続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

3度目の正直、ならず

 代々木第二体育館へ、昨年ファイナルのカードである東京アパッチ琉球ゴールデンキングスを見に行ってきました。今年、生観戦はこれが3試合目(10/6新潟戦、11/14埼玉戦)。いずれも敗戦を目の当たりにしていただけに−現状を冷静に鑑みれば、勝てる可能性は少なかったとは言え−勝利を期待していましたが…3度目の正直ならず。70−75で敗れました。畳みます。


 第1Qは、立ち上がりこそ与那嶺に3Pシュートを連続で決められるなど、開始2分で2−8というビハインドを背負いますが、その後は完全にアパッチペース。青木がアウトサイドシュートを3本全て決めれば、インサイドでニック、アシュビーが攻守ともにアドバンテージを握り、板倉、スパークス、(12/11に加入したばかりの)シャペールもそれぞれスコア。守っても、与那嶺にもう1本3P決められはしましたが、その後約5分30秒もの間琉球に得点を許さず、22−12と10点のリードで終了。
 しかし第2Q、いきなり結論から書けば、30−33(このクウォーターは8−21)と逆転されてしまいました。その要因は「ネガティブトランジション(攻→守の切り替え)の遅さ」かと。その前段として、ターンオーバーの多さ(このクウォーターだけで7つ!)や、リードしているという状況を生かせていないシュートセレクションの悪さ(このクウォーターのFG成功率はわずか20%…)というものがありますが、ターンオーバーやショットミスというのは絶対にあるわけで、そのリカバリーをどうするか、すなわち、ネガティブトランジションをいかに素早く行って、ディフェンスの体制を整えるかが勝負の趨勢を分ける部分だと思うんです。しかしまあ、アパッチはいつまで経ってもこの部分が改善されない。これは何も今年に限った話じゃなく、ジョー・ブライアント時代からの「悪癖」だと思うんですけど、この日のまあ〜走られる走られる。特に、ターンオーバーから走られての失点って、バスケットの中でもダメージが限りなく大きいもので、それを1つのクウォーターで3つも4つも許してたら、こんなスコアが記録されますわな。ホント、何とかならんもんでしょうか…。
 そして、どうにもそれが第2Qに起こることが多いような気がして調べてみたんですが、ここまで17試合中、第1Qをリードして折り返しながら第2Qで追いつかれたor逆転された試合が8試合(2勝6敗)、また、リードしたままではあるものの、第1Qより第2Q法が得点が落ちた試合が2試合(1勝1敗)、つまりは10試合も第2Qで「息切れ」していることが分かりました。これはもう、チームとしての成熟度不足、あるいはゲームコントロールの拙さがそうさせているとしか言いようがないかと。この日もリードしているのにシュートを焦ってしまい、十分な体勢でないままアウトサイドシュートを放ち、そのロングリバウンドを拾われて走られるというシーン続出。こういう時間帯こそ、アシュビーやニックのローポストからの展開を増やして、時間をかけて確率の高い方を選択してじっくり攻めればいいと思うんですけどねぇ。
 ただ、その「インサイドオフェンスのバリエーション不足」も実は問題な気がしてまして。アシュビーはローポストからの個人技でゴリゴリ点を取ってくれますが、言ってしまえばアパッチのインサイドオフェンスはそれだけ。例えば、ローポストでニックが相手を背負って、そこからターンしてゴールに向かう際に、アウトサイドからカットしてきたガードの選手とコースが被ってターンオーバーというシーンが2、3度あったり、ポストアップしてディフェンスを収縮させてからパスアウトして3Pというシーンがほぼなかったり、という感じで、セットプレーやコンビネーションからインサイドで得点を取ったシーンはほとんどなかった印象。開幕して2ヶ月、この2点にはそろそろ目に見える形での改善を望みたいです。


 第3Qは一進一退といえば、一進一退。悔やむ点があるとすれば、板倉にタッチがなかったこと。この日は青木はタッチが合っていて、アシュビー(だけ)のインサイドはそこそこ聞いていて、さらにスパークス、シャペール、ニックら外国人選手にもしっかりマークが付いている。というわけで、板倉は自然とマークがルーズになっていました。しかし、この日の板倉のFGは(トータルで)2/11(4得点)、成功率わずか18%どまりでは…。ベンチスタートの呉屋が6得点とまあまあの活躍を見せていただけに、板倉の頑張り次第ではあるいは…という風に思ってしまう部分もありました。まあ、ようやくチームの骨格ができてきたアパッチにあって、SGのポジションは穴。板倉がスターターとして定着はしていますがワンパンチ足りない印象は否めず、呉屋、仲西も試合ごとにムラがあって安定せず、歯がゆいところ。今頃になってもなお城宝の不在を嘆きたくはないんですが…ね。
 勝負の第4Q。アパッチはシャペールやスパークスの3Pで食らいつくも、琉球がアパッチのディフェンスのゆるさを突いてインサイドを支配してじわじわリードを広げ、残り4分26秒の時点で52−65と琉球が13点リード。場内にはにわかに諦めのムードも漂い始めましたが、ここから約1分半で7点を返し、残り2分48秒で59−65に。琉球はたまらずタイムアウトを取り、攻守両面でのタスクを整理します。バスケットではよく「タイムアウト明け最初のオフェンスを取れるかどうかが大事」と言われます。この局面は、アパッチがググッと追い上げていたので、なおさらその点が言える場面。試合再開。琉球はセットしてナンバーコールからのフェンスを試みますが、アパッチのディフェンスがそれを凌駕し、菅原がやや苦しい展開でシュート。案の定このシュートは外れ、アパッチがリバウンドを奪…うことができず。琉球はこのオフェンスリバウンドを得点に繋げ、アパッチの勢いを殺ぐことに成功しました。今季のアパッチは、ホント「ここ1本取れれば、守れれば…」というところで、取れないし守れない。だから負けてるのか、負けてるからそうなのかは分かりません。ただ、大枠の構築に手間取っている分、この「一頑張り」を突き詰められるところまでいけてないんだろうなぁというのは、残念ですけど試合全体を通して透けて見えてしまいました。そういう意味では、(いつまでも待てるわけではありませんが)勝負強さを再び取り戻すまでには、もう少し時間がかかりそうな気がします。
 で、個人的にはここで9割方負けを覚悟しました。実際その後得点差は詰まらず、残り1分3秒で61−71と10点差に広がっちゃってましたから。しかし、ここから代々木第二がこの試合マックのボルテージに達するとは…。始まりは、康平の難度の高い3P。言葉ではなんとも説明しづらいんですが、とにかく難しい体勢からの3Pが決まり7点差。ここからはいわゆるファウルゲームを仕掛けました。で、bjはチームファウル5つを越えた際に与えられるフリースローが1アンド1(1本目成功しないと2本目を打てない)なんですが、「アパッチがFGを決める→ファウル→琉球が1本目で落とす→アパッチがリバウンドを拾う→直後のオフェンスを決める」という流れが2度続き、気がつけば残り17秒で70−72と2点差まで追い上げます。琉球フリースローは菅原。ここを落としてくれればオーバータイムもある、あるいは3Pで劇的な逆転もある流れで、比留木がブーイングを煽り、場内がそれに呼応して大音量のブーイングを飛ばし、かなり難しい局面のフリースロー。しかし、菅原が2本ともしっかりと沈め、勝負あり。最終的には70−75で琉球が勝利を収めました。


 久々に試合を見ることが出来ました。この間、アパッチの状態は正直最悪と言ってよく、もっと何もできないのかと思っていました。まあ、実際に文中でも触れたとおり課題は山積(太字にした部分が強く思っている部分)です。やることべきはたくさんあります。しかし、集中した時間帯では、相手を圧倒するだけの力があることも垣間見えました。それだけに評価が難しい試合だったわけですが(苦笑) 今後に向けては、短所を潰すのか、長所を伸ばすのか。守備を重視するのか、攻撃を重視するのか。ここは非常に悩ましいところではあります。しかし、一気にあれもこれもやろうとすることだけは避けて欲しいところ。今年はリスタートの年と割り切って、短期的なところで一喜一憂せずに、チームカラーをはっきりさせて、そこからブレることなくチームを作っていってほしいなぁと願うばかりです。
 次は、1月の京都戦を見に行くよ!あ、その前に、明日はGAORAで生中継があるんだった。明日はテレビの前で勝利を願うぜよ!