続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

高円宮杯プレミアリーグ第2節 東京U−18−浦和ユース

 さぁ、いよいよ東京にとってのプレミアリーグ開幕です!結果的に緒戦の相手となったは浦和ユース。春の日差し降り注ぐ深川グランドで行われました。


 東京のスタメンは(多分)以下の通り。

−−−-18岩田−-19斎藤−−−−
7岩木−−−−−−−−−-13福森
−−−−8山口−−9冷岡−−−−
6村松−-2下川−-5小林−-3吉田
−−−−−−−1谷−−−−−−-

 対する浦和は(多分)こちら。

−−−−−−12高田−−−−−−
11堀田−−−−−−−−−-7鈴木
−−−−14繁田−10矢島−−−−
−−−−−−-6野崎−−−−−−
5佐藤−-3寄持−4小出−-20新井
−−−−−−-1三上−−−−−−

 まずお断りしておきますが、この日は遅刻野郎をかましてしまいまして、あまりいいポジションで試合を見ることが出来なかったので、端々誤ったことを書いているかもしれません。話半分で見ていただけたらありがたいなと(汗
 試合は立ち上がりから浦和ペースで進みます。浦和は今年もGKがパントをほとんど蹴らずに低い位置からしっかりビルドアップしてうんたらかんたら、というスタイルで、そのキープレイヤーは6野崎。彼が直接ボールを持ったときは当然のこと、しっかりとしたコーチングで周りを動かすことでチームとしての縦・横のパスバランスが非常に良く、東京のプレスが的を絞れません。逆に東京はというと、ボランチコンビが冷岡、山口というところである程度は覚悟していましたが、真ん中で全くといっていいほどボールが収まらず、2トップも楔になれず、フォローがなく。じゃあ裏を…という攻撃の意図もあまり見られず、サイドに追い込まれてはプレスの餌食になったりパスミスしたり。チャンスといえば7岩木がボールを持ったときの仕掛けぐらいでした。自分のツイート見直したら、15分ぐらいで「ヒデ(15野沢)の投入まで我慢したいなぁ、なんとか」って書いてたほどで(苦笑)
 中盤になってもその流れは変わりません。その一番の要因は、個人的にはシステムの問題だったのかなと。先のスタメンを見ていただければお分かりの通り、東京はシンプルな4−4−2、浦和は中盤が逆三角形の4−3−3(4−1−2−3)でしたが、このシステム同士だと、まともに重ね合わせれば浦和側のアンカーがどうしても浮く形となってしまい、全くプレッシャーのなかった6野崎はもう伸び伸びどころの騒ぎじゃなく、自由を謳歌して気分良くプレーできていました。東京は先ほども書いたとおり、浦和のパス回しをプレスの網に上手く引っ掛けられず、最終ラインの踏ん張りで決定機こそ作らせていませんでしたが、しかし素人目に見ても「こりゃ何とかせにゃ…」と思う展開が続きます。ただ、倉又監督は個人個人には指示を与えるものの、これといった大枠での指示は出すことはなく、ずーっと浦和ペースのまま、しかして焦れる展開が続いてきます。しかし、38分に試合が動きます。ちょっと私が座っていた位置からだと誰が誰を倒してなのかが電柱が邪魔で見えなかったんですが、エリア内で東京が浦和の選手を倒してしまいPKを献上。これを12高田が冷静左隅に決めて1−0。で、このまま前半は終了。反撃の余地をどこに見出すか正直見つけきれずに、きっついなー、と思いながらハーフタイムは過ごしていました。


 そんな後半、頭から倉又監督が動きます。19斎藤に変えて15野沢を投入し、9冷岡をボランチから前に上げる形を取ってきました。どこで野沢を、という展開ではありましたが、頭から入れてくるあたりは予定通りだったのか、ひらめきだったのか…。そこを知る由はありませんが、しかし期待を込めて投入された野沢は最初の数プレーでさすがの存在感を見せ、これはなにかやってくれるな、と皆さん感じたと思います。そして、いきなり結果を出すんだから大したもので。50分、相手ゴール前で得たFKを岩木が無回転ズドン…は壁に当たりますが、そのこぼれ球を上手く拾って繋ぎ直し、左サイド深くで岩木が相手DFと1対1になると、もんのすごい切れ味の切り返しで相手を置き去りにして中へクロス。このボールにはまあ多くの選手が群がってごちゃっとして、正直何がなんだかわからない感じもありましたが、上手く野沢が左足?でシュートを撃つと、これがゴール右隅にコロコロと転がり込んでゴール!早い時間帯に同点に追いつきます。これで意気上がった東京は、間髪入れず浦和に襲い掛かります。54分、相手陣で野沢が若干体勢を崩しながらもボールをキープしきって岩木へパス。これを岩木がダイレクトで叩き、それを受けた岩田がリターンパス。再びボールを受けた岩木が左足を振り切ると、これがゴールに突き刺さって逆転!まさに電光石火の10分間、見事な逆転劇でした。(流れをご教授いただいたちようぬさんに感謝)。
 そして、おのずとこの逆転ゴールで完全に流れは東京に傾きます。その要因は2つあったかと。1つ目は「システムチェンジ」。先ほど書いたとおり、後半頭から選手交代を施し、ポジションの入れ替えも行いましたが、単純に冷岡をFWの位置に上げて4−4−2のまま…ではなく、冷岡を18岩田の下に置いて、前半に好き放題やられた野崎に対して監視を強める4−4−1−1のような形にしていたんです。ってところでピンと来たのが、09年Jユースカップ2回戦、東京4−1三菱養和の試合でした。あの時も4−4−2対4−1−2−3のシステムギャップに苦しみ先制を許すもしぶとく追いつき、見事なゴール(あのときの重松ゴールはいまだに脳裏にこびりついてるわー)で逆転。そして配置を4−4−1−1にしてシステムギャップをなくし、正面ガチンコのぶつかり合いからスタミナで上回る東京が完全にペースを握り締め、終盤に追加点を上げて…って試合でしたが、要因の2つ目はその「スタミナ勝ち」。
 立ち上がりから、浦和は低い位置からのビルドアップ、ショートパスで攻撃を仕掛け、そこに対して東京は2トップがCBにまで食いついて、後ろも連動して押し上げ気味のプレスをかける、という展開が続き、序盤から息の入らない展開になっていました。「息が入らない展開だなぁ。どっちが先にバテを見せるか。」ってツイートしていたぐらい。で、この時期にしては気温が高めだったこともあって、普通に考えれば追わされている東京側が先にバテを見せてもおかしくなかったんですが、まあ足が止まらないのなんの。前半はシステムギャップがあったので追えど届かず…だったのに対し、後半はシステムチェンジして正面ガチンコに持ち込み、局面であっさり数的不利になることがなくなって相手の「視野に飛び込める」ことで、浦和の攻撃のテンポが徐々に鈍っていきました。冷岡をぶつけた目論見どおり、野崎の存在感が徐々に気迫になっていきましたしね。
 そんな後半の中盤戦に目立っていたのが18岩田、5小林、1谷の3人かなと。岩田はスタミナ面の殊勲者。前半から主に守備面での走りが強く印象に残っていましたが、後半になってもそれは衰えることなく、徐々に攻撃でも目立つようになってきて、終盤にはカウンターの流れで鋭い飛び出しを見せ、相手GKの退場を誘うまで走りきりました。冷岡の使い方がまだ定まっていない中、2年生ながら今年のFW陣を引っ張ることが求められている状況を、本人がどこまで自覚してプレーできるか。厳しくも温かい目でみていきたいと思います。
 小林は、いわゆるテキストライブに名前が出るような目立ったプレーはほとんどなかったと思いますが、後半ゴール裏から見ていると、細かいポジションの取り直しやカバーリングがホントに上手い。見かけによらず上手い(超失礼)。カバーリングについては、去年松藤とコンビを組んでいた時から出色の内容を見せていましたが、今年その頼れる相棒が卒業し、自分が最終ラインを引っ張る立場になったことで、1つのプレーに責任感が増したというか、さらに危険なところを察知する能力が研ぎ澄まされてきているなぁと。そして、その小林含め最終ラインが破られても、東京にはゴールにガッチリと鍵をかけられる男、谷俊勲がいます。PKで失点こそ喫しましたが、そのPKもコースはしっかり読んでいましたし、2−1とリードしてペースを握ったまま進んだ後半で、唯一浦和ペースになった数分間があったと思いますが、そこでの2つの1対1をともにしっかりセーブしきり、流れを渡すことをしませんでした。また、練習試合のときに気になった「キャッチした後の素早い判断」もこの日は良く、いいパントが2、3回あったかと。コーチングも前半は劣勢だったこともあってかいくばくかの怒気を含みながら鼓舞するトーンで、流れが来た後半は「○○いいよー!」とか「ナイス、ナイス!」といった後押しするトーンで、と使い分ける形で上手くチームをコントロールできていたかと。この前のプレビュー的なものでも少し書きましたが、攻撃の形が構築されるまでは、守備陣の踏ん張りが絶対不可欠となります。その中心として、小林、谷には今後も安定したプレーを期待したいものです。3点目を決めたときのシュンクンジャンプはかっこよかったぜ!
 最終的には上でもちょっと書きましたが、88分に岩田が鋭い抜け出しから相手GKの退場を誘い、数的優位に立ったロスタイムに右サイドの崩しから冷岡がダメ押し点を叩き込み、3−1でタイムアップ。東京としては開幕となるゲームを、苦しみながらモノにしました。


 期待と不安が入り混じるのが開幕直後、とは世の常ですが、まあそんな感じの試合でしたね。10橋本はやはり基本的にトップチーム帯同がメインで、よほどのことがなければ出場機会がないことは察しましたし、現状岩木、野沢が押さえ込まれたら攻撃がにっちもさっちも…という不安が拭えたわけではないし。左サイドに比べればパワー不足が否めない右サイドをどうするか(とはいえ、練習試合の時と比べると格段に良くなってました!)、というのもあります。しかし、それをどう克服して序盤戦を乗り切り、夏を越え、実りの秋に持っていくのかは去年までにはなかった楽しみの1つ。チームとしての成長もそうですし、岩木、野沢に続く攻撃面でのブレイクスルーがあるのか。さらに、小林の相棒CBを掴み取るのは石原なのか、下川なのか(練習試合では石原、今日は下川)。さらにさらに、1、2年生の突き上げがあるのか、などなど、考えれば考えるほど、興味は尽きません。間もなくトップチームもゲーム再開となりますが、お時間の許す方は、是非ともユースっ子にも気を向けていただければ嬉しいです。