続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

Jリーグディビジョン1第8節 G大阪4−2東京 レビュー

 まずは、万博まで行ってこのような試合に立ち会う結果となった現地組の皆様、大変お疲れ様でした。「帳尻合わせ」の2ゴールは、現地まで応援に行かれた方への、ささやか過ぎるお駄賃だと理解している中の人です(苦笑)。
 以降ダラダラと書きます。とにかく、ダラダラと書きます(苦笑)


 リンク先のオフィシャルHPレビューを見ると、茂庭が試合前に

「たとえギリギリまで押し込まれても、身体を張って勝負したい。序盤はある程度我慢してバランスを重視して戦い、終盤に相手の体力が落ちれば、そこで一気に勝負をかけたい」

 と語っていたようで、なるほど、開始から東京はプレスのかけどころ(CBにはほとんど食いつかず、ボランチやサイドに入ったところからスタートしたように見えた)や全体的なライン設定がやや低いところにあるように見え、その中でカボレや石川もボールホルダーをしっかりと追いかけ自陣深いところまで戻ってくるなど、我慢して耐えようという姿勢は伺えました。
 ただ、10分過ぎたあたりから、G大阪が繋げないなと思った際に思い切ってDFラインから縦一発、というボールを織り交ぜてきたことで、少しずつ間延びさせられているなぁという危惧も感じまして、「今のウチのCBは裏には弱いから、怖いなぁ」と思っていた矢先の19分、完全のアンラッキーとしか言いようのないオウンゴールで失点。まあ、「こんなゴールは忘れるに限る」ぐらいどうしようもないものだったので、単純に切り替えるのみだと思っていたんですが、ここからがいただけない…となってしまうのが今の東京の弱いところ。この日もご多分に漏れず、直後の21分に不用意なボールロストからレアンドロの独走を許してあわやのシュートを浴び(なぜかDF陣が誰一人レアンドロに食いつかずにバックするだけという酷い守り方だった…)、25分には人は足りていたのに細かいつなぎを食い止められずにルーカスのゴールを許し、ロスタイムにはこの日右SBに入っていた橋本になぜかフリーでバイタルエリアに侵入され、これまたあわやのシュートを浴びて(クロスバー直撃)終了。その間の反撃も、キレキレのナオの個人技のみという寂しすぎるおまけつきで、ガックリしたまま後半へ。
 とは言いながらも、G大阪の守備がそこまでいいという印象は個人的にはなく、むしろ東京側の攻撃の遅さ(一つひとつの判断、パススピード、フォローしてあげるタイミング、すべてが遅すぎる)が助けてしまっていたようにも見えたので、ハーフタイムでしっかりと整理して後半先に1点取れれば、ついに2点目の壁は破れるかも…と思いながら迎えた後半。しかし、試合の行方を左右する次の1点は無情にも、しかし、あまりにもあっさりとG大阪にもたらされました。まあ、つまらないフィードミスからカウンターを許し、パスを出した選手(遠藤?)、受けた佐々木、中で待っていたレアンドロのいずれもがビックリするぐらいフリーでやれたんですから、そりゃ点取りますよ、そりゃ点取られますよって話。別に「すげぇ!」と唸るほど手の込んだ攻撃でもなかったので、余計に腹が立つというか、ガッカリしたと言うか…。
 で、ここでどういう理由かは分かりませんが、58分には佐原に代えて椋原を入れ、今野をCBに、徳永をボランチに、椋原を右SBに置くスクランブル交代がなされました(密かに梶山と羽生とのポジションチェンジもやってたね)。佐原自身のフィジカル面に問題があったのか(股関節の状態ってどうなの?)、G大阪の攻撃に対する何らかのリアクションなのか、それとも単にこの日全く精彩を欠いていた佐原に対する懲罰的な交代なのか…って3つ目は完全の個人的な偏見ですけど、負けているのにこういう交代をしなきゃいけない状況そのものが、今の東京の「良くない感」を表していると思ってしまいましたよ。まあ、椋原はそれなりに良かったと思いますし、今ちゃんも佐原と比べれば雲泥の差があるといっていいほど安定感ありましたし、やっぱり梶山はボランチ、羽生はトップ下がフィットしてるとは思いましたけどね。徳永のボランチは…微妙だな(苦笑)
 そんなこんなありつつ、この交代で一瞬持ち直したかに見えましたが、68分にはつい20分ほど前に見たような崩され方で4失点目を喫し、試合の大勢はここで見えました。が、ここで終わらないのが「空気を読めない集団」東京。4点取られてようやくスイッチが入り、逆にG大阪は悪い意味で余裕が出てしまい、かつさすがに疲れからスペースが生まれ始めたことで東京の攻撃にスピード感、テンポが出てきて、79分にまずナオのザ・個人技で1点を返し、81分には中盤でのいいプレスからボールを奪い、梶山から鈴木へスルーパスが渡り(この時のカボレの「梶山の前を斜めに横切る」フリーランニングは良かった。これをもっと見たい。)、鈴木がしっかりと決めて2−4。85分には最終ラインでパスカットをした今野がそのままドリブルで50m近く持ち上がり、フリーでシュート。これは惜しくも枠を捉えませんでしたが、これが入っていたらひょっとしたかも知れませんね。ただ、実際は外れたわけで、追い上げムードもここまで。2−4で敗戦となりました。


 というわけで、久々に試合を時系列で追ってみた訳ですが、そうやって振り返らないと怒りと溜め息しかわいてこないもので(苦笑)。ハッキリ言ってこういう試合はもう見飽きたし、「まるで成長していない…」と安西先生に言われそうな内容だったしね。で、いろいろグチグチ思うところはありますが、一つ大きく暴言を吐かせてもらえるならば、

しっかり引いて、人数かけても守ってもこのザマなのに、『序盤はある程度我慢してバランスを重視して戦い…』だなんてほざくんじゃないよ!

 ってな感じでしょうか。
 例えば、前述しましたが、前半10分過ぎからの「G大阪が繋げないなと思った際に思い切ってDFラインから縦一発、というボールを織り交ぜてきたことで、少しずつ間延びさせられている」という部分に対する対応。(ざっくり分けて)DFラインの前で勝負するチョ・ジェジンと裏で勝負するレアンドロ、比較的バランスよく両方出来るルーカスというトリオが相手だったので難しい部分があったことは理解できますが、それを勘案してもDFラインの前でもやられていたし、裏も取られてたしと、どちらも止め切れなかったのはやっぱり不満。バランス重視とはいいながらも、やはり前と後ろ(裏)のどちらを重点的にケアするのかという部分はハッキリさせるべきで、前で止めたいと思うのなら、勇気をもってこの日のG大阪並みに高いDFラインを保ち続ける、もしくは裏を取られるのだけは避けたいと思うなら、もっとハッキリとラインを下げて、それに連動して前の2ラインも下がってこもる形を取るべきでしょう(それこそ、無失点で凌ぎたいなら、昨日のCLのチェルシーぐらい引いたって構わないかと)。この辺の「チームとしての意思統一の無さ(あったとしても、伝わってこない感じ)」がいつまで経ってもよくなる兆しが見られないことが、怒りにつながっているのかなぁと自己分析。
 例えば、切り替えの遅さ。何もグランド幅いっぱいに追いかけ続けろ!なんて言ってないんですよ。奪われたその瞬間、ボールホルダーに一番近い選手が、ちょっと気を遣って間合いを詰めにいく、チェックに入るだけでいいんですよ。でも、今の東京は切り替えが非常に遅く、特にユースケの緩慢さはさすがに見ていてイラッと来るレベル。結局そこをサボってボールホルダーを自由にさせてしまうと、ボールホルダーは容易く前へボールを運ぶことが出来る。運ぶことが出来るということは、それに応対するDFラインは為す術なくラインバックするか、リスクを追ってボールに食いつくという難しい守り方を強いられる。それを強いられるということは、失点のリスクが高まる、ってな具合に、一人のサボりが全体を苦しめることになるわけですよね。それに、G大阪の3点目、東京の2点目を見れば分かるように、「いい攻撃はいい守備から」という部分が非常に高いウェイトを占めるのが現代サッカーの一つの側面であって、それが出来ていないのに「2点目をどう奪うか」なんて、個人的には口が裂けてもいえないのかなぁと(結果的に、この試合2点取りましたけどね)。


 結論。やっぱり攻撃のバリエーションの無さを嘆く前に、守備のベースを一刻も早く作るべきだと思います。もちろん、一口に守備といっても「DFラインのベースポジション」「DFラインの上下動のタイミング」「それに連動したMF−FWの2ラインのバランス」「プレスをかけ始める場所」などなどやることはいっぱいあって、一朝一夕に良くなる訳はありません。もし今から真剣に取り組み始めても、形になるのは晩夏まで(あるいは今季いっぱい)かかることになるでしょう。でも、だからと言って後回しにしたり、なあなあにしてしまうのは絶対ダメ。
 でも、そんな守備において今すぐにでも叩き込めることが一つだけあるかと。それが「ボールを失った直後に守備に入る利他的なメンタリティーを養う」こと。今のバルセロナが世界最強と言われるのは何も攻撃陣だけではなく、奪われた瞬間にすぐ守備に入るこのメンタリティーがあるからだと言う人もいます。アンリだろうと、エトーだろうと、メッシだろうと、それが出来ない人はバルサのスタメンに名を連ねることは出来ないとも。イングランドのビッグ4(特にマンチェスター・U、チェルシー)やいい時のユベントスミランあたりもそういったメンタリティーが非常に高い印象。つまりは、ただスーパーな選手が揃っているから勝っているんじゃなく、そのスーパーな選手がサボらずに献身的に動いていることが勝ち続けられる所以の一つであると思うんです。
 って言うか、そんな遠い世界の話をしなくても、この試合でルーカスが身をもって教えてくれたじゃないですか。常にボールサイドに顔を出し、スペースを狙い、奪われたら守備に走り、味方を鼓舞し続ける。「これぐらいやらないと、ダメだよ」って、プレーで見せつけられたじゃないですか。個々のレベルで劣るなら、チームの組織力で劣るなら、せめてそういったメンタルの部分で負けないようにしないと歯が立たないのは当たり前なのに、今の東京からはそういった気持ちの強さが感じられず、あげくに「1、2失点と重ねることに元気がなくなっていく(石川)」始末。これでは…ねぇ。


 いつまでも、こんな試合の後に「最後の猛攻は次につながる」とか「取ろうと思えば点は取れる」なんて言えるほど、私の器量は広くありません。この連戦が終わる頃にはもう10試合、シーズンの約1/3が終わっているわけですが、その頃になってもなおこういうことを言っているようだと…。正直、「手遅れだったか…」という言葉が現実味を増してくる恐怖と、今私は戦っています。