続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

趣の異なる「理想と現実の狭間」で

 サッカージャーナリズムの世界において、「理想と現実の狭間で…」という表現がしばしば用いられます。そのチームが、監督が、選手たちが追い求める「理想」はありながら、その理想になかなか辿りつけず、あるいは、理想への道程は間違ってなくとも結果が出ず…といった「現実」が立ちふさがり、「さて、この折り合いをどうつけるんだ?」という疑問も含みながら、記者・ライターはこの文言を用いるのだと思っています。FC東京も例外ではなく、特にここ数年この文言を問われてきたチームでしょう。それは、一口に言えばここ数年2人の「理想家」が継続して指揮を取り、明確な「理想」を2人が事あるごとに述べてきたから。その狭間で揺れ続けた結果がどうだったか?――2人の理想家の後者は、果たして揺れていたのかどうかも分からないが――をここで問うことはしませんが、見ている私たちからしても、苦労していると感じられる部分は大いにありました。
 そんな数年間を経て、今季招聘されたのがマッシモ・フィッカデンティ。戦術面が巧みに発展し、結果をシビアに求められ、自らの哲学を実直に語ることもしながら、一方で、時には口さがないティフォージや記者・ライターを相手に「嘘も方便」としながら相手にしていかなければならないカルチョの世界に、選手・コーチ・監督として長く携わってきたこのイタリア人が、どのような手法で、チームに何を落とし込んでくれるのか。興味を持ってこれまでの(ナビスコ第1節含めて)5試合を見てきました。しかし、結果は1勝2分2敗。特にリーグ戦では2分2敗とまだ勝ち星を得られず、4節終了時ではありますが降格圏内の16位と、スタートダッシュを決めることは出来ませんでした。
 それで今日は、「フットボールラボ」というサイトからいくつかデータを引用しながら、「理想と現実」の狭間を行き来するチームに対するここまでの印象など書いてみたいと思います。なお、昨今日本においても「詳細なデータ」を取り、それを公開しているサイトは増えてきていますが、各サイトにおいて微妙に(大きなときもありますが)数字が違っていますし、Jリーグが公式サイトで公表しているスタッツとも異なる場合もあります。今回は、あくまでも「フットボールラボ」サイト上の数字を元に話しを進めていきますので、この点はあらかじめご承知おきください。また、特に断りがない限り、データはいずれも1試合平均の数字です。


まずはボール支配率。リーグ戦4試合のボール支配率は、

第1節  東京 41.4% − 58.6% 柏
第2節 東京 50.5% − 49.5% 甲府
第3節 東京 48.6% − 51.4% 神戸
第4節 東京 42.0% − 58.0% 川崎

 となっています。ポポヴィッチ監督の下ではボールの支配、パス&ムーブに強くこだわり、12年のボール支配率は54.2%で2位。13年シーズンは少し下がりましたが、それでも50.5%で8位と、「まずは、ボールを保持することを前提とした」サッカーを見せていました。しかし、今季ここまではボール支配率で相手を上回ったのが1試合のみで、その1試合もほぼイーブンの数字。また、平均支配率もリーグ14位の45.7%と、「ボールを保持することを前提とはしない」スタイルへの切り替えが如実に見て取れる数字が出ています。
 では、その前提に立った上で、攻守がどのように機能しているか?まずは攻撃から。「フットボールラボ」サイト上より、攻撃に関するデータをいくつかピックアップします。

攻撃回数  129.8回(12位)
シュート数  16.0本(3位)
チャンス構築率  12.3%(3位)
…シュート数÷攻撃回数
パス本数  425.0本(12位)
ドリブル回数  16.5回(3位)
クロス本数  23.5本(1位)
コーナーキック回数  6.8本(1位)

 なお、攻撃回数とは、「(一部の例外を除き)ボールを保持してから相手チームに渡る、もしくはファウルやボールアウトで試合が止まるまで」を1回と数え、それが1試合に何度あったかをカウントしていく指標です。平たく言うと、「相手のシュートが外れ、ゴールキックから自陣でビルドアップする」ケースも、「高い位置でボールを奪ってショートカウンターが発動した」ケースも1回と数えます。
 それで、ここまで各数字がリーグ上位に位置しているとは、正直思っても見ませんでした。さらに補足すると、攻撃回数は前述のとおり、どこからボール保持が始まっても1回と数えますが、「(相手のゴールラインから測って)30m以内へ進入した回数」が46.8回でリーグ6位とこれまた上位の数字が残っており、(攻撃回数で割ると)約36%の攻撃において、相手陣の深いところまでボールは運べているという数字が出ています。また、ポポヴィッチ監督時代は「相手陣深いところまでボールは運ぶのに、そこからさらにショートパスでの崩し、中央突破にこだわりすぎて、攻撃がシュートまで行かずに終わる」ケースが多々見られました。しかし、今季ここまでは攻撃回数が12位ながら、シュート数、チャンス構築率(攻撃回数÷シュート数)はともに3位、そして、クロス本数とコーナーキック回数は堂々トップ。中央、サイドにはこだわらず、「手数をかけずに相手陣深くまで侵入」し、そこからも「手間はかけずにシュートに繋がるアクションを!」というフィッカデンティ監督の哲学が透けて見える数字となっているのではないでしょうか。
 一方で、パス本数はリーグ12位止まり。パス本数が減ることは容易に想像できましたが、12年が2位、13年が4位だったことを考えると、大きなランクダウンとなっています。ただ、本数だけ見たって何も読み取れないので、その距離別、エリア別、方向別の本数、成功率を羅列してみます。

距離別
 ショートパス…本数213本/成功数160本(成功率75.1%)
 ミドルパス…本数157本/成功数121本(成功数77.1%)
 ロングパス…本数55本/成功数29本(成功数52.7%)
 合計…本数425本/成功数310本

エリア別
 1stエリア…本数24本/成功数17本(成功率70.8%)
 2ndエリア…本数63本/成功数48本(成功率76.2%)
 3rdエリア…本数120本/成功数94本(成功率78.3%)
 4thエリア…本数109本/成功数84本(成功率77.1%)
 5thエリア…本数82本/成功数53本(成功率64.6%)
 6thエリア…本数27本/成功数14本(成功率51.9%)

注:エリアは、ピッチの縦幅を6分割し、自陣に近い方から1st、2nd…と定義

方向別
 前方向…本数155本/成功数90本(成功数58.1%)
 横方向…本数221本/成功数176本(成功数79.6%)
 後方向…本数49本/成功数44本(成功数90.0%)

 トータルの数字は、本数425本/成功数310本、成功率72.9%で、13年は本数496本/成功数385本、成功率77.6%。12年は本数536本/成功数420本、成功率78.3%です。上でも書いたとおり、額面どおり(という表現が適切なのかは分かりませんが)ポポヴィッチ監督時代からパス本数は減少し、特に12年と比較すると100本以上の減。そして、成功率も5%以上低下しています。本数減はともかく、成功数が5%以上減という数字は、さすがに眉をひそめたくなる部分。そして、その要因として挙げられそうなのが、「距離別パスの割合」なのかなと。続けて、ここ3年のパス総数に対するショート、ミドル、ロング各パスが占める割合を挙げると、

12年  ショート55.4%:ミドル33.4%:ロング11.2%
13年  ショート52.8%:ミドル34.9%:ロング12.3%
14年  ショート50.1%:ミドル37.0%:ロング12.9%

 となります。これまでの数字を見ると、ポポヴィッチ時代も12年と13年で実は変化があったんだなぁ…というのは余談なのでさて置き、見事にショートパスの割合が減り、ミドル、ロングパスの割合が増える結果となっています。パスの距離が延びれば延びるほど精度が落ちるのはサッカーにおける常識のようなもので(そこで精度が落ちないのが超一流)、上でも書いたとおり、少ない攻撃回数でチャンスを多く得るために、いけると判断したときはミドル、ロングパス1本でダイレクトに相手ゴールに迫る手法を取る以上、「パス精度の低下」は必要悪というか、代償として受け入れるほかないのかな?と考えています。ただし、パスにおける改善点がないわけではありません。それが、「ショートパスの成功率」。ここ3年のショートパスに限った成功率は、

12年  本数297本/成功数242本(成功率81.5%)
13年  本数262本/成功数210本(成功率80.2%)
14年  本数213本/成功数160本(成功率75.1%)

 という変遷を辿っています。もちろん、一口にショートパスと言ってもどこのエリアで、どの方向に、どんなシチュエーションで出すかによってパスの難易度は変わってきますが、しかし、ショートパスの成功率が80%を切るというのは、現代サッカーにおいては致命的な欠陥になりかねない事象。実際、第4節川崎戦では4失点目以外はショートパスをカットされてからのカウンターによるもので、いずれも状況判断と精度により回避できたシチュエーションでした。ここは、選手個々が強く意識して、改善を図ってほしいと思います。
 データを一通り見る限り、決して今の攻撃の形が悪いとは思いません。むしろ、特徴はしっかりと出せている印象すら覚えました。では、なぜ3ゴール止まりなのか?それはひとえに「決めきるチカラ」が足りてないから。最後のデータを出しますが、ここ3年のシュート数、枠内シュート数、ゴール数は、

12年  シュート数14.7本、うち枠内シュート4.3本:ゴール数1.4点
      枠内シュート率29.2% シュート決定率9.5%
13年  シュート数16.2本、うち枠内シュート5.4本:ゴール数1.8
      枠内シュート率33.3% シュート決定率11.1%
14年  シュート数16.0本、うち枠内シュート5.0本:ゴール数0.8
      枠内シュート率31.3% シュート決定率5.0%

 という状況。シュート数は変わらず、枠内にも飛ばせているので、「決定機を作れていない」という批判は的外れ。だけど、ゴール数は1以下。そして、シュート決定率5%はリーグ16位で、東京より下なのは仙台(1.8%)と徳島(0%)だけ。さらに、シュート数と決定率のリーグ順位の差(東京で言うと、「シュート数3位−決定率16位=マイナス13」。この数字がマイナスに行けば行くほど決め切れてない。)は、浦和(シュート数2位−決定率15位)と並んで断トツの最下位。つまり、「決めきるチカラ」がないのです。「シュート打て!」ではなく、「シュート決めろ!」なんです。ただ、これもショートパスの精度同様、個の力量に託すほかない部分。チームとしての方向性に対してとやかく言うというよりは、ゴール前のディテールの部分に対して強く、強く精度を求めていく時期にあって、その精度の向上が見られれば、ケチャップドバドバじゃないですけど、波に乗れる可能性は大いにある、というまとめにしておきたいと思います。


 変わって、守備。攻撃同様、「フットボールラボ」サイト上より守備に関するデータをいくつかピックアップします。

被攻撃回数  126.4回(4位)
被シュート数  14.0本(10位)
被チャンス構築率  11.1%(11位)
…被シュート数÷被攻撃回数
タックル回数  23.5回(4位)
クリア回数  19.0回(16位)
インターセプト回数  3.3回(15位)
警告回数  1.8回(1位)
守備ポイント  35.94(18位)

 フィッカデンティ監督が就任し、キャンプからシーズンイン通して「守備の構築」に長い時間を割いてきたことは、各種メディアで語られています。選手のコメントなど見ても、「今季は守備の向上を!」という雰囲気がチーム内外には漂っているように感じています。しかし、蓋を開けてみてデータを集計してみると、正直ポジティブな材料を探すのが難しい結果が出てしまいました。
 被攻撃回数は4位と、相手にボールを保持される「回数」が少ないのは数少ない好材料で、例えば上手くワンサイドに追い込んで、サンドする守備がハマってボールを取りきれれば問題ないところです。しかし実際は、被シュート数、非チャンス構築率はともに2桁順位と、シュートを打たれているし、その割合も高いというマイナスの結果が残っています。とかく守備面において批判を受けがちだったポポヴィッチ時代における被チャンス構築率は、12年が9.5%で3位、13年も9.4%で2位と、実はあまりシュートを打たれていなかった数字が残っているだけに、余計「守備がハマっていない」現実が浮き彫りとなっています。
 要因はいくつか考えられますが、個人的にはどこからプレスをかけ、どこに追い込んで、最終的にどう奪うのか?という約束事が浸透しきっていないことによる「プレスの空回り」が目立つ点(甲府戦でその傾向が見られ、川崎戦は顕著だった)、自陣に引いてブロックを形成しながら守る際の、誰がボールホルダーへアタックし、誰がカバーするのかという部分の判断ミスによる「人はいるんだけど…」状態を解消しきれていない点(柏戦の1失点目は、全員が食いつきすぎてカバーが遅れた。逆に神戸戦の2失点目は、人はいるけど誰がチャレンジするのか曖昧になり寄せ切れなかった)、この2つが大きな要因だと考えています。また、組織守備の未成熟さによるしわ寄せが個人に…という事実を明確に物語るのが警告数で、森重が既に3枚もらっているのを筆頭に、警告数は不名誉なワースト1位。さらに、「フットボールラボ」独特の指標である「守備ポイント」も、断トツの最下位。1位の鳥栖が60ポイント台、1つ上(17位)の川崎が46ポイント台であることを鑑みれば、唯一30ポイント台の東京が如何に低いかは一目瞭然でしょう。
 合わせて、どの攻撃パターンで失点したか?という集計も「フットボールラボ」にはありますが、今季ここまでセットプレーでの失点はゼロ。フィッカデンティ監督が就任当初に掲げた改善ポイントの1つが、しっかりと形になっている点は素直に評価したいところです。しかし、「スルーパスからの失点」の割合が、12年は11.4%(5失点)、12年は8.5%(4失点)だったのに対し、今季はすでに3失点、37.5%と大きな数字になってしまっています。川崎戦での失点が複数あり、あの試合は戦術云々のレベルで語るべきではない試合だったので、一概にどうこう言えない部分もあります。それでも、プレスが空回りしてハマらないシーンが少なくなく、ブロックディフェンスで自陣に網を張ってもその間隙を縫われてしまうシーンを減らせていない現状は、道半ばどころか一歩目すら踏み出せていないところにいると見られても仕方ないと思います。
 また、今季ここまでは、システム上「4−3−3」と「4−3−1−2」を使い分けていますが、前線3人の守備の仕方は2つのシステムでガラッと変わりますし、それに追随する後ろの7人も、微妙な変化を求められているはずです。ポポヴィッチ時代は、極端に言えば「ハイライン・ハイプレッシング」をする姿勢を見せておけばOK、というアバウトな部分を隠せませんでした。2年目にグルイッチコーチが招聘され、1年目よりは組織的な守備を取り入れようとしていましたが、基本線は変わりませんでした。しかし、フィッカデンティ監督はとにかくロジックを徹底的に叩き込み、守備を「なんとなく組織でやっておけば…」的なものではなく「戦術」にまで昇華させるため、練習レポートを見るだけでも「こだわるなぁ〜」と言いたくなるほど細かく、細かく指導しているイメージがあります。加えて非公開練習を(恐らく今後もほぼ)毎週行い、相手のやり方も踏まえながら自分たちを出すことに尽力している印象があります。それだけ根をつめてやっても、意地悪な言い方をすればまだある程度しか選手たちが動けていない事実に、大なり小なりの失望感を覚えてしまう方もいるでしょう。
 しかし、強がりに聞こえるかもしれませんが、この状態がシーズン当初に来ることを想像すること自体は、決して難しいことではなかったのかなと。今の日本、今のJリーグにおける守備の概念は、もちろん10数年前と比較すれば成熟が見られますし、守備について語る機会が増えてきているのも間違いありません。しかし、欧州のそれと比較すれば、まだ「身体(=スタミナ、機動力等)」と「心(=献身さ、勤勉さ、自己犠牲等)」に頼る部分が多い「体力勝負」なものでしかなく、「頭(=戦術)」で守備を理解して、「頭」からの指示で「身体」を動かし(=身体の向き、スペースの取り方等)、極めて合理的に、効率的にボールを取り返す事に関して言えば、まだまだ未成熟な部分が多いと言われています。端的な例を挙げれば、アルベルト・ザッケローニ日本代表監督の下で、代表(候補)合宿などを行った、日本ではトップオブトップの選手たちが異口同音に「非常に細かい」「身体の向きやポジションの取り方が、今までにない考え方で新鮮だった」などと語ることが、逆説的に「日本人は、イタリア人から見れば守備のイロハを理解していない」ことの証明である、といったところでしょうか。
 恐らくザッケローニ監督は、時折代表選手が見せる無為無策(に映る)守備の脆さにフラストレーションを覚えながらも、年間数度しか直接指導を行えない立場にあるため、もどかしい、歯がゆい気持ちがどこかにあると想像します。しかし、フィッカデンティ監督は日々、選手たちと接しながら自らの哲学を、イタリア仕込みの守備組織を指導できる立場にあります。イロハから教えなければいけない分、時間は相当かかるでしょうし、降格という制度がある以上、いつまでも猶予があるわけではありません。それでも、結果を残さなければすぐにでもクビが吹っ飛ぶカルチョの世界と比べれば、Jリーグは監督に優しいリーグであり、フィッカデンティ監督にかかる精神的圧力はだいぶ少なく済むはずです。それは、腰を据えて教えられるというある種の安心感を監督にもたらすことにも繋がり、順序立てて、計画的に、一つひとつ丁寧にロジックを落とし込むことができる環境であると言い換えられるでしょう。だからこそ、妥協することなく、結果に一喜一憂することなく、ここ数ヶ月は我慢して指導を続けてほしいし、その先に必ず守備の安定があると信じています。
 また、守備の本場の指導を受けられる選手たちは、ある意味ではとても、とても幸せな立場にいるのだと見ることもできます。育成年代に、あるいはプロになって以降も「まともな」守備戦術を教わらずに今のパーソナリティを築いた選手各々が、ここにきてフィッカデンティ監督の守備戦術を飲み込めるかは、正直分かりません。飲み込みきれずに、咀嚼しきれずに吐き出してしまう選手も出てくるかもしれません。ただ、逆に言えばここでイタリア仕込みを堪能し、今までの日本サッカー界が、Jリーグ各クラブが、ファン・サポーターが想像だにしなかったレベルまで行けた選手は、恐らく大きな飛躍を遂げるはずです。


 本日の総まとめ。冒頭、「理想と現実」について少し書きました。そして、これまでこの言葉は、「自チームの指揮官が持つ理想」と「その道のりで試行錯誤する自チームの現実」と言い換えることが出来たと思います。ただ、今季の東京にこの言葉を当てはめようとした時、単なる指揮官の理想と自チームの現実という枠に収まらないのではないか?と思うようになりました。では、どう言い換えるのか?と問われれば、私は「守備の文化が半ば当たり前として定着しているカルチョの国のサッカー人が持つ理想」と「現在の日本サッカー界が持つ、パス&ムーブやハイライン・ハイプレッシングを崇める現実」と答えます。つまりは、「文化と文化」のぶつかり合い、せめぎ合いをFC東京という1つのクラブの中でやってやろうじゃないかという、今までとは趣の違う狭間に揺られるシーズンになると覚悟しました。妄想をこじらせたとか、仰々しすぎると思われた方、おそらくそれがまっとうな反応だと思います。恐らく、私が考え過ぎなんだと思います。でも、こういう目線に立ってみるのも1つの見方だと自負はしていますし、狭間で揺れ、紆余曲折を経た先に今までのJでは見たことがないチームに仕上がった時、それはエポックメイキングなことを成し遂げたと胸を張って言えるのではないと思っています。まだ1つも勝ち星を挙げていないチームのファンがこんなことをのたまうのはおこがましい話ですが、それでも、そこに思いを馳せることだけは止めずに、今季の東京を追いかけたいなと。