続々々・メガネのつぶやき

思ったことを、思ったなりに、思っただけ。

勝て、勝て、勝て、勝て・・・どうやって?

 昨年から当ブログにて「Jリーグ観た記」を書き始めました。ぼんやり見る試合と何かを書こうとして観る試合とでは注目点が変わってくるんですが、後者の時に特に意識しているのが「立ち上がり10~15分」。相手をスカウティングし、対策を練り、練習で落としこみ、自分たちの意図を作って試合に臨む。その意図が最もピッチで反映されるのは、間違いなく立ち上がり10~15分。

 それは、チーム単位におけるシーズンスタートもそうで、前年の反省も活かしながら新戦力を獲得し、チームによっては監督を変え、キャンプで監督の哲学をチームに落とし込み、プレシーズンマッチで試しながら手を施し、開幕を迎える。とすると、開幕から2,3試合でチームが見せる姿こそが、そのシーズン「我がチームはかくあるべき」という意思表明だとも言えるでしょう。

 

 長谷川新監督を据えた新生FC東京。浦和戦は守備に軸足を置き、押し込まれる時間帯も多かったものの、勝ち点1を奪いました。しかし、先日の仙台戦は0-1の敗戦。この1分1敗を皆さんがどう感じたか分かりませんが、私は「うーん、大丈夫か?」という印象

 浦和戦は中盤フラットな4-4-2、仙台戦は中盤ダイヤモンドの4-3-1-2と立ち位置は若干の違いがありました。浦和戦は相手対策の色がやや強めで、それでもしっかりと先制点を奪えたことは大いに評価したいんですが、より能動的に振る舞おうとした仙台戦を見返し、90分を通したゲームプランやプレーモデルを自分なりに考えると、あまり前向きになれない自分がいます。

 

 立ち上がり、ディエゴ オリヴェイラが浦和戦とは違って裏抜けを狙いシーンが見られ、3分には高萩から、4分には室屋からの縦パスが裏抜けとリンクして、仙台守備陣に無理を強いる場面を作れていました。

 また、前田含めてFWが中から外へ、斜めに走り抜けたところに高萩や太田から縦パスが入り、その流れからクロスを入れたところに大森が走りこんできてシュート、というシーンも、前半だけで都合3回。浦和戦ではなかなかボールが来ず、自らの判断で後半良い意味でフラフラしたことで存在感を出しましたが、この日は別の側面で存在価値を見せました。

 終わってみれば「この良い時間帯に決められていれば…」となるのかもしれません。高萩も試合後「マイナス面ばかりに目を向けるよりも、良かったことを続けていくこと、増やしていくことが大事だと思っている」と前向きなコメントを残し、チーム全体からは悪くない、という雰囲気が醸し出されています。

 

 ただ、私はどうしても2点、拭い去れない不安というか、不満が残っています。

 1つ目は「攻守の分断」。浦和戦も仙台戦も、攻守でほぼ同じ立ち位置をベースとしたままプレーしていました。仙台戦で言えば、4-3-1-2。それ自体はなんのことはなく、可変をすることが正しいとか偉いとか面白いとかでもありません。

 ただ、大きく立ち位置を変えないということは、ポジティブトランジションにおいてビルドアップで時間を作りながらSBを押し上げたり、インサイドハーフがより2トップに近づいたりする、あるいは相手が切り替わらないうちに2トップにビシッと当てて、ファストブレイクを仕掛ける、個人的にはそうした緩急いずれかを明確な意図として示してほしいと思っています。

 しかし、浦和戦に続いて仙台戦も、自陣でのボール回しはビルドアップになっていませんでした。90分で1回か2回だけ、効果的なビルドアップから--余談ですが、「自陣でボールを回す=ビルドアップ」と単に言っている方がいたら、そうじゃないよと。自陣でボールを回している間に、その他の選手が守備時から攻撃時への立ち位置を変える。その時間を作るボール回しがビルドアップではないかと--そこからポゼッションでゴール前まで迫るシーンを作れましたが、あまりにも単発で、まだチームのプレーモデルがそこにある印象は受けませんでした。

 では、ファストブレイクを仕掛けられていたかというと、それもNO。ネガティブトランジションにおいて、とりあえず近い選手が奪いにいくシーンこそありましたが即時奪回の意識は低く、敵陣やミドルサードでボールを奪い返したシーンは多くありませんでした。結果的に自陣で守備をする時間も多く、奪ってから敵陣までの距離が長くなり、どうしても「どっこいしょ」というリズムになってしまいがちだった印象もあります。

 どうにかして2トップや高萩にボールが収まり、敵陣でボールを持つことができれば後ろの選手も押し上がることができ、そうなれば前述した狙いを持った攻撃を繰り出すことができましたが、まだちょっと再現性に乏しい印象は否めず。その要因はトランジション時の意思統一のなさ、あるいは戦術のなさから来る攻守の分断だと見ています。

 今後、どの方向にシフトしていくかは分かりませんが、ビルドアップやポゼッションを…となると、正直アンカー米本、右SB室屋、この2人のパス能力が足を引っ張る可能性はあるでしょう。

 また、目線を変えるサイドチェンジも本数が少なく、チャンや森重にはもっと大きな展開も期待したいところ…って書いていたその瞬間、「いや、そもそもアウトサイドレーンがベースの立ち位置な選手おらんやん」と。ここは例えば、太田、東、高萩らが左に寄ってボールを持ちながら、大森は2トップの下まで絞り、大外を空けたところに室屋が走りこんでサイドチェンジから…みたいなプレーモデルをチームで作れればと想像しますが、果たしてどうなるやら。

 かたやファストブレイクとなると、これは今の顔ぶれだと望むべくもなく。ディエゴや大森が走れないこともないですが、今後永井、富樫などが起用されてどうなるか、見守るほかないでしょうか。

 

 2つ目が「プランBのなさ」。この2試合のスタメン11人+久保、富樫+αでやりくりしていますが、90分を通して、試合中に狙いを変えることを選手交替やプランBの発動でできたとは言えません。

 これはさすがに、長谷川体制1年目の東京と渡邉体制5年目の仙台とを比べるのは酷かもしれませんが、仙台はこの試合、攻撃時の立ち位置を3-4-2-1でスタートさせましたが上手くいかず。その影響は守備にも出てしまい、立ち上がりから押される展開に。しかし、25分に渡邉監督から指示が出て、3-5-2(中盤逆三角形)に立ち位置を変えました。

 この変化に、今度は東京が対応できず。20分あたりまではポゼッション率が約60-40だったのが、前半終わる頃には52-48まで引き戻されました。それは後半も変わらず。ハーフタイムを挟んでも、3-5-2で攻撃する仙台に対してあまり有効な守備の手立てを施すことはできていなかったと見ていて、失点シーンを筆頭に散見された寄せの甘さは、スタミナ面も去ることながら、相手の変化に対応できないプランBのなさを、現時点では露呈してしまったと考えます。

 目下、練習ではAチームとBチームを意図的に、スッパリ切り分けているという話も漏れ伝わってきます。もちろん、スモールグループを決めてまずはその選手たちに意図を落とし込んで…という手法もありますが、開幕から2試合、その手法が好スタートを切ったかと言われると、何とも言えず。このあとルヴァンカップが始まり、Bチームの選手は長谷川監督へのアピールも含めて勝利を目指すことが求められますが、今はプラスアルファとなれる選手が出てきてくれることを祈るほかありません。

 

 今が産みの苦しみなのか、私の目が節穴なのか、それとも残念ながら不安がしばらくは的中してしまうのか。それは今後の結果が教えてくれますが、どうしても1つ勝ちを得るまでは、悶々とする日々が続きそうです。