続々々・メガネのつぶやき

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ナビスコカップGL第2節 東京1−0神戸 レビュー

 昨日の続きです。とりあえずは、昨日のプレビューにおいて自分であげた4つのポイントについて○・△・×でセルフアンサーして、その他何点か書いてみます。


1:ダイレクトプレー、サイドチェンジ→×に近い△
 おっ、と思ったサイドチェンジが2、3本あったのみで、ほぼ効果的なサイドチェンジやダイレクトプレーでの崩しが見られませんでした。大竹、梶山と精度あるロングレンジのボールを蹴れる選手がいただけに、余計に残念。「ショート、ショート、ショート、ロング」という形をチームとしてもう少し意図して欲しいですね。


2:トライアングル→DFラインでの回しは△、それ以外は×
 この日ボランチに入った羽生と浅利が、CB2人orCB+SBの2人に対して積極的に顔を出して、トライアングルを作れていたと思います。ただ、その2人のパス精度がちょっと残念だったのと、CB(特に佐原)が大半の場面で低い位置でのボール回しを放棄してしまいましたからねぇ(苦笑) で、それが続くもんだから、最終的には浅利も羽生も顔を出すのを止めちゃいましたが、これは仕方ないでしょう。
 しかし、まだトライアングルを作れていたDFラインはマシな方。ボールが前に進むごとに、人の動き・フォローの意識が薄くなる悲しき反比例がグラウンド内でのぞかれ、ボールホルダーが受け手を捜してばっかりの時間が多かった印象です。1つには、「引いてくる平山」と「張り付く赤嶺」の違いがあるかなぁと。


3:稼動域→○もいれば×もいる
 ○は羽生。2列目以上に運動量と幅が求められるボランチでの起用でしたが、それでいて時間が深まるごとに存在が目立っていくあたりは、やっぱりこの選手の運動量と稼動域は凄いなぁと改めて思いました。特に、30分過ぎてからの前線への独走は感動しましたよ。そこに誰もついていけなかったことも含めてね(苦笑)。あとは、椋原、徳永の両SBもなかなか良かったですね。椋原については後ほど少し。
 ×は…赤嶺と前半の大竹。赤嶺は指示だったのか、自身で考えてかは分かりませんが、終始相手3バックにべったり張り付いたまま。裏を狙うでもなく、下りてきてボールを引き出すでもなく、とにかく自分が欲しいところにべったり張り付いたまま。中盤がよくオーガナイズされていて黙っていてもボールが出てくるんなら話は別ですが、今のゲームを作れないチームにあって、あのプレーでは存在価値が生きないでしょう。昨日ばかりは、平山の不在を嘆くばかりです。もっと言えば、あそこまで赤嶺を張り付かせるんならはっきりと1トップにして、2列目左からカボレ、梶山(大竹)、石川(鈴木)を並べる4−2−3−1にした方がいいんじゃないかと…と思っていたら、城福監督が興味深い言葉を残していたので、こちらも後ほど。
 そして大竹。私がもし監督なら、100%前半で下げてましたね。それぐらい前半は消えていました。原因はそれこそ稼動域の狭さだったかなと。ボールの要求は常に足下で、かつ自分が欲しいと思うところに、自分が欲しいと思ったタイミングで動くだけ。それでも、グランドを広く使って動いてもらおうとするならまだ許せるんですが、その動きの幅の狭さは見ていてちょっとイラッとしたぐらい。この程度の動きじゃ、相手もプレッシャーかけやすいですよ。その上でなお、ああやって自分の間合いで欲しがるのであれば、もっと相手を背負った上でも仕事ができるようにならないと。その部分の強さも磨きつつ、後半の動きは良かったですから、あれを最初から見せてくれるようになって欲しいです。


4:3ラインのコンパクトさ…△
 守備時はDF、ボランチの6人はしっかりと引いてブロックを作るけれど、FWはべったりと前線へ張り付いたまま、逆に攻撃時はボランチより前の6人はもちろん前に出て攻撃するも、DF(特に両CB)の押し上げが足りず、という風に私には見えました。もちろんそこには、「もう一度守備を立て直さなければいけなかったし、このゲームに関しては追いかける状況だけは避けたかった。そこに全精力の9割を注いでもいいという判断だった」(城福監督)という試合前の指示があってのもので、後半は多少コンパクトさがうかがえる場面もありましたが、それでも、もう少し常にコンパクトさを保つ意識を持って欲しいなぁというのが正直なところです。本当にパス回しで崩せるならば、もっと全体的に低めの位置でコンパクトさを保って、奪ってからしっかりと繋いで攻めればいい話なんですけどね。…それが難しいのか。


5:椋原健太
 ここからはポイント以外のことについて。この日一番目についたのが椋原でした。長友ほど上下動できるタイプではありませんが、上がっていった際には必ずクロスを上げて帰ってくる、しかもクロスの種類が抜き切ってのものあり、抜き切らないものあり、アーリークロスありと多種多彩。特に抜き切らないまま上げるクロスは一見の価値ありと言えるくらいで、決してフィジカルに恵まれたタイプではない椋原がプロとしてやっていける大きな武器だと思います。もちろん守備もなかなかのもの。相手と相対する時の重心の低さや粘りっこさは、さすが復フッキを抑えただけあるぜ(笑)。それでもやはり長友が戻ってくれば、長友と徳永がファーストチョイスになるでしょう。しかし、チャンスを得た時にこういうプレーを続けられれば、必ずやまた出番があるでしょう。


6:今ごろ気付いたんだ、もの凄いところを追いかけていたことを
 3のところで「4−2−3−1にした方が…」ということを書きましたが、試合後城福監督はこんなことを言ってました。

今日のメンツでいえば、(セオリー(=神戸の3バックに対しての4−2−3−1や4−3−3)は)相応しくないと思いました。少なくとも危ない場面はなかったし、時間の経過とともにチャンスは必ずくると思っていた。もちろん違うメンツでの4−2−3−1も考えた。だけど、あえて形を壊してやる必要性をそこに感じなかった。ここからリスタートして、どこまで攻撃ができるかという積み上げが今のチームには必要だと思う。

 そして、日曜日に私は「この戦い方が『勝つため』なのか『負けないため』なのかはかりきれない」と書きましたが、それについても、

ギリギリの中で勝ちを拾いながら積み上げていかないといけないということを思い知らされた。今は、このチームにはまだそれだけの力しかないのかもしれない。気づけば、負け続けてしまっているという状態では何も積み上げることができない。現実を見ながら、結果と積み上げを両立させていかないといけない。

 私は今ごろようやく気付きましたよ、城福トーキョーが恐ろしいぐらい難しい事に挑んでるって。遅いよ!って言われるかも知れませんけど(苦笑)、これまではどうしても「監督の言葉」と「選手の動き」が噛み合わず、チグハグなまま進んできた印象がありました。まあ、この試合だって決してデキが良かったとは思いませんし、この「二兎を追う」やり方が正しいのかはわかりませんが、今季最も指揮官の思いと選手のプレーが噛み合った1戦だったのは間違いないところ。今後もこういう試合(内容が、って言うことじゃなくてね)が増えてくれることを願って止まないですし、その先に「結果も内容も満足」という試合が増えてくれると最高ですね。