続々々・メガネのつぶやき

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10−11 その17 マンチェスター・C−チェルシー

 2勝2分1敗と並なスタートを切ったマン・Cが、5戦全勝、21得点1失点というとんでもないロケットスタートを決めたチェルシーをホームに迎えてのビッグマッチ。9/25のゲームでした。
マンチェスター・C 1−0 チェルシー
得点:59分 C・テベス(マン・C)
MOM:C・テベス(マン・C)

多士済々なFW陣の中でも格別の信頼を勝ち得ており、ここまでのチーム総得点の半分を決めている男がここでも値千金の決勝ゴールを、そして、誕生日を迎えた母親へのメッセージシャツを見せる機会を自らもぎ取った。


 立ち上がりはどちらかと言えばお互いが慎重な入り。その中でマン・Cはバリー、デ・ヨンクのダブルボランチ、2列目のセンターにトゥーレ・ヤヤを配置し、コロ・トゥーレ、コンパニのCBコンビも含めて中央でのハードワーク、フィジカルバトルを欠かさずに行うことで守備から主導権を握りたい意図が見え、逆にチェルシーは今季ここまでの「キックオフからフルスロットルで仕掛け、早々に相手の繊維を喪失させる」という戦い方を控え、「じっくりと相手の出方を窺い、隙を見つけて攻め込む」という見慣れた戦い方を選択してきたことで、試合の噛み合いは良かった(1対1のシンプルなマッチアップが多かった)ような印象を受けました。で、さすがはここまでの失点1位(チェルシー、1失点)、2位(マン・C、2失点)のチーム同士の対戦だけあって、時折鋭い攻撃を許しながらも、最後のところでしっかりとはね返してゴールを許しません。
 しかし、冒頭で書いたとおり中央はガッチリしていながらもサイドの守備が比較的ルーズだったマン・Cに対し、チェルシーの主に左サイドがその牙を向いて崩し始めます。印象的だったのがA・コールのポジショニングで、まあとにかく高いのなんの。攻撃のシーンになると必ずといっていいほどハーフラインを越え、常にマルダやセンターから流れてくるドログバをサポートしながらどんどん相手陣内深くに入り込んでいくんですよね。もちろん攻撃力が持ち味の選手ではあるんですけど、それだけマルダとのコンビネーションが熟成され、必ず一仕事して帰ってくる自信があるんでしょう。対面のボヤタもその圧力に負けずに守備に奮闘し、攻撃にも結構参加できてはいましたが、相対的に見ればこのサイドで勝っていたのはチェルシーで、チャンスの8割はこちらのサイドから生まれていました。それでも(話は戻りますが)中央でのハードワークで勝っていたのはマン・Cで、ドログバアネルカの突破やシュートをしっかりとブロックできていましたし、チェルシーランパード不在がこの試合ではそのまま不安材料として表れ、2列目からの飛び出しがエッシェンだけになって中央攻撃に厚みが生まれず、マン・Cの壁を破れません。一方のマン・C攻撃陣も同様にミルナーサバレタの左サイドを中心に攻撃を組み立てますが、こちらもテベス以外のエリアへのフリーランやサポートが薄いため、テリーとアレックスの両CBにはね返されるばかり。前半は守備が目立つ展開で終わりました。


 後半。マン・Cが前半のテンションを維持できずにダラッと入ってしまい、46分にはバイタルエリアでどフリーになっていたアネルカミドルシュートでゴールを脅かすと、それで得たCKではエッシェンが頭一つ抜けて惜しいヘディングを放つなど、チェルシーがペースを握って始まります。しかし、このまま崩れないのが今季のマン・Cなのか、個人のハードワークを幹としたしぶとい守備でチェルシーにペースを渡さずに試合を進めます。そして迎えた59分、中盤でミルナーがラミレスからボールを奪うとミルナートゥーレ・ヤヤテベスとパスが渡り、テベスはハーフラインを過ぎたあたりからドリブルでゴールに迫り、最後はA・コールを瞬間的に振り切って右足でシュート。これがA・コールの股下を抜けながら逆サイドのポストを叩きつつゴールに吸い込まれ、マン・Cが先制しました。
 その後も一進一退の攻防が続き、両チーム(特にマン・C)の粘り強い守備がゴールを許さない展開に。たまらずチェルシーは68分にミケル→ジルコフ、75分にはドログバスタリッジ、80分にはラミレス→マッケックランと攻撃的なカードを切りますがどれも効果的とは言えず、攻撃は徐々に勢いを失っていき、マン・Cも追加点を狙うというよりはこの1点をしっかり守りきる方へシフトして、ピッチ上の11人がそのタスクをきっちりこなしきってタイムアップ。マン・Cが今季初めてチェルシーに土をつけるチームとなりました。


 マン・C。いすぎるほどに好タレントが揃うスカッドは、文字通りプレミアで戦えるチームを2つ作れる顔ぶれ。もちろん前線はまだどの組み合わせがベストなのか、誰が戦えて誰が戦えないのかを見極めることにもう少し時間が必要だと思いますし、守備も個人のハードワークが結果的にチームとして形を成している程度で、サイドの守備には不安も覗かせましたが、しかし今季こそトップ4やその先を狙えるチームであることは、この試合で証明できたと思います。この試合のファイトぶりを他の試合でも継続して続けることが出来れば、ですけどね。
 チェルシー。やはりこのレベルのチームが相手になるとランパード不在がダメージとして顕在化しますし、代役&新戦力のラミレスやスタリッジジルコフらベンチメンバーのパンチ力不足も見て取れます。また、現在はテリーとアレックスが健在のCB陣もR・カルバーリョ放出の穴埋めがなかったために、どちらかが怪我などで欠けた場合のバックアッパーに不安を残します。この日のスタメンからラミレスを外しランパードを加えた11人が見せるサッカーのクオリティ、インテンシティというものは依然世界トップレベルではありますが、補強を控え、少数精鋭路線を選択したチェルシーが1シーズン乗り切れるのか、些かの不安を覗かせた1戦になったと思います。