続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

J1第2節 今日のMLP

 さて、ここからは今日からスタートするミニコーナー。題して「今日のMLP」。監督就任後、非常に印象的な言葉をここまで連発してきた城福監督。その中に「ラブリーな崩し」というフレーズがありました。これは、「そのプレーに絡む全員の意図と動きが噛み合った、非常に美しい崩し」をした時に発するフレーズですが、その試合で最もラブリーだったプレーを「MLP=Most Lovely Play」として勝手に取り上げ、少し書いてみようかということ。あくまで、独断と偏見であることをご理解いただいた上で読んでいただければありがたいです。今節はこのシーンを選びました。
 そのシーンとは、前半31分のプレー。まずは簡単に流れから。

1:敵陣左サイドでボールを受けた石川が、スペースに走りこんだ今野へパス。
2:が、このパスが狙いよりややズレてしまったために、パスを受けた今野はライン際の狭いスペースへ追い込まれる。
3:しかし、今野は慌てず冷静に目の前にいた羽生へパス。しかも、即座に前方のスペースへフリーランを開始。
4:このパスを羽生はダイレクトで中の石川へ戻し、石川もダイレクトで前方のスペースへフリーランしていた今野にパス。
5:綺麗に通ってフリーになった今野が中へクロス(シュートには至らず)。


3〜4の流れを図示(手書き)。分かりづらいですが「○=東京(数字は背番号)、△=新潟  直線=パス、点線=フリーラン」です。

 文字で書くと難しいですが、とにかく美しい流れの中でのパス交換でした。まずこれまでであれば、1の石川から今野へのパスがずれ、タッチラインに追い込まれたところで万事休すだったと思うのですが、そこで慌てる素振りは全くなかったですし、今野からのパスを受けた羽生が、石川へダイレクトで出したのも素晴らしい判断でした。
 この後パスを受けた石川が反転して中へドリブルしていたとしても、それはそれで十分綺麗な流れだったんですが*1、見事なパス交換から1点目を挙げたシーンを差し置いてこのシーンをMLPとした理由は、この後のプレーが素晴らしかったため。3に戻りますが、今野が羽生へパスを出した後、ほんの一瞬足が止まりかけた(ように見えた)んですが、中の石川を一瞥して即座に前方のスペースへフリーランを始めました。今野としては「羽生が上手い事石川にパスを出して、受けた石川が自分を使ってくれること」を期待しての走り込みだったと思うのですが、羽生は走り出した今野と中で待っていた石川の状況をしっかりと把握してダイレクトパスを選択。これが最高でしたね。ダイレクトでパスが来たこともあって、中で待っていた石川に対する新潟DFのマーキングが微妙に甘く、石川はいくらか余裕を持ってパスを出すことが出来ましたし、今野のフリーランニングに対するカバーも全く間に合いませんでした。
 このシーンを始め、開幕から2試合で何度も見られたのが「信じての動き出し・ポジショニング」。複数の選手が絡んでのパス回しが成立するためには、そのプレーに絡む全ての選手の意図が噛み合い、パスの出し手と受けて以外の第3、第4の選手が1手先を読んだ動き出しをしなければいけません。しかしながら、毎回全員の意図が噛み合うというのは難しいですし、必ずしも長い距離を走る必要はないんですが、途中でカットされることでその動きが無駄になることはあります。2、3度続けて噛み合わないという事になれば、「次にまた動き出しても来ないだろう」という気持ちが生まれ、それが大きくなると、流れは澱んでしまいかねません。けれど、開幕2試合を見る限りは、覚束ないながらもそれぞれしっかりと信頼しあって、動き出しやスペースへのポジショニングをサボっている選手はいないように感じでいます。これを続けていけば、プレーの成否に関わらず「この選手はこういうもらい方をしたいのか」とか「この選手はこのタイミングでパスを出すからこう動こう」という相互理解が深まり、より美しい崩しが増えてくるのではないかと、淡い期待を持っています。

*1:上手く反転出来れば中にはいくらかのペースがありましたし、多分去年までならそうしてたんじゃないかと勝手に推測します