続々々・メガネのつぶやき

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09−10 その28 リバプール−マンチェスター・U

 今週は公私共になかなかハードで、録画していたこの試合をなかなか見る時間がありませんでしたが、ようやく今日見ることができました。
まだ10月ながら、早くも「崖っぷち感」がものすごいことになっているリバプール。万が一、この試合で敗れるようなことがあればマン・Uとの勝ち点差が二桁の10となり、数字以外のところにもさまざまな影響を及ぼすことは必至。追い込まれたレッズの戦いの結果は如何に。10/25のゲームでした。
リバプール 2−0 マンチェスター・U
スコア:65分 F・トーレス(リバプール
      95分 D・エンゴグ(リバプール


 苦しいゲームでした。タフなゲームでした。それでも、今のリバプールにとっては勝ち点3−しかも、宿敵であるマン・Uからの勝利−が何よりの良薬になることは間違いないところ。まるで、何か一つタイトルを取ったのかと錯覚するほどの試合後の「You’ll never walk alone」のボリュームが、この試合の価値を物語っていたのかなぁと思うばかりです。


 リバプール目線で試合について。はっきり言って、ミッドウィークのリヨン戦でも感じた「ビルドアップの拙さ」がこの試合でも目に付いてしまいました。ジェラードは間に合わず、アクイラーニも間もなくという話はありますがまだベンチ入りもできない状況で、ボランチマスチェラーノとルーカスのコンビでしたが、(彼らだけのせいではないとは言え)ジェラードや今は亡き(生きてるけどw)シャビ・アロンソと比べると、絶対的に「展開力」と「縦へのチャレンジングパス」の部分で見劣りしてしまい、ある程度ボールは回っていても、最終的には中盤からCBやGKまでボールが戻ってロングボールどーん、という形に収束してしまう攻めが非常に多く、そのことによって本来は高い位置を取ってプレーしたい両SBのポジショニングが非常に曖昧になってしまい、ほとんど効果的なサイドアタックを繰り出せていなかった印象だけが残りました。頼みの綱であるトーレスも、直前までほとんど練習をしておらず、かつ痛み止めを打っての強行出場だったことで、キレのあるプレーは見られず前半は沈黙し、カイトとベナユンが絡まなければにっちもさっちもいかない厳しい戦いを前半は強いられました。
 後半も入りこそ良かったものの、それは特に何かいじったからとか、誰かのパフォーマンスが劇的に変わったからというわけではなく、マン・Uのパフォーマンスが上がらなかったという間接的な理由で、得点の匂いはあまり感じられないまま試合は進んでいきました。しかし、この嫌な空気を打破したのが、手負いのエース、トーレス。65分、ハーフウェーラインやや手前でボールを受けたカイトがドリブルから右サイドで並走していたベナユンにパス。この間、トーレスはオフサイドポジションにいましたが、即座にラインの位置を確認し、ポジションを修正してから再びボールを要求。この動きを見逃さなかったベナユンは、トーレスのゴーに合わせるかのようにダイレクトでスルーパス。抜け出したトーレスは、ワントラップ後カバーでついてきたファーディナンドを左手のハンドオフで制し、右足でシュート。これがニアハイに突き刺さって、リバプールが先制しました。正直、サイドからの攻撃が手詰まりな状態でパスワークも今一つという状況の中、リバプールが点を奪うにはこの形=ショートカウンターしかないと思っていた矢先にこのゴールが生まれたので、私は思わず「よっしゃ!」と声を上げてしまったんですが、それぐらい鮮やかで、そしてエースが見せた意地に素直に感動してしまいました。
 その後は、マン・Uが同点に追いつくべくオーウェン、ナニを同時に投入して攻勢に出て、(オーウェンは強烈なブーイングで迎え入れられましたね)、前半から脅威となっていたバレンシアクロスバー直撃のシュートなどあと一歩のところまで詰め寄りますが、リバプールベナユンに変えてシュクルテルを入れる交代や、DF陣の身体を投げ出しての守備などでゴールにしっかり鍵をかけます。そんなせめぎ合いが続いた中迎えた95分、クリアボールが前線で残っていたカイトの下へ渡ると、ルーカスが決断よろしく前線へフリーランニングを開始。それを見逃さなかったカイトが上手くスペースへパスを出すと、局面はルーカスとこれまた前線に残っていたエンゴグ(80分にトーレスと交代で出ていた)の2枚対オシェイ1枚という数的優位の状態に。ルーカスはオシェイを十分にひきつけた上でエンゴグにパスを出し、エンゴクがそのまま落ち着いてファン・デル・サールとの1対1を制して追加点ゲット。試合はこのまま終了し、リバプールが2−0で落とせない試合をものにしました。


 冒頭でも書いたとおり、苦しいゲームでした。タフなゲームでした。しかし、こういうゲーム展開では滅法強い(と私は思っている)マン・U相手にホームではありましたが(って書き方はちょっと変ですが)勝ちきれたことは、非常に大きいと思います。この1試合で、劇的に何かが変わるとは思えませんが、この悪い流れを断ち切るきっかけとしては十分すぎる結果を手にして、ここからどう立て直していくのか。引き続き、ベニテス監督の手腕には注目です。アクイラーニカーリングカップでついにリバプールデビューを果たした(74分から出場。試合はアーセナルに1−2と敗戦)ようですしね。そして、今のリバプールに関して一番言いたいのは、「カイトとベナユン最高!!!」という点ですかね。今はジェラードよりも、トーレスよりも、彼ら二人を欠くことの方が痛手な気がします。
 マン・Uについても短く。取り立ててどこかが悪かったというほどではなかったような気もしますが、結局一度もテンションが上がりきる局面もなく、何となく負けちゃったという印象を受けました。また変な例えをしますけど、リバプールアーセナルのような「右脳的(=感覚、直感的)」なフットボールをするのではなく、「左脳的(=分析、理論的)」なフットボールをする大人のチームなので、負ける時ってこんな感じが多い気もしてます。ただ、バレンシアは良くなってきました。コンディションそのものも良さそうで、縦へのスピードやクロスの豊富さに目を見張るものがありますが、それをチームが活かせる、あるいはバレンシア自身が活かしてもらえる様な形が増えてきてますから。このままなら、もう1、2ヵ月後がすごく楽しみですよ。