続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

2013シーズンを妄想する J2編

 2/23のゼロックススーパーカップを皮切りについに始まる2013年Jリーグ。昨年も妄想プレビューをぶっ放しましたが、今年も懲りずに書いてみます。あくまでも一個人の妄想なので、手厳しいツッコミは胸にそっとしまい、生温かい目で見ていただけたらこれ幸いかと。まずはJ2編。昨年はJ1の妄想に続いて数行で一括りにしてしまいましたが、今年は頑張ってJ2も全チームそれなりに触れてみます。なお、詳細な移籍動向についてはJ’s GOALのリンクをご参照くださいませませ。並びは北から書いています。


コンサドーレ札幌(J1 18位)
 昨季は一敗地に塗れる結果となった札幌。出直しとなる今季(野々村社長の就任には驚いたけど)は強化費用の減少によりGK高原、DF岩沼、MF山本、高木純、芳賀、FW近藤、大島など(戦術的な部分もあるにせよ)主力を担った選手を放出せざるを得ない、厳しいシーズンオフとなりました。その一方で獲得したのはユースから6人を昇格+大卒やJFLからの獲得+期限付き移籍が主になっており、なるべく補強費用を要しない形を追求。こちらでも台所事情の苦しさを窺わせています。しかし、監督には97年から09年まで下部組織の監督・コーチとして尽力されていた財前氏を招聘。コーチにもU−15から名塚氏を昇格させるなど「独自色」を強め、ユースからの昇格選手を中心とした若手主体へと舵を切り替える明確なメッセージは伝わってきます。北海道出身選手が半数以上を占める陣容にもなりましたしね。
 実際、U−18は地道な努力が実を結んでここ数年で一気に結果も内容も手にしており、DF奈良、MF古田らユース昇格選手からすでに核となりうる選手も出てきています。また、GKイ・ホスンと契約合意に達し、CBにともに長身であるパウロン、チョ・ソンジンを獲得。MF宮澤、河合、岡本、FW内村、前田、テレなど昨季の主力の一部は何とか確保できており、センターラインがある程度様になる形で定まりそうなのは好印象。そこにユース昇格組が上手くミックスアップされれば一気に層の厚さも出てくるので、ここは一つシーズンの見所になるのかなと思っています。今年は再度のベース作り、勝負は来年、再来年といったところでしょうか。しかし、一度でいいから全員U−18在籍経験ありというスタメンが見たいなぁ…と外野は妄想してしまいますね。GK阿波加 DF小山内、奈良、永坂、松本 MF荒野、深井、古田、前、神田 FW榊みたいな。これでも神田、三上、中原、横野などがあぶれるんだから、これはこれで恐ろしいな(笑


モンテディオ山形(10位)
 奥野新監督の下、シーズン中盤までは昇格も狙える位置につけながら終盤に大失速してシーズンを終了。その雪辱を期す今季、奥野監督は続投もコーチ陣を一新。コーチには前川崎監督で、奥野監督とは鹿島時代一緒にプレーした経験のある相馬氏を、GKコーチにはここ数年愛媛で川北や秋元を育てるなど地味に良い仕事をしていた笹原氏を、フィジカルコーチには新潟や千葉で経験のある大塚氏と、それぞれ名のある3氏を招聘。それぞれ前任者(手倉森コーチ、岸本GKコーチ、國保フィジカルコーチ)が悪かったとは思いませんが、何かを変えたいという意欲は伝わる人事かなと。
 それは選手補強にも表れていて、昨季のチーム内出場時間トップ10選手を全て確保した上で、期限付きだったチームトップスコアラーの中島、昨季後半前線で活躍した林は完全移籍での買い取りに成功。その上で、若干層の薄さが見られたGKに常澤、CBに作田と堀之内をそれぞれ手当てし、中盤もボランチからの推進力を持っているロメロ・フランク、器用に何でもこなせる中村太と即戦力を獲得するなど、十分に合格点を与えられる仕事をしたと思います。中でも中盤は非常に魅力的で、例えば昨季前半に多く見せていた4−3−3で、宮阪、秋葉、ロメロの3人が逆三角形の中盤を形成したならば間違いなくJ2屈指のトリオだと言えますし、宮阪とロメロがダブルボランチで、秋葉をサイドに出して中村、大田、廣瀬らを相棒にするボックス型の4−4−2でも問題なさそう。ポゼッション主体で行くのか、堅守速攻を中心にするのかは分かりませんが、魅力溢れる中盤を軸に、昨季終盤崩れた守備の再構築をはかりながら早々にチームスタイルを共有できさえすれば、今季は大失速という結果にはならないでしょう。突き抜けられるかは…また別問題ですけどね。


水戸ホーリーホック(13位)
 昨季、突然突きつけられたJ1ライセンスの非付与。そのことがどれだけ影響しているかは定かではありませんが、ここ数年通を唸らせていた「味のある大卒選手の一本釣り」は山村(明治大)、新里(中京大)の2人だけ。DF富田、近藤、MF小暮、FW難波とJ2レベルなら即戦力と言える補強はあったものの、DF岡田、代、MFロメロ、村田、金久保、坂井ら若手、昨季のチームトップスコアラーFW岡本、期限付き移籍中だったDF吉本とFW星原、そしてDF市川、FW吉原の両ベテランまでをも放出するなど、明らかに戦力収支はマイナスだと言わざるを得ません。しかし、そこで挫けたままでは終わらないのが水戸の面白いところで、昨季のMF鈴木雄(横浜Fマリノスユース)に続いて、GK岡田(鹿島ユース)、MF二瓶(FC東京U−18)と「他チームの下部組織で昇格できなかった選手の一本釣り」に成功(今後こちらにシフトする可能性大?)。また、U−18がプリンスリーグ2部に昇格を決めるなど自前の育成も軌道に乗ってきた印象があり、ライセンス付与の条件が施設面にあるため自分たちではどうすることができないながら、それでも自分たちのできることはやりきろうとする姿勢には共感を受けます。
 とは言え、繰り返しになりますが補強収支はマイナス。塩谷が昨季途中に抜け、代役として奮闘していた代も放出したCBは尾本、細川、キム・ヨンギ、富田と頭数こそ揃えど強度不足は否めず、絶対的なボランチだったロメロの後釜も不透明。また、岡本、吉原の抜けたFWには難波が入り、鈴木隆との2トップは迫力がありますが、もう1枚計算できる選手が欲しい(いざとなれば橋本がセカンドトップとして振る舞えますが…)など、センターラインに不安を残す点は心配なところです。柱谷体制3年目となり「チームとして共有すべきベース」は揺るがないでしょうし、そのベースは割と新規加入選手も取り込みやすいものだという印象はありますが、果たしてどこまでやれるか。東京ファンとしては二瓶がどの段階で出番を得られるかも注目したいところ。幸い、似たようなタイプですでに頭角を現している小澤がいるので、彼からプロでもあのスタイルを貫いて戦える術を盗みながら成長してほしいですし、一日も早いデビューを期待してやみません。


栃木SC(11位)
 J2に昇格して5年目となる今季。着実に前進している印象を受ける一方で、勝負どころで勝ち切れなかったり、シーズン後半まで体力が持たなかったりするなど「万年昇格候補止まり」のチームになりかねない危険性をはらんでいる印象もあるのが正直なところ。松田体制も時を同じく5年目となり、今季は今後の進路を左右する勝負のシーズンになるのかな?と私は勝手に思っております。それで、ここまでの補強は過去最も力が入っている印象。昨季の守護神GK武田、主力のDF宇佐美、渋い働きを見せていたMF荒堀、河原、FW棗などを放出するも、GK榎本、DF(MF?)三都主、FW近藤とJ1クラスの選手獲得に成功し、FWクリスティアーノはフロントが「(複数チームから声がかかっていたらしい中で)よくウチに来てくれた」というレベルの選手とのこと。また、DF中野、FW勝又とJ2で実績を残した選手の獲得も実現し、その上でMFパウリーニョ、FWサビアの両ブラジル人やDF當間、MF菊岡、FW廣瀬ら各セクションの主力も慰留することができました。
昨季は8割(34試合以上)出場した選手がわずか6人だけで、怪我人の離脱を主とした組織作りの苦戦からメンバーを固定し切れなかったことが失速の要因だったと思っていますし、元々ソリッドな組織を作ることに長けた松田監督の下で、ここ数年と比較すると大きな選手の出入りがなく、昨季のベースを維持したところからスタートできそうなのは好印象。やることは引き続き堅忍不抜なサッカーになると思いますし、今季はより高いレベルでの混戦が予想されますが、今度こそ真の「台風の目」となれるかに注目したいです。


ザスパクサツ群馬(17位)
 チーム名を新たにし、DF御厨、MF熊林、松下といった長年チームを支えてきた主力に別れを告げるなど、文字通り「心機一転」のシーズンとなる草津。新監督に前水戸コーチで、2年半チームに在籍経験のある秋葉氏を招聘し、MF加藤、永田、FW平繁、青木らすでにJ2で実績のある選手、DF夛田、増田、MF坂井ら若手や、ここ数年当たりを続けている無駄に眼力のあるスカウト陣が見つけてきたDFジュニオール・アウベス、FWエデルなど積極的な補強を敢行し、生まれ変わって勇猛果敢に戦いたいという意思は感じ取れるオフだったかなと。
 もちろん、新体制&出入りの激しさにより、戦術的には一からの作り直しとなるため、今季いきなり結果を求めるのは酷。2、3年後を見据えて内容を徐々に良化させていきながら、不満が爆発しない程度の結果を出せれば、また、植木代表や秋葉監督が新体制発表会で何度も口にした「草津らしさ=アグレッシブに、荒々しく」を取り戻すことを内外に示せれば、今季は大成功かなと思いますね。


ジェフユナイテッド市原・千葉(5位)
 気がつけば、J2生活は今季で4年目。降格してからの3シーズンは毎年昇格の有力候補と言われながら、4位→6位→5位(昇格プレーオフ決勝で敗退)とあと一歩J1復帰に届かず。しかも、シーズン中の道のりは「新監督就任→序盤は選手の個の力で優位に立ちながらリーグを牽引→夏の終わりごろから失速→監督人事で下手を踏む→あぼーん」という大体の流れが3年間続くなど、「何やってんだよ!」と言われてしまっても仕方のない状況です。今オフも木山監督、神戸TDの退団がシーズン終了後すぐに発表されながら後任人事に手間取り、MF兵働、FW大塚の完全移籍やDF高橋の期限付き延長は好材料も、DF武田、FW藤田、荒田を慰留できないなど、後手を踏んでいる印象は否めません。
 しかし、それでも、GK岡本、DF山口智、竹内、MF佐藤勇、佐藤健、兵働とセンターラインは健在で、昨季序盤は怪我で出遅れた米倉、途中加入だった谷澤のシーズン頭からの活躍も見込めば、その顔ぶれはJ2上位。藤田、荒田、オーロイと一気に22得点分抜けてしまったFWにいまだ手当てがないことは看過できませんが、もしここに名のある選手を連れてくることができれば(外国人選手をリストアップしているとの噂あり)、やはり今季も昇格の有力候補であることに疑いの余地はないのかなと。鈴木監督がやるべきことはそう多くなくて、選手たちが昨季味わった究極の悔しさをどれだけパワーに変えられるか、勝負どころで勝ちきれるか、それだけだと思います。それができればぶっちぎってもおかしくないですし、それができなければ…また5位とか6位でしょう。


東京ヴェルディ(7位)
 千葉のJ2生活4年目も長いなぁ、と思いましたが、「先輩」東京Vは今季が5年目。この間、読売グループから完全に離れたり、後続のオーナーグループがヘマこいて経営難に陥り、当時Jリーグ事務局長だった羽生氏が社長になったり、昨季途中に2年半続いた川勝体制に終止符を打ったりするなど平坦ではない道のりがあったため、今オフにどういう動きを見せるのか注目していました。その答えは、志半ばで北九州を離れることとなったOB三浦泰年氏の招聘+(1月27日現在で)22人がOUT、17人がINという血の入れ替えでした。
 OUTの中にはGK土肥(引退)、DF土屋、深津、MF佐伯、FW阿部ら中堅・ベテランからDF高橋、MF和田、小林、梶川ら主力だった若手まで含まれており、特に阿部や若手陣の放出は正直痛手に映りますが、「ヤス・チルドレン」と言っていい北九州勢−GK佐藤、MFキム・ジョンピル、安田、常盤、(形としてはレンタルバックの)GKキローラン菜入、DFキローラン木鈴−の大量獲得や、DF福井、MF鈴木、石神、FW高原といった即戦力、そして、昨季いきなりブレイクしたFW中島を筆頭にユースから6人昇格と多士済々な補強に成功。もともと読売クラブ時代からパス・ドリブルを中心としたブラジル的な、攻撃的なサッカーを紡いできましたが、三浦新監督が北九州でやってきたことをそのままやるとすれば、さらにそのスタイルが先鋭化することはほぼ間違いなし。早速練習ではピリッとしたところを見せているようですが、北九州で成してみせた躍進振りを、東京Vでも再現できるのか。このチームに対する好き・嫌いは別にして、今季最も目が離せないチームの1つだと思います。


横浜FC(4位)
 山口監督就任で息を吹き返し、「最下位からJ1へ」を成し遂げられる一歩手前までV時回復してみせた昨季を経て、今季は堂々昇格候補の1つとしてカウントしていい、J1昇格を見据えなければならないシーズンとなるでしょう。補強は、阿部、八角、堀之内、渡邉、杉山、中野とDF陣がごっそりいなくなり、その補填は中島、森下、市村、西嶋とJ2で実績のある選手。また、FW難波の後釜には黒津を招き入れ、MF寺田の買い取りや長年草津のアイコンとして活躍してきたMF松下の獲得に成功。収支はイーブンかややプラスと言ったところでしょうか。
 基本的な戦術はボールを大事にして、攻撃的な姿勢を打ち出すことで変わりないと思いますが、山口監督自身が新体制発表会で「そこにこだわることはない」と語っており、実際昨季終盤は大久保と田原のツインタワーを採用して比較的シンプルに相手の嫌なところをつくことも厭わなかったことを踏まえれば、「勝つために何ができるか?」をより強く追及していくシーズンになるのかなと。その中で、新戦力が即座にフィットして、昨季の武岡や森本のようにパッと花開く選手が出てきて、どれだけ上積みができるかがポイントでしょう。ただ、個人的には昨季後半にDFリーダーとして存在感抜群だった堀之内の放出が、小さいのかもしれませんがヒビとしてどうしても目に付いてしまっていて。CBの頭数も微妙に足りないというか、いまひとつグッと来るところがないですし、リーダー的振る舞いは西嶋にその代わりを期待しているんだと思いますが…


松本山雅FC(12位)
 J2昇格1年目としては、外野から見た限りでは幸せなシーズンを送った印象のある松本。今季はそこがベースラインとなるため、昨季に比べれば格段にハードルが上がるシーズンとなり、クラブの底力が問われることになると思いますが、補強は非常に積極的。OUTは20人と多いですが、ほとんどの選手の大半は昨季の出番が15試合以下とバックアッパー中心と人員整理の意味合いが強く、一方のINではDF川鍋、岩沼、MF吉田、北井、FW長澤と選手層の底上げを期待できる即戦力の獲得に成功。さらに、高卒&大卒の獲得はトータル10人にも上り、これはJ1・J2合わせて40クラブの中で最多。全員が大成するとは言いませんが未来への布石もしっかりと打てており、クラブとしてビジョンがハッキリしている点は評価していいのかなと。
 元々反町監督は相手の長所と短所をスカウティングし、その結果を的確に落とし込むことで、相手の良いところを消しながら自分たちの良いところを出していくチーム作りをする印象がありますが、昨季は手駒の関係で3バック中心でした。しかし、SBが本職の岩沼、CBとSBを両方こなせる川鍋の加入により、後ろは3枚でも4枚でも作れる体制となったことで、より柔軟な対応が可能になるのかなと。守備はチーム全体で頑張れるところを証明済み。もちろん、対戦相手は昨季以上に警戒をしてくるでしょうし、例えば「ボールをあえて持たされたとき、どうすんの?」といった課題もありますが、それを上手く乗り越えられれば、プレーオフ圏内を十分狙えると思います。


カターレ富山(19位)
 安間体制の集大成となる3年目。ここ2年は下位争いに沈んでいますが、昨季終盤の戦いからは光明が見えた部分もありました。その中で主力を担っていたDF福田、MF加藤の移籍は穴として小さくないですが、DF御厨、船津(期限付き終了による復帰)、MF大山、國吉(昨季の期限付きから買い取り)とその穴を埋められる補強には成功。また、安間監督は3バックと4バックの使い分けであったり、3バックでも3−3−3−1だったり3−6−1だったりと、複数の戦術・システムを駆使する印象のある方ですが、在籍選手に大きな変動がなく、安間監督の考え方をしっかりと噛み砕けている選手が多数残ったことで、昨季の流れを引き継いでシーズンインできる点は好印象かなと。
 1桁順位に…という目線で言えば、例えば2桁得点を奪えそうなゴールゲッター不在であるとか、チーム全体としての強度にやや弱さが見えるといった点があるのでさすがにどうかな?と思いますが、主力の怪我さえ増えなければ、降格争いより1つ高い位置でシーズンを過ごせるのかなと。そのためには、上に書いたことと若干矛盾するかもしれませんが、安間監督が「ファーストオプション」をしっかりと定められるかどうか(あまり試合ごとにいじくらないでいられるか)にかかっている気もします。
 

FC岐阜(21位)
 昨季再度明るみになった財政難もあってか今オフのOUTは20名を数え、その中にはGK野田恭、DF野田明、村上、MF橋本、廣田、FWダニロ、アブダ、樋口、佐藤などここ数年主力級も多く含まれています。一方のINは11名にとどまり、1月26日現在で登録選手は23人と、スリム化したというよりは結構心許ない状況になっております。しかし、昨季最終節のスタメンから抜けた選手がいるか?と目線を変えれば、抜けたのはDF村上、FW樋口、佐藤の3人のみと、質は何とか確保できています。その上で、GKには時久と競える高木、DFはベテラン杉山とセリエBでプレー経験のある長身CBデズモンド、MFは山崎の買い取りに加えて、昨季鳥取を牽引した美尾と各ポジションに即戦力を入れることに成功したのは好印象です。
 ただ、FWの補強は杉山のみで、佐藤、樋口、ダニロ、アブダの4人で奪った18得点を補填することは全くできていないため、昨季までと同様かそれ以上に「どう点を奪うのか?」という点において厳しい見方をせざるを得ませんし、重ねてになりますが23人体制で42試合を乗り切れるかは不透明…というか相当難しいでしょう。限られた補強費用の中で、期限付き移籍等であと2、3人追加(もちろん、FW中心に)したいところですが、それが叶ってようやく残留争いの勝負になるレベル。叶わなければ…


京都サンガF.C.(3位)
 最終節手前まで自動昇格の切符を手の中に収めておきながら、結果的にJ1復帰は叶わず。そして、3年目のJ2を迎えるにあたりGK水谷、MFチョン・ウヨン期限付き移籍)、中村と昨季主力中の主力だった3人がチームを離れることとなりました。しかし、GKオ・スンフン、MF田森、FW三平とJ2でしっかりと実績を残している選手をそれぞれのポジションに補填し、FW原の買い取りにも成功。さらにG大阪からMF横谷、そして川崎からMF山瀬を獲得するなど、抜かりないオフを過ごせた印象です。
 大木体制も3年目となり、どんなサッカーをするかはほとんどのサッカーファンが勝手知ったところにまでなりました。その中で、昨季はハマったときの強さ、上手さとハマらなかったときの弱さ、脆さが鮮やかに映し出され、クライマックスで後者が勝ってしまったことで昇格できなかったわけですが、それでもこれまでやってきた先鋭されたスタイルを維持するのか、それとももう少しバランスを取る方に針を振るのか。第三者的にはどんどん先鋭化してもらって、わが道を突っ走ってもらった方が面白いわけですけど、当事者からすればやはり「昇格」がお題目のシーズンなわけで。大木監督がどう舵を取っていくのか、要注目です。


ガンバ大阪(J1 17位)
 また1つ、「J1オリジナル10」からの降格チームが生まれてしまった昨季。西野監督解任から始まった悲劇へのシナリオを、誰も食い止め切れなかった昨季。そんな西の名門が、「受ける立場」としてどう戦っていくのか?これが今季のJ2のメインテーマであることに議論の余地はないでしょう。DF中澤、MF佐々木らを失いましたが、大半の主力慰留とDF岩下の完全移籍には成功し、戦力面で文句のつけどころはありません。
 長谷川新監督が新体制発表会で「ガンバのスタイルというところは…そういう言葉で言えば、もう皆さんがイメージできるサッカーというものが西野さんの頃からあると思っていますので、それを180度変えるようなつもりは全くありません」と語ったとおり、何か戦術的な変化があるとは思いません。課題も「守備組織の構築&共有」と「ガッツリ引いて守る相手への対策」の2点だけで、整理すべきポイントは明確になっていると思います。それで、後者はここ数年後続をちぎって昇格したC大阪、広島、柏、東京、それぞれがある時期苦しむことはありましたが、終わってみれば質の違いを見せてゴールを奪い続けられていたので、私はどうにかなるんじゃない?と楽観視しています。しかし、守備については、天皇杯町田ゼルビア相手にあっさり2失点を喫するなど、昨季のままではJ2でも中位レベル。その中でDFは中澤が抜け、キム・ジョンヤが抜け、代表で一定時間今野も取られる可能性が高い。ボランチも明神からいささか往年のキレを感じられず(怪我の影響もあったでしょうが)、遠藤も今野同様代表での離脱が想定され、武井、大森ら若手も成長しきれていない。さらにGKを今季も補強せず、微妙オブ微妙と、昨季からの不安・課題を修正しきれるかは未知数。もちろん、岩下、今野、明神らが個の違いでボールをかっさらえる、あるいはJ1と比べれば当然相手FWがチャンスを「外してくれる」可能性が高いことで相対的に失点は減ると思いますが、例えばシーズン始まって4、5試合経ったところで「あ、今年の守備はある程度安心していいな」という点を内外に示せなければ、ずるずると大混戦に巻き込まれても驚かないかなと。そういう意味では、開幕戦のG大阪対京都というマッチメイクは、今年のJ2を占う上でいろんな意味を含んでいますよ。日程くん、作為的すぎやろ(笑


ヴィッセル神戸(J1 16位)
 2011年の過去最高順位(9位)を受け、大型補強で一躍注目を浴びた昨季。待っていた結末は、まさかの降格でした。昨季の神戸を見て、改めて「ポゼッションを大事にするサッカー『だけ』が正解ではない」「チームとはあくまでも『個の資質の集合体』であり、『スタイルありき』ではない」ことを勉強させられました。言い換えれば、野沢と橋本だけではポゼッションスタイルを体現しきれず、その他の選手の顔ぶれを見れば、ハイプレッシング&アグレッシブから急激に針を振る必要はなかった、という言い方になるでしょうか。ともかく、降格した今季はDF伊野波、高木、MF野沢、FW大久保と代表クラスの選手が移籍をし、一定の戦力ダウンからのスタートとなります。
 とは言え、GK山本、DF河本(期限付き移籍から復帰)、FWポポとJ1でも通用する選手の獲得、昨季愛媛で花開いたFW有田の復帰、J2に在籍させておくのはもったいなさ過ぎるレベルのMFエステバン、将来背豊かなDF岩波、FW村松らユースからの昇格4人と、補強のアプローチは多角的で、及第点以上。変な話、守備のバランスで言えばG大阪の数倍安定していますし、攻撃も、相手が出てくればチームとしてその裏をつくスピードがあり、引いて守られた時でも田代、都倉の強力ツインタワーがJ2レベルのDF相手なら単純なプレーで何とかしてくれそうな雰囲気もあります。安達監督やファンが「J1に戻ってもすぐに通用するような…」的な理想をかなぐり捨て、「J1に1年で戻るためだけに」という現実的な目線、どう勝つかだけを突き詰められれば、こっそり首位をひた走っていてもおかしくないと思います。


ガイナーレ鳥取(20位)
 昨季は、JFLへ降格した町田より得失点差が悪い中(リーグ最多失点でした)、勝つときはしぶとく勝ちきったことで無事J2残留を果たしました。しかし、チームの精神的支柱だったMF美尾を筆頭に、DF水本、加藤、MF三浦、小井出、FW福井といった半分(21試合)以上のゲームに出場した主力を割りと早い時期に大量放出。金銭的な問題なのか、それとも他の事情があるのかは窺い知れませんが、およそ戦略的な放出とは考えられず、よそ様のことながら「フロント、大丈夫か?」と疑問を呈さざるを得ませんでした。
 しかし、GK嘉味田、DF柳川、横竹、武田、MF田中、永里、廣田、FW辻、岡本、久保(期限付き移籍延長)と、補強した顔ぶれはいずれも即レギュラーを掴めるレベルの選手ばかり。23名と少数精鋭な点+美尾に変わって誰がフィールドで存在感を出せるのか?については大きな不安を残すも、現時点では「フロントGJ!」と評価(&前言撤回)させていただきたいなと思います。あとは、監督1年生の小村新監督がどんな手綱捌きを見せられるか。ヘッドコーチに吉澤前監督がいるためやりやすい点はあると思いますが、果たして。


ファジアーノ岡山(8位)
 J2に昇格した2009年以降、18→17→13→8と着実に順位を上げ、昨季は昇格プレーオフ争いに堂々参戦した岡山。平均入場者数7,985人は甲府、千葉、大分、松本に次いで5位と地元への定着度も一定のレベルを維持しており、影山体制も3年目。舞台が整った印象はかなり強く、今季は目に見える何かを掴み取りたいシーズンではないかと思っています。
 その心意気は補強からも見て取れ、MFキム・ミンキュン、FW川又と合わせて24得点奪った2人こそチームを離れましたが、MF押谷、鈴木、FW荒田とある程度計算が立つ選手で補填は十分。期限付き移籍から復帰したMF久木田も怪我が癒えれば十分に戦力ですし、新卒の選手もMF島田、FW小林ら面白そうな素材がいます。チーム全体が運動量の豊富さ、ハードワーク、献身的な姿勢を持って守備を行い、攻撃では手数をかけずスピーディに攻めきる姿勢はなんら揺るがないと思いますし、昨季の躍進でハネたDF澤口、田所、後藤、MF仙石、千明ら中堅・若手にさらなる成長が見られれば、そして、誰かが(チーム全体でもいいですけど)川又の穴を埋められれば、夢の実現はそう遠くないところに見えているのかな?と思います。

 
徳島ヴォルティス(15位)
 昇格まであと一歩と迫った2011年を受け、「昇格請負人」とも言える小林監督を招聘してJ1昇格に再チャレンジした2012年は、まさかまさかの15位。どこかが決定的に良くなかったわけではありませんが、逆にここが良かった、ここは強かったという部分も明確にできず、なんとなくズルズルしたまま終わってしまったという印象です。しかし、GKオ・スンフン、榎本、DFエリゼウ、西嶋、平島、MF上里、徳重、FW杉本、ジオゴと主力寄りの選手が数多く離れたものの、GK松井、川浪、DF千代反田、MF柴崎、FW大崎、高崎とOUT組に全く引けを取らない補強を行い、MF青山、FWアレックスは完全移籍での買い取りに成功と、さすがは大塚製薬様、今季も補強は精力的でした。
 昨季終盤は3バックを採用することも多かった印象ですが、西嶋、平島、上里といったサイドバックでプレーできる選手を放出しながら、補填する意味のサイドバックの補強がなかった点や、それこそ補強した選手は千代反田がストッパー、柴崎がボランチ、大崎がシャドー、高崎が1トップとそれぞれセンターラインにはめ込める点から見て、今季は3バックがメインシステムになるのかなと。ウイングバック、誰やるの?という点はいささか不安が残りますが、昇格圏内・プレーオフ圏内を目指せる戦力層であることは間違いないですし、昨季昇格した湘南や大分、あるいは躍進を遂げた岡山や松本とはまた一味違ったタイプの3バックを見せながら結果を残せるか、注目したいです。


愛媛FC(16位)
 独特な存在感と若手育成の手腕を発揮していたバルバリッチ監督との契約を延長せず(ご家族の体調の問題もあった?)。代わりにOBで昨季まで−そして近年存在感を見せていた−愛媛ユースを指揮していた石丸氏を新監督に招聘し、チームは新たに「3年計画」の下でリスタートすることとなりました。
 補強ですが、2年続けて齋藤、有田と「他チームで燻っている若手」を期限付き移籍で獲得し、継続してプレーさせて花開かせたことで「今季目をつけられるのは誰だ?」とひそかに注目を集めていましたが、DF黒木、MF伊藤、FW重松、松本とこれまた面白い素材の獲得+昨季終盤に出番を得てプロ初ゴールも奪ったMF加藤の期限付き移籍延長に成功。と同時に、FW有田の期限付き移籍終了や、DF前野、MF田森、内田、大山と主力の放出はありましたが、DF小原、MF吉村、FW河原と中堅・ベテランを各セクションに迎え入れ、一定の安心感はしっかり確保。石丸新監督は「運動量豊富に、全員で」と述べていましたが、若手がその期待に応えて躍動してくれれば、目標である1桁順位は決して大言壮語ではないかなと。


アビスパ福岡(18位)
 逆ぶっちぎりでのJ2降格ながら、それほど戦力ダウンなく迎えられたことで昇格争いに絡んでくると見られていた昨季でしたが、守備組織を構築しきれず68失点はワースト2位、順位も18位と散々なシーズンとなりました。それを受けて、チームはスロベニアからプシュニク新監督を招聘。まあ、何者か全く分かりませんが(苦笑)、意外と東欧系の監督とJクラブは相性がいいので、そこに期待する価値はあるかなと。
 補強は、さすがに連続してのJ2ということもあってDF小原、MF末吉、鈴木、成岡が他クラブに引っ張られ、DF和田、FW高橋らも放出となりましたが、GK水谷、DF宮本、MF船山、金久保と悪くないメンバーを獲得。また、昨季のチームトップスコアラーであるFW城後はいくつかのオファーを蹴って残留を決断し、FW坂田、オズマールも引き続き確保して得点力の低下は避けられました。全体的に小ぢんまりとしてしまった感は否めませんが、逆にそのぐらいの方が東欧系の監督はまとめてくれそうな気がしますし(ベルデニック的な)、前線の選手には自由に振る舞ってもらいながら、チーム全体として守備をどこまで頑張ることができるかがキーになると思います。


ギラヴァンツ北九州(9位)
 三浦前監督と歩んだ幸せな日々は、スタジアム面によるJ1ライセンス非付与という事実により、予定より早いエンディングを迎えることとなりました。三浦前監督の決断がビジネスライクに映った人もいるでしょうけど、プロフェッショナルな決断だったのは間違いなく、それをチームが受け入れたのであれば、涙を拭いて次を見据えるべきでしょう。その次の決断は、柱谷幸一新監督の招聘+移籍の方針転換でした。
 三浦前監督時代は、他のクラブで燻っている若手を獲得し、自らの哲学に基づき成長させていったことで一気に注目を集めるクラブとなりましたが、三浦前監督の退任と同時にGK佐藤、MF木村、キム・ジョンピル、安田、FW常盤ら「ヤス・チルドレン」がクラブを去り、DFキローラン木鈴、MF竹内、FW端戸ら期限付き移籍組もほぼ全てレンタルバック。また、DF川鍋、関、小森田、長野、登尾、FW大島、林、レオナルドら馴染んだ顔ぶれも一気に放出しました。そして、獲得した選手はGK武田、DF前田、渡邊、内藤、MF小手川、鈴木、八角、FW大島と中堅・ベテラン寄りの即戦力+大学中心の新卒選手という組み合わせに。これは、新スタジアム竣工が予定されている2016年度に向けて即戦力で一定の競争力を確保しながら、2、3年後に主力足りえる選手を自前で育てることを意図して新卒選手をふやし、期限付き移籍を減らしたと理解しています。その意味で、今季は成績的に辛いシーズンになる可能性は低くありません。けれど、もろもろの状況を踏まえればこうするしかなかったと私も思いますし、何とかこの状況を地域全体で共有して、乗り越えてほしいと思います。


V・ファーレン長崎(JFL 2位)
 見事JFLで優勝を果たし、九州6チーム目のJクラブとなった長崎。もともと国見高校の影響もあってサッカーどころではありましたし、もろもろありながらもホームスタジアムである長崎県立総合運動公園陸上競技場がこの3月からリニューアルオープンして使用できるようになるなど、Jへの挑戦ムード・体制は整いつつあるのかなと。
 今オフ、佐野前監督の解任によりチームに不穏な空気が流れたと聞いています。新たに就任した高木監督も、新体制発表会においてそのことに触れていました。しかし、同時に「とにかく前を向いていきたい。もう後ろを向くのではなく、皆さんと一緒に前を向いて進んでいきたい、そういう気持ちで私の頭の中は一杯です」と語っており、チームに関わる全ての人は、この言葉をキチッと受け止めてほしいなと。補強はGK岩丸、DF山口、高杉、オ・チャンヒョン、MF下田、幸野、井上、FW佐藤、小笠原とすべて現役選手。今季は彼らと現有戦力を上手くミックスさせ、高木監督らしい組織だった守備と素早い攻撃でしぶとく勝ち点を拾い、残留すれば間違いなく大成功のシーズン。言い方は大変によろしくないですが、松本になるか、町田になるか。さあ、どっちだ?


ロアッソ熊本(14位)
 3年間指揮を取った高木監督に別れを告げ、吉田前U−19代表監督を招聘して新たなスタートを切ることとなった今季の熊本。補強は、ブレイクしたDF廣井、MF武富の両選手が期限付き移籍終了によりレンタルバックとなり、その他DF市村、MF西森、根占らを放出した一方、北嶋の買い取りは朗報も、その他は新卒選手が中心とやや大人しい印象です。
 ただ、昨季終盤に現有メンバーで(天皇杯含めて)6連勝を飾るなどベースがしっかりしていることは事実としてあり、新体制発表会における池谷代表の話を聞く限りは想定内というか、予定通りの人事だった様子。高木前監督が培ってきたものを崩すことなく、そこから新監督の手腕やブラジル人の個のパワー、そして、新たに招聘した松本フィジカルコーチの下で怪我人の減少をはかりながら、どれだけ上へチャレンジできるか。そういうシーズンになると見ています。


 最後に、当たらない順位予想を。

1位 神戸
2位 G大阪
3位 京都
4位 千葉
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5位 東京V
6位 栃木
7位 岡山
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8位 徳島
9位 山形
10位 横浜FC
11位 松本
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12位 熊本
13位 愛媛
14位 福岡
15位 札幌
16位 北九州
17位 水戸
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18位 富山
19位 群馬
20位 鳥取
21位 長崎
22位 岐阜

 自動昇格候補が1〜4位、自動昇格も睨みながら、現実はプレーオフ圏内狙いが5〜7位、自動昇格はさすがに厳しいけど、プレーオフ圏内は十分に狙えるのが8〜11位、ひょんなことで上も下もあるのが12〜17位、残留争いが18位以下という見立てです。まあ、当たる当たらないではなく、自分なりの見立てを持ってJ2も1年追いかけるのが面白いと思いますし、今季も楽しみです。