続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

J1第2節 新潟2−3東京

メンバー
 GK 塩田
 DF 徳永、吉本、茂庭、長友
 MF 今野、梶山、羽生、エメルソン、石川
 FW カボレ
 交代 '62 エメルソン→浅利 '71 石川→川口 '82 カボレ→赤嶺
 サブ 荻、藤山、大竹、平山


主要スタッツ
 得点(東)'6 エメルソン(A:石川) '8 カボレ '11 今野
    (新)'57 内田(A:ダヴィ) '58 矢野(A:寺川)
 警告(東)'70 長友 '75 梶山 '89 赤嶺
    (新)'84 松尾 '89 本間
 退場 なし

 試合開始数分は新潟に押し込まれましたが、その後は一貫して東京ペース。攻撃面では各選手の距離が狭く、コンパクトなゾーンの中でパスを繋ぎながらまさに「相手をいなす」形をいくつも作れていました。しかし、ただいなしているだけではなく、縦へ行ける時はすばやく縦に入れるシンプルさもあり、1点目はまさにその形。あれだけプレーに絡んだ全員の動きと選択に寸分の無駄も無いゴールは、少なくとも昨年は無かったんじゃないかと。2点目は今年俄然ワクワク度が増したセットプレーでしたが、今回はショートコーナー。あのシーンでは、普通は誰もが「石川がクロスを入れる」と考えるところでしたが、プレーチョイスは何とシュート。虚を突くプレーにシュートの威力も手伝って北野が押さえきれず、カボレが嗅覚よくつめていたことで生まれた得点でしたが、石川の充実度、カボレのFWとしての感性を堪能した得点でした。3点目はただただ相手と今野に感謝でしょう。
 しかし、個人的にはそんな攻撃面よりも守備の動きが印象的でした。とにかく攻守の切り替えが早く、中盤でボールロストしても、すぐさま今野やエメルソンが素早くファーストDFとして相手にしっかりと絡み、そうやって遅らせているうちに梶山や石川、羽生が素早くつめてきて数的優位を作って奪うというシーンが何度も見られましたし、しっかりそこでボールを奪うことで新潟のリズムを崩すことに成功していました。開幕戦は攻守の切り替えが遅く、また今ひとつプレスの掛けどころや人数のかけ方が曖昧でしたが、この日は新潟がなるべく繋ごうとしてきたことも手伝って、いいプレスをかけることが出来ていたように思います。さらに、(分かりづらいところでは)相手がDFラインからセットして攻撃してきた時には、カボレとエメルソン(石川)を最前列に置く4−4−2のような形にしてバランスよくスペースをカバーすることで、新潟の遅攻の威力も無効化できていたかと思います。
 ただ、ウキウキだった時間はそこまで。後半は東京の選手の運動量、勢いが減退したこともありますが、点を取るしかない新潟がポジション変更。遅攻の際には松尾、内田の両SBのベーシックポジションを前半よりかなり高くさせて寺川、ダヴィの両SHのフォローをするとともに、両SHは守備のタスクやカバーしなければいけないスペースが減り中へ絞りやすくなったことで、中央でしっかりとボールが収まりゲームを作れるようになった上に、守備が中央へ収縮した際に出来たスペースにポジションした選手(主に両SB)がフリーでボールを受けられるようになったことで、東京の選手の距離が間延びし、プレスの掛かり甘くなり、攻守の切り替えが遅くなってしまいました。1失点目はサイドに追い込み数的不利を作ったにもかかわらずかわされてしまい、そこから全ての対応が後手後手になってしまったせいでしたし、2失点目はまさに攻守の切り替えの遅さが招いた失点。相手GKのスローから始まった攻撃で、しっかりと帰陣して守備の体勢を整えられるだけの時間はあったと思いますが、矢野に渡るまでに触った3人(永田、千葉、寺川)全てをフリーにしてしまい、特に寺川に対しては、DFラインはしっかりと引いて低めのラインを引くも、梶山、今野ともに帰陣しきれずにできたバイタルエリアのフリースペースを使われる最悪の形。少なくとも梶山、今野いずれかは相手にボールが渡った時点でしっかり引いて見ておかなければいけないスペースで、非常にショックの残る失点でした。正直同点ぐらいは覚悟しましたが、その後は城福監督が明確なメッセージを持った選手交代をすることでどうにかこうにか落ち着きを取り戻し、新潟のパワープレー含めた攻撃を何とか凌ぎきって逃げ切り勝ち。歓喜と溜息が入り混じる乱戦を制しました。
 両チームともに、あまりにもいい時間と悪い時間の差がはっきりしすぎていて、終わってから思い出すとある意味笑いすらこぼれてしまうほどの試合展開でした。城副監督は試合後の記者会見で印象に残ったのは、

先に点を取るとどうしても守りの意識になってしまうもの。ボールを奪った時に、速攻でイエスかノーという終わり方になるのを、もう1度やり直して速攻から遅攻に変えたりなど、そうやって自分達の時間を引き寄せるという、経験というか試合巧者の部分も身に付けていかなければならない。

 という部分。90分自分達の時間にすることは実質不可能なわけで、必ず相手の時間帯になるシーンは出てきます。自分達の時間に持ち込めれば相手を手玉に取れることはここ2戦ではっきり分かりました。あとは相手の時間をいかに減らすか、そして、相手にペースが行った際にどう引き戻すのか。その引き戻し方が絶え間ないプレスの連続なのか、それとも少し重心を下げてどっしりと守るのか。「ムービングフットボール」という攻撃面が前面に押し出されてはいますが、その中で守備面をどう構築するのかに思いを馳せる試合後でした。