続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

ヤマザキナビスコカップ 準々決勝1stレグ 東京5−1名古屋 レビュー

 見ている最中はもう「そーれそれそれ、お祭りだ〜」なんて浮かれ野郎でしたけど、終わってテンションが落ち着いてきたら、「アカンところが結構あったなぁ」という印象の試合だったように思います。ハイクでは「カップ戦は勝てば官軍」なんてことも書きましたけど、それだけで済ませていい試合ではないという点は間違いないところ。けれど、「前半だけで4−0」という事実が後半のダメダメさに多少のエクスキューズをつけてしまっていて、その後半のダメダメさが「今の東京の課題」と言い切っていいものかが微妙、ってな感じで。とは言え、ダメなものはダメなので(どっちなんだよw)、勝っている今だからこそ、この試合で感じた自分なりの「ダメさ」を含めた雑感を書いておくことにします。ちょっと長くなりそうなので畳む…前に短く。
 まあでも、なんだかんだ言っても5点取ったことは素晴らしかったですよ。失点を重ねるごとに瓦解していく相手に対し、ある種の非情さを持って畳み掛けられたこと、4−1になったあと4−2にさせず、5−1で終わらせられたことに成長を感じるところはあります(権田は2点防ぎましたよね?ナイスセーブ!)。でも、ゼロで終わらなければいけない試合だったし、もっともっと畳み掛けて、クラブ史上最高得点数(これまで最高は多分5点=6点以上)で勝たなければいけない試合だったと思います。今の東京にはそのレベルまで求めたいし、求めることが決して「ない物ねだり」だとは思わないですしね。ここで畳みます。


 録画を見ていない(セットしていくの忘れた〜)ので、大して記憶力の良くない頭に残っている印象だけで書かせてもらいますが、後半のダメさの予兆は、すでに前半から見られていたように思います。それは、単に守備陣の集中力の欠如(今ちゃんが2度も「自作自演」をかましたり、DFが自陣深い位置からパスなんだかクリアなんだかハッキリしないボールを蹴って、あっさり相手に渡してしまうシーンが散見された)という側面もありましたが、個人的に思うこの日一番の問題(課題)は、「攻撃をやり切れずに終わってしまい、相手にとってすぐ前を向ける形でボールを失う」ことだったかなと。今ちゃん、ブルーノ、梶山、米本の4人(当ブログでは、「ボックスボランチ」と呼ぶことにします。何なら「b−BOX(ボランチボックス)」でも…ってブイグテレコムか(笑))のボール扱いがいつになくぎこちなくて、パスコースがあっても持ちすぎてしまう嫌いがありましたし、4−0になってからは、もちろん急がなくていいとはいえ、ちょっと不用意な横パスも見られました。もちろん無理にでもやりきっていい場面とそうでない場面とがあるとは思います。2、4点目や平山の惜しいシュートシーンなんかは、アシストした選手がともすれば前を向けるシーンでありながら、周りをよく見てフリーの選手に渡して決定機につながったわけですし。でも、いなしているところでボールを失う、特にそれが自陣に近ければ近いほど、失った際の「いきなりピンチ」具合は高まるわけで。これからますます暑くなり、身体疲労は当然、そのうだる暑さ、心拍数の高まり、乳酸が溜まった中での「脳内疲労」がどえらいことになっていくなか、いかに効率よく攻め(ているように見せて)、相手を上回るためにどうすべきかを考えるステップが来たのかなぁというところでしょうか。「どうすべきか」の個人的な考えについては…近いうちにまとめられれば(と言いながら一向にアップされなくても、見逃してください(笑))
 で、問題の後半。ハーフタイムには城福監督から「ボールをつなぐところ、つながないところ、判断をしっかりと」「悪いとられ方をしない」という指示があったようですが(J’s GOALより)、事態はよくなるどころか、ますます悪化していっちゃいました。まずもって、入り方が最悪。どのエリアを起点にして攻撃するのか、誰を基点にしてポゼッションを行い、どういう形でフィニッシュまで持ち込むのかが全くもってぼやけてしまって、それこそ、つなぐところとつながない(=ロングボールを放り込む)ところの判断の部分、あるいは各選手間の意識の共有が不十分だったかと。それにより、前半以上に相手にとって守→攻の切り替えがしやすいボールの失い方をしてしまい、かつ、ダヴィに代わって入った玉田が今日は基点として効いていたこともあって、名古屋らしい流動的な攻撃をさせてしまっていたように見えました。なもんだから、「ラインを下げない」という指示があったにもかかわらずDFラインがちょっと構えて下がってしまい、そこにMFのラインも引きづられて下がってしまってFWとの距離が遠くなることで、せっかく自陣でボールを奪っても、長い距離のパスでしか前へ進めるチャンスがなくなっていきました。さすがにパスの距離が長くなれば比例して精度は下がっていくわけで、平山がその身体能力でなんとこさ収める場面はありましたが、ある時間帯では「自陣深いところでボールを奪う→でもロングボールしかなく、仕方なく放り込む→競り負ける→MFも下がってるもんだからセカンドを奪われ、名古屋があっさり前を向いて再び攻める」という悪循環に陥ってしまいました。そうこうしているうちに疲労も溜まってしまい、60分前後には、みんなが棒立ちのままパスを受けに行かないなんてシーンが出てくるほどで、ここは久々に「責任逃れ」という言葉を思い起こさせる時間帯でした。「いつでも仕掛けられるよ」というポゼッションほど怖いものはないですけど、「とりあえず回してるだけなんで」というポゼッションほど相手に狙われるものはない、という点は、今後の課題としてしっかりと認識しておくべきだと思いますね。また、「今のサッカーは、体力がいるサッカーなのか?」というところで言えば、「やっぱり疲れは出るな」という回答がおぼろげながら出たようにも感じました。「受動的に走らされるより、能動的に走った方が疲れない」のはそうだと思いますが、切れ間なく動いてボールをもらい、つないでいくことの疲労感は、やはり見逃せないところかなと。ここは選手交代や思い切ったターンオーバーで乗り切る部分ではありますが…というところで、閑話休題。ちょっと個人の話へ移ります。


 疲れという意味では、68分の米本→鈴木という交代は興味深かったですね。米本は確かに前半ゴールも挙げましたし、相変わらずの献身的な動きと自分が優位に立てるファーストトラップで目立っていましたが、後半はめっきり前への動きが減ってしまい、ファーストトラップもわざわざ混み入ったところへ持っていってしまうシーンさえあったので、「コリャ90分はもたんな」とは思っていました。ただ、この日のサブにはボランチを出来る選手がいない(日曜は金沢がベンチにいたけど、この日は大竹が入ってた)のでどうするんだろう?というところでしたが、その回答が「米本→鈴木で、羽生さんをボランチに落とす」という交代でした。羽生さんのボランチは去年も今年もまま見られていましたが、ボックスボランチが織り成すパッシングゲームを、羽生さんが入ってどれだけできるのかというのは素直に興味が湧きました。すでに4−1という状況だったのでこの試合だけをもってどうこう言えるわけではありませんが、しっかりと引いて受ける、サイドでボールを回しているところに顔を出すといったところでの動きの質やスタミナの量、細かいボールタッチの精度では米本より一日の長がある羽生さんを改めてこのポジションで使うというプランは、羽生さんにとってはえらいしんどいことだとは思いますが(苦笑)、プロ1年目の米本を疲労で潰さないためには、1つのパターンとして確立させたいものであるのは間違いないかなと。単純に守備だけを考えるならば、素直にベンチに金沢や浅利を置いておけばいいでしょうし。梶山は…米本との補完性を考えれば、常時90分やってもらわないと困るので、ガンガレ!とだけ言っておきます(笑)
 で、交代と言えば触れなければいけないのが赤嶺。先の名古屋戦後に正式に残留を決意し、この日はカボレを休ませる意味も含めて45分間のチャンスを得ました。気負う必要はないけれど、平山&カボレという高いスタメンの壁がそびえている東京に残ると決めたのならば、そこを越えてやる!という気概を感じられるプレーを見せてほしかったんですが…個人的には「もっとできるだろう」の一言ですね。そう感じた大きな要因が、「守備面での貢献度の低さ」。途中出場なわけですから、平山より体力が残っていることは明らかなわけですが、後半平山と赤嶺のどちらが前線からのプレス等で貢献できていたかと言われれば…平山なんですよね。もともと赤嶺はダミーチェックが多いというか、もっと厳しく体をぶつけることができるシーンで、寄って行くだけであっさり終わりという甘さが見られるんですよ(私だけ?)。今の東京はFWの追い込みも守備の一つとして欠かせない要素だけに、その部分で緩さが見えてしまうと、私はどうしても萎えてしまう派です。加えて「切り替えの遅さ」も目立ったかなと。例えば、東京のシュートが外れて名古屋のゴールキックになるシーンにおいて、名古屋DFラインや平山なんかは次に切り替えてサッとポジションを移すんですが、赤嶺だけチンタラ歩いて戻るだとか、自分が絡んだシーンでボールを失ったのに、ファーストディフェンスとしてちょっとのフォローにも行かないというシーンもありました。カウンターの際のリアクションもちょっと遅かった気もしましたし。これはあくまで想像の域を出ませんが、城福監督はこういう「フォア・ザ・チーム」を体現できない動きに関しては、相当厳しく見るんじゃないかと思っていて、その見方で言えばこの日の赤嶺は「落第ですな」と言わざるを得ないかと。
 じゃあ、目線を変えて、「FWなんだから点を取ることを第一に考えて…」という見方をしたとしましょう。そもそも赤嶺の持ち味と言えば、言うに及ばずの「ワンタッチ(ワンチャンス)ゴール」。そこまで消えていたのに、いざゴール前の勝負になるとフッと顔をのぞかせ、サッとゴールを奪ってしまう男です。ただ、今の東京のサッカーにおいてその持ち味が生かせるかというと、スタメンで出ることができるようにならないと、正直言って実に難しいところなんじゃないかと思うんですよね。「点の匂いがしない」と言うだけは簡単で、むしろ赤嶺は匂いのしないところなのに取っちまう異質さがあるんですが、それを加味しても、今の赤嶺からはゴールの予感がしないんです、私は。それはこの試合に限ったことではなく、東京が波に乗り始めたころからずっとなんでだろうなぁ?と悩んでいる部分で、正直自分が納得できるこれ!といった答えは依然として導き出せていないんですが、ひとつ「そうかもな」と思う部分があって、それが前述した「今の東京のサッカーにおいてその持ち味が生かせることができていない」という点です。
 今FW、つまりはカボレや平山が点を取るパターンって、「カボレ→裏への飛び出し、平山→エリア外からの強引なシュート」という形が多く、ナオの得点シーンを含めても、今の東京は「サイドからの崩し」はあっても「サイドからのクロス」によって生まれるゴールがあまり多くない印象があるんですよ。でも、赤嶺は「サイドからのクロスに対して、『えっ、何でお前その局面でフリーになってるん!?』という絶妙なポジション取りをして、頭でも足でも胸でも太ももでもどこでもいいから当ててゴールに流し込む」というパターンが大きな武器の一つなんですよね。5点目もそんな形から生まれたものでしたし(オウンゴールにはなりましたが、増川のところを抜けてれば赤嶺のものだった)。そもそもクロス(クロスからのゴール)が少ない要因はまた別の問題としても、赤嶺が途中出場で出る頃には、赤嶺が点を取れるようなサッカーをしていないという点が根底にあるんじゃないかと思うんです。
 ただ、今から平山の高さ、カボレのスピードが手に入るはずもなく、おのずとポストプレーや裏への抜け出しでこの2人に勝つことは限りなく難しく、二人に何らかのアクシデントやターンオーバーでもなければ、現状スタメンの座を奪うのは凄く困難なこと。自身の持ち味であるワンタッチ(ワンチャンス)を狙うような「止まってのポジション取り」は、今のチームスタイルにとってはマイナスに作用する可能性だってありますし、加えて出番が回ってくる時にはすでに2点差、3点差になっていることが多く、すでにチームが「攻め急がない(=0−0や1−0に比べて得点を欲していない)」モードに入っている中でプレーしなければならない「好調がゆえの不運」に見舞われている面もあります。つまりは、問題解決には赤嶺だけじゃどうしようもない部分があるわけで、5点目のようなシーンが増えてくるようなら絶対に欠かせないピースになるとは思いますが、現状においてすぐに目に見える結果を残すのは、周りが思っているより相当高いハードルなんじゃないかと思ってしまうんですよ。努力をしていないはずはなく(昨日は「赤嶺大作戦」もちょいちょい敢行されたほどだし)、残留を決めてくれたことはものすごく嬉しいことなんですけど、「チームスタイルに生かされる選手、殺される選手」というのは、サッカーに限らず、どの団体競技でも出てくる可能性があること。ナオは城福監督と出会い、今のスタイルに真正面から挑んだことで新しい世界を見ることとなりましたが、逆に赤嶺はこのまま埋没してしまうんじゃないか?という不安が、自分の中で一向に拭えないでいます。この先、東京がもっと効果的に外からのクロスも攻撃の選択肢として使えるようになるまで、周りが待ってくれるのか。そして、赤嶺がその日が来ることを信じて、あるいはプレースタイルのマイナーチェンジを模索しながら腐らずやっていけるのか。外野は黙ってプレーを見守り、そこから邪知することしかできませんが、このまま終わってほしくないのが正直なところです。…ちょっと悲観的に見すぎですかね。かなり厳しめに書いていると自覚してますので(苦笑)


 再びチームに戻って。次も中2日で大宮戦が待っています。また、8月には川崎、鹿島とのアウェーゲームがあり、さらにこのままナビスコを勝ち抜けば、8/16〜9/6まで、3週間で6試合こなさなければいけない日程になります。その上代表に選ばれれば、9月上旬はオランダ遠征がありますしね(となると、今野、長友、もしかしたら石川もいないナビスコ準決勝になるかも…怖いぜ)。そうなると、どうやってターンオーバーしていくか、城福監督の手腕が問われる夏になることは間違いないところ。スタメンをいじるのか、昨日のように早めの選手交代で休ませていくのかは分かりませんが、これからはベンチメンバーのパフォーマンスも問われていくことになります。そういう意味では、名古屋に対するリスペクトはもちながらも、2ndレグでは塩田、佐原(平松)、椋原、浄(浅利)、田邉、大竹、達也あたりの起用(もちろん全員一気には無理ですけど)があってもいいのかな?と思いますね。特に、塩田と大竹はここらで長い時間使ってみたいけどなぁ。
 というわけで、長くなり、ちょっとネガティブな、かつ話があちこちに飛んで非常に読みづらいかと思いますが(苦笑)、とにかく勝っているから今だからこそぼやかしてはいけない課題はあります。けれど、そういう課題に取り組める、あるいは細かい部分の修正や重箱の隅をつつくような作業に取り組めることは、凄い幸せなことだと感じますよ。柏や千葉、横浜や大分を見てるとね。次の大宮戦は初のNACK5参戦。専用スタジアムならではの迫力を堪能して期待と思います。