続々々・メガネのつぶやき

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09−10 その16 ルビン・カザン−インテル

 CLです。第1節は風邪っぴきで1試合を見てないため、今季初のCL観戦ですね。初戦は初出場のルビンとインテルの試合。単純な戦力値だけの比較ならば、インテル有利ですが…
ルビン・カザン 1−1 インテル
スコア:11分 A・ドミンゲス(ルビン)
     27分 D・スタンコビッチインテル


 出ましたよ、インテルの「CLスロースターター&アウェーで勝てない病」が。もっと言えば、勝ち点1を持って帰れただけマシ、とまで言っていいほどの内容で、試合後は苦笑いすら出る感じになってしまいました。
 インテル苦戦の原因は、個人的には「DFラインの不揃い」と「(アクシデントはあったものの)やっぱり3トップはダメなのか?」の2つかなぁと。1つ目ですが、先制点は「DFからブハロフへの縦パス→ダイレクトのポストプレー→受けたドミンゲスがルシオをちぎってゴール」という流れ。このシーンでは、ポストプレーをしたブハロフにサムエルがチャレンジしに行ったため、ドミンゲスはルシオと1対1の勝負ができるシチュエーションになったわけですが、サムエルのバックはあったものの、残念ながら両SBのフォローが全くありませんでした。もちろんルビンのDF(多分セサル・ナバス)からの楔のパスがスピードボールで、かつブハロフのポストプレーがダイレクトプレーとなったため、SBが絞る時間はなかったという風にも見れますが、だとしても、全くプレーに関与しないというのはさすがに拙いでしょう。その他の場面でも、CB間のギャップを上手く使われるシーンが何度かあったり、マイコンが攻撃参加した際のスペースの埋め方が不十分だったためにカウンターでそのスペースを使われるシーンがあったりと、ちょっと組織力に欠けるシーンが目立ったように思います。ルシオが加入して、一部では「欧州最高クラスのDFラインを持った」という評価もあるようですが、そのルシオも失点シーンではいともアッサリとちぎられたり、(サムエルもそうですが)ラインコントロールをやれているという印象はなかったりと、いまひとつ統率されていないように見えます。もう数試合見ないとはっきりしたことは言えませんが、もしかしたらルシオの加入(そして、ラインコントロールをしっかりできるブルディッソの放出)は諸刃の剣である可能性が出てきたというのが、率直な感想です。
 2つ目。事前の予想では、スナイデルが怪我で出場できないため、直前のリーグ戦(サンプドリア戦)と同じミリートエトーバロテッリの3トップで行きたかったようですが、ミリートが直前に筋肉系のアクシデントで出場回避となり、マンシーニエトーバロテッリの3トップとなりました。で、ミリートのアクシデントがあり、メンバーの変更を余儀なくされたエクスキューズはあるとしても、どうにも3トップだとスムーズに攻められない印象を受けてしまいました。そもそも、個人的にはエトーイブラヒモビッチの交換により、「今季こそ3トップが機能するかも」というようなことをこのブログでも書いた記憶がありまして、この試合も期待をして見ていました。しかし、実際には3トップが流動的にポジションを変えて相手をかく乱するとか、3センターハーフとの連携で崩すといったシーンはほとんど見られず(唯一それが見られたのが得点シーン)、エトーに至ってはボールタッチの回数が両手で数えられるぐらいしかなかったんじゃない?ってほど。バロテッリはつまらないアフターチャージ2回で退場してしまうし。直前のリーグ戦でも3トップは機能せずに0−1と敗れたわけで、スナイデルが不在の際にこのまま3トップを取り続けるのがいいのかは、個人的にはちょっと疑問。モウリーニョ監督がどう判断するか、ちょっと注目です。


 一方のルビンですが、当然この試合が初見だったので、素直にこの試合での印象をつらつらと。まずは攻撃からですが、ブハロフとドミンゲスが縦関係の4−4−2(4−2−3−1と言ってもいいかも)が基本システム。パターンとしては「ブハロフのポストプレーから」がメインも、ブハロフの使い方が多種多様。DFラインと並んでドミンゲス、ギョクデニズから近い距離で受けることがあれば、少し下りてきたり、裏へ走り出しながらセマクやDFラインからの中長距離のパスを受けることもあって、捌き方も高さを生かしたヘディングや胸トラップだけではなく、思った以上に足下(特に1タッチプレー)も巧みで安定感抜群。そのため、後ろの選手(特にサイドの選手)がブハロフに向けてパスが出た時点で信頼して走り出していて、スペースに走りこんでフリーで受けられるシーンが何度も見られました。加えて、セマク、ドミンゲスを中心にロシアのチームらしい細かいつなぎもできるため、シンプルにポストプレーを使ったりカウンターにつなげる場面と、しっかりとつないで崩す場面の使い分けができ、インテルの守備をぼやかすことができていたように思います。右のリャザンツェフ、左のアンサルディとサイドプレーヤーの小気味よさも目立っていたかな。課題は、解説の後藤健生さんも語っていましたが、シュート力でしょう。ロシアリーグでは現在最多得点(23試合で48得点)のようですが、CLレベルのDFを相手にすると、ブハロフはシュートの場面で慌ててしまったり、ミドルレンジからのシュート力の弱さがちょっと目立つかなと。ここを改善できれば…といっても、個人レベルのスキルの問題なのでそうそうすぐには変わらないと思いますけど、例えばドミンゲスは第1節でゴールを挙げた影響か臆することなくやれていたので、ブハロフあたりも1つゴールが奪えれば…というところに期待でしょうかね。
 守備については、2トップが完全に横並びになり3ラインをしっかり作って、かつDFラインを比較的高めに取ってコンパクトにして、ボールホルダーに対してすぐにアプローチをかけられる距離感を強く意識した守り方という印象で、実際に各選手のアプローチは非常に積極的で、「囲い込む」のではなく「取りに行く」守備が多く目に付きました。それが故に、個人技で振り切られてピンチになるシーンはありましたが、インテルはガツガツくる守備に相当ストレスが溜まっていたようにも見えましたし、第3、4節で連戦となるバルセロナも、実は早い段階(高い位置)からのコンタクトプレーをメインとした守り方をされると苦しむ、という見方をする識者もいるぐらいなので、これは続けてほしいかなぁと。
 しかし、ここで勝ち点3取ってれば、グループリーグ突破はなお厳しいとしても、3位の座を奪う(=ELへ回る)ことは可能性が大きく広がっていただけに、終わってみれば「痛い引き分け」だったと言っていいでしょうね。