続々々・メガネのつぶやき

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08−09 その55 アーセナル−ローマ

 いよいよ再開となったCL。インテルマンチェスター・Uとどっちをライヴ観戦にするか迷いましたが、再放送スケジュールの関係でこちらをチョイスしました。手負いのアーセナルがホームで意地を見せるのか、鬼門のイングランド勢相手に一太刀をローマが浴びせられたのか。
アーセナル 1−0 ローマ
スコア:37分 R・ファン・ペルシアーセナル


 昨日のプレビューエントリの中で、アーセナルについて「今こそハードワークを」という風に書きましたが、ものの見事に90分間ハードワークしきっての勝利。2−0、3−0にできたんじゃないか?という意見もあるでしょうけど、今のアーセナルにとってはスコア以上に価値のある、何かきっかけになりそうな勝利だったんじゃないかと思います。
 この日ベンゲル監督がチョイスしたのは4−2−3−1。かつて、決勝まで行ったときに採用していたシステムを、ここに来て使いました。狙いとしては、ナスリを中央トップ下に置いてボールを捌いてもらうとともに、左ベントナー、右エブエも含めた2列目からローマDFラインの裏やサイドを狙っていこうというところにあったと思いますが、まさにこれがズバリ。中央に入ったナスリは縦横無尽にピッチを駆け巡り、ボールの受け、捌き、スペースへの飛び出しでローマDF陣を混乱に陥れましたし、この3人がうまくファン・ペルシと入れ替わることで、ローマの選手が全く捕まえられないシーンがいくつもありました。また、怪我明けすぐにボランチに入ったディアビも出色のデキで、懐の深いボールキープやドリブルでタメを作ることに成功し、それによってアーセナルの持ち味である「SBの果敢な攻撃参加」が数多く見られました。デニウソンとの住み分け(デニウソンは低い位置で配給役に徹し、ディアビは前へ飛び出していく)もよく、バランスが崩れることもなかったですしね。そういう意味で、(ベントナーの左サイドは微妙でしたが)このシステム変更は見事に嵌りましたね。その点は、ローマに触れるところでも少し。
 全体的に見れば、攻撃面では細かい動き出し、動き直しがグランドのあらゆるところで行われていて、流麗なパスワークが戻ってきたシーンが何度か見られました。そして、なんと言ってもこの日感動したのは守備。攻撃では4−2−3−1でしたが、ローマボールになるとベントナーとエブエがすっとポジションを下げて4−4−1−1のような形にしてきました。その上で、ナスリをデ・ロッシに、ディアビデニウソントッティにぶつけ、彼らが常に動いてプレッシャーをかけ続けたことで完全にローマのボールコントロールを失わせることに成功しましたし、その他にもローマDFラインからの縦パスへの反応の速さや中盤での寄せの速さ、DF−MFの2ラインがしっかりとエリアと人を潰し続けたことで、ほぼ危ないシーンを作られないまま試合を進められたんではないかと思います。さすがに70分を過ぎたあたりからは運動量が減り、ローマがもう1枚起点となるピサロを入れてきたのに対してアプローチし切れなかったことで押される展開にはなりましたが、肝を冷やすシーンは数える程度。久々に、主導権を握り続けたまま勝ちきったアーセナルを見ることができました。これぞアーセナルですよ。これが見たかったんです。
 小さい不安を挙げるならば、やはり2−0にできなかったことでしょうか。ベントナー、エブエがそれぞれ決定機を逃したことを後悔することにならなければいいんですが…。あとは、ベントナーの左サイド起用。まあ、見たとおり器用な選手ではないので、雑なトラップでチャンスを逃したり、ボールを持ちすぎて流れを途切れさせるシーンが多く見られました。もしウォルコットが次の試合に間に合えば、エブエを左に回して右にウォルコットを入れる形で解決がはかれますが、果たして。
 あ、そうそう、後半のキックオフになぜかギャラス、トゥレのCBコンビが間に合わず、トゥレは主審の許可なしにピッチへ入ったためイエローカードを頂戴した模様。何しとんねん(笑)


 一方のローマは、ほとんど明るい材料を見つけられないまま、鬼門に屈した形になりました。ファンが怪我でベンチにも入れず、ブチニッチもコンディション不良でベンチからとなったため、モッタを右SBに回して(左はリーセ)CBにロリアを入れてメクセスとコンビを組ませ、中盤は底にデ・ロッシ、両サイドにタッデイとブリーギ、頂点にペッロッタを置くダイヤモンド型、トッティとバチスタの2トップという4−4−2で望みました。しかし、主にデ・ロッシ、タッデイ、ブリーギが流動的に動くナスリ、ディアビをうまく捕まえることができずに中央でボールを支配されてしまう。それに対応するために中盤の4人が極端に中央に絞ったがために、空いたサイドをベントナー、エブエ、クリシ、サニャにうまいように使われてしまう。それに対応するためにSBが外へ開いたがために、DFライン4人の横の間隔が間延びしてしまい、そのスペースをナスリやファン・ペルシにうまいように使われてしまう、という悪循環に陥ってしまったように見えました。これは、アーセナルが4−2−3−1できたことが多分に影響していると思います。最終的にはとにかく人をかけて何とかはじき返すこと+アーセナルの拙攻でPKによる1失点で済みましたが、とても「1失点で済んだことは次に繋がる」とは言えないですね。
 攻撃も守備に労力を引き裂かれることで停滞。ボールを奪っても、人をかけて守っているために前線への選択肢はトッティとバチスタしかなく、そこへの縦パスは容易に読まれてカットされ続けましたし、デ・ロッシが中盤の底で捌こうとしても、ナスリやエブエが執拗に寄せてくることで四苦八苦。中盤でボールをキープできなければ、ペッロッタの持ち味である「いつの間にそこへ入ってきたの!?」という動きも出ないですし、タッデイもこの日は守備に追われてほとんど何もできませんでした。
それでも、リーセとモッタの両SBは機を見たいいタイミングでのオーバーラップを見せていたので、この点は次への希望として前向きに捉えていいでしょうし、途中でピサロが投入されてからは、アーセナルの運動量が落ちたこともありますが、ようやく中盤でデ・ロッシ以外に起点ができたことで、ボールが回るようにはなっていました。この点を、スパレッティ監督がどう評価して次へ繋げるか。デ・ロッシがこの試合もらったイエローで次の試合出場停止となる点や怪我人の復帰も含めて、このままでは終われないローマがどういう試合を見せてくれるのか、楽しみに待ちましょう。アクイラーニがいればなぁ…。
 あと、ブチニッチが交代の前に指示を聞きながら、思いっきりゲームパンツを下げ、ブリーフの中に手を突っ込んでチンポジを直していたのには驚きました。男にとっては大事なことだし、カメラマンも最初は全身写していたんですけど、あまりにも露骨に直してて、もしかしたらポロリしてしまうかもと思ったのか、バストアップの画に切り替えていたくらい(笑)