまま相手の脅威になり、名古屋は自陣に釘付け。5バックだけど2シャドー(佐藤、玉田)が守備に戻りきれず、スペースを与えてしまったことも岐阜にとってはありがたかったか。

 ただ、どうやってシュートに持ち込むのか、誰がフィニッシャーとして動くのかがあまり見えず、名古屋も次第に割り切って「最後やられなければ」という守り方にしたことで、岐阜のシュートは軒並みペナルティエリアの外から。1本楢崎を脅かしたものはあったが、惜しいとまでは言えず。

 一方の名古屋は岐阜の果敢なプレスに苦しみ、長いボールもカウンターも効果なし。33分には小林を下げてワシントンを入れる荒療治を施したものの、流れを変えるには至らず。終わってみれば支配率が36%-64%、パス本数が239本-458本と、岐阜が主導権を握ったまま話さなかった前半となった。

 しかし、後半は名古屋が反撃。守備面で前半5-2-3になりがちだったところ、佐藤と永井の立ち位置を変え、主に永井が中盤を助ける5-3-2に立ち位置を変えたことで危ないスペースは減り、攻撃でも裏への意識やドリブルを挟みながら相手に的を絞らせず、ペースを取り戻す。

 ただ、お互い決定機と言えるシーンはなく、時間は刻々と推移。やや引き分けのにおいも感じてきたが、展開を動かしたのは岐阜。中盤で粘ってキープしたシシーニョが右サイドでフリーになっていた田中へパス。これを受けた田中はドリブルで仕掛け、カットインから左足でシュートを放つと、ニアサイドを突き破ってゴール。岐阜が先制した。

 このまま終わってもおかしくなかったが、名古屋がシモビッチを投入して圧力を強めると、90分に得たコーナーキックファーサイドでフリーになっていた内田がしっかりとヘディングで決め、同点。岐阜のGKビクトルの動きはかなり残念だったが、決めた内田は見事だった。その後、アディショナルタイムにお互いチャンスを得るもスコアは動かず、1-1で歴史的なダービーは幕を下ろした。

 

MVP:シシーニョ(岐阜)

 この試合を見て、シシーニョ以外をMVPに挙げる人がいたらこんこんと問い詰めたくなるほど、この試合のシシーニョは凄かった。運動量もあり、パスを受けられ、パスを出せ、守備でも手を抜かない。文字にすれば陳腐に映ってしまうが、とにかく誰だどう見ても、この日の岐阜の中心はシシーニョ

 この先、当然マークは厳しくなるだろうが、そうなれば庄司が自由を謳歌できるし、永島も気が利くし、ベンチには野澤がいるし。じゃあ、全体に気を配って彼のマークが少しでも軽くなれば、今日ぐらいのプレーは悠々とやる。もしそうなったとすれば、岐阜の中盤はJ2でも屈指なユニットになる、そう予感させるプレーぶりだった。

 

MWP:ワシントン(名古屋)

 小林、八反田含めて、この日の名古屋センターハーフ陣は総じて及第点以下をつけざるを得ないパフォーマンスだったが、代表するならワシントンか。

 まだ特長が分かっていないが、潰しの部分もファウルになることが多く、パス出しも今一つ。そもそも動き自体がまだ重くて、日本への慣れもこれから。風間監督は恐らく使いながら慣らしていくことになると思うが、田口(ベンチ外なのは怪我?)を差し置いてまで使われる理由は、個人的には見当たらなかった。